世界のHouzzから:幾何学模様で人気再燃! セメントタイルの新しいトレンド
19世紀に発明され、アール・ヌーヴォーで人気を博したセメントタイル。一時は人気が下火になったものの、最近はコンテンポラリーなデザインによるアイテムが、欧米のインテリアで人気を集めています。
Tachy Mora
2016年7月5日
セメントタイルは19世紀ヨーロッパで生まれ、アールヌーヴォー様式の建築に広く用いられていた。スペイン(バルセロナにあるガウディの建築がまさに好例)、フランス、ドイツほか、世界各地で床材として人気があったが、バウハウスを始めとする20世紀の建築様式が登場して以降、人気が廃れていった。
しかし最近、再び、床材としてセメントタイルが選ばれることが多くなっている。何につけてもヴィンテージ人気が高まっていること、世界的に手作りの製品を見直す動きが出ていることも関係しているだろう。伝統的なセメントタイルデザインの人気が復活する一方、新しい図柄も注目を集めている。デザイナーやメーカーも、セメントタイルにコンテンポラリーな幾何学的デザインを取り入れて用途を広げ、この素材に新しい命を吹き込んでいる。
しかし最近、再び、床材としてセメントタイルが選ばれることが多くなっている。何につけてもヴィンテージ人気が高まっていること、世界的に手作りの製品を見直す動きが出ていることも関係しているだろう。伝統的なセメントタイルデザインの人気が復活する一方、新しい図柄も注目を集めている。デザイナーやメーカーも、セメントタイルにコンテンポラリーな幾何学的デザインを取り入れて用途を広げ、この素材に新しい命を吹き込んでいる。
世界では、最近までセメントタイルが知られていなかった地域もあるが、ヨーロッパにおいては歴史ある重要な文化のひとつだ。スペインでは古い家をリノベーションすると、以前の改装で隠れてしまっていたセメントタイルの床が発見されることも多い。今では価値が高まっているため、床をオリジナルの状態に復原する人も増えている。「セメントタイル床が出てくれば宝くじに当たったようなもの」と言う人もいるほどだ。もちろん、あまり価値がないと考える人もいるし、復原の予算がないこともある。
セメントタイルが好まれる理由のひとつは、すべて手作業で作られることだろう。100年以上も変わらず、同じ手法で作られている。
イギリスで特許が取得されていたポルトランドセメントをベースに、南フランスでセメントタイルの製法が開発されたのが19世紀半ばのこと。最初に製品として登録したのは、スペイン・カタロニア地方の製造業者だった。
セメントタイルが好まれる理由のひとつは、すべて手作業で作られることだろう。100年以上も変わらず、同じ手法で作られている。
イギリスで特許が取得されていたポルトランドセメントをベースに、南フランスでセメントタイルの製法が開発されたのが19世紀半ばのこと。最初に製品として登録したのは、スペイン・カタロニア地方の製造業者だった。
セメントタイルが斬新だったのは、粘土やセラミックのタイルとは異なり、焼き上げる必要がないことだった。これにより、作業が楽になるだけでなく、完成品の色彩が濡れた状態のときからほとんど変化しないという利点がある。セラミックタイルの場合は焼き加工で色がかなり変化するため、思いどおりの色合いに仕上げるためには複雑な試験行程が必要になるのだ。
セメントタイルを作るには、まず材料であるセメント砂・自然石の粉末・顔料をタイルの型に流し込み、プレスで圧力をかけて固める。型は正方形、6角形、8角形があり、その内部にスペイン語で「トレパ」と呼ばれる仕切り型が入ることもある。この仕切りで色を分け、模様を描き出すのだ(写真)。
タイルはひとつひとつ成形される。1枚にかかる時間は3分ほど。プレス機で固めて型から出すと、次は水に数時間浸して硬化させる。ポルトランドセメントは、乾燥した状態から水に触れて化学反応を起こすことで粘着性が出て固まるのだ。その後、4週間ほど自然乾燥させる。
セメントタイルを作るには、まず材料であるセメント砂・自然石の粉末・顔料をタイルの型に流し込み、プレスで圧力をかけて固める。型は正方形、6角形、8角形があり、その内部にスペイン語で「トレパ」と呼ばれる仕切り型が入ることもある。この仕切りで色を分け、模様を描き出すのだ(写真)。
