涼しさを呼ぶ、日本の夏の風物詩17選
いよいよ暑さも本番に。暮らしの中で涼を感じ、暑い夏を快適に過ごす工夫を、先人の知恵に学びましょう。
いよいよ本格的な夏の到来です。現代の多くの住まいからは、季節の節会(せつえ、行事)をしつらえる床の間や玄関の飾り棚が姿を消し、生活もせわしなくなっているように感じます。昔の人は、一年の単位では、春夏秋冬の四季を味わい、1か月の単位では、月の満ち欠けにより日にちを知り、一日の単位では、太陽の光や位置で時刻を感じて過ごしていました。時間に追われる現代の暮らしだからこそ、そんなふうに我々の祖先が自然と共生し、対話をしながら暮らしてきた生活ぶりを振り返ってみたいものです。この夏、伝統的な夏の暮らしのあり方を学び、日本独特の涼の取りかたを、日々の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょう。
金魚
夏の暑い盛り、水の中でヒラリと尾びれを揺らめかす姿で、目を楽しませてくれる金魚は、夏の季語にもなっています。夏祭りの定番なのが、「金魚すくい」。釣ってきた金魚や出目金を、ガラス鉢の中で飼育すれば、室内でも涼しげな水辺の雰囲気を演出できます。本物でなくとも、金魚をかたどったモビールや、インテリア小物を置いて鑑賞するだけでも、涼をとれるでしょう。
夏の暑い盛り、水の中でヒラリと尾びれを揺らめかす姿で、目を楽しませてくれる金魚は、夏の季語にもなっています。夏祭りの定番なのが、「金魚すくい」。釣ってきた金魚や出目金を、ガラス鉢の中で飼育すれば、室内でも涼しげな水辺の雰囲気を演出できます。本物でなくとも、金魚をかたどったモビールや、インテリア小物を置いて鑑賞するだけでも、涼をとれるでしょう。
花火
夏の風物詩といえば、花火です。今でも続く隅田川の花火大会は、江戸で疫病が流行し、多くの犠牲者が出た翌年(1733年)に、慰霊と悪疫除災祈願を兼ねて、夏の川開きの日に打ち上げられたのが始まりといわれています。花火を上げる大きな音は、夏の夜空を彩る色とりどりの輝きとともに、先祖の霊を供養する心にも響きわたります。漆黒の大空に繰り広げられる幻想的な光の世界に身をゆだねれば、蒸し暑さや日頃の悩みも吹き飛んでしまうことでしょう。
この夏は、花火大会に出かけて、迫力ある打ち上げ花火や、しかけ花火を鑑賞するもよし、庭で線香花火の小さな輝きをめでながら、もの思いにふけってみるのもよいでしょう。
夏の風物詩といえば、花火です。今でも続く隅田川の花火大会は、江戸で疫病が流行し、多くの犠牲者が出た翌年(1733年)に、慰霊と悪疫除災祈願を兼ねて、夏の川開きの日に打ち上げられたのが始まりといわれています。花火を上げる大きな音は、夏の夜空を彩る色とりどりの輝きとともに、先祖の霊を供養する心にも響きわたります。漆黒の大空に繰り広げられる幻想的な光の世界に身をゆだねれば、蒸し暑さや日頃の悩みも吹き飛んでしまうことでしょう。
この夏は、花火大会に出かけて、迫力ある打ち上げ花火や、しかけ花火を鑑賞するもよし、庭で線香花火の小さな輝きをめでながら、もの思いにふけってみるのもよいでしょう。
盆灯籠(とうろう)
お盆の時期には、盆灯籠や盆提灯(ちょうちん)を灯し、玄関先で麻幹(おがら、皮をはいだ麻の茎)を焚いて、迎え火とします。先祖の御霊供養は、『日本書紀』に、推古天皇が行ったという記述がみられますが、その後、武家や貴族、僧侶などの間で主に催され、一般庶民に広まったのは江戸時代のようです。8月13日の夕方、家々の門口で迎え火を焚き、最終日の16日には送り火を焚いて、精霊の行き来する道を照らしました。旧暦に従う地方や、精霊をのせた灯籠を川に流して送るところもあります。
