コメント
壁装をハイセンスに活かすウィンドウトリートメント:壁紙・タイル壁編
窓まわりのプロがお伝えする、ウィンドウトリートメントのベーシックな知識と楽しみ方。今回から2回にわたって、窓に隣接する壁の仕上げ材との組み合わせのコツをご紹介します。
なぜかコーディネートが一番最後になってしまうことの多いウィンドウトリートメントですが、季節で着替えることも可能なので、壁装材や床材との組み合わせのコツを知っておくと、後々ウィンドウトリートメントだけをチェンジして、大きく印象を変化させて楽しむことも可能です。そこで今回から2回にわたって、こだわりの壁装材と、それぞれの特性をを活かすウィンドウトリートメントについてご紹介します。壁紙、塗装・吹き付け壁、タイル・レンガタイル壁、木質の板壁、モールディングを施した壁などさまざまなタイプがありますが、前編では壁紙を施工した壁、タイル・レンガタイル壁の空間に適したウィンドウトリートメントについて考えてみたいと思います。
壁は部屋全体に対して占める面積が広いので、壁装材は部屋の印象を決める大きな要素です。したがって、隣接する目立つ位置に、やはり大きな面積で存在するウィンドウトリートメントの色柄の決定には、壁や床とコーディネートが大切になってきます。
まずは、壁や天井の仕上げ材として最も普及している壁装材である壁紙から取り上げましょう。
まずは、壁や天井の仕上げ材として最も普及している壁装材である壁紙から取り上げましょう。
- 壁紙
ここでは、最も一般的な塩化ビニル樹脂系と、紙系壁紙の場合の、ウィンドウトリートメントとの合わせ方をご覧いただきたいと思います。
塩化ビニル樹脂系壁紙
日本で最も一般的な壁紙はこのタイプでしょう。色、デザインともに豊富で使いやすい価格帯、施工しやすくメンテナンス性もよいうえ不燃、準不燃、防カビ、抗菌、消臭などの機能性、安定性にも優れています。
カラフルな手描き調マルチストライプ柄の樹脂系壁紙に合わせたのは、壁紙からピックアップした数色の無地の生地をはぎ合わせてデザインしたカーテン。太いボーダー状にしたのがポイントです。柄のスケールに大きく差をつけて、縦横に組み合わせることでリズム感が生まれています。
不燃性壁紙がマストのタワーマンションや、防汚機能があると助かる小さなお子様の部屋、防カビ機能が必要な日当たりの悪い部屋などにおすすめのコーディネートです。部屋が明るくなりますし、万が一カーテンの下方を汚してしまったり、結露でカビてしまったりした時に、切り替えてある下の方だけ新しい生地にして、新たなデザインを楽しめます。
日本で最も一般的な壁紙はこのタイプでしょう。色、デザインともに豊富で使いやすい価格帯、施工しやすくメンテナンス性もよいうえ不燃、準不燃、防カビ、抗菌、消臭などの機能性、安定性にも優れています。
カラフルな手描き調マルチストライプ柄の樹脂系壁紙に合わせたのは、壁紙からピックアップした数色の無地の生地をはぎ合わせてデザインしたカーテン。太いボーダー状にしたのがポイントです。柄のスケールに大きく差をつけて、縦横に組み合わせることでリズム感が生まれています。
不燃性壁紙がマストのタワーマンションや、防汚機能があると助かる小さなお子様の部屋、防カビ機能が必要な日当たりの悪い部屋などにおすすめのコーディネートです。部屋が明るくなりますし、万が一カーテンの下方を汚してしまったり、結露でカビてしまったりした時に、切り替えてある下の方だけ新しい生地にして、新たなデザインを楽しめます。
洗面室など湿気のある場所には、防カビ機能壁紙の中から、スタイルに合わせた色柄の壁紙を選びましょう。紙系壁紙をベースにビニルで化粧を施したもので、表面化粧層に塩化ビニル樹脂を20g/㎡以上使用したものが、塩化ビニル樹脂系壁紙として分類されています。
硬質な素材感の多い洗面室のウィンドウトリートメントは、メンテナンスしやすく、布のしなやかさをすっきりと取り入れることのできる、プレーンシェードがおすすめです。ホワイトのトリムをつけることで、さわやかさと清潔感を演出しています。
硬質な素材感の多い洗面室のウィンドウトリートメントは、メンテナンスしやすく、布のしなやかさをすっきりと取り入れることのできる、プレーンシェードがおすすめです。ホワイトのトリムをつけることで、さわやかさと清潔感を演出しています。
紙系壁紙
パルプや再生パルプ、和紙、コットンなどを主素材とする壁紙です。
自然な味わいを演出でき、通気性がよく、環境にやさしいのが特徴です。
水や湿気の影響を受けやすく、ビニル壁紙に比べて施工の際に手間がかかったり、汚れを落としにくいといったデメリットもありますが、本物志向のアーティスティックな色柄や自然な風合いを楽しみながら、より高度なインテリア演出ができる点で、そのメリットは非常に大きいと言えます。
