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エリエル&エーロ・サーリネン父子が残した、建築とデザインをめぐる言葉
8月20日は、エリエルとエーロのサーリネン父子の誕生日です。そこで、二人が残した建築やデザインを深く考察した言葉をご紹介します。
Becky Harris
2016年8月20日
エリエル・サーリネンとエーロ・サーリネン。建築史に名を残すフィンランド出身の建築家の父子ですが、実は2人とも誕生日が8月20日。今年はエリエルの生誕142年、エーロの106年にあたります。モダン建築、都市計画、デザイン教育、家具、ライフスタイルなど、ふたりが残した作品は、私たちの暮らしに今も大きな影響を与えています。ふたりが残した知恵にあふれる言葉を振り返り、その功績をあらためて考えたいと思います。
1922年、エリエル・サーリネンはアメリカ・シカゴでシカゴ・トリビューン・タワーの国際コンペに参加し、上層になるにつれてセットバックするアールデコの高層ビル案で2位に入賞し、一躍注目を集めました。翌年には、妻のロヤと当時13歳だったエーロをつれてフィンランドからアメリカに移住。エリエル・サーリネンはクランブルック教育コミュニティで主任建築家兼教授として教鞭をとり、1932年にはクランブルック美術アカデミーの校長に就任しました。
1942年、エリエル・サーリネンはインディアナ州コロンバスで、初めてのインターナショナルスタイルの作品を設計。ここには、息子のエーロ・サーリネンも含め、著名な建築家たちのモダンな傑作が次々と立てられることになります。ファースト・クリスチャン教会は、アメリカ初のモダン建築による教会となりました。シンプルでモダンなスタイルは、教会建築におけるゴシックからモダンへの移行を示すものとして、大きな注目を集めました。1ブロックを占めるこの教会は、現在はアメリカの国定歴史建造物に指定されています。
「建物が誠実であるならば、その建築は宗教的なものである。」――エリエル・サーリネン
1942年、エリエル・サーリネンはインディアナ州コロンバスで、初めてのインターナショナルスタイルの作品を設計。ここには、息子のエーロ・サーリネンも含め、著名な建築家たちのモダンな傑作が次々と立てられることになります。ファースト・クリスチャン教会は、アメリカ初のモダン建築による教会となりました。シンプルでモダンなスタイルは、教会建築におけるゴシックからモダンへの移行を示すものとして、大きな注目を集めました。1ブロックを占めるこの教会は、現在はアメリカの国定歴史建造物に指定されています。
「建物が誠実であるならば、その建築は宗教的なものである。」――エリエル・サーリネン
エリエル・サーリネンは大きな視野だけでなく、さまざまなレベルの視野をもっていました。
「ものをデザインするときには、かならず、それをとりまく大きなコンテクストの中で考えなさい。椅子であればそれが置かれた部屋、部屋であればそれがある家、家であれば町並み、町並みであればその地域の都市計画というコンセプトの中で考えるのです。」――エリエル・サーリネン
「ものをデザインするときには、かならず、それをとりまく大きなコンテクストの中で考えなさい。椅子であればそれが置かれた部屋、部屋であればそれがある家、家であれば町並み、町並みであればその地域の都市計画というコンセプトの中で考えるのです。」――エリエル・サーリネン
エーロ・サーリネンがデザインした今でも人気の高い《チューリップチェア》。ステムの脚の上にシートが載った、すっきりとしたデザインです。エーロによる名作シリーズ《ペデスタル・コレクション》は1958年に〈ノル〉が発表しました。
「椅子やテーブルの脚の部分が、乱雑で落ち着かないインテリアを生み出すことはよくあります。私は乱立する脚をなくしたいと思いました。一体性のある椅子をつくりたい、と思ったのです。」――エーロ・サーリネン
「椅子やテーブルの脚の部分が、乱雑で落ち着かないインテリアを生み出すことはよくあります。私は乱立する脚をなくしたいと思いました。一体性のある椅子をつくりたい、と思ったのです。」――エーロ・サーリネン
セントルイスにある《ゲートウェイ・アーチ》は、その大胆な言葉をまさに形にした名作です。
「私にとって、スケッチは、非常に多くのことを伝えてくれる言語です。数本のラインを見れば、その人が建築家であるかどうかがわかります。」――エーロ・サーリネン
「私にとって、スケッチは、非常に多くのことを伝えてくれる言語です。数本のラインを見れば、その人が建築家であるかどうかがわかります。」――エーロ・サーリネン
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