タイルはひとつひとつ成形される。1枚にかかる時間は3分ほど。プレス機で固めて型から出すと、次は水に数時間浸して硬化させる。ポルトランドセメントは、乾燥した状態から水に触れて化学反応を起こすことで粘着性が出て固まるのだ。その後、4週間ほど自然乾燥させる。
こうした従来のテクニックを使い、新しい図柄のセメントタイルを作るメーカーやデザイナーも登場している。写真の《ドロップス》コレクションは、スペインの〈マット・デザイン〉デザインし、同じくスペイン・バレンシアの〈エンティックデザインズ〉が2012年に発売した製品だ。
「《ドロップス》はタイル業界で話題になりました。セメントタイル特有の昔ながらの図柄や決められたレイアウトに、新しいひねりを加えて最初の製品のひとつだったんです」と、〈マット・デザイン〉創立者のアルベルト・サンチェスさんは言う。伝統的なセメントタイルにも幾何学模様を描いたものはあったが、「ドロップス」の新しい点は、ランダムなデザインを作り出せるということだ。
「これは、かつてない試みだと思っています。セメントタイルというのは、決められたレイアウトに従い、1種類のタイルだけを使って均一な図柄を作り出すものでした。私たちは、美しいデザインはもちろんですが、それ以上に何かできないかと考えたんです。そこで、図柄にバリエーションのある4種類のタイルを組み合わせて自由にレイアウトできる製品をデザインしました。パターンをいろいろ変えて、空間のリズム感に変化をつけることができます」とサンチェスさんは話す。こちらのキッチンの床も、その一例だ。
「この自由なレイアウトシステムなら、ユーザーがデザインに参加して、自分たちで最終的なレイアウトを決めることができます」とサンチェスさんは言う。
「これは、かつてない試みだと思っています。セメントタイルというのは、決められたレイアウトに従い、1種類のタイルだけを使って均一な図柄を作り出すものでした。私たちは、美しいデザインはもちろんですが、それ以上に何かできないかと考えたんです。そこで、図柄にバリエーションのある4種類のタイルを組み合わせて自由にレイアウトできる製品をデザインしました。パターンをいろいろ変えて、空間のリズム感に変化をつけることができます」とサンチェスさんは話す。こちらのキッチンの床も、その一例だ。
「この自由なレイアウトシステムなら、ユーザーがデザインに参加して、自分たちで最終的なレイアウトを決めることができます」とサンチェスさんは言う。
こちらの写真は、同じく〈エンティックデザインズ〉の《ケイドス》コレクション。アイデアは同じだが、より幾何学的なデザインになっている。
マリア=ウヘニア・ルビオさんが2005年に立ち上げた〈エンティックデザインズ〉は、スペインのコルドバにある工房と提携してタイルを製造している。4世代続くこの工房には、タイル作りの貴重なノウハウがあるのだ。「セメントタイルに特有で、ほかの素材には出せないのが、年月を経たときの美しさです」とルビオさんは言う。「とてもすばらしい風合いが出てくるんです。手作業のものづくりが見直されていることと合わせて、セメントタイルが再流行している理由ですね。」
サンチェスさんは〈マット・デザイン〉のポリシーについて次のように話す。「今はかなり競争が厳しくなっていて、だからこそ私たちは、色であれ図柄であれ、デザインで差をつけたいといつも考えているんです。〈エンティックデザインズ〉のためのデザインでは、新鮮で、ほかにないような、これまで見慣れたセメントタイルとはまったく違うものを作り出そうとしています。」
マリア=ウヘニア・ルビオさんが2005年に立ち上げた〈エンティックデザインズ〉は、スペインのコルドバにある工房と提携してタイルを製造している。4世代続くこの工房には、タイル作りの貴重なノウハウがあるのだ。「セメントタイルに特有で、ほかの素材には出せないのが、年月を経たときの美しさです」とルビオさんは言う。「とてもすばらしい風合いが出てくるんです。手作業のものづくりが見直されていることと合わせて、セメントタイルが再流行している理由ですね。」
