My Houzz:キッチンとオフィスをひとつの空間に。職住一体の理想的な住まい
元は学習塾だった2部屋をオフィス兼自宅にリノベーション。ユニークな条件を生かして、夫婦のコミュニケーションを大事にした心地よい空間をつくりだしました。
東京郊外の駅からわずか2分。古いがよく手入れされたビルの中の2部屋が水谷晶人さん・弥生さんご夫妻の家だ。空間からプロダクトまでデザインを生業とする水谷さん自らが手掛けたこの自宅がユニークなのは、その2部屋が廊下を隔て向かい合った別々の物件だということだ。
以前住んでいた家も事務所を兼ねていたが、団地タイプの3LDKの1室を使用していたため、打合せをしたり効率的に仕事をするオフィスとしての機能を成していなかったという水谷さんにとって、この分かれた2部屋という条件が、これまで感じていた職住一体の不便さを解消するアイデアにつながった。
少し大きめな1室は晶人さんのオフィスと、料理好きでホームパーティの機会も多い弥生さんのキッチンを配し、人が集まるパブリックスペースに。もう1室はベッドルームやバスルームなどのプライベートルームとして構成。
水谷さんが狭い空間を有効活用するために徹底したのは、機能的な導線を考えて間取りを構成すること。「商業空間のデザインも多い仕事柄、僕は機能主義。でも彼女は心地よさを重視したエモーショナルな観点を持っていて、ぶつかることもありましたが、それが結果的には良い影響になりました」と晶人さんは話す。そしてこのリノベーションで一番に目指したのは、お互いのコミュニケーションを大事にできること。オフィスでリビングで、直接言葉を交わさなくても、お互いを感じ自然とコミュニケーションが取れている安心感。そんな夫婦の温かさがあふれる住まいだ。
どんなHouzz?
所在地:東京都小平市
作品名称:M-プロジェクト
居住者:水谷晶人さん、弥生さんご夫妻
規模:キッチン+オフィス 47.5平方メートル
ベッドルーム+リビングルーム+バス・トイレ 37.5平方メートル
竣工:リノベーションの竣工は2011年(建物自体は1981年)
設計:ミズタニデザインスタジオ
以前住んでいた家も事務所を兼ねていたが、団地タイプの3LDKの1室を使用していたため、打合せをしたり効率的に仕事をするオフィスとしての機能を成していなかったという水谷さんにとって、この分かれた2部屋という条件が、これまで感じていた職住一体の不便さを解消するアイデアにつながった。
少し大きめな1室は晶人さんのオフィスと、料理好きでホームパーティの機会も多い弥生さんのキッチンを配し、人が集まるパブリックスペースに。もう1室はベッドルームやバスルームなどのプライベートルームとして構成。
水谷さんが狭い空間を有効活用するために徹底したのは、機能的な導線を考えて間取りを構成すること。「商業空間のデザインも多い仕事柄、僕は機能主義。でも彼女は心地よさを重視したエモーショナルな観点を持っていて、ぶつかることもありましたが、それが結果的には良い影響になりました」と晶人さんは話す。そしてこのリノベーションで一番に目指したのは、お互いのコミュニケーションを大事にできること。オフィスでリビングで、直接言葉を交わさなくても、お互いを感じ自然とコミュニケーションが取れている安心感。そんな夫婦の温かさがあふれる住まいだ。
どんなHouzz?
所在地:東京都小平市
作品名称:M-プロジェクト
居住者:水谷晶人さん、弥生さんご夫妻
規模:キッチン+オフィス 47.5平方メートル
ベッドルーム+リビングルーム+バス・トイレ 37.5平方メートル
竣工:リノベーションの竣工は2011年(建物自体は1981年)
設計:ミズタニデザインスタジオ
パブリックスペースを象徴するのが、シンクやIHヒーターなどを埋め込んだキッチンのテーブル。アフリカ原産のイロコの一枚板を使用。「水回りなので主人からはステンレスにする案も出ていたのですが、とにかく居心地の良さを求めてこの木材にこだわりました」と弥生さん。防水のためウレタン塗装を施してある。
パブリックスペースの両サイドはすべて収納にした。左側はキッチンの収納になっている。
パブリックスペースの両サイドはすべて収納にした。左側はキッチンの収納になっている。
冷蔵庫などの家電も、扉内に収めている。写真はキッチン側の収納扉を開けたところ。
棚奥の窓をつぶさずそのまま残しているので、物が置かれていても開放感が。収納扉も透過性の素材にし、閉めた時も光を感じる。
シンク後ろの棚には良く使う食器を。壁厚分奥行きが狭いが、奥から取り出す必要がないので、実はとても使いやすい。
オフィスを兼ねているため、道路側の窓にはシンプルなロゴデザインが。
向かい側は市立図書館。「我が家の本棚です(笑)」と晶人さん。と、自宅に本を置かなくなったそう。
