アレハンドロ・アラヴェナ、インタビュー: 「コミュニティのための建築とは?」
本年度のプリツカー賞受賞者で「ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展」でもキュレーターをつとめているアラヴェナに、Houzzスペイン編集部が取材。自身の作品や建築への思いを聞いた。
Rafael Gumucio
2016年6月27日
47歳にしてプリツカー賞を受賞したチリ人建築家、アレハンドロ・アラヴェナ。だが、その作品は広く理解されているとは言いがたい。チリのインキケ市にある《キンタ・モンロイ》やチリカトリック大学の《サイアミーズタワーズ》、メキシコの《モンテレイの集合住宅》などの写真や設計図を見ても、竣工に至るまでの長きにわたる対話や交渉、設計プロセスを読み取ることは不可能だ。アレハンドロ・アラヴェナと彼の事務所〈エレメンタル〉にとって、フォルムを考案したり、規模を検討したり、空間の役割をつくりだすことはどれも、建築の過程におけるさまざまな要素・要件をまとめあげていくための個別の方法にすぎない。アラヴェナにとって「建築」とは、デッサン、模型、コミュニティの中に存在している矛盾した欲望を総括していくという行為である。
《ヴィラ・ヴェルデの集合住宅》(チリ、コンスティトゥシオン市)を始めとする「漸進的住宅」(内装などは未完成のまま竣工し、必要に応じてあとから家主が改装していくことのできる住宅)は、長年緊縮財政に苦しむチリ政府が、公共住宅をどうすべきかを検討していたなかで生まれた作品だ。建築資材の予算さえ抑えなければならない状況のなかで、アラヴェナが考えたのは、あらゆる設計の工夫を実践することだった。そして、前述の通り、未完成の建物を提供し、あとは家主が住みながら資金ができたら自分で少しずつ仕上げていくという住宅だった。
《ヴィラ・ヴェルデの集合住宅》(チリ、コンスティトゥシオン市)を始めとする「漸進的住宅」(内装などは未完成のまま竣工し、必要に応じてあとから家主が改装していくことのできる住宅)は、長年緊縮財政に苦しむチリ政府が、公共住宅をどうすべきかを検討していたなかで生まれた作品だ。建築資材の予算さえ抑えなければならない状況のなかで、アラヴェナが考えたのは、あらゆる設計の工夫を実践することだった。そして、前述の通り、未完成の建物を提供し、あとは家主が住みながら資金ができたら自分で少しずつ仕上げていくという住宅だった。
写真: Cristóbal Palma
アラヴェナによれば、都市への人口流入が世界各地で続いている。「今後15〜20年にわたり、家族用住宅1棟あたり1万ドルの予算で百万人都市を毎週建設しなければならないという状況だ。さもなければ、集まってきた人々は、結局スラムに住むしかなくなる。同時に、現在スラムとなっている地域を将来的にマンハッタンのようにするためには、どんなデザインが必要かという問題もある。マンハッタンの場合は、スラムだった時期もあるが、スラムとなる前から都市としての基本構造が存在していた。そうではない都市のスラムの場合、資金不足から生まれた『漸進的住宅』のように、『漸進的アーバニズム』が都市への人口流入問題を解決する手立てになるだろう」とアラヴェナは話す。
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写真:《ヴィラ・ヴェルデの集合住宅》(2013年)チリ、コンスティトゥシオン市 写真: Elemental
マンハッタンが今はもうスラムではないのはなぜか?
――現在のマンハッタンでは、公共空間とプライベート空間の比率が1:1だ。スラムでは1:10になっている。この比率が1:1に近づくほど、住民ひとりひとりが自由に使える時間が増え、経済的価値や生活の質も向上する。
マンハッタンが今はもうスラムではないのはなぜか?
――現在のマンハッタンでは、公共空間とプライベート空間の比率が1:1だ。スラムでは1:10になっている。この比率が1:1に近づくほど、住民ひとりひとりが自由に使える時間が増え、経済的価値や生活の質も向上する。
写真:《モンテレイの集合住宅》(2010年)メキシコ、モンテレイ市 写真: Ramiro Ramirez
問題が明らかなのに、都市の改善が阻まれる原因は何か?