現在では住宅事情などもあり、お盆行事を行う家庭も少なくなってきたようですが、先祖や故人を偲び、その思い出を伝えていくことが、尊いことではないかと思います。
お盆の時期には、盆灯籠や盆提灯(ちょうちん)を灯し、玄関先で麻幹(おがら、皮をはいだ麻の茎)を焚いて、迎え火とします。先祖の御霊供養は、『日本書紀』に、推古天皇が行ったという記述がみられますが、その後、武家や貴族、僧侶などの間で主に催され、一般庶民に広まったのは江戸時代のようです。8月13日の夕方、家々の門口で迎え火を焚き、最終日の16日には送り火を焚いて、精霊の行き来する道を照らしました。旧暦に従う地方や、精霊をのせた灯籠を川に流して送るところもあります。
現在では住宅事情などもあり、お盆行事を行う家庭も少なくなってきたようですが、先祖や故人を偲び、その思い出を伝えていくことが、尊いことではないかと思います。
精霊棚(しょうろうだな)
お盆の初日には、精霊棚(施食棚、あるいは盆棚ともいわれる棚)に、位牌を安置し、夏野菜や果物をお供えします。よく見かけるのは、茄子で作った牛や、胡瓜の馬だと思います。これは、先祖の霊が牛に荷を引かせ、馬に乗って現世と行き来するといういう言い伝えによるもので、お盆期間中を通じて飾っておきます。現代ではすべてを行えなくても、古くから根づくお盆の風習を、無理のないスタイルで引き継いでいきたいものです。
お盆の初日には、精霊棚(施食棚、あるいは盆棚ともいわれる棚)に、位牌を安置し、夏野菜や果物をお供えします。よく見かけるのは、茄子で作った牛や、胡瓜の馬だと思います。これは、先祖の霊が牛に荷を引かせ、馬に乗って現世と行き来するといういう言い伝えによるもので、お盆期間中を通じて飾っておきます。現代ではすべてを行えなくても、古くから根づくお盆の風習を、無理のないスタイルで引き継いでいきたいものです。
枯山水(かれさんすい)
水を用いずに、石や白砂などで自然山水の美を象徴的に表現する枯山水は、日本庭園の一様式です。特に禅寺の方丈前庭につくられたものは、高い芸術性と精神性を兼ね備えていることで知られています。なかでも、水面を表現するために描かれる砂紋(さもん)には、波のうねりや渦巻きなど多彩なデザインがあります。砂紋を眺めて、清冽な水の流れを想像するだけで、なんとなく涼感が得られる気がしてきます。水無くして、水を感じながら、その空間にどんな意味があるのか、静かに自問自答してみるのもよいかもしれません。
水を用いずに、石や白砂などで自然山水の美を象徴的に表現する枯山水は、日本庭園の一様式です。特に禅寺の方丈前庭につくられたものは、高い芸術性と精神性を兼ね備えていることで知られています。なかでも、水面を表現するために描かれる砂紋(さもん)には、波のうねりや渦巻きなど多彩なデザインがあります。砂紋を眺めて、清冽な水の流れを想像するだけで、なんとなく涼感が得られる気がしてきます。水無くして、水を感じながら、その空間にどんな意味があるのか、静かに自問自答してみるのもよいかもしれません。
虫かご
日本では、昔から秋を思わせる虫の声を聴いて涼を感じる、「虫聴き」という習慣がありました。喜多川歌麿の浮世絵には、その名も『虫籠(かご)』という作品がありますが、そこには夏姿の女性が竹細工の虫かごを手にし、中を覗き込む姿が描かれています。歌麿の作品には、この他にも『虫売り』と題したものもあり、たくさんの虫かごを吊り下げた屋台をかついで行商する男性の姿も見られます。
現在ではプラスチック製が主流の虫かごですが、今でも竹を使った伝統的な細工物もつくり続けられています。かたちも素朴な角形から、かすみ(縁と縁の間にある飾り部分)を施した精巧なものまで、いろいろな種類があります。特にかすみは、かごの強度を高めながら、虫が鳴きやすいように内部に暗がりをつくるようにも工夫されており、まさに、虫の音に涼を求める日本人の感性が生み出した芸術品ともいえるでしょう。
