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自然で心地よい涼しさを演出する、庭・屋上の暑さ対策
エコや節電に関心の高い方におすすめの、庭でできる暑さ対策をご紹介します。
舩村佳織
2021年7月30日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
暑い日はついついエアコンのリモコンに手が伸びてしまいますが、本当はエアコンを控えた方が家計にも環境にも良いんだけど……と思いませんか? 今年は庭でできる夏の暑さ対策を試してみましょう。家庭での小さな取り組みは、視野を広げるとヒートアイランド現象の緩和にもつながります。ただ暑さを我慢するだけではなく、楽しみながら工夫をして、夏の暑さを乗り切りましょう!
日当たりの良い部屋に木陰を
日当たり良好な南向きの部屋は明るくて人気がありますが、夏の暑さは厳しいものがあります。そんな部屋の前には大きな落葉樹を植えて木陰を作って日差しを遮りましょう。完全な遮光ではないので、暗くなるのでは? という心配も必要ありません。また落葉樹は冬には葉を落とすので、冬の少ない日差しをきちんと取り込むことができます。
実は樹木がつくる木陰は、ただの日陰よりも涼しいということをご存知ですか? 植物は蒸散という活動により、葉から水分を放出しています。この水が蒸発する際の気化熱により、周囲の温度を下げているからです。この蒸散による気温調整機能は、暑さ対策で大活躍してくれる植物の持つ素晴らしい力のひとつです。
日当たり良好な南向きの部屋は明るくて人気がありますが、夏の暑さは厳しいものがあります。そんな部屋の前には大きな落葉樹を植えて木陰を作って日差しを遮りましょう。完全な遮光ではないので、暗くなるのでは? という心配も必要ありません。また落葉樹は冬には葉を落とすので、冬の少ない日差しをきちんと取り込むことができます。
実は樹木がつくる木陰は、ただの日陰よりも涼しいということをご存知ですか? 植物は蒸散という活動により、葉から水分を放出しています。この水が蒸発する際の気化熱により、周囲の温度を下げているからです。この蒸散による気温調整機能は、暑さ対策で大活躍してくれる植物の持つ素晴らしい力のひとつです。
風通しを確保する目隠し
人通りの多い場所に面したお庭では、目隠しにブロック塀を立てていることも多いですが、風が遮られてしまうというデメリットがあります。またブロック塀は日差しにより熱くなりやすく、照り返しも気になります。
おすすめなのは生垣を利用すること。風通しも確保しつつ、蒸散による気温調整も期待できます。生垣だけでは目隠しとして不安……という方は、ウッドフェンスなどと組み合わせてみても良いでしょう。ウッドフェンスは板同士の隙間を調整しやすいため、お好みの感覚で施工が可能です。
人通りの多い場所に面したお庭では、目隠しにブロック塀を立てていることも多いですが、風が遮られてしまうというデメリットがあります。またブロック塀は日差しにより熱くなりやすく、照り返しも気になります。
おすすめなのは生垣を利用すること。風通しも確保しつつ、蒸散による気温調整も期待できます。生垣だけでは目隠しとして不安……という方は、ウッドフェンスなどと組み合わせてみても良いでしょう。ウッドフェンスは板同士の隙間を調整しやすいため、お好みの感覚で施工が可能です。
気軽にできる打ち水
打ち水は昔から行われてきた涼しくなるための工夫です。効果的な時間帯は朝と夕方です。暑くなる前に打ち水をすることにより、気温上昇を抑える効果が期待できます。逆に日が強すぎる日中は、水がすぐに蒸発して蒸し暑くなることがあるので注意。
手で水を撒いても風流ですが、その手間は言わずもがな。水やりも兼ねてスプリンクラーを使っても良いでしょう。
涼しさを呼ぶ、日本の夏の風物詩17選
打ち水は昔から行われてきた涼しくなるための工夫です。効果的な時間帯は朝と夕方です。暑くなる前に打ち水をすることにより、気温上昇を抑える効果が期待できます。逆に日が強すぎる日中は、水がすぐに蒸発して蒸し暑くなることがあるので注意。
手で水を撒いても風流ですが、その手間は言わずもがな。水やりも兼ねてスプリンクラーを使っても良いでしょう。
涼しさを呼ぶ、日本の夏の風物詩17選
打ち水の効果は地面の舗装などの条件によって変わってきます。保水性の低いアスファルトのよう舗装だと、表面の水がすぐに蒸発してしまい、温度上昇を抑制する効果が持続しません。
インターロッキングや保水性の高い天然石などを使った舗装だと、ゆっくりと蒸発していくため効果が長く持続します。保水という観点から見ると、土のままが一番ということになりますが、泥はねや汚れが気になりますよね。ナチュラルテイストなお庭には舗装をしないでウッドチップでマルチングする方法もおすすめです。
インターロッキングや保水性の高い天然石などを使った舗装だと、ゆっくりと蒸発していくため効果が長く持続します。保水という観点から見ると、土のままが一番ということになりますが、泥はねや汚れが気になりますよね。ナチュラルテイストなお庭には舗装をしないでウッドチップでマルチングする方法もおすすめです。
屋上緑化
建物屋上の緑化は室内の気温上昇を大きく抑える役割があります。また、保温性も高いため冬の暖房効率をあげるメリットも期待できます。