サンチェスさんは〈マット・デザイン〉のポリシーについて次のように話す。「今はかなり競争が厳しくなっていて、だからこそ私たちは、色であれ図柄であれ、デザインで差をつけたいといつも考えているんです。〈エンティックデザインズ〉のためのデザインでは、新鮮で、ほかにないような、これまで見慣れたセメントタイルとはまったく違うものを作り出そうとしています。」
〈CaSA-コロンボ・アンド・セルボリ・アーキテクチャー〉が設計したバルセロナのアパートメントには、〈ゼラルト〉社のデザインしたタイルが使われている。家全体とマッチするよう、タイルの色は特注して作られた。「これがセメントタイルの大きな強みのひとつですね。手作りですから、色合いも変えることができるんです」とルビオさんは説明する。
「セメントタイルの柄を現代的に変えていくことで、用途もお客さんの幅もどんどん広がります」と〈CaSA〉のマテオ・コロンボさんは言う。「新しい使い方もできますし、当時の建物の床を張り替えるときにも使えます。タイキ・アパートメント(写真)では、あえてオリジナルの床でないことが分かるようにしました。そうでないと、ちょっと騙しているみたいに感じられるんです。床を張り替えるときには、昔からあったように見せるのではなく、新しく取り入れた素材だとはっきりわかるようにしたいんです。」
「デザインを新しくしても、セメントタイル独特の個性は失われません」と、〈カサ〉のアンドレア・セルボリさんは言う。「逆に、新しいパターンが可能性を広げてくれます。どんな素材でも、発展曲線というものがありますが、新しいデザインのタイルも、伝統的なものと同じように長く愛されていくと思いますね。」
タイキ・アパートメントの写真をもっと見る
「セメントタイルの柄を現代的に変えていくことで、用途もお客さんの幅もどんどん広がります」と〈CaSA〉のマテオ・コロンボさんは言う。「新しい使い方もできますし、当時の建物の床を張り替えるときにも使えます。タイキ・アパートメント(写真)では、あえてオリジナルの床でないことが分かるようにしました。そうでないと、ちょっと騙しているみたいに感じられるんです。床を張り替えるときには、昔からあったように見せるのではなく、新しく取り入れた素材だとはっきりわかるようにしたいんです。」
「デザインを新しくしても、セメントタイル独特の個性は失われません」と、〈カサ〉のアンドレア・セルボリさんは言う。「逆に、新しいパターンが可能性を広げてくれます。どんな素材でも、発展曲線というものがありますが、新しいデザインのタイルも、伝統的なものと同じように長く愛されていくと思いますね。」
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「ほかのヨーロッパ地域と同じく、スウェーデンでも100年ほど前はセメントタイルが大人気で、主にロビーや廊下、学校や劇場といった場所でよく使われていました」と言うのは、ペル・アンダース・オヴィンさん。2006年、妻のインガ=リルさんとともにスウェーデンで〈マラケシュ・デザイン〉を設立した。社名は、インスピレーションとなったモロッコの町・マラケシュにちなんでいる。「住宅では木を使うことが多く、セメントタイルが使われることはあまりありませんでした。セメントタイルは、流行が去ってから、5年~10年ほど前まではすっかり忘れられていた素材ですね。」
「最近の変化には、世界的なトレンドが影響していると思います。カスタマイズされたパーソナルな製品が求められるようになっていることや、ヴィンテージ人気の再燃、幾何学模様に注目が集まっていること。すべて、これまでのミニマリズム人気への反動でしょう」とペルさんは言う。「セメントタイルは、手作りで、カスタマイズできるし、そのままでも美しいけれど年月とともに素晴らしい風合いが出てきます。こういった特徴が組み合わさって、モダンだけどすぐに古びてしまう素材と比較しても、ずっと魅力的なんです。」
しかしスウェーデンでは、今もバスルーム以外で住宅にセメントタイルが使われることは少ない。中心的な用途は住宅以外のプロジェクトだ。
