「格子」が現代の住宅に最適な理由とは?
古くから建具として日本人に愛されてきた格子は、現代の住宅においても活躍するデザインアイテムです。いにしえのデザイン美を現代的に活用する方法と実例をご紹介していきます。
小川のぞみ
2016年8月29日
ライター/コピーライター/アドバイザー。
日本・湘南エリアからアメリカ・カリフォルニア生活を経て、再び湘南エリアに在住。高断熱・高気密の長期優良住宅に居住しながら、インテリアや整理収納のアドバイス、住宅購入の相談やホームステージング(家具のコーディネートなど)に取り組む。
ライター/コピーライター歴は10年以上。ウェブサイトや雑誌、ECサイトや通販誌、広告媒体(商業施設の冊子やポスター、大手企業発行の会報誌など)にて企画から携わる。担当分野は、住宅、インテリア、教育、ファッション、ランジェリー、インタビュー取材など。スタイリストの経験も多数。
ライター/コピーライター/アドバイザー。
日本・湘南エリアからアメリカ・カリフォルニア生活を経て、再び湘南エリアに在住。高断熱・高気密の長期優良住宅に居住しながら、インテリアや整理収納のアドバイス、住宅購入の相談やホームステージング(家具のコーディネートなど)に取り組む... もっと見る
日本において、格子は、古くは平安時代に神社仏閣や貴族の住宅である寝殿造において戸に使われ、建具として発展してきました。町並みを形成する重要なデザイン要素でもあり、例えば京町家の縦格子が並ぶ通りの風情は、古き良き日本の町並みのイメージとして国内外に広く知られています。
現代の住宅においては、格子は、洗練された和モダン住宅を完成させるための定番モチーフになっています。家の顔としての格子はもちろん、リビングなどの居住空間におけるアレンジ、内外の建具としての優秀さには目を見張るものがあります。また同時に、都会の住宅密集地にも向く、格子ならではの効果にも注目してみましょう。
現代の住宅においては、格子は、洗練された和モダン住宅を完成させるための定番モチーフになっています。家の顔としての格子はもちろん、リビングなどの居住空間におけるアレンジ、内外の建具としての優秀さには目を見張るものがあります。また同時に、都会の住宅密集地にも向く、格子ならではの効果にも注目してみましょう。
1. 家全体の印象を決定づける
まずは格子をエクステリアとして考えると、家のイメージを決定付けるパワーがあることに気がつきます。写真のファサードのうち格子は、玄関とその横、室外機をカバーしているだけですが、さりげなく、でもしっかりと存在感が出ています。
家の顔として、デザインに格子を少しでも取り入れると、和が薫る印象深い外観になります。
まずは格子をエクステリアとして考えると、家のイメージを決定付けるパワーがあることに気がつきます。写真のファサードのうち格子は、玄関とその横、室外機をカバーしているだけですが、さりげなく、でもしっかりと存在感が出ています。
家の顔として、デザインに格子を少しでも取り入れると、和が薫る印象深い外観になります。
外の気配がそれとなく分かる格子の玄関は、外から内への繋がりを意識することができます。日が差し込む時間になると、陰影が美しい玄関に。一味違う玄関まわりにしたいなら、選ぶ価値ありです。
和のエッセンスが漂う格子のファサードを主役にすると、伝統的な美を感じるだけでなく、縦ラインの効果で伸びやかな印象を与えてくれます。また、昼と夜では全く違う顔になるのが格子のエクステリアの特徴です。
家の中に明かりが灯ると一変。格子の奥にほんのりとした光が見えることで奥行きが生まれ、昼間の伸びやかさとは違った立体的な外観になります。光は通しつつ、視線は通しにくいのも利点です。
2. 居住空間をゆるく仕切る
次にインテリアとしての格子です。リビングダイニングが中心の現代の住宅において、空間を上手に分ける方法はとても重要ですが、こちらの写真は1つの解決例といえます。格子で仕切ることによるダイニングとの付かず離れずの距離感、ほどよい「こもり感」がくつろぎのリビング空間を演出しています。開け放つこともできる可動性の高さも大きなメリットです。
次にインテリアとしての格子です。リビングダイニングが中心の現代の住宅において、空間を上手に分ける方法はとても重要ですが、こちらの写真は1つの解決例といえます。格子で仕切ることによるダイニングとの付かず離れずの距離感、ほどよい「こもり感」がくつろぎのリビング空間を演出しています。開け放つこともできる可動性の高さも大きなメリットです。
モダンな白いインテリアを格子で切り取るように囲んだ和室が置かれたこちらの例。手前の現代的な階段室と奥の和室との存在感のコントラストが新鮮です。格子には適度な透過性があるため、周囲との境界が曖昧になり、和の寛ぎがコンテンポラリーな住宅に溶け込むのを助けています。
リビング横に和室をもうける予定があるなら、このように格子で独立させたユニット和室を検討してみるのはいかがでしょうか。一味違う居住空間が誕生すること間違いなしです。
3. 部分使いでも快適さが大きく向上
住宅密集地のテラスや庭にこそ推薦したいのが格子です。外を遮断しずぎず、光と風は通し、目隠しの役目を果たしてプライバシーを確保する、という絶妙な塩梅を叶えてくれるからです。リビングを開け放って空間を連続させれば、開放感も得られます。
住宅密集地のテラスや庭にこそ推薦したいのが格子です。外を遮断しずぎず、光と風は通し、目隠しの役目を果たしてプライバシーを確保する、という絶妙な塩梅を叶えてくれるからです。リビングを開け放って空間を連続させれば、開放感も得られます。
格子を取り付けると、空間を広く見せる効果が出る場合もあります。階段上のロフトの一部を格子にすると、トップライトからの光がもれ、現代の狭い居住空間にちょっとした広がりをもたらしてくれます。上下階の気配がお互いに伝わるので、空間同士の距離感も縮まります。
螺旋階段を格子で半分囲うという部分使いが新鮮な例です。光に向かって格子が伸びているかのような演出は、上のフロアへの期待感を高めてくれます。
格子で囲んだ螺旋階段の反対側をトイレにするというユニークなアイデアです。閉鎖的になりがちな空間に、上品な光と縦方向への広がりを感じさせてくれます。
格子は意外にもアレンジしやすくバリエーションが豊富で、現代の狭く密集した住宅に快適さをもたらしてくれる効果が存分にあります。
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「格子」を住宅にとりいれてみたいと思いますか? 記事へのご感想もお待ちしています。
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格子の特集に取り上げて頂きありがとうございます。
この住宅では、螺旋階段を光の筒と見立て、格子を通して裏側にも光を供給しました。上部からの太陽光は、1階では格子の裏側の北側の洗面所に差し込みます。
荒木毅
荒木毅建築事務所
緩く外部の視線を隠しながら風通しを確保できる格子は「都市型住宅」には最適な目隠しだと思います。