――原因は複雑だ。アフリカ、インド、中国では、制度の不備や政治的腐敗という問題が見られる。一方で、アメリカのような訴訟社会では、訴えられることを恐れるあまり、建築が陳腐で凡庸なものになっている。訴えられてはたまらないと考え、カタログと一寸違わぬ建物をつくればいいという発想になっている。つまり、途上国における問題は規制の欠如だが、規制にしばられる社会では凡庸な環境が生まれるという問題がある。
問題が明らかなのに、都市の改善が阻まれる原因は何か?
――原因は複雑だ。アフリカ、インド、中国では、制度の不備や政治的腐敗という問題が見られる。一方で、アメリカのような訴訟社会では、訴えられることを恐れるあまり、建築が陳腐で凡庸なものになっている。訴えられてはたまらないと考え、カタログと一寸違わぬ建物をつくればいいという発想になっている。つまり、途上国における問題は規制の欠如だが、規制にしばられる社会では凡庸な環境が生まれるという問題がある。
写真:《理学部棟》(1999年)チリ、サンチャゴ市、チリカトリック大学 写真: Tadeuz Jalocha
チリをはじめラテンアメリカの建築家がすぐれた作品を生み出すのは、先進国にはない自由があるからか?
――尋常ではない状況にあるからこそ、複雑でおもしろいプロジェクトがたくさん生まれるという面はあると思う。国が社会的危機(あるいは自然災害などの危機)に直面すると、人々は住宅を失うが、一方で、政治的安定が失われた危機的状況が改善の機会につながることもある。例えば、ヨーロッパの移民問題についても、難民の受け入れに対してクリエイティブな問題解決策を考えていけば、規制の改善につながっていくだろう。
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写真:《サイアミーズ・タワーズ》(2005年)のスケッチ。チリ、サンチャゴ市、チリカトリック大学サン・ホアキン校 写真:Elemental
コミュニティのための仕事と個人の施主のための仕事では、取り組みやすいのはどちらか?
――個人の施主のための住宅建築は何よりも難しい。個人住宅は建築的な要素だけを考えてつくれるものではない。個人住宅は、当然ながら非常に個人的なものであり、施主には「自分はこういうことが好きで、だからこうしたい」という思いがある。その思いを結晶化していけば、ほとんどそれで形になってしまうところがある。施主には自分の思いを叶える権利があるわけで、そこにあえて意見するのは非常に難しいことだ。一方、公共性のある建築であれば、100年経っても残る建築を目指すことができる。たとえオーナー企業のための建物であっても、オーナーの個人的な思い入れよりもよいものを建てることを優先する必要がある。時間的スケールという意味で一個人の人生という時間を越えて存在し続ける建築になるので、建築の質を第一に考えることができる。だから、住宅よりも取り組みやすい。
コミュニティのための仕事と個人の施主のための仕事では、取り組みやすいのはどちらか?
――個人の施主のための住宅建築は何よりも難しい。個人住宅は建築的な要素だけを考えてつくれるものではない。個人住宅は、当然ながら非常に個人的なものであり、施主には「自分はこういうことが好きで、だからこうしたい」という思いがある。その思いを結晶化していけば、ほとんどそれで形になってしまうところがある。施主には自分の思いを叶える権利があるわけで、そこにあえて意見するのは非常に難しいことだ。一方、公共性のある建築であれば、100年経っても残る建築を目指すことができる。たとえオーナー企業のための建物であっても、オーナーの個人的な思い入れよりもよいものを建てることを優先する必要がある。時間的スケールという意味で一個人の人生という時間を越えて存在し続ける建築になるので、建築の質を第一に考えることができる。だから、住宅よりも取り組みやすい。
写真:Elemental
地域問題や住宅問題の解決に向けて、人々を巻き込む方法とは?
