2016年・家電のトレンド:家電はますますインテリアと調和していく
私たちの生活を豊かに便利にしてくれる家電。日進月歩の進化が起こっている家電は、今年はどんな方向に向かうのでしょうか?
滝田(TAKITA)勝紀(MASAKI)
2016年1月13日
フリーランスの編集者。海外の展示会や欧州家電ブランドの現地取材経験も豊富。モノ情報誌の生活家電担当を約10年担当し、技術面、デザイン面について、多くのメディアで執筆。家電のセレクトはデザインだけでも機能だけでもNG。使いやすさと魅せたくなるルックスを兼ね備えてこそ買う価値があると提言する。
フリーランスの編集者。海外の展示会や欧州家電ブランドの現地取材経験も豊富。モノ情報誌の生活家電担当を約10年担当し、技術面、デザイン面について、多くのメディアで執筆... もっと見る
家電は生活の中で使われるもの。今は、人々が家電に対して、便利さだけでなく、インテリアやライフスタイルに馴染み、暮らしに豊かさと心地よさをプラスしてくれる美しさを求める時代であり、作り手であるメーカーも、画期的な技術に加えてデザインにもますます力を入れるようになっています。そこで、昨年の家電の傾向を踏まえつつ、今年の家電のトレンドを予測していきたいと思います。
1. 日本の家電メーカーのデザインが進化中
2016年のトレンドとしてまず強調したいのが、日本のメーカーの家電が格段に素敵になっているということです。欧米のデザイン性の高い家電に負けない、すぐれたプロダクトが出てきており、日本メーカーで開発の現場に携わる技術者やデザイナーのがんばりをものすごく感じます。
例えば、パナソニックの洗濯機〈キューブル〉のコンセプトは「衣類も空間も美しくする洗濯機」。シンプルで飽きのこない究極のフォルムを実現しています。
2016年のトレンドとしてまず強調したいのが、日本のメーカーの家電が格段に素敵になっているということです。欧米のデザイン性の高い家電に負けない、すぐれたプロダクトが出てきており、日本メーカーで開発の現場に携わる技術者やデザイナーのがんばりをものすごく感じます。
例えば、パナソニックの洗濯機〈キューブル〉のコンセプトは「衣類も空間も美しくする洗濯機」。シンプルで飽きのこない究極のフォルムを実現しています。
三菱のエアコン〈FZシリーズ〉も、家庭用のエアコンとしては抜群のミニマルなデザインが魅力です。
2. ライフスタイルの中で家電をとらえる
デザインへの関心が高まるなか、家電についても、デザインのいいものを見極める目がある人が増えてきています。加えて、Houzzなどインターネットのさまざまな情報を通して、デザイン性の高い家電を素敵な空間に置いている家を目にする機会も増えています。つまり、人々の間にライフスタイルという観点から、家電とインテリアの関係を大切にする、という視点が育ってきています。
そんな中で、2015年にオープンした「二子玉川 蔦屋家電」は、このトレンドに大きなインパクトを与えています。コンシェルジュがセレクトしたデザインと性能を兼ね備えた家電製品が、落ち着いたセンスのいい空間に置かれているので、お客の側もインテリアに合わせたときのイメージがしやすいし、SNSなどで話題にしやすい。結果として、人々がデザイン性と性能の高い家電に触れる機会が増え、翻って家電の開発やデザインにも影響を与えていくという流れが、ますます加速していくでしょう。
デザインへの関心が高まるなか、家電についても、デザインのいいものを見極める目がある人が増えてきています。加えて、Houzzなどインターネットのさまざまな情報を通して、デザイン性の高い家電を素敵な空間に置いている家を目にする機会も増えています。つまり、人々の間にライフスタイルという観点から、家電とインテリアの関係を大切にする、という視点が育ってきています。
そんな中で、2015年にオープンした「二子玉川 蔦屋家電」は、このトレンドに大きなインパクトを与えています。コンシェルジュがセレクトしたデザインと性能を兼ね備えた家電製品が、落ち着いたセンスのいい空間に置かれているので、お客の側もインテリアに合わせたときのイメージがしやすいし、SNSなどで話題にしやすい。結果として、人々がデザイン性と性能の高い家電に触れる機会が増え、翻って家電の開発やデザインにも影響を与えていくという流れが、ますます加速していくでしょう。
3. エッジの効いたスタートアップの家電に注目
クラウドファンディングなどが一般に浸透していくなかで、家電のスタートアップが先端的なデザインや機能の製品を生み出し、SNSなどを経由して広がっています。
例えば、2015年に「外はぱりっと中はしっとり」の極上のトーストが焼けるバルミューダの〈ザ・トースター〉(写真上)。トースターとしてはかなり高価ながら、大きな注目を集め、好調な売れ行きです。また、カドーの加湿器(写真下)も、デザイン、性能ともに突出したプロダクト。インテリアのアイテムとして、そこにあるだけでうれしくなるような製品が求められるなかで、今後もコンセプトをしっかりともったハードウェアのベンチャーから、斬新なデザインと画期的な機能を兼ね備えたプロダクトが登場し、SNSを通じて拡散していくケースは続くでしょう。
クラウドファンディングなどが一般に浸透していくなかで、家電のスタートアップが先端的なデザインや機能の製品を生み出し、SNSなどを経由して広がっています。
