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My Houzz:アートディレクター夫妻が考えた、家族・友人みんなが集う家
家での暮らしが快適でなければ、外での活動にも影響がでやすいもの。それだけ日々の生活における住宅の役目は大きいと言えます。今回は、家族はもちろん、友人・知人までもが笑顔になれる家を念頭にプラン設計されたお家を紹介。
片岸千代子
2016年9月12日
不動産に携わって約16年。大手不動産会社(デベロッパー)で、新築分譲マンションの接客営業を経験。その後、不動産に特化したIT企業にて、社内のライターとして勤務。現在、不動産(住宅)を得意分野とする、フリーのライターとして活動中。http://www.writing-office.com/
不動産に携わって約16年。大手不動産会社(デベロッパー)で、新築分譲マンションの接客営業を経験。その後、不動産に特化したIT企業にて、社内のライターとして勤務。現在、不動産(住宅)を得意分野とする、フリーのライターとして活動中... もっと見る
大阪の北摂エリアは、自然環境や交通アクセスの良さ、買い物施設の充実性などから人気のエリアだ。その地域に新築の戸建てで暮らすのは、堀内弘誓さん夫妻とお子さん、奥様のお母様の4人。引っ越してくる前は、中古の分譲マンションで親子3人で暮らしていたのだが、お母様と同居することになり戸建ての検討をはじめたという。武庫之荘、芦屋などさまざまなエリアを探したが、勤務地までの交通便とご夫婦ともに出張が多いこともあり、新幹線や空港へのアクセスの良さを考慮してこの地に決めた。
以前のマンションは、“どこにいても家族の顔が見える空間”という自分たちの暮らしの思想にマッチした住宅にすべく、3LDKから1LDKにリノベーションしたとのこと。そのときの考えは、今回の戸建にも引き継がれ「家族はもちろん友人など、みんなが集まる家」をコンセプトに橋本健二建築設計事務所に設計を依頼した。夫婦揃ってアートディレクターのお仕事をされていることもあって、自分たちが求める住宅のイメージを、建築家にしっかり伝えたいとの思いからネットや書籍など、住宅に関するあらゆる資料を集めた。その資料収集の際にHouzzも活用したというから嬉しい限りだ。
以前のマンションは、“どこにいても家族の顔が見える空間”という自分たちの暮らしの思想にマッチした住宅にすべく、3LDKから1LDKにリノベーションしたとのこと。そのときの考えは、今回の戸建にも引き継がれ「家族はもちろん友人など、みんなが集まる家」をコンセプトに橋本健二建築設計事務所に設計を依頼した。夫婦揃ってアートディレクターのお仕事をされていることもあって、自分たちが求める住宅のイメージを、建築家にしっかり伝えたいとの思いからネットや書籍など、住宅に関するあらゆる資料を集めた。その資料収集の際にHouzzも活用したというから嬉しい限りだ。
それまでマンションに住んでいたときと、今回新築した戸建ての共通点は、どこにいても家族の顔が見えること! だ。部屋にこもるのではなく、リビングなどみんなの顔や気配が感じられる空間のほうが、気持ちが落ち着くという。そのため、3LDKを1LDKに改修したマンションと同様に、戸建てもリビング、ダイニング、キッチンは、みんなが集まれるような大きな空間を希望していた。
会社から帰宅しても家で仕事をすることがあるという堀内さん夫婦。そんなときでも、部屋にこもるより、リビングなど家族のいる場所、もしくは気配が感じられる空間で作業をしたいという思いがあり、お子さんも同じように子ども部屋ではなく、リビングやダイニングのテーブルで小学校の宿題をしているという。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦+子ども1人+母
所在地:大阪府豊中市
敷地面積:260平方メートル(約78.6坪)
延床面積:180平方メートル(約54.4坪)
構造:木造
竣工時期:2015年8月
設計会社:橋本健二建築設計事務所
会社から帰宅しても家で仕事をすることがあるという堀内さん夫婦。そんなときでも、部屋にこもるより、リビングなど家族のいる場所、もしくは気配が感じられる空間で作業をしたいという思いがあり、お子さんも同じように子ども部屋ではなく、リビングやダイニングのテーブルで小学校の宿題をしているという。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦+子ども1人+母
所在地:大阪府豊中市
敷地面積:260平方メートル(約78.6坪)
延床面積:180平方メートル(約54.4坪)
構造:木造
竣工時期:2015年8月
設計会社:橋本健二建築設計事務所
