粋で楽しい、大人の空間。JAZZYな部屋ってどんな部屋?
ジャズはお好きですか? 思わずスイングしてしまいそうな楽しいインテリア、ジャズファンのこだわりが光る部屋の数々をご紹介します。
Miki Anzai
2016年1月22日
このところ、冬の寒さが本格化し、雪が降る日もあります。そんな日に聴きたくなるのが、クロード・ソーンヒル作曲の「スノーフォール(降雪)」。あまりにもベタな曲名ですが、ジャズピアニストのアーマッド・ジャマルの洒落たアレンジや、マンハッタン・トランスファーのアカペラで聴きたいものです。 今回は、ジャズ好きが昂じて作った、思いっきりジャズっぽい、楽しい部屋、シックにきめた部屋、プロ・アマのジャズプレーヤーたちが自宅で演奏する空間を、彼らの思いとともにご紹介いたします。
スイングがなければ、意味はない
色とりどりの音符に乗って、階段を駆け上るジャズ奏者たち。ジャズの大御所デューク・エリントンの名曲「スイングがなければ、意味がない」が聴こえてきそうなお宅です。ジャズ関連の著書も多い村上春樹さんが、この曲のタイトルをもじってつけた音楽評論集『意味がなければスイングはない』(文藝春秋)でも書いているように、「スイングとは、どんな音楽にも通じるグルーヴ、あるいはうねりのようなもの」。そんな躍動感あふれる、「うねり」を表現した壁を見ながらピアノに向かえば、自然と心も体もスイングしてしまいそうです!
色とりどりの音符に乗って、階段を駆け上るジャズ奏者たち。ジャズの大御所デューク・エリントンの名曲「スイングがなければ、意味がない」が聴こえてきそうなお宅です。ジャズ関連の著書も多い村上春樹さんが、この曲のタイトルをもじってつけた音楽評論集『意味がなければスイングはない』(文藝春秋)でも書いているように、「スイングとは、どんな音楽にも通じるグルーヴ、あるいはうねりのようなもの」。そんな躍動感あふれる、「うねり」を表現した壁を見ながらピアノに向かえば、自然と心も体もスイングしてしまいそうです!
サックスを吹く男
アメリカの写真家George Dieboldさんが、サックスを吹きながら歩く男性の姿をラスベガスで撮影したもの。手すり部分が五線譜のようにも感じられ、全体が、青と黒の2色だけで構成されているのがシックです。部屋のソファの上に無造作に置かれたクッションを、同系色のブルーで統一せずに、イエローやピンク、オレンジを混ぜることで、ジャズっぽい遊び心が感じられます。
アメリカの写真家George Dieboldさんが、サックスを吹きながら歩く男性の姿をラスベガスで撮影したもの。手すり部分が五線譜のようにも感じられ、全体が、青と黒の2色だけで構成されているのがシックです。部屋のソファの上に無造作に置かれたクッションを、同系色のブルーで統一せずに、イエローやピンク、オレンジを混ぜることで、ジャズっぽい遊び心が感じられます。
インクレディブル・ジャズギター
個人邸のリビングを、大胆にミュージックルームに改造。この部屋で、アトランタのホームオーナーは、友人たちと一緒に演奏を楽しんでいます。でも何よりも、思い切って居間を音楽専用の部屋に変えたのは、自分たちと同様、子どもたちにも音楽を身近に感じて欲しいという強い願いから。その甲斐あって今では、子どもたちは、壁にかけてあるすべての楽器を使いこなせるそうです。ジャズ・ギターの革命児ウェス・モンゴメリーの名盤『ザ・インクレディブル・ジャズ・ギター』ばりの演奏が聴かれたりするのでしょうか?