「最近の変化には、世界的なトレンドが影響していると思います。カスタマイズされたパーソナルな製品が求められるようになっていることや、ヴィンテージ人気の再燃、幾何学模様に注目が集まっていること。すべて、これまでのミニマリズム人気への反動でしょう」とペルさんは言う。「セメントタイルは、手作りで、カスタマイズできるし、そのままでも美しいけれど年月とともに素晴らしい風合いが出てきます。こういった特徴が組み合わさって、モダンだけどすぐに古びてしまう素材と比較しても、ずっと魅力的なんです。」
しかしスウェーデンでは、今もバスルーム以外で住宅にセメントタイルが使われることは少ない。中心的な用途は住宅以外のプロジェクトだ。
ペルさんによると、セメントタイルを使う理由としては、部屋に地中海風のニュアンスを加えることよりも、インパクトのある雰囲気を作り出すためであることが多いという。こちらのベッドルームもその一例だ。スウェーデンの有名デザイン事務所〈クラーソン・コイヴィスト・ルーネ〉が手がけた《ダンデライオン》タイルが使われている。
セメントタイルを新解釈したこちらのスタイルは、「自然な発展形と言えるでしょうね。伝統的なデザインを振り返ってみても、幾何学的な図柄はたくさんありました。こういった新しいデザインも、その方向にもう一歩進んだに過ぎないのです」とペルさんは言う。
オヴィン夫妻は、同じくセメントタイルを扱う〈ポパム・デザイン〉とも緊密な関係を築いてきた。〈ポパム・デザイン〉は2007年にアメリカ人のケイトリン&サミュエル・ダウ=サンデス?夫妻がマラケシュで立ち上げたブランドだ。「お互いのプロダクトの一部を製造し合っています。私たちはスウェーデンでの〈ポパム・デザイン〉の代理店もしているんですよ」とペルさんは言う。
セメントタイルを新解釈したこちらのスタイルは、「自然な発展形と言えるでしょうね。伝統的なデザインを振り返ってみても、幾何学的な図柄はたくさんありました。こういった新しいデザインも、その方向にもう一歩進んだに過ぎないのです」とペルさんは言う。
オヴィン夫妻は、同じくセメントタイルを扱う〈ポパム・デザイン〉とも緊密な関係を築いてきた。〈ポパム・デザイン〉は2007年にアメリカ人のケイトリン&サミュエル・ダウ=サンデス?夫妻がマラケシュで立ち上げたブランドだ。「お互いのプロダクトの一部を製造し合っています。私たちはスウェーデンでの〈ポパム・デザイン〉の代理店もしているんですよ」とペルさんは言う。
「アメリカでは、セメントタイルを使う歴史はヨーロッパほど古くありません。今のブームの背景には、手作りの、本物の良さが製品により求められるようになったことがあると思います。セメントタイルは見た目も手触りも、大量生産された製品とは比較になりません。違いは明らかですね」とケイトリンさんは言う。
「デザイン面で言うと、アメリカではセメントタイルはモロッコのようなエギゾチックな場所のものと受け止められるので、アメリカ人のライフスタイルに合うように調整してあげる必要があるんです」とケイトリンさんは説明する。「それがポパム・デザインのコンセプト。昔ながらの手法で、伝統の技を受け継ぎながら、よりコンテンポラリーな色柄で製品をアップデートするんです。」
「私たちの図柄はモダンで、まったく伝統的ではありません。空間にちょっと個性を出したいと考える建築家やインテリアデザイナーが取り入れることが多いですね。壁や床に、壁紙を張ったり大きなラグを敷いたりするのと同じ感覚で使えば、個性を出したり、部屋を新鮮に感じさせることができるんです。私たちの製品は色を自由にカスタマイズできるという点でも、デザイナーや建築家にとって、ほかにはない装飾的要素をプラスできることになります。」
「私たちの図柄はモダンで、まったく伝統的ではありません。空間にちょっと個性を出したいと考える建築家やインテリアデザイナーが取り入れることが多いですね。壁や床に、壁紙を張ったり大きなラグを敷いたりするのと同じ感覚で使えば、個性を出したり、部屋を新鮮に感じさせることができるんです。私たちの製品は色を自由にカスタマイズできるという点でも、デザイナーや建築家にとって、ほかにはない装飾的要素をプラスできることになります。」
