日本の “ものづくり力” を感じる、美しく機能的な家具〈椅子編〉
日本の職人の確かな技術で作られた、日本人の住環境や感性にぴったり寄り添う、素敵なジャパンメイドの椅子の数々をご紹介します。
takako kawaguchi
2016年4月20日
組んだり曲げたり、繊細なデザインワークの技とアイデアを結集して作られる椅子。直接肌に触れ、長い時間座り、しかもインテリアとして大きな存在感を持っているので、こだわりは人それぞれ、非常に多様で微細でもあります。そんな奥深い椅子の世界で、今回注目したのが、私たち日本人の好みや生活習慣を知り尽くした職人の手による、ジャパンメイドの椅子。「さすが日本の技術!」と感嘆するディテールや、私たちの感性にしっくりくるデザインは、日本のものづくりへの誇りを日々の生活のシーンで感じさせてくれるにちがいありません。
インテリアの格を上げる、個性とこだわりのチェア
職人が木の性質を見極め、手間と時間をかけて丁寧に作り出した椅子は、何気なく置いてあるだけでもその場の空気を変えるパワーを持っています。
この曲木のウィンザーチェアは、まさにそんな一脚。何も語らずとも、主の好みを代弁しているかのような、静かなオーラをまとっています。
背の部分はチェリーの一枚板を熱の力でアールにしてあり、とても丈夫。座面には座り心地のいいクルミ(ウォールナット)材を使っています。北軽井沢にある家具設計製作工房、〈ISHITANI FURNITURE〉のもので、ビスを使わない木組みのため、特に座面と足の接合部は木の乾燥や木目などを考慮し、0.1ミリ単位の調整を行うそう。惚れ惚れする無垢の木の質感や全体のバランスはもちろん、目に見えない緻密な作業工程すべてが、チェアの美しい魅力として結実しています。
職人が木の性質を見極め、手間と時間をかけて丁寧に作り出した椅子は、何気なく置いてあるだけでもその場の空気を変えるパワーを持っています。
この曲木のウィンザーチェアは、まさにそんな一脚。何も語らずとも、主の好みを代弁しているかのような、静かなオーラをまとっています。
背の部分はチェリーの一枚板を熱の力でアールにしてあり、とても丈夫。座面には座り心地のいいクルミ(ウォールナット)材を使っています。北軽井沢にある家具設計製作工房、〈ISHITANI FURNITURE〉のもので、ビスを使わない木組みのため、特に座面と足の接合部は木の乾燥や木目などを考慮し、0.1ミリ単位の調整を行うそう。惚れ惚れする無垢の木の質感や全体のバランスはもちろん、目に見えない緻密な作業工程すべてが、チェアの美しい魅力として結実しています。
やさしい曲線で、見るからに肌当たりがやわらかそうなダイニングチェア。脚先は丸い断面ですが、アーム部分は持った際に心地いい丸四角に徐々に変化。このように、技術を隠し味として効かせてあることから「PEPE(イタリア語で胡椒の意味)」と名づけられた椅子です。村澤一晃氏デザイン、徳島の宮崎椅子製作所の製作、横浜の〈3rd your life style shop〉のセレクト。こちらのお宅では、4脚のうち2脚をPEPE、2脚は他のタイプの木製チェアに。ダイニングでさまざまなお気に入りチェアをミックスして使うのは、いかにも椅子好きらしい演出。
愛知県蒲郡市で、小物から大型家具までさまざまなアイテムを製作している〈ECHOES furniture〉の最新作、《FUJI ARM CHAIR》。“日本人に合ったアームチェア”をコンセプトに、肘を自然にのせやすい高さと長さのアームや、長時間でも体を委ねられる木の座のラインに特にこだわって作られています。脚の長さや背の位置は、プラスマイナス20ミリまで変更でき、自分仕様のサイズで快適に使うことができます。名前の通り、雄大な富士山を想起する笠木のフォルムが印象的。写真は無垢のブラックチェリー材。
無駄のないシンプルな細身デザイン。ポイントは上品なヘリンボーン張りの座面です。北欧で学んだ技術を活かし、岐阜県高山市で木製オーダー家具やインテリア小物製作などを行う〈KOIVU〉(フィンランド語で白樺の意味)の作。北欧の学校の椅子をイメージしたことから、《KOULU》(フィンランド語で学校の意味)」とネーミングされています。
色や生地、仕上げを選ぶ楽しみがあるのがこちら。「メイドイン福島の本物の椅子」を謳った、郡山市の〈家具と家の相談屋さん La Vida〉の製作で、品質・デザイン・コストパフォーマンスを追求したシリーズです。座面はファブリックやタンニンなめしのレザー、鹿革などからチョイス可能。オイルフィニッシュの他、上質感のある漆仕上げもオーダーできます。