日本では、昔から秋を思わせる虫の声を聴いて涼を感じる、「虫聴き」という習慣がありました。喜多川歌麿の浮世絵には、その名も『虫籠(かご)』という作品がありますが、そこには夏姿の女性が竹細工の虫かごを手にし、中を覗き込む姿が描かれています。歌麿の作品には、この他にも『虫売り』と題したものもあり、たくさんの虫かごを吊り下げた屋台をかついで行商する男性の姿も見られます。
現在ではプラスチック製が主流の虫かごですが、今でも竹を使った伝統的な細工物もつくり続けられています。かたちも素朴な角形から、かすみ(縁と縁の間にある飾り部分)を施した精巧なものまで、いろいろな種類があります。特にかすみは、かごの強度を高めながら、虫が鳴きやすいように内部に暗がりをつくるようにも工夫されており、まさに、虫の音に涼を求める日本人の感性が生み出した芸術品ともいえるでしょう。
流れる水
日本庭園では、実際の雨水を利用して、川の流れのように見せる手法も、昔からありました。落水の清らかさと、その水が奏でる音が、多忙な日々のなかで溜まった疲れや澱(おり)を洗い流してくれるかのようです。
ところで、『徒然草』第55段に「家の作りやうは夏をむねとすべし」という有名なフレーズがあります。作者の吉田兼好が生きた700年以上も前から、日本では家を建てるときに、いかに夏の暑さを回避できるかが、大きな課題だったことがうかがい知れます。同じ第55段には、「深き水は涼しげなし。浅くて流れたる、遥かに涼し」ともあり、深く溜まった水よりも、さらさらと浅く流れている水のほうが涼しげだとも、兼好は言っています。庭園の水は、古今東西を問わず、疲れた心に染み込み、活力を呼び起こしてくれそうです。
日本庭園では、実際の雨水を利用して、川の流れのように見せる手法も、昔からありました。落水の清らかさと、その水が奏でる音が、多忙な日々のなかで溜まった疲れや澱(おり)を洗い流してくれるかのようです。
ところで、『徒然草』第55段に「家の作りやうは夏をむねとすべし」という有名なフレーズがあります。作者の吉田兼好が生きた700年以上も前から、日本では家を建てるときに、いかに夏の暑さを回避できるかが、大きな課題だったことがうかがい知れます。同じ第55段には、「深き水は涼しげなし。浅くて流れたる、遥かに涼し」ともあり、深く溜まった水よりも、さらさらと浅く流れている水のほうが涼しげだとも、兼好は言っています。庭園の水は、古今東西を問わず、疲れた心に染み込み、活力を呼び起こしてくれそうです。
水琴窟(すいきんくつ)
茶の湯では、特に季節の移り変わりを敏感に取り入れますが、客を招くのにも気がひけるほどの暑さが続く夏、少しでも涼気を味わえるようにと、江戸時代初期の茶人で、作庭家でもあった小堀遠州が創案したといわれているのが、水琴窟(すいきんくつ)です。茶室に入る手前には、客が手と口をすすげるように、手水鉢(ちょうずばち)と柄杓(ひしゃく)を用意しますが、客が作法にのっとって水を落とした瞬間に、高音でさわやかな水滴の共鳴音が聴ける仕組みになっています。その余韻のある音色に、手や口だけでなく、心も洗われる気がすることでしょう。
水琴窟は、手水鉢の排水口の下の地中に、底に小さな穴を開けた壺や鉢などを伏せて埋めてつくられます。こうすることで、中にたまった水面に滴が落ちるたびに、壺や鉢の空洞内で音が反響して、琴の音色に似た清らかな音が伝わってきます。つくばいを見つけたらぜひ、竹筒から流れ出る水の音だけでなく、柄杓を手に取って水を落とし、水琴窟から響いてくる水滴音にも耳を傾けてみてください。
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涼を呼び込む「露地」の基礎知識