この部屋のリノベーションを担当したChristy Dillard Kratzerさんは、部屋の扉を開けた瞬間、ゲストが「ノックアウト」される部屋にしたかった、と言います。その言葉通り、訪問客の歓声がいまにも聞こえてきそうですね。
個人邸のリビングを、大胆にミュージックルームに改造。この部屋で、アトランタのホームオーナーは、友人たちと一緒に演奏を楽しんでいます。でも何よりも、思い切って居間を音楽専用の部屋に変えたのは、自分たちと同様、子どもたちにも音楽を身近に感じて欲しいという強い願いから。その甲斐あって今では、子どもたちは、壁にかけてあるすべての楽器を使いこなせるそうです。ジャズ・ギターの革命児ウェス・モンゴメリーの名盤『ザ・インクレディブル・ジャズ・ギター』ばりの演奏が聴かれたりするのでしょうか?
この部屋のリノベーションを担当したChristy Dillard Kratzerさんは、部屋の扉を開けた瞬間、ゲストが「ノックアウト」される部屋にしたかった、と言います。その言葉通り、訪問客の歓声がいまにも聞こえてきそうですね。
テイク・ファイヴ
インテリアデザイナー自身がジャズプレーヤーだと、こんな素敵な部屋のアレンジができるという好例です。Sherrie Swassさんは、趣味でアルトサクソフォーン(写真左)を吹いていますが、この部屋は、彼女のオリジナル家具ブランド Sofa Starzの販促のためにコーディネートしたもの。一番好きな曲は、ザ・デイヴ・ブルーベック・カルテットの名盤『タイム・アウト』の中の「テイク・ファイヴ」だと語るSwassさん。まさに、このアルバムでアルトサックス奏者ポール・デスモンドが奏でる、「テイク・ファイヴ」の渋いメロディーが似合いそうな部屋です。
インテリアデザイナー自身がジャズプレーヤーだと、こんな素敵な部屋のアレンジができるという好例です。Sherrie Swassさんは、趣味でアルトサクソフォーン(写真左)を吹いていますが、この部屋は、彼女のオリジナル家具ブランド Sofa Starzの販促のためにコーディネートしたもの。一番好きな曲は、ザ・デイヴ・ブルーベック・カルテットの名盤『タイム・アウト』の中の「テイク・ファイヴ」だと語るSwassさん。まさに、このアルバムでアルトサックス奏者ポール・デスモンドが奏でる、「テイク・ファイヴ」の渋いメロディーが似合いそうな部屋です。
クールの誕生
ジャズ好きの方なら、この奥の壁にかかっているモノクロのトランペット奏者が、マイルズ・デイヴィスだとすぐにわかるでしょう。彼の初期の代表作で、モダン・ジャズ史に燦然と輝く名盤『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』のジャケットに使われている写真です。このアルバムの1曲目に収録されているのが、あのセロニアス・モンクの不朽の名曲「ラウンド・ミッドナイト」。モンクが初期に用いていた「アバウト」入りの曲名のほうを、アルバムタイトルに採用しています。
前置きが長くなりましたが、このお宅は、マイルズ好きのオーナーの希望もあり、古いカナダの一軒家を「モダンジャズ風に」というコンセプトで改築されました。写真手前のキャビネットの壁面を飾り棚にして、LEDで置物を照らすことで、さらにジャズっぽい雰囲気を醸し出しているのが、クールです。マイルズの金字塔アルバム『クールの誕生』をかけたくなります。
ジャズ好きの方なら、この奥の壁にかかっているモノクロのトランペット奏者が、マイルズ・デイヴィスだとすぐにわかるでしょう。彼の初期の代表作で、モダン・ジャズ史に燦然と輝く名盤『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』のジャケットに使われている写真です。このアルバムの1曲目に収録されているのが、あのセロニアス・モンクの不朽の名曲「ラウンド・ミッドナイト」。モンクが初期に用いていた「アバウト」入りの曲名のほうを、アルバムタイトルに採用しています。