例えば、2015年に「外はぱりっと中はしっとり」の極上のトーストが焼けるバルミューダの〈ザ・トースター〉(写真上)。トースターとしてはかなり高価ながら、大きな注目を集め、好調な売れ行きです。また、カドーの加湿器(写真下)も、デザイン、性能ともに突出したプロダクト。インテリアのアイテムとして、そこにあるだけでうれしくなるような製品が求められるなかで、今後もコンセプトをしっかりともったハードウェアのベンチャーから、斬新なデザインと画期的な機能を兼ね備えたプロダクトが登場し、SNSを通じて拡散していくケースは続くでしょう。
5. IoT、未来の家電のキーワード
今、家電をめぐるキーワードを考えるとき、デザインと並んで筆頭にくるのがIoT。Internet of Things、「モノのインターネット」とも呼ばれますが、家電がインターネットに接続されることにより、「通信のハブになる家電」が実現します。
例えば、2016年春に発売予定のAQUADIGI(アクアディジ)シリーズは、まさにその先端をいく冷蔵庫。前面に液晶ディスプレイとマイクを搭載しているので、レシピなどさまざまなコンテンツを表示することができたり、ジェスチャーで操作できたりします。また、24時間電源が確実に入っている家電であることを活用し、センサーで開閉を察知することによる見守りサービスも可能になります。つまり、イメージとしては、冷蔵庫がスマートフォンのような役割も兼ねる感じです。
これまで冷蔵庫も含め多くの家電は一度買うと長く使うものでしたが、IoT化すると短いサイクルで買い換えられるようになるなど、これまでの家電をめぐる常識が覆されるかもしれません。IoTは家電をめぐるビジネスのあり方を根本的に変える可能性を秘めています。
今、家電をめぐるキーワードを考えるとき、デザインと並んで筆頭にくるのがIoT。Internet of Things、「モノのインターネット」とも呼ばれますが、家電がインターネットに接続されることにより、「通信のハブになる家電」が実現します。
例えば、2016年春に発売予定のAQUADIGI(アクアディジ)シリーズは、まさにその先端をいく冷蔵庫。前面に液晶ディスプレイとマイクを搭載しているので、レシピなどさまざまなコンテンツを表示することができたり、ジェスチャーで操作できたりします。また、24時間電源が確実に入っている家電であることを活用し、センサーで開閉を察知することによる見守りサービスも可能になります。つまり、イメージとしては、冷蔵庫がスマートフォンのような役割も兼ねる感じです。
これまで冷蔵庫も含め多くの家電は一度買うと長く使うものでしたが、IoT化すると短いサイクルで買い換えられるようになるなど、これまでの家電をめぐる常識が覆されるかもしれません。IoTは家電をめぐるビジネスのあり方を根本的に変える可能性を秘めています。
6. 家電のトレンドカラーは?
2015年の家電のヒーローカラーはブラウン系でした。ブラウンはインテリアとなじみやすい落ち着いた色。パナソニックが食洗機(写真)で、東芝が洗濯機で、つまり「白物家電」でブラウンの製品をリリースしています。これも、インテリアを意識した家電の流れでは自然なこと。「白物家電」が「白」を脱する傾向も継続していくでしょう。
2015年の家電のヒーローカラーはブラウン系でした。ブラウンはインテリアとなじみやすい落ち着いた色。パナソニックが食洗機(写真)で、東芝が洗濯機で、つまり「白物家電」でブラウンの製品をリリースしています。これも、インテリアを意識した家電の流れでは自然なこと。「白物家電」が「白」を脱する傾向も継続していくでしょう。
7. 注目は「ビルトイン型食洗機」
多種多様な家電が一般に広く浸透している日本で、まだ普及途上にある家電があるとすれば、食器洗い機(食洗機)です。Houzzの調査でも皿洗いに関して日本人は食洗機より手洗い派であることが判明していて、キッチンが狭いことがその理由の1つとされています。しかし、キッチンが狭いからこそ、食洗機、しかもビルトイン型を設置すれば、洗った食器を置いておく洗いカゴなどのスペースを節約できるので、じつは大きなメリットがあるのです。それに、まとめて食器を洗うことで、家事を短縮できるし省エネにもなります。住宅のリノベーションが増加している中で、ビルトイン型食洗機はこれからもっと普及していくと思います。
多種多様な家電が一般に広く浸透している日本で、まだ普及途上にある家電があるとすれば、食器洗い機(食洗機)です。Houzzの調査でも皿洗いに関して日本人は食洗機より手洗い派であることが判明していて、キッチンが狭いことがその理由の1つとされています。しかし、キッチンが狭いからこそ、食洗機、しかもビルトイン型を設置すれば、洗った食器を置いておく洗いカゴなどのスペースを節約できるので、じつは大きなメリットがあるのです。それに、まとめて食器を洗うことで、家事を短縮できるし省エネにもなります。住宅のリノベーションが増加している中で、ビルトイン型食洗機はこれからもっと普及していくと思います。
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カッコいいです!
デザイン性が重視されてきている点は嬉しいですが、その一方で「使いにくくなる」という事がないかが重要と考えています。
IoTも良いですが、バルミューダのようなニッチで楽しい家電が増えていってほしいです。