「先ほども言ったのですが、セメントタイルブームの理由のひとつには、手作りの価値が見直されていることが挙げられます」とケイトリンさんは続ける。「私たちのタイルを作る職人さんたちは、長年の経験があり、自分たちの仕事に誇りを持っていて、それが完成品にも表れていると思います。また一方では、幾何学的デザインや大胆な色彩へと向かう世界的な流れがあります。私たちのタイルにはその両方が含まれていて、取り入れた空間にユニークなディテールと個性を演出することができるんです。」
「伝統的なセメントタイルも好きですから、決して現代的なデザインが昔のものより良いと言うわけではありません」とケイトリンさんは言う。「デザインは進化していくもので、最も素晴らしい製品というのは、昔ながらの技術やノウハウと、新しいアイデアやテクノロジーを組み合わせたものであることが多いのです。ここ数年で登場したデザインのおかげでセメントタイルに興味を持つようになったという人も増えていますが、それがまた、この伝統が続いていくことにもつながっているのです。」
「伝統的なセメントタイルも好きですから、決して現代的なデザインが昔のものより良いと言うわけではありません」とケイトリンさんは言う。「デザインは進化していくもので、最も素晴らしい製品というのは、昔ながらの技術やノウハウと、新しいアイデアやテクノロジーを組み合わせたものであることが多いのです。ここ数年で登場したデザインのおかげでセメントタイルに興味を持つようになったという人も増えていますが、それがまた、この伝統が続いていくことにもつながっているのです。」
ロシアのインテリアデザイン事務所〈モデル_バナノワ〉のアレクサンドル・コルガノフさんとシェペノク・エヴゲニーさんは、必ずプロジェクトにセメントタイルを取り入れているという。こちらのキッチンでバックスプラッシュに使われているタイルは、スペインのメーカー《モザイク・デル・スル》の製品だ。
フランスやスペインに続いてセメントタイルを製造し始めたのが北アフリカのモロッコだったことから、ロシアでも、セメントタイルにはモロッコ風という印象がある。「地中海風の雰囲気を出したいプロジェクトで使われることが一般的ですが、よりコンテンポラリーなインテリアにも使われ始めていますね」とコルガノフさんは言う。「〈ポパム・デザイン〉は新しい会社ですが、いちばん注目しているところでもあります。伝統的というイメージとはかけ離れた製品を作っていて、フランスの〈カロシム〉社やマラガの〈モザイク・デル・スル〉社と並び、私たちのお気に入りです。」
フランスやスペインに続いてセメントタイルを製造し始めたのが北アフリカのモロッコだったことから、ロシアでも、セメントタイルにはモロッコ風という印象がある。「地中海風の雰囲気を出したいプロジェクトで使われることが一般的ですが、よりコンテンポラリーなインテリアにも使われ始めていますね」とコルガノフさんは言う。「〈ポパム・デザイン〉は新しい会社ですが、いちばん注目しているところでもあります。伝統的というイメージとはかけ離れた製品を作っていて、フランスの〈カロシム〉社やマラガの〈モザイク・デル・スル〉社と並び、私たちのお気に入りです。」
ドイツでは、セメントタイルはアールヌーヴォーの時代から使われており、20世紀初頭にはたいへん人気があった。そんなドイツでいちばん有名なメーカーのひとつが〈ヴィア〉だ。
「デザイナーはいますが、私自身もセメントタイルの図柄をデザインしているんです」と、同社を経営するアルムート・ラガーさんは言う。「〈ヴィア〉では、古いデザイン、特にアールヌーヴォーの時代のものにこだわりがあります。セメントタイルは素晴らしい素材で、新しいデザインも含め、いろいろな図柄によく合います。古いデザインは定番ですから、これまでの例からもわかりますが、長期的に見て素晴らしい選択です。新しいデザインについては、年月とともにどうなるか、未知の部分がありますね。」
「デザイナーはいますが、私自身もセメントタイルの図柄をデザインしているんです」と、同社を経営するアルムート・ラガーさんは言う。「〈ヴィア〉では、古いデザイン、特にアールヌーヴォーの時代のものにこだわりがあります。セメントタイルは素晴らしい素材で、新しいデザインも含め、いろいろな図柄によく合います。古いデザインは定番ですから、これまでの例からもわかりますが、長期的に見て素晴らしい選択です。新しいデザインについては、年月とともにどうなるか、未知の部分がありますね。」