――この問題については、まだほとんど歴史といえるものがない。つまり、まず(問題解決に)参加するとはどういうことなのかを考えなければならなくて、それは、例えば、道路計画や規制変更の図面を見せて、好き嫌いで住民投票をしてもらえばいいというわけではない。まずすべきことは、解決しなければならない問題を見つけること。ところが、そういう実践の歴史が非常に浅い。「そうだ、住民の意見を聞こう」という態度には、政治的に正しいだけでなく、それ以上の意味がある。建築家が人の話に耳を貸さなければ、間違った問題設定のもとで、間違った回答を探すことになってしまう。例えば、チリ南部地震および津波の被災地となったコンスティトゥシオン市で、被災者たちの要望をたずねてみたところ、私たちのレーダーにまったくかかっていなかった3つの問題が浮かび上がってきた。被災者たちには、私たちが見ていたのとは別の問題があったわけだ。なすべきことをすべて実現する時間や資金があるわけではない。だから被災者たちに優先事項を示してもらうことが、必要不可欠だ。
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写真:《UCイノベーション・センター》(2014年)チリ、サンチャゴ市、チリカトリック大学サン・ホアキン校 写真:Nina Vidic
コミュニティの共通意志を実現すれば建築になるということか? 利益の相反が内部に存在するコミュニティでは、共通意志の実践は可能か?
――100人の人に話を聞いて出てくる回答は、平均的回答にはならない。なぜかはわからないが、真摯な話し合いが行われると、優先事項に対する共通意志が生まれるし、しかもその意志は健全な内容になる。つまり、コミュニティ内で議論を重ねることは簡単なことではないが、コミュニティ内で個人の利益を越えた議論が行われると、誠実な回答、成果が生まれるということだ。
そういった話し合いを踏まえての建築家の役割とは?
――私の場合は、いったん建築から離れたところに自分を置き、それから(人々の意見を)図面に落とし込んでいく。先ほども述べたように、本当によいプロジェクト、成功するプロジェクトとは、あらゆる社会的問題をうまく総括できたときに生まれてくる。
コミュニティの共通意志を実現すれば建築になるということか? 利益の相反が内部に存在するコミュニティでは、共通意志の実践は可能か?
――100人の人に話を聞いて出てくる回答は、平均的回答にはならない。なぜかはわからないが、真摯な話し合いが行われると、優先事項に対する共通意志が生まれるし、しかもその意志は健全な内容になる。つまり、コミュニティ内で議論を重ねることは簡単なことではないが、コミュニティ内で個人の利益を越えた議論が行われると、誠実な回答、成果が生まれるということだ。
そういった話し合いを踏まえての建築家の役割とは?
――私の場合は、いったん建築から離れたところに自分を置き、それから(人々の意見を)図面に落とし込んでいく。先ほども述べたように、本当によいプロジェクト、成功するプロジェクトとは、あらゆる社会的問題をうまく総括できたときに生まれてくる。
写真:《キンタ・モンロイの集合住宅》(2004年)の内部。チリ、イキケ市 写真:Ludovic Dusuzean、Tadeuz Jalocha
一方で、よい都市をつくることで、よい市民が生まれるととらえる建築モデルがある。オスマンによるパリ改造や、ルシオ・コスタとニーマイヤーが手がけたブラジリアがそうだ。こうした建築についてはどう思うか?
――建築家が『新しき人を創る』という救世主(メシア)思想的な考え方は、失敗するものであることが証明済みだし、科学的価値観をそのまま応用した発想にすぎない。水を長時間温めれば沸騰するのは単純な科学的事実だが、アートの世界はそうはいかないし、社会科学にも通用しない。誰かが状況を整備したとしても、その後、ものごとはまるで生きているかのように自律的に動き始める。要は、いずれ自律的に動き始める現象を最初にどうチューニングするかということであり、コントロール(制御)することはできない。
一方で、よい都市をつくることで、よい市民が生まれるととらえる建築モデルがある。オスマンによるパリ改造や、ルシオ・コスタとニーマイヤーが手がけたブラジリアがそうだ。こうした建築についてはどう思うか?