部屋にこもらずに家族と空間を共にしたいことから、当初は仕事部屋を作るプランは考えていなかったという。だが仕事柄、資料となる書籍が大量にあり、以前の住まいではリビングに山積みになっていたことから、今回、2階に本棚を設置することになった。それなら仕事ができるスペースがあってもいいかもしれないと、机を設けパソコンなどを置くことにした。仕事部屋とはいえ、やはり家族の気配は感じていたいので、壁の上部に開口部を設け、1階のリビングを覗けるようにした。おかげで、2階にいても1階の会話がよく聞こえるという。ただ、仕事部屋の奥にある寝室まで声が響くため、これが唯一「やりすぎたかな」と思う点だったと堀内さんは話す。
仕事部屋には、リビングから梯子で登る方法と、キッチン横の階段から2階に上がる2つのルートがある。
本棚には、仕事の資料になる本はもちろん、過去に手がけた作品・商品や趣味の本、お子さんの絵本、アニメ、ご夫婦が小さい頃に読んでいた図鑑など、幅広いジャンルが所狭しと陳列されている。仕事をするデスクには、パソコンなどの設備が設置され、1階のリビングでも2階の仕事部屋でも、どちらでも作業ができる環境になっている。
本棚には、仕事の資料になる本はもちろん、過去に手がけた作品・商品や趣味の本、お子さんの絵本、アニメ、ご夫婦が小さい頃に読んでいた図鑑など、幅広いジャンルが所狭しと陳列されている。仕事をするデスクには、パソコンなどの設備が設置され、1階のリビングでも2階の仕事部屋でも、どちらでも作業ができる環境になっている。
以前の住まいと大きく違うのは、リビングから出入りできる5m×5mの広々としたテラスの存在だ。このテラスも、ご夫婦のこだわりの一つで家族や親戚、友人・知人が集まれる空間にしたいと考え、設計してもらったという。
ソファの本体は、防水性の素材なので、天気の悪い日や外に出ない日は、クッションだけを屋内に移すだけだ。また、日差しを遮るパラソルがあり、中央にはご主人様手作りのテーブルが置かれている。気候の良い日は、このテーブルを囲んで家族4人で食事をしたり、夏には子供用のプールを作って水遊びをするなど楽しんでいる。お母様は、テラスで孫と一緒に過ごす時間がとても好きなのだと話す。
ソファの本体は、防水性の素材なので、天気の悪い日や外に出ない日は、クッションだけを屋内に移すだけだ。また、日差しを遮るパラソルがあり、中央にはご主人様手作りのテーブルが置かれている。気候の良い日は、このテーブルを囲んで家族4人で食事をしたり、夏には子供用のプールを作って水遊びをするなど楽しんでいる。お母様は、テラスで孫と一緒に過ごす時間がとても好きなのだと話す。
テラスにて、会社の仲間やママ友など、友人を招待してのパーティーも何度も開催している。食事はみんなで作ることもあれば、持ち寄ることもあって、大人から子どもまで楽しめる空間になっている。写真の左側、ソファに腰掛けている奥様も満面の笑みだ。
また、こんな大きなテラスなので天気が良ければ、夏の七夕、秋のお月見といった天体観測も夢ではないだろう。
また、こんな大きなテラスなので天気が良ければ、夏の七夕、秋のお月見といった天体観測も夢ではないだろう。
知り合いに、ヨガのインストラクターをされている方がいるという堀内さん。この約32畳もある開放的なリビング・ダイニングで友人たちとプライベートレッスンを受けたこともある。
テラスへの大きな開口部があるため、そよ風を感じながら心地よく体が動かせるうえ、通風が良いためか夏でもエアコンをつけずに生活ができるほどの快適さだという。
テラスへの大きな開口部があるため、そよ風を感じながら心地よく体が動かせるうえ、通風が良いためか夏でもエアコンをつけずに生活ができるほどの快適さだという。
堀内さんも奥様も料理が好きだということで、キッチンへのこだわりもひとしお。
キッチンとその後ろの収納棚のデザインは、掘内さんが自分で図面をひき、建築家に依頼した。収納棚は、お椀やお皿、コップといった食器を全部出して並べ、何がどれだけあるのかを確認し、その食器を棚に収納したことを想定し、食器を重ねた高さや幅をまとめ、その計測したサイズをもとに、引き出しの深さや奥行きなどを決めてデザインした。
また、キッチンに設置されているゴミ箱は、引っ越し前に、その地域のゴミ出し内容、分別の種類、分別の数に応じたゴミ箱の数、使用したい市販のゴミ箱のサイズを調べてからゴミ置き場のスペースを決めるという徹底したリサーチのもとでつくられた。
キッチンとその後ろの収納棚のデザインは、掘内さんが自分で図面をひき、建築家に依頼した。収納棚は、お椀やお皿、コップといった食器を全部出して並べ、何がどれだけあるのかを確認し、その食器を棚に収納したことを想定し、食器を重ねた高さや幅をまとめ、その計測したサイズをもとに、引き出しの深さや奥行きなどを決めてデザインした。
