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肌に心地よく、目にも楽しめる、最適なフローリング材を選ぼう
フローリングは、材料となる木の樹種はもちろん、製法や仕上げ、材の幅や張り方など、実に多くの種類があります。それぞれの特徴を知って、最適なタイプを選びましょう。
Taeko Ishii
2016年9月21日
フリーランスのエディター・ライター。大学で住まいについて学んだのち、コピーライター、住宅雑誌編集者を経てフリーランスに。暮らしまわりに関すること、地方での暮らしについてが主なテーマです。
フリーランスのエディター・ライター。大学で住まいについて学んだのち、コピーライター、住宅雑誌編集者を経てフリーランスに。暮らしまわりに関すること、地方での暮らしについてが主なテーマです... もっと見る
靴を脱いで暮らす日本の住まいでは、いちばん肌に触れる場所である床材選びはとても重要です。なかでも、最も普及しているフローリングにはさまざまな種類があり、樹種はもちろん無垢材か複合か、表面をどのように仕上げるかなどにより、掃除しやすさや防音性も変わってきます。
リノベーションの際にも、壁や天井などに比べて、床は施工に手間がかかり難易度も高いため、飽きずに長く付き合える素材を選びたいもの。種類ごとの特徴を比較して、住まいに合ったものを見つけましょう。
リノベーションの際にも、壁や天井などに比べて、床は施工に手間がかかり難易度も高いため、飽きずに長く付き合える素材を選びたいもの。種類ごとの特徴を比較して、住まいに合ったものを見つけましょう。
- 樹種別の特徴を知る
ダークな色で落ち着いた雰囲気にしたいのであれば、写真のブラックウォールナットやオーク、チーク、カリンなどがおすすめです。
こちらはチークのフローリングです。少し赤みがかったトーンで、モダンな家具にはもちろん、アジアンテイストのインテリアにもなじみそう。
淡い色合いのオークも、優しい雰囲気が人気です。自然素材である木は、同じ樹種でも生育環境によって色合いが変わるので、表情や質感はできる限り実物を見て選びましょう。表情のあるフローリングを使う場合、バランスよく貼れるように、施工業者に一枚一枚レイアウトを指示する建築家もいます。写真のフローリングのように、表情に自然なばらつきが出るよう木組みされた製品も。
表面の「節」の割合も大切。写真のスギのフローリングのように、節が多い材を選ぶと、木材ならではの表情が楽しめますし、節なしにするとシンプルで落ち着いた雰囲気になります。また、芯材(樹芯のまわりの赤っぽい部分)と辺材(木の外側の白い部分)が混在した材の個性的な色むらを楽しんでも。
- 無垢フローリングと複合フローリング
無垢フローリング(単層フローリング)
伐採後、乾燥させて一枚の板に製材したフローリングのこと。写真はナラの無垢フローリングです。天然の一枚ものの板ならではの重厚感があり、自然な表情が魅力です。
注意してほしいのが、吸湿性が高く、生きた素材ゆえ、季節の変化によって膨張したり収縮したりといった変化があること。特に乾燥する冬には木が縮み、隙間ができることも。数年たてば落ち着くので、自然素材の持ち味と思って気長に付き合っていくことが大切です。また、無垢フローリングは湿度や熱の影響を受けやすいので、基本的に床暖房には不向きです。しかし最近では、高温処理を施すなどして床暖房に対応させた無垢フローリングの製品も登場しています。
複合フローリング
合板などの基材に突き板や化粧板を張って作られています。複数層を張り合わせているため安定していて、単層フローリングに比べて収縮や反りが少ないのが特徴。傷も入りにくく、掃除などメンテナンスも楽にできるところがメリット。床暖房にも対応しています。さらに単層フローリングより施工が容易で、木目や色が揃いやすいので、広く普及しています。
合板などの基材に突き板や化粧板を張って作られています。複数層を張り合わせているため安定していて、単層フローリングに比べて収縮や反りが少ないのが特徴。傷も入りにくく、掃除などメンテナンスも楽にできるところがメリット。床暖房にも対応しています。さらに単層フローリングより施工が容易で、木目や色が揃いやすいので、広く普及しています。
図は、複合フローリングの平面図と断面図です。断面図を見ると、表面に厚さ2mmの「挽き板」を張っていることが分かります。
表面の材の厚みは、こうした挽き板の他に、0.3mm以下の薄い突き板までさまざま。表面材の厚さが2mm以上ある製品は、無垢材に質感が近く、木の触感や風合いなどの表情を楽しめます。
表面の材の厚みは、こうした挽き板の他に、0.3mm以下の薄い突き板までさまざま。表面材の厚さが2mm以上ある製品は、無垢材に質感が近く、木の触感や風合いなどの表情を楽しめます。
- フローリングの幅
写真のオーク材フローリングは幅189mm。白いオイル塗装を施していて、木の表情が映えるおおらかな空間を演出しています。
こちらは幅75mmのナラ材フローリングです。縦方向の流れが強調されています。
縦目地の間隔が3種類あるユニークなフローリング製品《stream》。間隔を変えることで空間に「速度感」が生まれ、幅が広いものは「ゆっくり」、狭いもののは「早く」、そしてその「中間」、と雰囲気が変わります。場所に合わせて張りかえても楽しめそうです。
- フローリングの張り方
写真は、壁に対してフローリングを斜めに張る「斜め張り」。空間の独立性が強調され、動きを感じさせます。
クラシカルな印象がある「ヘリンボーン張り」。選ぶ樹種や幅によっても、雰囲気が変わります。
市松模様がリズミカルな「パーケット張り」。ヨーロッパのような雰囲気はもちろん、インテリアによっては懐かしいレトロな印象にもなります。
こちらは「朝鮮張り」と呼ばれる張り方。朝鮮半島の古い民家によく見られたことが名前の由来です。短い素材を並べ、間に長いフローリング材を横方向に張り、整然とした印象を与えます。
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製品によっては、アートのような個性的なフローリングも。写真はランダムな幾何学系が美しい《リストリーネジョルダーノ ナチュラルジーニアス》という製品です。
通常は横目地をずらしてつなぎ目をわかりにくくしますが、あえて横目地を揃えてリズム感を出した《amida》という製品。あみだくじのようなデザインがユニークです。
- 加工フローリング
こちらは、時代を経た古材のように見せる「エイジング加工」。古材のように仕上げるワックスや、スクラッチ(傷)の加工を加えています。
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