知っているようで知らない、畳と和室の文化
近年、海外の方が、来日したら寝転がってみたい! という和室の畳。自宅に和室や床の間があるだけで、家自体がピンッと引き締まる気がしませんか?
片岸千代子
2016年8月8日
不動産に携わって約16年。大手不動産会社(デベロッパー)で、新築分譲マンションの接客営業を経験。その後、不動産に特化したIT企業にて、社内のライターとして勤務。現在、不動産(住宅)を得意分野とする、フリーのライターとして活動中。http://www.writing-office.com/
不動産に携わって約16年。大手不動産会社(デベロッパー)で、新築分譲マンションの接客営業を経験。その後、不動産に特化したIT企業にて、社内のライターとして勤務。現在、不動産(住宅)を得意分野とする、フリーのライターとして活動中... もっと見る
日本の家といえば、畳・和室を思い浮かべます。昔ながらの畳もあれば洋風の家にあうようにデザインされた和室もあり、時代の移り変わりとともに、和室や畳のデザイン・材質にも変化が見られるようになりました。今回は、知っているようで知らない畳の手入れの時期とその方法などについて紹介します。
あわせて読みたい
涼を呼び込む「露地」の基礎知識
世界のHouzzから:日本的感性を象徴する「茶室」の伝統と革新性
あわせて読みたい
涼を呼び込む「露地」の基礎知識
世界のHouzzから:日本的感性を象徴する「茶室」の伝統と革新性
商売人の縁起担ぎ、半畳で繁盛!
一般的に、2対1の比率になっている長方形の畳をイメージしますが、正方形(半畳)の琉球畳もよく見かけるようになりました。通常の畳と比べ、畳の目が細かい琉球畳は、名前の通り沖縄で生産された強度の高い“い草”が使われています。ただ、最近では半畳サイズにした通常の畳を琉球畳と呼んでいる畳業者もあるようです。
自営業などの商売をされている方の中には、縁起を担ぎで和室を造られるそうです。半畳の畳を敷き詰めて、商売繁盛、繁盛!
一般的に、2対1の比率になっている長方形の畳をイメージしますが、正方形(半畳)の琉球畳もよく見かけるようになりました。通常の畳と比べ、畳の目が細かい琉球畳は、名前の通り沖縄で生産された強度の高い“い草”が使われています。ただ、最近では半畳サイズにした通常の畳を琉球畳と呼んでいる畳業者もあるようです。
自営業などの商売をされている方の中には、縁起を担ぎで和室を造られるそうです。半畳の畳を敷き詰めて、商売繁盛、繁盛!
多様化する生活シーンに柔軟に対応する和室
和室に日本古来からあるもの、それは仏壇。もうすぐお盆の季節がやってきます。お線香をあげて仏前で手を合わせる行為は、なぜか心安らぐもの。
和室は、家族が集まる居間としても、客間としても、寝室としても使えるため、生活の様々なシーンによって使い分けができる多様性を持っています。帰省で帰ってくる家族や親戚、友人をもてなす部屋として、やはり和室は欠かせませんね。
和室に日本古来からあるもの、それは仏壇。もうすぐお盆の季節がやってきます。お線香をあげて仏前で手を合わせる行為は、なぜか心安らぐもの。
和室は、家族が集まる居間としても、客間としても、寝室としても使えるため、生活の様々なシーンによって使い分けができる多様性を持っています。帰省で帰ってくる家族や親戚、友人をもてなす部屋として、やはり和室は欠かせませんね。
伝統的な和室、書院造りと床の間
室町時代に始まり安土時代から江戸時代にかけて完成したと言われる書院造り。書院とは、書斎を兼ねた居間の呼び名で、書院や違い棚、床柱、鴨居、天袋、地袋などの装飾があり、床の間もその装飾のひとつです。
床の間の「床」とは座する場所・寝る場所のことで、奈良時代に身分の高い貴族が座る場所を一段高くしたことが起源だと言われています。現代ではお客様を、もてなすための部屋であり、床の間を背にするのは最も身分の高い人が座る上座です。
一説には、「床」は神の宿る場所といわれたり、「とこしえ(永久)」に由来しているとも考えられており、その家の繁栄を象徴するものであることから、和室の一番良い場所に位置することが多いのも特長です。床の間に縁起の良い掛け軸をかけることで、家の運気を上げるとも言われています。
あわせて読みたい「和室」の記事
機能美を兼ね備え、次世代へと進化する「和室」
水屋付きの本格和室をマンション・リノベーションで実現
室町時代に始まり安土時代から江戸時代にかけて完成したと言われる書院造り。書院とは、書斎を兼ねた居間の呼び名で、書院や違い棚、床柱、鴨居、天袋、地袋などの装飾があり、床の間もその装飾のひとつです。
床の間の「床」とは座する場所・寝る場所のことで、奈良時代に身分の高い貴族が座る場所を一段高くしたことが起源だと言われています。現代ではお客様を、もてなすための部屋であり、床の間を背にするのは最も身分の高い人が座る上座です。