また、キッチンに設置されているゴミ箱は、引っ越し前に、その地域のゴミ出し内容、分別の種類、分別の数に応じたゴミ箱の数、使用したい市販のゴミ箱のサイズを調べてからゴミ置き場のスペースを決めるという徹底したリサーチのもとでつくられた。
戸建てのキッチンの長さ(シンク+ワークトップ)は、横幅2550mm、奥行き600〜650mmが標準サイズだ。ただ堀内夫婦は料理が趣味とあって、キッチンをゆったりと広く使いたいという希望もあり、横幅3000mm、奥行き1050mmという大きめのサイズを注文。蛇口も性能やデザインから、自分たちの好きなメーカーの商品を指定して建築家に伝えたという。
奥行き1050mmという作業スペースの広さは、使い勝手がとても良いという。奥様の友人、数名とキッチンをぐるり囲んで、パン教室を開催したこともあり、作業スペースが広いので、個々にパン生地を練って調理することができた。
また、料理教室のときもそうだが、普段の生活においても、夫婦または奥様とお母様というように複数名が同時にキッチンに立つ場合がある。そのため、作業を邪魔せずスムーズにすれ違えるよう、キッチンと食器棚の間を1100mm設け広めにとっている。一般的には600mm〜750mmが多いので、ゆとりあるスペースだと言える。
また、料理教室のときもそうだが、普段の生活においても、夫婦または奥様とお母様というように複数名が同時にキッチンに立つ場合がある。そのため、作業を邪魔せずスムーズにすれ違えるよう、キッチンと食器棚の間を1100mm設け広めにとっている。一般的には600mm〜750mmが多いので、ゆとりあるスペースだと言える。
丸いダイニングテーブルの上に設置された照明。一見、どこにでもある照明にみえるが、ランプシェードの中を覗くと赤い鯉の絵が描かれており、見えにくい所まで演出しているのがよくわかる。また、キッチンを明るく照らすランプは、丸みのある曲線がかわいい〈IDEE〉の照明を使っている。これらも、夫婦で話し合って選んだ。
ホワイトの洗面台やクロスは、清潔感のある配色でまとめている。三面鏡なので、ヘアスタイルのセットや身だしなみが確認しやすい。また、裏面は収納になっているため、物があふれることも少なくスッキリと片付けられている。インテリアのアクセントのように、お子さん用の赤い台が置かれていた。
浴室の横に設けられた洗濯機は、折れ戸の中へ収納できるようになっている。洗剤や洗濯ネットなど洗濯機まわりは、雑然となりやすいが、中に棚が設置されているので整頓もしやすい。また、洗濯物を外で干すための勝手口がすぐ横にあり、出入りが楽になっている。洗い終わった洗濯物は一旦、ハンガーに掛け天井からぶら下がったバーに吊るし、作業が終わったら全部そのまま外に持って行って干す。
戸建てでは、1階で洗濯し、2階で干すケースをよく見かけるが、このパターンだと洗濯物を抱えて階段の上り下りをするため、体力的にも大変になる。堀内家では、お母様が洗濯物担当なので尚更、配慮したい点だろう。
戸建てでは、1階で洗濯し、2階で干すケースをよく見かけるが、このパターンだと洗濯物を抱えて階段の上り下りをするため、体力的にも大変になる。堀内家では、お母様が洗濯物担当なので尚更、配慮したい点だろう。
写真左から、堀内さん、お子さん、奥様のお母様。
「戸建ての設計を願いするとき、夫婦で堀内家の24時間の暮らしぶりを書き出して、橋本さんに渡しました。それから、実際に僕たちがどんな間取りで、どんな生活をしていて、何を重視して暮らしているのかを理解してもらうためマンションにきて、見てもらいました。安くない買い物ですし、何十年と住む場所なので、ここで手を抜くと後々が大変だと思ったんです」。
例えば20年住んだとしても、20年のストレスを積み重ねると凄いことになる。家での暮らしが良くないと、仕事のパフォーマンスにも影響すると堀内さんは考えた。
「だから、自分たちがどんな家に住みたいのかということを、建築家の方に知ってもらうため、たくさん住宅の写真や資料を集め、食器のサイズを測り、自分で図面やパースも書いたんです。設計段階のときは仕事よりも、住宅のことを重視するくらいの勢いでしたね」と笑顔で住宅へのこだわりを話してくれた。
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「だから、自分たちがどんな家に住みたいのかということを、建築家の方に知ってもらうため、たくさん住宅の写真や資料を集め、食器のサイズを測り、自分で図面やパースも書いたんです。設計段階のときは仕事よりも、住宅のことを重視するくらいの勢いでしたね」と笑顔で住宅へのこだわりを話してくれた。
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