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光を巧みに操作した、美しい家14選
ガラスやパターンのある壁材を駆使して、光を見事に操作した傑作住宅。
John Dorman
2016年8月4日
自然光をとりいれるだけで、動きのないありきたりな空間が、思いがけずダイナミックな表情を見せることがある。水辺にある建物を訪ねれば、水面からの反射が室内の天井にきらめく美しい光の効果をもたらすさまを目にすることだろう。窓ガラスについた雨のしずく越しの光が、室内に美しい模様を描くこともある。もちろん、ファサードのデザインにより、意図的に光の効果を生み出すこともできる。
建築家たちは、さまざまな方法により、私たちの感覚に訴える空間をつくりだす。透明なガラスはその存在を消し、彼方の山並みや、あるいは室内に飾られた大胆な絵画へと人の視線を向けさせる。不透明なガラスであれば、ガラスの表面や、外を通る人のシルエットに目を引かれることもあるだろう。また、光の種類によって、ガラスに映るものの見え方が変わり、ときには万華鏡のような光が生まれることもある。
建築家たちは、ブラインドやパーティションといった遮光装置や、ガラスブロックや透明なオニキスといった透過素材を使い、自然光を操作して、驚くほどダイナミックな空間をつくりだすのである。
建築家たちは、さまざまな方法により、私たちの感覚に訴える空間をつくりだす。透明なガラスはその存在を消し、彼方の山並みや、あるいは室内に飾られた大胆な絵画へと人の視線を向けさせる。不透明なガラスであれば、ガラスの表面や、外を通る人のシルエットに目を引かれることもあるだろう。また、光の種類によって、ガラスに映るものの見え方が変わり、ときには万華鏡のような光が生まれることもある。
建築家たちは、ブラインドやパーティションといった遮光装置や、ガラスブロックや透明なオニキスといった透過素材を使い、自然光を操作して、驚くほどダイナミックな空間をつくりだすのである。
1. ガラスの家
フランス、パリ
設計:ピエール・シャロー、ベルナール・ビジョヴェ、ルイ・ダルべ
1928年に竣工した《ガラスの家》はモダン建築の傑作だ。鉄骨フレームに嵌めこまれたガラスブロックの壁が外観の印象を決定づけている。ところどころに透明なガラスを使うことで、光の透過性を高めている。夜間にはフットライトが外壁を照らし、室内からの光を引き立てる。
フランス、パリ
設計:ピエール・シャロー、ベルナール・ビジョヴェ、ルイ・ダルべ
1928年に竣工した《ガラスの家》はモダン建築の傑作だ。鉄骨フレームに嵌めこまれたガラスブロックの壁が外観の印象を決定づけている。ところどころに透明なガラスを使うことで、光の透過性を高めている。夜間にはフットライトが外壁を照らし、室内からの光を引き立てる。
2. ビバリー・スカイライン
米国、テキサス州オースティン 設計:バーシー・チェン・ストゥーディオ
こちらの住宅は、リサイクルのガラスブロックと断熱パネルを鉄骨構造にはめこんでおり、ピエール・シャローの《ガラスの家》をさらにモダンにした印象だ。屋内の照明の位置や、個々のガラスブロックの質感の違いが、幻想的な輝きを生み出している。
米国、テキサス州オースティン 設計:バーシー・チェン・ストゥーディオ
こちらの住宅は、リサイクルのガラスブロックと断熱パネルを鉄骨構造にはめこんでおり、ピエール・シャローの《ガラスの家》をさらにモダンにした印象だ。屋内の照明の位置や、個々のガラスブロックの質感の違いが、幻想的な輝きを生み出している。
3. ブレアの納屋の家
米国、サンタ・イネズ
設計:ストゥーディオ・カーヴァー
《ブレアの納屋の家》は、透過性のある強化ファイバーグラスとサンドイッチパネルを組み合わせた《カルウォール》を外壁に使用している。夜になると優しい神秘的な光を放つ住宅である。
米国、サンタ・イネズ
設計:ストゥーディオ・カーヴァー
《ブレアの納屋の家》は、透過性のある強化ファイバーグラスとサンドイッチパネルを組み合わせた《カルウォール》を外壁に使用している。夜になると優しい神秘的な光を放つ住宅である。
《カルウォール》は構造的にも断熱的にも性能が高く、壁、屋根に使える素材だ。そしてもちろん、この写真の家のように、大きな引戸に使うこともできる。
4. ペノブスコット湾の家
米国、メイン州
設計:エリオット+エリオット建築設計事務所
近年人気が復活している溝型ガラス(プロフィリットガラス/チャンネルガラス)は断熱用ポリカーボネートや《カルウォール》と同じく、屋内にしっかりと光をとりこむことのできる素材だ。溝型ガラスは床から天井までを覆う壁材として使えるし、断熱性能も備えている。