屋上は非常に日当たりが良く乾燥しやすい環境なので、そのような環境に耐えられる植物を選ぶことが重要。乾燥に非常に強いセダム類がよく使用されます。強い植物を選んでも、屋上は過酷な環境になるので、水やりは特に気をつけてください。あまりシビアに考えすぎず、生えてきた雑草をそのまま緑化に使うような気楽な考え方も必要です。
夏真っ盛り! 毎日の水やりを楽しく快適にするアイデア
建物屋上の緑化は室内の気温上昇を大きく抑える役割があります。また、保温性も高いため冬の暖房効率をあげるメリットも期待できます。
屋上は非常に日当たりが良く乾燥しやすい環境なので、そのような環境に耐えられる植物を選ぶことが重要。乾燥に非常に強いセダム類がよく使用されます。強い植物を選んでも、屋上は過酷な環境になるので、水やりは特に気をつけてください。あまりシビアに考えすぎず、生えてきた雑草をそのまま緑化に使うような気楽な考え方も必要です。
夏真っ盛り! 毎日の水やりを楽しく快適にするアイデア
駐車場の緑化
駐車場には照り返しの強いコンクリートを使わないで緑化を行う方法があります。舗装の保水性の違いや、蒸散作用などで気温上昇を抑える効果が期待できます。
芝生だけだと車の踏圧に耐えられないため、専用のブロックを使用したり、轍の部分だけ舗装すると良いでしょう。芝生は日当たりを好む植物のため、駐車時間が長い場合は生育不良となることもあるので注意してください。
駐車場には照り返しの強いコンクリートを使わないで緑化を行う方法があります。舗装の保水性の違いや、蒸散作用などで気温上昇を抑える効果が期待できます。
芝生だけだと車の踏圧に耐えられないため、専用のブロックを使用したり、轍の部分だけ舗装すると良いでしょう。芝生は日当たりを好む植物のため、駐車時間が長い場合は生育不良となることもあるので注意してください。
カーポートを設置する場合は、思い切って屋根の緑化はいかがですか?設計段階から特別な計画を進めなくてはなりませんが、外構の中でも目立つ部分であるカーポートの緑化は、注目されること間違いなしです。
つる植物によるグリーンカーテン
暑さ対策として人気の高いグリーンカーテン。ネットやワイヤーを用意すれば、クルクルと絡みついて育っていきます。ゴーヤやヘチマのような実がなるものなら、収穫も楽しめて一石二鳥! 朝顔などの花が美しいものもおすすめ。つる植物は生育旺盛なものが多いため、水やりに気をつければ園芸初心者の方にも難しくはありません。
暑さ対策として人気の高いグリーンカーテン。ネットやワイヤーを用意すれば、クルクルと絡みついて育っていきます。ゴーヤやヘチマのような実がなるものなら、収穫も楽しめて一石二鳥! 朝顔などの花が美しいものもおすすめ。つる植物は生育旺盛なものが多いため、水やりに気をつければ園芸初心者の方にも難しくはありません。
つる植物には気根という根を出して壁に張りつきながら登っていくものもあります。このタイプの場合はネットやワイヤーを用意すしなくても壁を緑化することができます。しかし、張りつく力がかなり強く、壁面の種類によっては植物を剥がす際に壁に傷がつく可能性があるので注意してください。
ネットなどを使用したグリーンカーテンは基本的にはワンシーズンのみと考えるのが良いですが、気根を出すタイプのものは長期的に利用すると考える方が良いでしょう。野趣溢れる雰囲気が作り出せます。
ネットなどを使用したグリーンカーテンは基本的にはワンシーズンのみと考えるのが良いですが、気根を出すタイプのものは長期的に利用すると考える方が良いでしょう。野趣溢れる雰囲気が作り出せます。
パーゴラを緑化
パーゴラを棚にして、グリーンの屋根をつくる方法もあります。シェードやオーニングにはない蒸散作用と、涼しげな木漏れ日が棚の魅力です。
グリーンカーテンに使うゴーヤなどの他に、フジなどのつる性の樹木も棚にはぴったりです。また、棚は果樹に最適な仕立て方なので、ブドウやキウイにチャレンジしてみるのもおすすめです。
パーゴラを棚にして、グリーンの屋根をつくる方法もあります。シェードやオーニングにはない蒸散作用と、涼しげな木漏れ日が棚の魅力です。
グリーンカーテンに使うゴーヤなどの他に、フジなどのつる性の樹木も棚にはぴったりです。また、棚は果樹に最適な仕立て方なので、ブドウやキウイにチャレンジしてみるのもおすすめです。
水の演出
庭に水場を作ることで、涼しい風景を演出しましょう。本格的な池は無理でも、小さなスペースでも工夫次第で楽しむことができます。ポンプアップで水の音やきらめきを作り存在感を強めれば、小さな装置でも充分な演出効果が期待できます。水音が聞こえると、思った以上の癒し効果が得られます。
ちなみに、常に動いている水には蚊の幼虫ボウフラは発生しませんのでご安心を。
庭に水場を作ることで、涼しい風景を演出しましょう。本格的な池は無理でも、小さなスペースでも工夫次第で楽しむことができます。ポンプアップで水の音やきらめきを作り存在感を強めれば、小さな装置でも充分な演出効果が期待できます。水音が聞こえると、思った以上の癒し効果が得られます。
ちなみに、常に動いている水には蚊の幼虫ボウフラは発生しませんのでご安心を。
外構面からできる夏の暑さ対策をいくつかご紹介いたしました。建築設計段階から検討しなくてはいけないようなものもありますが、今日からできる気軽なものもありますので、ぜひ一度お試しください。
暑い夏を涼しく過ごす、暮らしの工夫
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