――建築家が『新しき人を創る』という救世主(メシア)思想的な考え方は、失敗するものであることが証明済みだし、科学的価値観をそのまま応用した発想にすぎない。水を長時間温めれば沸騰するのは単純な科学的事実だが、アートの世界はそうはいかないし、社会科学にも通用しない。誰かが状況を整備したとしても、その後、ものごとはまるで生きているかのように自律的に動き始める。要は、いずれ自律的に動き始める現象を最初にどうチューニングするかということであり、コントロール(制御)することはできない。
椅子がなくても楽に座れるバンド、〈ヴィトラ〉の《チェアレス》(2010年) 写真:Nicole Bachmann
建築の仕事をする上で、誰から影響を受けたか?
――15年位前から建築に関係ない本を読むようになった。例えば、今はブラジル人F1レーサー、アイルトン・セナの自伝を読んでいる。後にこの本をもとにドキュメンタリー映画もつくられた。セナは雨のサーキットに強いレーサーで、カーブでは「セナ足」(1秒に5回も小刻みにアクセルを踏むテクニック)でスピードを落とさず走るのが得意だった。だから、エンジンを設計するホンダのエンジニアにも、直線で多少スピードが落ちてもいいから、小刻みな加速に少しでも機敏に反応するエンジンを作ってほしいと頼んでいた。
セナの話と自身の仕事とは、どのような関係があるのか?
――私が建築に取り入れたいと考えるのも、そういうかすかな差異への感受性だ。例えば、扉と壁との間がレンガ1個分程度と狭いのに、自転車を収納しなければならないとする。レンガの数は無限にあるわけではないし、レンガ50個分のスペースをとれるわけではない。となれば、自転車を屋内か屋外のどちらかに置くことになるし、それはその人の生活の質を左右することにもなる。その人が、自転車通勤をする人かどうかによって、どんなスペースにするかが決まってくるだろう。
建築の仕事をする上で、誰から影響を受けたか?
――15年位前から建築に関係ない本を読むようになった。例えば、今はブラジル人F1レーサー、アイルトン・セナの自伝を読んでいる。後にこの本をもとにドキュメンタリー映画もつくられた。セナは雨のサーキットに強いレーサーで、カーブでは「セナ足」(1秒に5回も小刻みにアクセルを踏むテクニック)でスピードを落とさず走るのが得意だった。だから、エンジンを設計するホンダのエンジニアにも、直線で多少スピードが落ちてもいいから、小刻みな加速に少しでも機敏に反応するエンジンを作ってほしいと頼んでいた。
セナの話と自身の仕事とは、どのような関係があるのか?
――私が建築に取り入れたいと考えるのも、そういうかすかな差異への感受性だ。例えば、扉と壁との間がレンガ1個分程度と狭いのに、自転車を収納しなければならないとする。レンガの数は無限にあるわけではないし、レンガ50個分のスペースをとれるわけではない。となれば、自転車を屋内か屋外のどちらかに置くことになるし、それはその人の生活の質を左右することにもなる。その人が、自転車通勤をする人かどうかによって、どんなスペースにするかが決まってくるだろう。
写真:ラス・クルーセス巡礼路の見晴台(2010年)メキシコ、ハリスコ州 写真:Iwan Baan
それこそ、F1的で、漸進的でもある、ということか?
――他にもセナについて、心に残ったことがある。セナはエンジン音を聞くだけで、エンジンに問題があるかどうかがわかった。あるとき、エンジニアたちがコンピュータ解析では異常が見つからないとどれほど言ってもセナは納得せず、エンジンをすべて分解させた。すると、何の部品だったか忘れてしまったが、小さな亀裂が見つかったんだ。本能には、理性には把握できない何かを感じとる力がある。この力は建築には欠かせないものだ。何かを知ることによって感情が生じるが、それにどうして感動するのかは、自分ではわからないことがある。私たちは、そういう感覚や感情をもっと信頼しければいけない。
インタビュアーのラファエル・グムシオは『ラ・ナシオン』『エル・メルクリオ』『ラ・テルセーラ』『エル・メトロポリタノ』『ラス・ウルティマス・ノティシアス』『エル・パイス』『ニューヨーク・タイムズ』等の有力紙で執筆するジャーナリスト・作家。単著に『ハイチの債務と奇跡』がある。
教えてHouzz
いかがでしたか? コメント欄でご感想をおきかせください。
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