米国、メイン州
設計:エリオット+エリオット建築設計事務所
近年人気が復活している溝型ガラス(プロフィリットガラス/チャンネルガラス)は断熱用ポリカーボネートや《カルウォール》と同じく、屋内にしっかりと光をとりこむことのできる素材だ。溝型ガラスは床から天井までを覆う壁材として使えるし、断熱性能も備えている。
5. レッド・フック・タウンハウス
米国、ニューヨーク、ブルックリン
設計:キモイ・ストゥーディオ
天井までのガラス壁は、下部には曇りガラスを、上部にはクリアガラスを使っているので、木々や空を眺めることができる。外を通る人の姿は、曇りガラス越しにぼんやりと優しい人影が見えるのみだ。
米国、ニューヨーク、ブルックリン
設計:キモイ・ストゥーディオ
天井までのガラス壁は、下部には曇りガラスを、上部にはクリアガラスを使っているので、木々や空を眺めることができる。外を通る人の姿は、曇りガラス越しにぼんやりと優しい人影が見えるのみだ。
6. ギリオン邸
米国、メリーランド州
シンバーグ・レヴィナス建築設計事務所
この空間では、オパール色のスクリーンが使用されている。スクリーンの外には木製のルーバーが設置されており、樹木の影とともにダイナミックな模様を描き出す。
米国、メリーランド州
シンバーグ・レヴィナス建築設計事務所
この空間では、オパール色のスクリーンが使用されている。スクリーンの外には木製のルーバーが設置されており、樹木の影とともにダイナミックな模様を描き出す。
7. メゾン・エスカリエ
フランス
ムサフィール建築設計事務所
穴あきメタルのスクリーンをファサードに使っており、。夜になると、繊細なベールをかけたかのような表情を見せる住宅だ。日中は、このスクリーンが外からの視線を完全に遮る。
フランス
ムサフィール建築設計事務所
穴あきメタルのスクリーンをファサードに使っており、。夜になると、繊細なベールをかけたかのような表情を見せる住宅だ。日中は、このスクリーンが外からの視線を完全に遮る。
8. イースト・ヴィレッジ・ブラウンストーン
米国、ニューヨーク
ビル・ピーターソン
陶製穴あきパネルスクリーンを使い、自然光や外の通りからの視線をコントロールしてプライバシーを守っている。穴の形は、このブラウンストーンのビルの礎石のデザインを反映している。
米国、ニューヨーク
ビル・ピーターソン
陶製穴あきパネルスクリーンを使い、自然光や外の通りからの視線をコントロールしてプライバシーを守っている。穴の形は、このブラウンストーンのビルの礎石のデザインを反映している。
9. ハンプトン・ビーチ・ハウス
米国、ニューヨーク州
アーモド/プラム建築設計事務所
壁一面のガラス面に施された渦を巻くような花柄が、プライバシーを守り、また室内の壁や床にダイナミックな光の模様を描き出す。木漏れ日をアートにまで高めたかのようなデザインだ。
米国、ニューヨーク州
アーモド/プラム建築設計事務所
壁一面のガラス面に施された渦を巻くような花柄が、プライバシーを守り、また室内の壁や床にダイナミックな光の模様を描き出す。木漏れ日をアートにまで高めたかのようなデザインだ。
10. ライブ/ワーク/ホーム
米国、ニューヨーク州シラキューズ
クック+フォックス建築設計事務所
仕事場と住まいをかねた住宅だが、穴あきスチールパネル越しにドットのように光が漏れている。営業時間中は、大きなドアが開いて異なる表情を見せる。
米国、ニューヨーク州シラキューズ
クック+フォックス建築設計事務所
仕事場と住まいをかねた住宅だが、穴あきスチールパネル越しにドットのように光が漏れている。営業時間中は、大きなドアが開いて異なる表情を見せる。
13. ヴィラ・ヴィスタ
スリランカ、ウェリガマ
坂茂
巨大な可動式スクリーンを設置した、開放的な空間だ。さらに、スクリーンの間にミニブラインドが設置されており、光と影が精妙なタペストリーのような模様を生み出す。
スリランカ、ウェリガマ
坂茂
巨大な可動式スクリーンを設置した、開放的な空間だ。さらに、スクリーンの間にミニブラインドが設置されており、光と影が精妙なタペストリーのような模様を生み出す。
14. リバー・ヒル邸
シンバーグ・レヴィナス建築設計事務所
植物が絡まる外壁の開口部に、ガラスボックスを設置している。庭と一体化したかのように見える住宅である。
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