向かい側は市立図書館。「我が家の本棚です(笑)」と晶人さん。と、自宅に本を置かなくなったそう。
キッチンの反対側に配した晶人さんのオフィスエリアも、壁側は全面収納に。A3の図面が入る奥行きを設け、製図台も扉内に。
オフィススペースの収納は無印良品の引き出し式ケースを利用。アナログ表示の時計が欲しかったため、フランスの〈DULTON〉製の時計を探し出した。どちらもサイズにあわせて、壁材のパーティカルボードを切りだし、すっきり収めている。
オフィススペースのトイレには、入るとセンサーによって、自動的に照明、アロマ、音楽がオンに。スーパーリアルなバナナのアートは、仕事で知り合ったアーティスト寺澤昭さんの作品だ。
オフィス&キッチンで構成されるパブリックスペースから、廊下を隔てたプライベートスペースをのぞむ。共用廊下最奥の2部屋のため、人の行き来を阻害する心配もない。
プライベートスペースに入るとまず目につくのが水回り。洗面そしてトイレまで壁を設けずオープンに。廊下や壁を極力排し、空間をできる限り有効に利用。「便器は深澤直人さんデザインの〈パナソニック〉の《アラウーノ》を選びました。優れた便器デザインが増えたことや、脱臭機能の向上といった設備自体の進化も、ここまでオープンにできた理由のひとつです」と晶人さん。
お風呂は明るく、という弥生さんの希望を採りいれたバスルーム。お風呂からゆっくりテレビを見ることもできる。「本を読んだりビールを飲んだり。まるでリビングの延長のように過ごしています」と晶人さんは話す。
ひとりがお風呂に入り、もうひとりがリビングでくつろいだり。どの場所にいてもコミュニケーションがとれるのが、このスペースの良さ。
「日本人にとって意外とソファは使いにくい」と感じていた晶人さん。「とはいえカーペットにゴロゴロしてしまうとだらしなく見えてしまう。その中間を作りたいと思ったんです」と水谷晶人さん。
ヒントにしたのは尊敬する建築家・宮脇檀の住宅にあった“ラウンジピット”。床を下げてソファスペースを作り、直に座れる畳とソファの利点を叶えた。囲われた感じも居心地よい。
ヒントにしたのは尊敬する建築家・宮脇檀の住宅にあった“ラウンジピット”。床を下げてソファスペースを作り、直に座れる畳とソファの利点を叶えた。囲われた感じも居心地よい。
リビングスペースの反対側に設けたベッドは、床部分にマットレスを2/3程度埋め込み、圧迫感がない。ベッドから見るテレビとの視線の高さも考慮している。
ベッド右側に設けた収納は、無印良品のケースや市販のバスケットを上手に利用。それぞれの寸法に合わせて幅や棚ピッチを決定。リーズナブルにすっきりとした収納が完成した。
ベッド右側に設けた収納は、無印良品のケースや市販のバスケットを上手に利用。それぞれの寸法に合わせて幅や棚ピッチを決定。リーズナブルにすっきりとした収納が完成した。
以前は3部屋に分けて収納していた洋服を、すべてこのウォークインクロゼットに。開口部はベッドサイドと洗濯機側の2つ。洗濯後の片づけから朝夕の着替えまで、生活導線を考えた場所と造りになっている。〈IKEA〉のモジュールユニットを使用し、一目で洋服やバッグの位置や量がわかるよう、あえて扉をつけていない。
平面図はこちら。プライベートスペース(右側)は以前はトイレを含め水回りがまったくなかったため、配管から設置。パブリックスペース(左側)は空間を2部屋に仕切っていた壁を撤去し、ワンルームにした。キッチンの長いカウンターテーブルは、打合せテーブルも兼ねている。
ミズタニデザインスタジオを主宰する水谷晶人さん(右)と、音楽教室講師としても活躍する弥生さん(左)。 「こういう条件の住まいは、なかなかないと思いますが、部屋が分かれているおかげで音が遮断されるため、僕が打合せ中は彼女はプライベートスペースで過ごすなど、意外と使い心地が良いんです」と晶人さん。 「自分たちにとって何が心地よいのかを考えた時に、キッチンとオフィスを中心にしたこの形に。今ではどんな素敵なホテルに泊まっても、早く家に帰りたいと思ってしまいます」と弥生さんも話す。 ユニークな条件を活かし、効率的な空間使いで夫婦のコミュニケーションを大事に過ごす温かな部屋。自宅とオフィスを兼用する考え方の良例がここにある。
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この度はお世話になりました。
お近くにお寄りの際は是非遊びにお越し下さい~♪
[ミズタニ デザイン スタジオ/水谷 晶人・水谷 弥生]
水谷さま、こちらこそ大変お世話になりました!
お忙しい中取材させていただき、ありがとうございました。
キッチンとオフィスの一体化、分かれた2部屋、オープンな水回り…斬新なようで実はとても生活しやすいことを実感しました。
また様々なプロジェクトのお写真のアップを楽しみにしています。