一説には、「床」は神の宿る場所といわれたり、「とこしえ(永久)」に由来しているとも考えられており、その家の繁栄を象徴するものであることから、和室の一番良い場所に位置することが多いのも特長です。床の間に縁起の良い掛け軸をかけることで、家の運気を上げるとも言われています。
あわせて読みたい「和室」の記事
機能美を兼ね備え、次世代へと進化する「和室」
水屋付きの本格和室をマンション・リノベーションで実現
洋風を取り入れたお茶の間
今では、家族が集まる場所をリビングやダイニングと呼んでいますが一昔前は、お茶の間と言われていました。テーブルと椅子のある洋風のダイニングもいいですが、その空間を家族団らんの賑やかな和室にするのも日本の家らしくてステキです。
今では、家族が集まる場所をリビングやダイニングと呼んでいますが一昔前は、お茶の間と言われていました。テーブルと椅子のある洋風のダイニングもいいですが、その空間を家族団らんの賑やかな和室にするのも日本の家らしくてステキです。
畳を敷いた趣のある室内廊下
家の中にある廊下や階段に、畳を敷くという面白いアイデアです。フローリングに比べ、足に優しさくフィットし温かみを感じる仕様になっています。畳ならフローリングのように滑って足が取られることが少ないので、人はもちろん、ワンちゃんや猫ちゃんにも安心です。
家の中にある廊下や階段に、畳を敷くという面白いアイデアです。フローリングに比べ、足に優しさくフィットし温かみを感じる仕様になっています。畳ならフローリングのように滑って足が取られることが少ないので、人はもちろん、ワンちゃんや猫ちゃんにも安心です。
日本各地で違う畳のサイズ
日本には、京間、中京間、江戸間といったサイズの異なる畳が各地にあります。
京都をはじめ関西方面では、191cm×95.5cmの京間・本間(ほんけん)と呼ばれる畳のサイズがあり、岡山・広島などの山陰地方では、185cm×92.5cmの六一間、岐阜、名古屋などの中京地方や岩手、山形の北陸地方、沖縄の一部では、182cm×91cmの中京間、東京などの関東地方やその他地域でみられる176cm×88cmの江戸間、アパートやマンションでは170cm×85cmの団地間がありどの畳も、2対1の比率になっています。
日本には、京間、中京間、江戸間といったサイズの異なる畳が各地にあります。
京都をはじめ関西方面では、191cm×95.5cmの京間・本間(ほんけん)と呼ばれる畳のサイズがあり、岡山・広島などの山陰地方では、185cm×92.5cmの六一間、岐阜、名古屋などの中京地方や岩手、山形の北陸地方、沖縄の一部では、182cm×91cmの中京間、東京などの関東地方やその他地域でみられる176cm×88cmの江戸間、アパートやマンションでは170cm×85cmの団地間がありどの畳も、2対1の比率になっています。
畳表に使われる “い草” の効能
い草は、スポンジのように小さな穴で構成された多孔質構造になっており、吸湿性・放湿性に優れ雨などの湿気が多い時は吸湿し、乾燥した時は放湿してくれます。また、断熱性もあるので夏は涼しく、冬は暖かさを与えてくれます。その他、シックハウスの原因にもなる二酸化窒素などの科学物質を吸着してくれる空気の浄化作用、い草の香りによる鎮静効果(アロマテラピー)もあると言われています。
畳の弾力性は、小さなお子さんが転んでも優しく受け止めてくれますし、お年寄りの足や膝、腰への負担も軽減してくれます。
い草は、スポンジのように小さな穴で構成された多孔質構造になっており、吸湿性・放湿性に優れ雨などの湿気が多い時は吸湿し、乾燥した時は放湿してくれます。また、断熱性もあるので夏は涼しく、冬は暖かさを与えてくれます。その他、シックハウスの原因にもなる二酸化窒素などの科学物質を吸着してくれる空気の浄化作用、い草の香りによる鎮静効果(アロマテラピー)もあると言われています。
畳の弾力性は、小さなお子さんが転んでも優しく受け止めてくれますし、お年寄りの足や膝、腰への負担も軽減してくれます。
い草に代わる “和紙” の畳
畳表といえば、い草ですが近年では、和紙をこよりにして織った畳も販売されています。防汚加工や撥水加工が施されたているものもありたり、汚れにくくジュースなどの水分をはじいてくれるので、掃除も簡単です。また、い草に対してアレルギーのある方にも喜ばれています。
畳表といえば、い草ですが近年では、和紙をこよりにして織った畳も販売されています。防汚加工や撥水加工が施されたているものもありたり、汚れにくくジュースなどの水分をはじいてくれるので、掃除も簡単です。また、い草に対してアレルギーのある方にも喜ばれています。
畳替えのタイミングはいつ?