工芸的な意匠の美しさが光る、ウィリアム・モリスデザインの壁紙に合わせるカーテンには、その威厳のある柄と本物の質感を活かす、上質な無地のベルベット素材を選ぶといいでしょう。カーテントップの規則正しいナイフプリーツが、さりげなくフォーマル感を高めています。
パルプや再生パルプ、和紙、コットンなどを主素材とする壁紙です。
自然な味わいを演出でき、通気性がよく、環境にやさしいのが特徴です。
水や湿気の影響を受けやすく、ビニル壁紙に比べて施工の際に手間がかかったり、汚れを落としにくいといったデメリットもありますが、本物志向のアーティスティックな色柄や自然な風合いを楽しみながら、より高度なインテリア演出ができる点で、そのメリットは非常に大きいと言えます。
工芸的な意匠の美しさが光る、ウィリアム・モリスデザインの壁紙に合わせるカーテンには、その威厳のある柄と本物の質感を活かす、上質な無地のベルベット素材を選ぶといいでしょう。カーテントップの規則正しいナイフプリーツが、さりげなくフォーマル感を高めています。
カーテン生地とまったく同じ色柄の壁紙を合わせられる場合が多いのも、洋紙壁紙の魅力のひとつです。イングリッシュカントリーハウス様式の寝室では、カーテンとお揃いの花柄やトワレプリントの壁紙で覆いつくすのが定番の時代もありましたが、今なら写真のようにモダンな照明や家具調度品を、「自然の風合い」という共通点を持たせて組み合わせてみるのはいかがでしょう。トラディショナルな美しさが古めかしくならず、驚くほど新鮮に映ります。
洋紙壁紙では、モードなフローラルプリントのバリエーションが増えています。少々甘すぎるように思えても、フローリングやエリアラグ、カーテン、家具そしてアートも、グレーやブラックなどのモノクロームで引き締めれば、洗練された印象になります。壁紙のフェミニンな花柄と好対照をなすカーテンのシャープなダイヤ柄に、イエローとグレーが少しずつ入っていて、リンクしつつお互いに引き立て合っています。
ウォールステッカー
壁面を気軽に楽しく演出できるインテリアアイテムとして、ここで少し触れておきたいのがウォールステッカーです。ツリーモチーフのウォールステッカーは特に取り入れやすく、多くのバリエーションの中から選ぶことができます。
この事例では、ツリーのホワイトが映えるイエローの壁に、ターコイズ色の鳥が楽しげに飛び交い、そしてそのすべてが配色されている北欧調のかわいらしい植物柄のカーテンを合わせて、さわやかでハッピーな自然界の物語を演出しています。
ソファの潔いイタリアンストライプのファブリック使いで、軽快な印象を強めています。
壁面を気軽に楽しく演出できるインテリアアイテムとして、ここで少し触れておきたいのがウォールステッカーです。ツリーモチーフのウォールステッカーは特に取り入れやすく、多くのバリエーションの中から選ぶことができます。
この事例では、ツリーのホワイトが映えるイエローの壁に、ターコイズ色の鳥が楽しげに飛び交い、そしてそのすべてが配色されている北欧調のかわいらしい植物柄のカーテンを合わせて、さわやかでハッピーな自然界の物語を演出しています。
ソファの潔いイタリアンストライプのファブリック使いで、軽快な印象を強めています。
まったく普通に見える白い壁でも、カーテンの色柄とリンクさせたモチーフのウォールステッカーを貼るだけで、こんなにもウィットに富んだ楽しいスペースに生まれ変わります。
驚くほど多様な図柄のウォールステッカーが入手可能ですが、最近はシンプルなドットを自由に配置して楽しむ事例を多く見かけます。たったこれだけで、窓辺に見違えるほどポップな躍動感が生まれますね。
ごくシンプルなデザインの窓から差し込む明かりが、部屋中に舞い広がっていくような錯覚をもたらします。窓には何も掛けていませんが、これも壁とのバランスを考えたウィンドウトリートメントのひとつと言えるかもしれません。
ごくシンプルなデザインの窓から差し込む明かりが、部屋中に舞い広がっていくような錯覚をもたらします。窓には何も掛けていませんが、これも壁とのバランスを考えたウィンドウトリートメントのひとつと言えるかもしれません。
ブラインド自体にステッカーを貼った、番外編のデコブラインドです。
市販されているウォールステッカーをブラインドに貼っただけですが、スラットの隙間から漏れる光が思わぬ効果をもたらしユニークな遠近感を楽しめるので、ぜひスラットカラーもコーディネートして試してみてください。
市販されているウォールステッカーをブラインドに貼っただけですが、スラットの隙間から漏れる光が思わぬ効果をもたらしユニークな遠近感を楽しめるので、ぜひスラットカラーもコーディネートして試してみてください。
- タイル・レンガタイル
素焼きのテラコッタタイルは、素朴な温かみがあり、多孔性で水分を吸収しやすいので、キッチンやサンルームからエクステリアにかけて多く使われます。