前置きが長くなりましたが、このお宅は、マイルズ好きのオーナーの希望もあり、古いカナダの一軒家を「モダンジャズ風に」というコンセプトで改築されました。写真手前のキャビネットの壁面を飾り棚にして、LEDで置物を照らすことで、さらにジャズっぽい雰囲気を醸し出しているのが、クールです。マイルズの金字塔アルバム『クールの誕生』をかけたくなります。
ジャズとキュビズム
マイルズ続きでご紹介したいのが、アメリカのキュビズムの画家マーテル・チャップマンです。写真は、マイルズ・デイヴィスが、ウェイン・ショーター作曲の「Masqualero」を吹いているイメージをベースに描いた絵をタイル加工したもの。チャップマンは、ジャズとキュビズムを融合させた作品を多く作っており、ジャズ好きのホームオーナーのキッチンやバーカウンターに飾るのにぴったりの作品がたくさんあります。
マイルズ続きでご紹介したいのが、アメリカのキュビズムの画家マーテル・チャップマンです。写真は、マイルズ・デイヴィスが、ウェイン・ショーター作曲の「Masqualero」を吹いているイメージをベースに描いた絵をタイル加工したもの。チャップマンは、ジャズとキュビズムを融合させた作品を多く作っており、ジャズ好きのホームオーナーのキッチンやバーカウンターに飾るのにぴったりの作品がたくさんあります。
ニカの夢
このお宅の主人は、筋金入りのジャズ・オタク。1958年に米ニューポートで開催された伝説のジャズ・フェスティバルの模様をドキュメンタリー映画にした『真夏の夜のジャズ』に、同僚と二人、観客として映っているほどです。収集したジャズのレコードは軽く2000枚を越え、自宅だけではなく、別荘にもジャズの名盤があふれかえっています。オーナー夫人が、ラプソディー・イン・ブルーを始めとするジャズの名曲をピアノで弾く、その横のスペースにも、お気に入りのLP盤や、ジャズカルテットを描いた画家アンドレ・ブラジリエのリトグラフ(版画)が飾られています。この部屋で、好きなお酒を傾けながら、レコードを聴くのが至福の時と語るお二人。すでに5歳になる孫娘も感化され、遊びにくるたびに、「ニカの夢」(写真左、上から4枚目のホレス・シルヴァー『ホレス・スコープ』のラストに収録されている曲)をかけて!とレコードを差し出してくるそうです。
このお宅の主人は、筋金入りのジャズ・オタク。1958年に米ニューポートで開催された伝説のジャズ・フェスティバルの模様をドキュメンタリー映画にした『真夏の夜のジャズ』に、同僚と二人、観客として映っているほどです。収集したジャズのレコードは軽く2000枚を越え、自宅だけではなく、別荘にもジャズの名盤があふれかえっています。オーナー夫人が、ラプソディー・イン・ブルーを始めとするジャズの名曲をピアノで弾く、その横のスペースにも、お気に入りのLP盤や、ジャズカルテットを描いた画家アンドレ・ブラジリエのリトグラフ(版画)が飾られています。この部屋で、好きなお酒を傾けながら、レコードを聴くのが至福の時と語るお二人。すでに5歳になる孫娘も感化され、遊びにくるたびに、「ニカの夢」(写真左、上から4枚目のホレス・シルヴァー『ホレス・スコープ』のラストに収録されている曲)をかけて!とレコードを差し出してくるそうです。
狂騒の20年代
この個人邸の地下室のインテリアデザインを手がけたLaura Bendikさんは、全体的なテーマを、「ローリング20s(狂騒の20年代)」と「スピークイージー(禁酒法時代の潜り酒場)」に設定したと語ります。豪華なステージにも驚かされますが、そのテーマ通り、このフロアには、巨大なバーとカジノエリアまで設置されています。
この個人邸の地下室のインテリアデザインを手がけたLaura Bendikさんは、全体的なテーマを、「ローリング20s(狂騒の20年代)」と「スピークイージー(禁酒法時代の潜り酒場)」に設定したと語ります。豪華なステージにも驚かされますが、そのテーマ通り、このフロアには、巨大なバーとカジノエリアまで設置されています。