畳は、畳床と呼ばれるワラを主とする台のうえに、ゴザのように編んだ“い草”の畳表を貼りあわせて造られています。この畳表は、裏返しても使えるため、状態が良ければ畳表だけを打ち直し、継続して使用することもできます。
畳替えには、畳床ごと新しくする方法と先に述べた畳表を裏返す方法、畳表だけを新しく交換する表替えがあります。畳替えのタイミングは、畳の状態や環境によりますが、通常4〜5年で裏返しをし、7〜8年で表替え、畳床ごと新しくするのは10年以上経ってからというのが目安になるようです。
こちらもあわせて
和室の写真・デザインアイデアを見る
琉球畳の写真・デザインアイデアを見る
床の間の写真・デザインアイデアを見る
みなさんの自慢の和室は?
やっぱり畳の匂いが好き! 畳に寝転がるのが一番! というハウザー(Houzzユーザー)のみなさん。ご自宅の和室の写真をコメント欄で共有しませんか? 投稿お待ちしてます!
畳は、畳床と呼ばれるワラを主とする台のうえに、ゴザのように編んだ“い草”の畳表を貼りあわせて造られています。この畳表は、裏返しても使えるため、状態が良ければ畳表だけを打ち直し、継続して使用することもできます。
畳替えには、畳床ごと新しくする方法と先に述べた畳表を裏返す方法、畳表だけを新しく交換する表替えがあります。畳替えのタイミングは、畳の状態や環境によりますが、通常4〜5年で裏返しをし、7〜8年で表替え、畳床ごと新しくするのは10年以上経ってからというのが目安になるようです。
こちらもあわせて
和室の写真・デザインアイデアを見る
琉球畳の写真・デザインアイデアを見る
床の間の写真・デザインアイデアを見る
みなさんの自慢の和室は?
やっぱり畳の匂いが好き! 畳に寝転がるのが一番! というハウザー(Houzzユーザー)のみなさん。ご自宅の和室の写真をコメント欄で共有しませんか? 投稿お待ちしてます!
おすすめの記事
和室の記事
やさしい光を採り入れる「障子」の魅力
日本が誇る自然素材の美しきミニマルデザイン、障子は、私たちが考えている以上に幅広い応用力のある室内建具。この伝統の機能美を、改めて見直してみたいものです。
続きを読む
家づくりのヒント
古民家リノベーションで古き良き日本家屋の趣を楽しむには
文/安井俊夫
昔ながらの日本家屋を、現代のデザインやライフスタイルにマッチするようにリノベーションする。そのメリットとデメリット、お得になることなど、知っておいた方がよいことに関してご紹介します。
続きを読む
素材
和室の天井デザインにはどんなものがある?和モダンにも活かせる形や素材
文/安井俊夫
ライフスタイルの変化から和室のあり方も変わってきているようですが、やはり和室は落ち着きます。その重要な役割を果たす天井のお話をご紹介します。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
ゲストへの思いやりの心をしつらえた、離れのある家
文/杉田真理子
東京から訪れるゲストのため、母屋のほかにゲストルームの離れをしつらえた住まい。伝統的な日本家屋の美しさが、自然の中で引き立つ家です。
続きを読む
家づくりのヒント
掘りごたつって便利なの? 魅力や設置方法を建築家が解説
文/安井俊夫
和風モダン・テイストにも合う掘りごたつ。その魅力を探りながら、家族の“集いの場”について考えてみませんか?
続きを読む
床
畳の種類と特徴とは?座ってくつろぐ床材の基本情報
文/安井俊夫
ライフスタイルの変化と共に減りつつあるといわれてきた畳ですが、最近では「和モダン」と呼ばれるデザインへの注目が高まり、ふたたび見直されています。そこで畳の基本的な情報をご紹介します。
続きを読む
家づくりのヒント
8つの茶室から学ぶ。「茶の湯空間」づくりのヒント
自宅に茶室をつくるとしたら、どんなことから始めればよいのでしょうか?Houzzでみられる事例を手がけた専門家の方々に、アドバイスをもらいましょう。
続きを読む
インテリア
こだわりの和モダンインテリアをつくるヒント
日本の住まいに馴染み、永く世代を問わず愛される「和モダン」なインテリア。家づくりの早い段階から完成形を意識することで、こだわりの空間が出来上がります。
続きを読む
正しく。2020年の東京オリンピック以降には外国の方が新たに「和室の住み心地の良さ」を発信して、逆に見直されるのではないでしょうか・・・・。
そうなる可能性はありますね!!外国の方からみると、日本建築イコール畳(和室)だと思いますから。
私の家はマンションも一軒家も玄関入ったところから畳、廊下もリビングダイニングも畳です。最高です。この気持ちよさを伝えたいなあ。暮らしが変わりますよ。