写真のタイル壁は、大理石と砂を使った、キューバのセメントタイルのパッチワーク。この窓にウィンドウトリートメントを合わせるなら、ざっくりとしたホワイトリネンのプレーンシェードに、キューバタイル伝統の幾何学文様をシンプルに取り入れたフレーム形状を、カラフルなテープで細く乗せてはいかがでしょう。
レンガは古くからヨーロッパでは構造材、外装用に使われてきましたが、最近ではその素朴な質感が好まれ、内装材にも使われるようになっています。
形、色ムラを活かして積み重ねたレンガの壁の窓には、ナチュラルな風合いのすだれ調ローマンシェードを合わせて、カウンタートップの大理石やソファのレザーといった、さまざまな素材感の対比を思い切り楽しみたいところです。
形、色ムラを活かして積み重ねたレンガの壁の窓には、ナチュラルな風合いのすだれ調ローマンシェードを合わせて、カウンタートップの大理石やソファのレザーといった、さまざまな素材感の対比を思い切り楽しみたいところです。
ホワイトウォッシュのレンガの壁なら、チェアのアクリル、フロアランプや梯子のメタルといった、ライトな素材感も合わせやすくなります。
ホワイトが基調の空間なので、ウィンドウトリートメントはますます素材感が重要です。ザラザラ、ツルツル、冷たい質感の集まった居住空間に必要なもうひとつの素材感はやはり、ファブリックのぬくもりと肌触りのよさでしょう。
レンガの重量感とのバランスを考えて、起毛コットンやコットンベルベット、厚手のリネンなどがよさそうです。カーテンのスタイルはプレーンでも、トップをゴブレットプリーツなどにして、ボリューム感をプラスする方法もあります。
後編では、塗装・吹き付け壁、木質の板壁、モールディングの壁と、それぞれに相性のよいウィンドウトリートメントについて解説します。
参考:『窓装飾プランナーBOOK』(日本インテリアファブリックス協会)、『インテリアスタイリング事典』(塩谷博子著、川島インターナショナル)
ウィンドウトリートメントの基礎がわかる「素敵な窓辺と暮らそう!」シリーズの記事をもっと読む
1:「バランス」の活用法
2:空間の「カラースキーム」
3:ウィンドウトリートメントの種類を知る
4:組み合わせでもっと充実! ウィンドウトリートメント
5:インテリアファブリックの特性を活かす
6:美しいウェーブをつくり出す、カーテントップの種類
7:カーテンサイドのスタイリング
8:カーテンボトムのスタイリング
9:窓辺を豊かに彩るカーテンアクセサリーとトリムの種類
壁紙を使った空間写真をもっと見る
コメント募集中
ご感想をお聞かせください。
ホワイトが基調の空間なので、ウィンドウトリートメントはますます素材感が重要です。ザラザラ、ツルツル、冷たい質感の集まった居住空間に必要なもうひとつの素材感はやはり、ファブリックのぬくもりと肌触りのよさでしょう。
レンガの重量感とのバランスを考えて、起毛コットンやコットンベルベット、厚手のリネンなどがよさそうです。カーテンのスタイルはプレーンでも、トップをゴブレットプリーツなどにして、ボリューム感をプラスする方法もあります。
後編では、塗装・吹き付け壁、木質の板壁、モールディングの壁と、それぞれに相性のよいウィンドウトリートメントについて解説します。
参考:『窓装飾プランナーBOOK』(日本インテリアファブリックス協会)、『インテリアスタイリング事典』(塩谷博子著、川島インターナショナル)
ウィンドウトリートメントの基礎がわかる「素敵な窓辺と暮らそう!」シリーズの記事をもっと読む
1:「バランス」の活用法
2:空間の「カラースキーム」
3:ウィンドウトリートメントの種類を知る
4:組み合わせでもっと充実! ウィンドウトリートメント
5:インテリアファブリックの特性を活かす
6:美しいウェーブをつくり出す、カーテントップの種類
7:カーテンサイドのスタイリング
8:カーテンボトムのスタイリング
9:窓辺を豊かに彩るカーテンアクセサリーとトリムの種類
壁紙を使った空間写真をもっと見る
コメント募集中
ご感想をお聞かせください。
おすすめの記事
Houzzツアー (お宅紹介)
各部屋の窓まわりをセンスよく装飾したベルリンの住まい
竣工直前にオーナーから依頼を受けたインテリアコーディネーター。101メートルもの高級な自然素材を使って、ベルリンの住宅にプライバシーと魅力をもたらしました。
続きを読む
リフォーム・リノベーションのヒント
夏におすすめ、窓のリフォーム。熱を遮断して涼しく、快適に暮らそう
室内の暑さを少しでも和らげるために、高性能・省エネ住宅を専門に手がける松尾和也さんに、難易度がそれほど高くない窓のリフォーム術について聞きました。
続きを読む
建材
風合いある空間づくりに「木製サッシ」のすすめ
文/小川のぞみ
「この家、ステキ」と一目見て惹かれ、中に入ったら居心地のよさに感動。もしかしたらそこには、「木の窓」がありませんか? この記事では、質感のよさと断熱性を兼ね備えた木製サッシの魅力に迫りたいと思います。
続きを読む