海外でも有名な山形の木製家具メーカー、〈天童木工〉製のイージーチェアは、リビングはもちろん、日本の和室にもしっくりなじむデザイン。スウェーデンの家具デザイナーの巨匠、ブルーノ・マットソンが初来日した際、畳の生活様式と日本人の体型に合うようにとデザインし、天童木工の職人たちと協力して完成させたものです。同社が誇る成形合板の技術で作ったフレームを組み合わせ、シートはキャンバス布を張った上にクッションをのせたシンプルな構造のため、非常に軽量。脚部はソリのような形になっており、畳やカーペットに跡がつきにくいよう工夫を凝らしてあるのも、畳の生活を実体験した日本通のデザイナーならではの発想です。同シリーズで2シーター、3シータータイプやオットマンなどもあり、少しずつ買い揃えていく楽しみも。発売から現在まで40年以上愛され続けているロングセラー商品。
日本の生活スタイルに合う座椅子
和室で好まれるのが、座りやすく立ちやすい、アームつきの座椅子。和室でなくても、フローリングにローテーブルを置いた場合や、ちょっと和モダンな空間を作りたいときにも有効なアイテムです。
福岡市の〈INAGAKI DESIGN WORKS〉の座椅子は、座布団とダイニングチェアの間のほどよい高さ。座面の幅が広く、座の下に空間があるので、足を組んだり投げ出したりも自由にできます。すり脚構造で畳や床に傷がつきにくく、動かすときも軽く静かに移動可能。
和室で好まれるのが、座りやすく立ちやすい、アームつきの座椅子。和室でなくても、フローリングにローテーブルを置いた場合や、ちょっと和モダンな空間を作りたいときにも有効なアイテムです。
福岡市の〈INAGAKI DESIGN WORKS〉の座椅子は、座布団とダイニングチェアの間のほどよい高さ。座面の幅が広く、座の下に空間があるので、足を組んだり投げ出したりも自由にできます。すり脚構造で畳や床に傷がつきにくく、動かすときも軽く静かに移動可能。
ミニマルな形で、スタッキングもできるよう工夫されているこの椅子は、〈工房のある家具店 cachito furniture〉のセレクト。神戸市にある自社工房で天然木の家具なども作っているお店です。座卓で食事をするとき、身長が届かない子供を座らせるのにも便利です。
高さを抑えた設計で、こたつなどでも使えるのがこちら。手軽にどこにでも持ち運び、心地いい自分の居場所を作ることができる、アイデアに満ちた商品です。無垢材の美しさを引き立たせ、機能性を持たせた家具を生み出している、奈良県宇陀市の〈furniture factory store WEATHER REPORT〉製。
特別なくつろぎのシーンを演出するロッキングチェア
ちょっぴり懐かしさも感じるロッキングチェアは、眺めているだけでゆったりとくつろいだ気持ちに。洋室に置けばトラディショナルなテイストを演出し、和室にも違和感なく溶け込みます。
写真は〈ippon by CONDE HOUSE〉の「うちわシリーズ」のロッキングチェアで、レイアウトしやすいコンパクトなサイズ感。特徴的な意匠の「うちわシリーズ」はデンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーの名作《ピーコックチェア》をオマージュし、私たち日本人のライフスタイルに合わせてリ・デザインされたシリーズです。
ちょっぴり懐かしさも感じるロッキングチェアは、眺めているだけでゆったりとくつろいだ気持ちに。洋室に置けばトラディショナルなテイストを演出し、和室にも違和感なく溶け込みます。
写真は〈ippon by CONDE HOUSE〉の「うちわシリーズ」のロッキングチェアで、レイアウトしやすいコンパクトなサイズ感。特徴的な意匠の「うちわシリーズ」はデンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーの名作《ピーコックチェア》をオマージュし、私たち日本人のライフスタイルに合わせてリ・デザインされたシリーズです。
共に成長を楽しみ、空間に彩りを添える子供椅子
「無垢材の椅子」と聞いて一番に思い描くのは、実は子供用の椅子だという方もいるかもしれません。幼い頃からあたたかな無垢の木の感触を肌で覚え、遊ぶときも食事のときも一緒。その原体験はきっと、家具に愛着を持つきっかけとなるのではないでしょうか。
自然の中で生まれるシンプルであたたかいもの、そんな家具作りをしている栃木県那須町の〈家具工房 kinome〉の子供椅子は、ずっと使い続けられる飽きのこないデザイン。ぬくもりのある木の質感と丸みを帯びたディテールが、小さくてやわらかな体にも優しくなじみます。
「無垢材の椅子」と聞いて一番に思い描くのは、実は子供用の椅子だという方もいるかもしれません。幼い頃からあたたかな無垢の木の感触を肌で覚え、遊ぶときも食事のときも一緒。その原体験はきっと、家具に愛着を持つきっかけとなるのではないでしょうか。