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水琴窟は、手水鉢の排水口の下の地中に、底に小さな穴を開けた壺や鉢などを伏せて埋めてつくられます。こうすることで、中にたまった水面に滴が落ちるたびに、壺や鉢の空洞内で音が反響して、琴の音色に似た清らかな音が伝わってきます。つくばいを見つけたらぜひ、竹筒から流れ出る水の音だけでなく、柄杓を手に取って水を落とし、水琴窟から響いてくる水滴音にも耳を傾けてみてください。
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風鈴
風になびく風鈴の姿、不規則ながらも心地よい音色を奏でる風鈴は、目と耳で涼を感じさせてくれます。一瞬のそよ風に乗って、軽やかにたゆたう風鈴は、蒸し暑い日本に暮らす庶民が考え出した、納涼の知恵の結晶ともいえるでしょう。素朴な音色が特徴の南部鉄製の風鈴、目にも涼やかで、軽やかな音を奏でるガラス製の風鈴など、種類も豊富です。その他にも、陶器や木、水晶など、さまざまな材質・形状でつくられており、音色や色合い、雰囲気はそれぞれ違います。
軒先で、「いい音色ですね」などと、言葉を交わす時代ではなくなってしまいましたが、風鈴の奏でる音をただの音と思うのではなく、音色から涼を感じとる、そんな心のゆとりを持ちたいものです。
風になびく風鈴の姿、不規則ながらも心地よい音色を奏でる風鈴は、目と耳で涼を感じさせてくれます。一瞬のそよ風に乗って、軽やかにたゆたう風鈴は、蒸し暑い日本に暮らす庶民が考え出した、納涼の知恵の結晶ともいえるでしょう。素朴な音色が特徴の南部鉄製の風鈴、目にも涼やかで、軽やかな音を奏でるガラス製の風鈴など、種類も豊富です。その他にも、陶器や木、水晶など、さまざまな材質・形状でつくられており、音色や色合い、雰囲気はそれぞれ違います。
軒先で、「いい音色ですね」などと、言葉を交わす時代ではなくなってしまいましたが、風鈴の奏でる音をただの音と思うのではなく、音色から涼を感じとる、そんな心のゆとりを持ちたいものです。
浴衣(ゆかた)
浴衣は平安時代、蒸し風呂に入る際、汗取りと肌を隠す目的で着用された、湯帷子(ゆかたびら)といわれる衣が原型といわれています。着物のように下に長襦袢や足袋を着けなくてもいい浴衣は、夏場に涼しいということで、江戸時代に入ってから、庶民が入浴のときだけでなく外出するときにも着用するようになったものです。帯の部分が若干通気性に乏しいため、蒸し暑く感じるかもしれませんが、周りの人々に涼を感じさせることは間違いありません。次の花火大会やお祭りには、浴衣を着て、草履を履いてお出かけになってはいかがでしょう。
浴衣は平安時代、蒸し風呂に入る際、汗取りと肌を隠す目的で着用された、湯帷子(ゆかたびら)といわれる衣が原型といわれています。着物のように下に長襦袢や足袋を着けなくてもいい浴衣は、夏場に涼しいということで、江戸時代に入ってから、庶民が入浴のときだけでなく外出するときにも着用するようになったものです。帯の部分が若干通気性に乏しいため、蒸し暑く感じるかもしれませんが、周りの人々に涼を感じさせることは間違いありません。次の花火大会やお祭りには、浴衣を着て、草履を履いてお出かけになってはいかがでしょう。
イグサ
畳やゴザの原材料として、1100年以上も前から用いられているイグサ(藺草)。1枚の畳表を織るのに、約4000本から5000本、高級なものになると7000本ものイグサが使われています。天然のイグサは湿気を調節するだけでなく、リラックス作用のある香り、耐衝撃性、吸音効果などもあるので、イグサ製の座布団や敷物などを利用すると、快適に過ごせそうです。
