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インテリアスタイル別に選ぶウィンドウトリートメント:コンテンポラリーカジュアル
数あるインテリアスタイルに適したウィンドウトリートメントの組み合わせを、窓まわりのプロが解説。今回は、現代のインテリアにマッチしたコンテンポラリースタイルのうち、カジュアルなタイプのご紹介です。
シンプルで質のよい素材、クリーンなラインやフォルムといったデザイン性の高さと機能性が好まれているコンテンポラリー(現代的)スタイル。今回は、生活を明るくシンプルに楽しむことを優先した、コンテンポラリーカジュアルスタイルをご紹介します。なかでも、アットホームで生き生きとしたテイストで人気の高い「アメリカンモダン」「北欧モダン」「ナチュラルモダン(シンプルモダン)」を取り上げ、それぞれのスタイルを活かすウィンドウトリートメントについて解説します。
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アメリカンモダンスタイル
1950~60年代のアメリカでは、合板、プラスチック、スチール、ワイヤーといった新素材が実用化され始め、ローコストでシンプルな家具がたくさんデザインされるようになりました。それらを中心にまとめたスタイルは「アメリカンモダン」と呼ばれ、「フィフティーズ」や「ミッドセンチュリー」がこれに含まれます。
軽快で遊び心にあふれた楽しいデザインが多く、カラーは彩度の高い純色で、コントラストを効かせた配色が一般的です。オレンジ色の椅子は、ジョージ・ネルソンの《ココナッツチェア》。同時代にデザインされた名作家具がよく似合います。
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あなたのインテリアスタイルは?:ミッドセンチュリーモダン
1950~60年代のアメリカでは、合板、プラスチック、スチール、ワイヤーといった新素材が実用化され始め、ローコストでシンプルな家具がたくさんデザインされるようになりました。それらを中心にまとめたスタイルは「アメリカンモダン」と呼ばれ、「フィフティーズ」や「ミッドセンチュリー」がこれに含まれます。
軽快で遊び心にあふれた楽しいデザインが多く、カラーは彩度の高い純色で、コントラストを効かせた配色が一般的です。オレンジ色の椅子は、ジョージ・ネルソンの《ココナッツチェア》。同時代にデザインされた名作家具がよく似合います。
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ワントーン落ち着かせた、わずかに黄味がかった温かいカラーを選び、ウォールナット材やブラックをアクセントに効かせると、ミッドセンチュリーらしい色づかいになります。モンドリアンの「コンポジション」のように構成した壁が印象的ですが、ウィンドウトリートメントは、やはりシンプルに。ホワイトをベースに部屋中の色を少しだけ取り入れたファブリックで、シンプルなプレーンシェードをつくり、平面構成的な印象をこわさずに仕上げています。
こちらは、その「コンポジション」の3原色まで忠実に取り入れている事例です。イームズの黄色い《DSRチェア》や、窓のプレーンシェードも鮮やかなブルーで、「コンポジション」の一部になっています。
棚の中やデスクの下、ベッドヘッドなど、インテリアに必ずたくさん出現する四角形を利用した構成は、ぜひ取り入れたくなるアイデアです。
棚の中やデスクの下、ベッドヘッドなど、インテリアに必ずたくさん出現する四角形を利用した構成は、ぜひ取り入れたくなるアイデアです。
ローズウッドの成形合板とアルミニウムの脚に、ボタンで押さえた革張りという異素材を組み合わせた、チャールズ・イームズの《ラウンジチェア&オットマン》は、アメリカンモダン家具の中でもシックでマニッシュなデザインなので、モノトーンのインテリアにも多く採用されています。
透け感のある無彩色のこんなグラデーションファブリックなら、落ち着きと洗練をやわらかく演出してくれます。コンテンポラリースタイルのウィンドウトリートメントは、軽いイメージが身上なので、カーテンのひだ倍率は多くても2倍までがよいでしょう。
透け感のある無彩色のこんなグラデーションファブリックなら、落ち着きと洗練をやわらかく演出してくれます。コンテンポラリースタイルのウィンドウトリートメントは、軽いイメージが身上なので、カーテンのひだ倍率は多くても2倍までがよいでしょう。
写真は、アメリカンモダンを代表する傑作のひとつであるエーロ・サーリネンの《チューリップチェア》の可憐で温かいイメージを、空間全体に展開させた、明るい色づかいが魅力的な事例です。
ウィンドウトリートメントは、ややグリーンがかったイエローの幾何学模様のラグと対比させるように、鮮やかなレッドをプレーンシェードのバンディングに効かせ、全体を軽快に引き締めています。シェード本体のファブリックのイカット(絣/かすり)柄が、今のトレンドにもフィットしながら、どこか懐かしい、当時の空気を感じさせてくれるような演出です。
ウィンドウトリートメントは、ややグリーンがかったイエローの幾何学模様のラグと対比させるように、鮮やかなレッドをプレーンシェードのバンディングに効かせ、全体を軽快に引き締めています。シェード本体のファブリックのイカット(絣/かすり)柄が、今のトレンドにもフィットしながら、どこか懐かしい、当時の空気を感じさせてくれるような演出です。
サーリネンの赤い《ウームチェア》と対比配色のソファ。さらに、ラグや暖炉の石材、プリミティブなアートにはブラックを効かせ、エネルギッシュで躍動感のある演出をしています。
木質感を活かしたダイニングテーブルには、イームズの《アルミナムチェア》を合わせて。カラーのみならず素材感の対比も楽しむこの空間のウィンドウトリートメントは、ざっくりとした麻やネット(単純な網状テクスチャーのメッシュ地)など、透け感のあるカーテンをさらりと掛けるスタイルが似合います。
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知っておきたい名作家具:ウームチェア