自然の中で生まれるシンプルであたたかいもの、そんな家具作りをしている栃木県那須町の〈家具工房 kinome〉の子供椅子は、ずっと使い続けられる飽きのこないデザイン。ぬくもりのある木の質感と丸みを帯びたディテールが、小さくてやわらかな体にも優しくなじみます。
「将来アンティークになっていけるもの」を目指した家具や雑貨作りをしている、〈ミシン-mishim-〉のカラフルなキンダーチェア。横にしたりひっくり返しても使える、ユニークなアイテムです。1つは机、1つは椅子としてコンビ使いしてもよし、踏み台にしたり、壁際に並べれば収納にも。職人によるハンドメイドで釘やビスを使わず、仕上げはドイツの自然塗料 osmoを刷毛塗り。大人になっても、さらにその先の世代までも使い続けられる良質な椅子です。
木の味わいと、ペーパーコードの座り心地のよさが融合した洗練デザイン。大人用とお揃いの形なのできっと子供もご満悦のはず! 2歳頃から使えます。このような美しく上質なアイテムに幼い頃から触れることで、本物のよさを知る大人に育ってくれるかもしれません。長野県朝日村のハンドメイド家具工房、〈スタイル・ガレ〉の製作。
絵になるスツールをアクセントとして取り入れて
気軽にヒョイと持ち運べて、邪魔にもならず、座る以外にも物をちょい置きしたり、グリーンを飾ったりと自由に使えるスツール。インテリアのポイントとして、おもしろみのあるデザインを選ぶのも一興です。
こちらの三角形のスツールは、接地面がカーブした独創的な形。乗馬の姿勢をヒントに、両足をしっかり床につけ、上半身のバランスをとりながら座れるよう考案されました。背筋が自然と伸び、腰に負担がかかりにくいというメリットも。用途や体の大きさに合わせて4種類から選べます。作っているのは、生活の道具としての家具をデザイン・製作する、東京都世田谷区の〈simdesign〉。
気軽にヒョイと持ち運べて、邪魔にもならず、座る以外にも物をちょい置きしたり、グリーンを飾ったりと自由に使えるスツール。インテリアのポイントとして、おもしろみのあるデザインを選ぶのも一興です。
こちらの三角形のスツールは、接地面がカーブした独創的な形。乗馬の姿勢をヒントに、両足をしっかり床につけ、上半身のバランスをとりながら座れるよう考案されました。背筋が自然と伸び、腰に負担がかかりにくいというメリットも。用途や体の大きさに合わせて4種類から選べます。作っているのは、生活の道具としての家具をデザイン・製作する、東京都世田谷区の〈simdesign〉。
座面のゆるやかなカーブが、体にフィットした快適な座り心地を約束してくれているかのようなスツール。前2本タイプと前1本タイプの2タイプがあり、2脚同時に注文すると、写真のようにぴったり寄り添うように作ってもらえるそうです。
さまざまなデザインと技を凝らしたジャパンメイドの椅子の数々、いかがでしたでしょうか。ご紹介しきれなかったものもたくさんあるので、また別の機会を作りたいと思います。日本のものづくり力を感じる家具シリーズ、次回は〈テーブル編〉をお届けいたします。
こちらの記事もおすすめ:
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新築も、リフォームも。知っておきたいインテリアの構成要素:家具選びのコツ
名作家具:ポール・ケアホルムの〈PK-22〉
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気付いてしまったので、、
pepeは、3rdさんのオリジナルではなく、村澤一晃さんデザインの宮崎椅子の作品かと。
http://www.miyazakiisu.co.jp/Miyazakiisu/chairs.html
3rdさん以外にも複数のお店で取り扱いがあったかと思います!
makisuke様、ご指摘いただきありがとうございます。事実誤認があり、大変申し訳ございませんでした。関係者の方々に深くお詫び申し上げます。正しい内容に修正させていただきました。今後このようなことがないよう十分注意してまいります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
makisuke様、このたびは貴重なご指摘を賜り、心より御礼申し上げます。大切な部分に誤認がありましたこと、本当に申し訳ございませんでした。ご関係者の皆様にも心よりお詫びを申し上げます。今後はさらに確認作業を徹底し、細心の注意をはらう所存でおります。少しでも皆さまのお役に立ち、楽しんでいただける記事作りに励みたいと考えておりますので、どうか今後共よろしくお願い申し上げます。