世界的にセメントタイルのファンが増えたことで、大手メーカーもこのトレンドに注目し始めた。2015年には、ガラスモザイクタイルを専門に扱うイタリアの〈ビザッツァ〉社が、セメントタイルのコレクションを発表した。同社にとっては新素材であるセメントタイルを知り、さらにそれを新しい方向へと発展させる試みになる。
このコレクションにあたり〈ビザッツァ〉が声をかけたのは、トム・ディクソン、インディア・マーダヴィ、カルロ・ダル・ビアンコ、ジェイミー・ヘイヨンといった一流デザイナー。写真のタイルはヘイヨンのデザインだ。
このコレクションにあたり〈ビザッツァ〉が声をかけたのは、トム・ディクソン、インディア・マーダヴィ、カルロ・ダル・ビアンコ、ジェイミー・ヘイヨンといった一流デザイナー。写真のタイルはヘイヨンのデザインだ。
ジェイミー・ヘイヨンのタイルの特色は、配置方法によって数限りないパターンが現れること。描き出される図形も、それによって作り出される質感も、実にさまざまだ。永遠に続くかのような図柄で動きを演出し、異なる空間のあいだにつながりを感じさせることができる。
一方こちらは、イギリスの有名デザイナー、トム・ディクソンの作品。彼らしく、ぐっと都会的でポップアートを思わせるデザインだ。「今回のコレクションでは、モダンなデザインと手作りの魅力を組み合わせて、伝統的なセメントタイルに現代的な洗練された感覚を取り入れようと考えました」と言うのは、〈ビザッツァ〉創業者の娘でPR責任者のロセラ・ビザッツァさん。
「セメントタイルには、ガラスモザイクとはかなり異なるアプローチが必要ですが、〈ビザッツァ〉の持つスタイルとの一体感を出すことを目指しました」と語る。こちらはパオラ・ナヴォーネの作品で、コレクション内でもいちばん遊び心のあるデザインだ。
セメントタイルブームの結果、〈ペロンダ〉や〈ポルセラノーサ〉といったセラミックタイルを専門に扱う会社では、セメントタイルからインスピレーションを受けたデザインのセラミックタイルも売り出し始めている。写真のタイルはフランシスコ・セガラが〈ペロンダ〉のためにデザインした《FS》コレクションの一部。全体的に、レトロな柄と、あえて古びた風合いを出していることが特徴だ。
もちろん、セラミックタイルと、より光沢のないセメントタイルでは、原料が違うほか、作り方も異なる。セラミックタイルは工場生産だが、セメントタイルは先にもご紹介したような手作業で作られている。
教えてHouzz
セメントタイルを家づくりにとりいれてみたいと思いますか?
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インドネシア・バリ島よりセメントタイルを輸入販売しておりますタイルショップ・ガウディです。
この度セメントタイルの施工事例のブログを開設いたしました。
http://cement-tile-gaudi.com
先日のバリ島出張の際、弊社取引先セメントタイルのある、開放感あふれるカフェや、高級villaなどを取材して参りましたので、そちらの記事を掲載しております。
今後、少しずつ記事を増やしていきますので、どうぞ宜しくお願い致します。
セメントタイルを輸入販売しておりますタイルショップ・ガウディです。
Webサイトを更新いたしました。
https://www.tile-shop-gaudi.com/cementtile-front/
カタログや価格表もダウンロード可能です。
どうぞご検討下さいませ。
セメントタイルを輸入販売しておりますタイルショップ・ガウディです。
ビンテージ風セメントタイルも販売しております。
https://www.tile-shop-gaudi.com/vintage-cement-tile/
エイジング加工は無料にて行っております!
色・デザイン共に無限大に自由です。製作されたいモチーフはラフ画でも構いません。ご相談ください。