畳やゴザの原材料として、1100年以上も前から用いられているイグサ(藺草)。1枚の畳表を織るのに、約4000本から5000本、高級なものになると7000本ものイグサが使われています。天然のイグサは湿気を調節するだけでなく、リラックス作用のある香り、耐衝撃性、吸音効果などもあるので、イグサ製の座布団や敷物などを利用すると、快適に過ごせそうです。
京うちわ
団扇(うちわ)
細竹に紙を貼る団扇ができたのは近世のことで、古くは蒲葵(びろう)や芭蕉(ばしょう)などの植物を編んでつくり、神を招く依り代(よりしろ)の象徴でもあったそうです。優美な絵模様を描いた京団扇や、剛毅なつくりに浮世絵などを貼った江戸団扇、また、見た目が水のように透けており、昔は水につけて気化熱で涼むという方法で涼をとったことから名がついたともいわれる、岐阜の「水うちわ」など、さまざまな団扇がつくられています。納涼の道具としてだけでなく、団扇を見て楽しむのも一興です。
細竹に紙を貼る団扇ができたのは近世のことで、古くは蒲葵(びろう)や芭蕉(ばしょう)などの植物を編んでつくり、神を招く依り代(よりしろ)の象徴でもあったそうです。優美な絵模様を描いた京団扇や、剛毅なつくりに浮世絵などを貼った江戸団扇、また、見た目が水のように透けており、昔は水につけて気化熱で涼むという方法で涼をとったことから名がついたともいわれる、岐阜の「水うちわ」など、さまざまな団扇がつくられています。納涼の道具としてだけでなく、団扇を見て楽しむのも一興です。
冷酒
さわやかさな口あたりで群を抜くのが生酒です。その清涼感あふれる、みずみずしい味わいが、汗ばむ季節に夏らしい涼味をもたらしてくれます。冷えたグラスを口に運べば、新鮮ではつらつとした味わいが、軽やかな香りとともに駆け抜けるでしょう。もちろん、火入れを一切行わない生酒だけでなく、酒蔵タンクに貯蔵される直前にだけ火入れをする、生詰めの辛口の日本酒も、喉ごしさわやかで、夏にぴったりです。
さわやかさな口あたりで群を抜くのが生酒です。その清涼感あふれる、みずみずしい味わいが、汗ばむ季節に夏らしい涼味をもたらしてくれます。冷えたグラスを口に運べば、新鮮ではつらつとした味わいが、軽やかな香りとともに駆け抜けるでしょう。もちろん、火入れを一切行わない生酒だけでなく、酒蔵タンクに貯蔵される直前にだけ火入れをする、生詰めの辛口の日本酒も、喉ごしさわやかで、夏にぴったりです。
素麺(そうめん)
夏の定番メニューのひとつ、素麺。暑さであまり食欲がないときでも、冷水でしっかり冷やしてからいただくと、意外にたくさん食べられます。たまには夏野菜をのせたり、少し濃い味つけにした茄子などをのせて食べると、夏バテした体に栄養を補給できます。
夏に採れる旬の野菜や果物は、ほとんどが体を冷やしてくれる涼寒性食物です。たとえば、暑い沖縄の名産のゴーヤで緑のカーテンをつくり、そこから収穫したてのゴーヤで、チャンプルーや、冷製サラダなどつくってみてもよいでしょう。
夏の定番メニューのひとつ、素麺。暑さであまり食欲がないときでも、冷水でしっかり冷やしてからいただくと、意外にたくさん食べられます。たまには夏野菜をのせたり、少し濃い味つけにした茄子などをのせて食べると、夏バテした体に栄養を補給できます。
夏に採れる旬の野菜や果物は、ほとんどが体を冷やしてくれる涼寒性食物です。たとえば、暑い沖縄の名産のゴーヤで緑のカーテンをつくり、そこから収穫したてのゴーヤで、チャンプルーや、冷製サラダなどつくってみてもよいでしょう。
蚊取り線香
蒸し暑い夏に部屋の窓を開け、風の通り道をつくってのんびり涼むはずが、厄介な蚊も呼び込んできてしまった、ということでは元も子もありません。風上である窓辺で蚊取り線香を焚けば、蚊を退治できるだけでなく、蚊遣りから立ち上る煙、そしてどことなく懐かしい香りが、穏やかな涼しさを運んできてくれることでしょう。