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少しアレンジを加えるなら、シアーカーテンの上下を別布で切り替えてトップをハトメスタイルに。シルバーのプレーンな装飾レールに合わせるのがおすすめです。
北欧モダンスタイル
第二次世界大戦後の北欧のデザイナーによる、上質な家具、照明器具、ファブリックを使ってしつらえた、世界中で大人気のスタイルです。、自然素材(無垢、成形合板、曲木などの木、布帛、籐、イグサなど)を使った、シンプルで実用的なデザインを特徴としています。写真手前の椅子は、おなじみハンス・ウェグナーの《ウィッシュボーンチェア》。美しい曲げ木の曲線と自然素材のぬくもりが、心安らぐシーンを演出してくれます。
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知っておきたい名作家具:ハンス・ウェグナーの椅子
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ファブリックはナチュラルモチーフの楽しいプリントが多く、明るくさわやかな色合いを対比配色させて使います。ウィンドウトリートメントはやはり、ロールスクリーンやシンプルなシアーカーテンが似合います。
色の対比についてはこちらも参考に
素敵な窓辺と暮らそう!:空間の「カラースキーム」
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北欧のテキスタイルといえば、マリメッコの大胆でカラフルな柄の印象が強いですが、写真のようなブラック&ホワイトのパターンも数多く見受けられます。ナチュラル素材でまとめられたシックな空間に、明るく生き生きとしたコントラストを楽しめます。
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グレイッシュブルーとイエロー、グレーとホワイトがナチュラルウッドに響き合い、さわやかで心地よさそうなリビングルーム。窓の、やや透け感のある両開きカーテンは、左右対称にせずに色違いを掛けて、動きのある、楽しげな色遊びをしています。
隣には同じサイズの窓がもうひとつあり、イエローとグレーを繰り返しています。これだけで、ひと味違うユニークなウィンドウトリートメントに。
エーロ・アールニオの《バブルチェア》が宙に浮くカラフルなリビングルームのウィンドウトリートメントは、鮮やかなカラーで切り替えたフラットスタイルカーテン。掃き出し窓のカーテンも間仕切りカーテンも、負けずにカラフルですが、ベージュをメインにして居心地のよさもコントロールしつつ、切り替えの高さを大胆に変えることで、全体にリズム感を出し、個性的なチェアを引き立たせています。フラットカーテンの美しいウェーブが規則正しく出る、ハイテックなカーテンレールを選ぶことも、デザイナーズ家具のクリーンなフォルムを活かす、大切なポイントです。
掃き出し窓のもう一方に掛かるカーテンは、さらに切り替えのカラーも、切り替えの高さも変えて、全体のバランスを取っています。計算されたハイレベルのテクニックに注目です。
ナチュラルモダン(シンプルモダン)スタイル
白木を中心に、メタル、プラスチック、ガラスなどの無機的でシャープな素材を、すっきりとした直線や曲線のフォルムのエレメントで取り入れた、シンプルなスタイルです。色はアースカラーや、純色に近い澄んだ彩度の高いカラーを使います。
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ファブリックは、生成りのコットンや麻、粗い織りでテクスチャーのあるもの、純色の無地やはっきりとした幾何学柄などが使われます。
ウィンドウトリートメントは、ロールスクリーン、ベネシャンブラインドなど平面的におさまるタイプか、シンプルなギャザーカーテンや、タブカーテンで、自然の風合いを活かしてシンプルに演出します。
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幾何学柄のファブリックを選ぶなら、柄に合わせてひだ山を取ることができる場合もあります。スタイルはシンプルに保ったまま、さりげなく整然とした美しさを楽しみましょう。
透け感のあるバーチカルブラインドは、直線のラインが光と風に揺らめき、シンプルモダンな空間にニュアンスと奥行き感を生み出します。
シンプルモダンのキーワードとして挙げられる、透明感やすっきりとしたクリア感を演出できるウィンドウトリートメントとして、ぜひおすすめしたいのが、ベネシャンブラインドやウッドブラインドの手前に、透明度の高いオパールプリントのシアーカーテンを掛ける方法です。
窓外の景色に恵まれない環境でも、外からの視線が気になる場所でも、お気に入りのファブリックの素敵な柄を楽しめますし、何よりブラインドスラットと透明感のあるファブリック越しにこぼれる光は、いつまでもその窓辺に佇んでいたくなるような美しさです。
窓外の景色に恵まれない環境でも、外からの視線が気になる場所でも、お気に入りのファブリックの素敵な柄を楽しめますし、何よりブラインドスラットと透明感のあるファブリック越しにこぼれる光は、いつまでもその窓辺に佇んでいたくなるような美しさです。
コンテンポラリーカジュアルスタイルは、機能的で親しみやすく、デザイン性の高いエレメントで構成されています。このスタイルのウィンドウトリートメントは、とにかくシンプルにまとめることがポイントでしたが、そのバリエーションとしつらえ方は、色の選択も含めて、限りなくたくさんあることがおわかりいただけたでしょうか。
次回は、異なる要素を自由に組み合わせてインテリアを楽しむ、エクレクティックスタイル編です。フォーマルな「ハイスタイル」「シノワズリースタイル」、カジュアルな「アジアンスタイル」「民芸スタイル」を取り上げ、それぞれに適したウィンドウトリートメントをご紹介したいと思います。
参考:『窓装飾プランナーBOOK』(日本インテリアファブリックス協会)、『インテリアスタイリング事典』(塩谷博子著、川島インターナショナル)
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どのタイプのウィンドウトリートメントを採用してみたいですか?
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