ジャズ・エイジ
アメリカの1920年代は、まさにジャズ・ミュージックが花開き、この壁紙に描かれたような、フラッパーと呼ばれる新しいスタイルをした女性たちが登場し、アール・デコが頂点を迎えた時期です。当時の雰囲気をウォールペーパーにしたのが、その名も「ジャズ・エイジ」という写真に写っている壁紙。英国ケント州にあるインテリアデザイン会社のものです。
アメリカの1920年代は、まさにジャズ・ミュージックが花開き、この壁紙に描かれたような、フラッパーと呼ばれる新しいスタイルをした女性たちが登場し、アール・デコが頂点を迎えた時期です。当時の雰囲気をウォールペーパーにしたのが、その名も「ジャズ・エイジ」という写真に写っている壁紙。英国ケント州にあるインテリアデザイン会社のものです。
こちらは、カナダの音楽好きのオーナー夫妻が、インテリアデザイン会社のInterior Worksに依頼して作った、ステージ付きのリビングルームです。プロのジャズバンドを雇って、ここでパーティーを開くこともあるそうです。将来、ステージがいらなくなったときには、簡単に取り外せるようになっています。
パープル・サクソフォーン
暖炉の上に置かれた大きな絵画は、LA在住のコロンビア人画家アメリカ・マーティンの作品「パープル・サクソフォーン」です。ファミリールームのフォーカルポイントになっていますが、実はこの後ろにはテレビが隠されています。
暖炉の上に置かれた大きな絵画は、LA在住のコロンビア人画家アメリカ・マーティンの作品「パープル・サクソフォーン」です。ファミリールームのフォーカルポイントになっていますが、実はこの後ろにはテレビが隠されています。
リフレクションズ
部屋の奥まった一角に設えたスタディエリア。『セロニアス・モンク・トリオ』の「リフレクションズ」をかけながら、仕事をしたくなるようなスペースです。
部屋の奥まった一角に設えたスタディエリア。『セロニアス・モンク・トリオ』の「リフレクションズ」をかけながら、仕事をしたくなるようなスペースです。
オール・ザット・ジャズ
ジャズプレーヤーの絵や写真を壁に掛ける他に、こんな置物をさりげなく置くのもいいですね。アメリカのHouzzには、ジャズをモチーフにしたプロダクトを紹介するこんなコーナーもあります。インテリアデザインの参考にしてみてください。
ジャズプレーヤーの絵や写真を壁に掛ける他に、こんな置物をさりげなく置くのもいいですね。アメリカのHouzzには、ジャズをモチーフにしたプロダクトを紹介するこんなコーナーもあります。インテリアデザインの参考にしてみてください。
イン・ザ・ムード
一見、レコードを敷きつめたように見える壁ですが、実はディスク型のタイルを埋め込んでいます。ドアと引き出しの取っ手や、鏡もすべて丸型に統一されているのがおしゃれですね。マイアミのオーシャンフロントに建つコンドミニアム「One Bal Harbour」の高層階にある、広さ約557平方メートルの個人宅内のゲスト専用の洗面所です。BGMにジャズを流したくなるようなムードを醸し出しています。
一見、レコードを敷きつめたように見える壁ですが、実はディスク型のタイルを埋め込んでいます。ドアと引き出しの取っ手や、鏡もすべて丸型に統一されているのがおしゃれですね。マイアミのオーシャンフロントに建つコンドミニアム「One Bal Harbour」の高層階にある、広さ約557平方メートルの個人宅内のゲスト専用の洗面所です。BGMにジャズを流したくなるようなムードを醸し出しています。
ジャズに魅せられた人たちがアレンジした部屋の数々、いかがでしたでしょうか? これを見て、少しでも、「あー、ジャズが聴きたくなった」とか、「ジャズっぽい部屋をコーディネートしてみようかな」という気持ちになっていただければうれしいです。
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