蒸し暑い夏に部屋の窓を開け、風の通り道をつくってのんびり涼むはずが、厄介な蚊も呼び込んできてしまった、ということでは元も子もありません。風上である窓辺で蚊取り線香を焚けば、蚊を退治できるだけでなく、蚊遣りから立ち上る煙、そしてどことなく懐かしい香りが、穏やかな涼しさを運んできてくれることでしょう。
百合の花
百合の大輪は、風に揺れるたびに芳香をふりまきます。その優雅な姿から醸し出される香りは清々しさにあふれ、夏の暑さを忘れさせてくれます。百合といえば、鎌倉時代初期、式子内親王(後白河皇女)が詠まれた繊細な百合の歌が思い出されます。涼しさを運んでくれた風の吹いてきた方向をたどると、野原のしげみに揺れる小百合に出逢った、という歌です。
涼しやと 風のたよりを 尋ぬれば しげみになびく 野辺のさゆりば
百合の大輪は、風に揺れるたびに芳香をふりまきます。その優雅な姿から醸し出される香りは清々しさにあふれ、夏の暑さを忘れさせてくれます。百合といえば、鎌倉時代初期、式子内親王(後白河皇女)が詠まれた繊細な百合の歌が思い出されます。涼しさを運んでくれた風の吹いてきた方向をたどると、野原のしげみに揺れる小百合に出逢った、という歌です。
涼しやと 風のたよりを 尋ぬれば しげみになびく 野辺のさゆりば
古来から日本家屋は、自然の材料(木、紙、土、竹など)を活用して建てることを基本としていました。そして、今よりも自然を住まいの中に取り込んで、自然と共存し、自然の力を借りながら、快適な暮らしを目指そうとしていました。
春には新緑の野山に出かけ、うららかな季節を楽しみ、夏は祖先の霊を祀り、秋には月を愛でて収穫に感謝し、冬には一陽来復(いちようらいふく)を願う。こうした日本の生活文化に通底する「温故知新」こそ、今の時代に必要なのかもしれません。暑い夏、自然と折り合いをつけながら、心の豊かさを求めて過ごしたいものです。
露地の写真を見る
教えてHouzz
この夏を涼しく過ごすために、どんな工夫をしますか? この記事で紹介したものの中では、どの工夫を採用していますか?
春には新緑の野山に出かけ、うららかな季節を楽しみ、夏は祖先の霊を祀り、秋には月を愛でて収穫に感謝し、冬には一陽来復(いちようらいふく)を願う。こうした日本の生活文化に通底する「温故知新」こそ、今の時代に必要なのかもしれません。暑い夏、自然と折り合いをつけながら、心の豊かさを求めて過ごしたいものです。
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この夏を涼しく過ごすために、どんな工夫をしますか? この記事で紹介したものの中では、どの工夫を採用していますか?
高温多湿の日本の夏を、少しでも快適に過ごせるようにと先人たちが編み出した知恵が、吊るす「簾」と、立てかける「葦簀」。どちらも、見た目に涼やかなだけでなく、遮光をしながら、隙間から涼風を取り込んでくれます。簾は、細く割った竹やアシという植物(ヨシとも呼ばれます)でつくられているものが多く、部屋の中でも外でも吊るせます。
ほんのりと暗くなった室内からは、外からの視線を気にすることなく、簾から透けて見える、光あふれる風景と涼風を感じることができます。また、御簾(みす)と呼ばれる、布で縁取りした簾には、日本人特有の繊細な美意識も見られ、吊るすだけでも風雅さが引き立ちます。いっぽう葦簀は、アシを原料としてつくられているものが多く、軒先などに立て掛けて使います。水辺の植物であるアシは水を吸うため、霧吹きなどで水をかければ、打ち水と同じような効果が得られ、より涼しく感じられるでしょう。山口誓子が俳句で詠んだような気持ちも味わえるかもしれません。
よしず過ぎ 几帳も過ぎて 風通る