間取りのマジックで、コンパクトなマンションに一戸建ての雰囲気を
スケルトン状態の中古マンションを購入し、一風変わった間取りで自由な発想の家を実現。昔から愛用していた北欧家具&雑貨を生かした満足度120%のリノベーション、その「マジック」とは?
chihiro suzuki
2016年2月8日
都内での家探しということで、予算的な問題もあり、中古マンションのリノベーションに絞って物件探しをしていたというMさん。最終的に決めた家は、すでにスケルトン状態になっていた中古マンションでした。「中古マンションには、新築にはない古びた意匠や公共スペースがあり、それもいいな、と思えるポイントの1つでした」。設計を依頼したのは、以前から気になっていたという「Kichi Architectural Design」。インテリアが好きで、愛用していた北欧の家具や雑貨を新しい家でも使いたいというMさんの思いをうまくくみ取るだけでなく、マンションでも戸建てのような感覚で住めるよう、間取りで「マジック」を起こし、Mさんをハッピーな気分にしてくれたそう。
「玄関からリビングにつながる廊下を斜めに配置することで、空間に広がりと変化を与えるようにしました。また、斜めに廊下を抜くことで生まれた余分なスペースが、逆に贅沢なゆとりのある印象を与えているようです」と話すのは、Kichi Architectural Design(吉デザイン設計事務所)の吉川直行さん。家の中に斜めの廊下があることで、寝室やリビングは台形のような不思議な形に。なんとなく不便なのでは?とも感じますがそんなことはなく、このために生まれたデッドスペースが空間に奥行きを与え、広々と感じられるようになったとMさんは言います。
写真手前が、その台形の寝室部分。いずれは間仕切りを設けて子供部屋にすることを視野に入れ、広めにしたそう。北欧テイストのブルーのサッシ×ガラスの引き戸の奥には土間スペースがあり、光がさんさんと降り注ぎます。
写真手前が、その台形の寝室部分。いずれは間仕切りを設けて子供部屋にすることを視野に入れ、広めにしたそう。北欧テイストのブルーのサッシ×ガラスの引き戸の奥には土間スペースがあり、光がさんさんと降り注ぎます。
ガラスの引き戸を開けると、土間までひとつながりの空間になり、より開放的に。「限られた広さのマンションで土間をつくると空間がもったいない気もしますが、この遊びが、この家のゆとりになっていると思います」とMさん。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦、子供1人
所在地:東京都杉並区
専有面積: 60平方メートル
築年数:40年
竣工:2013年4月
工事費:約700万円
設計:Kichi Architectural Design(吉デザイン設計事務所)
どんなHouzz?
家族構成:夫婦、子供1人
所在地:東京都杉並区
専有面積: 60平方メートル
築年数:40年
竣工:2013年4月
工事費:約700万円
設計:Kichi Architectural Design(吉デザイン設計事務所)
リビングをはじめ、家じゅうの床をアカシア材で統一。第一希望だったオーク材は高価すぎたため、こっくりとした色みが気に入ったこの木材をセレクトしたそう。家のあちこちにある北欧家具とも好相性です。
キッチンからダイニングを見たところ。ルイス・ポールセンなど、デザイナーズのペンダント照明を多灯使いしているのも印象的です。写真向かって右側にある、北欧のライティングチェストの左、ブルーのドアの奥に見えるのが、噂の廊下(廊下については、このあと詳しく!)。
ダイニングテーブルはアアルト、チェアはヤコブセンの「セブンチェア」。クリーム色のサッシの室内小窓は、Mさんが大好きな、長野にあるカフェ「haluta」のインテリアからヒントを得たそう。開閉できるので、空気の循環にも一役買っています。
ダイニングからリビングを見て。間にソファを置くことで、空間をさりげなくゾーニングしています。青いテーブル、クリーム色のチェア、赤いペンダントライトとさまざまな色を使っても、すっきりとした北欧デザインで揃えているので、雑多な印象にならず、明るくすがすがしい雰囲気になっています。
西側の窓際に設けた土間スペースは縁側のような存在で、この空間があるからこそ、ほっとすることがあるそう。収納棚を置いたり、ごみ箱を置いたり、自由な感覚で使っています。「キッチンで作業をしているときに、視野が奥まで抜けるのもいいですね」とMさん。
玄関からLDKにつながる、噂の廊下がこちら。写真では少しわかりづらいですが、四角い住まいを斜めに貫いています。「コンパクトながらも、この工夫で奥行きが生まれ、実際よりも広く感じると言ってくれるゲストもいるそうです」と吉川さん。
ユニットバスではなく、こだわってオーダーメイドにしたバスルーム。仕切りをガラスにすることで、限られた洗面スペースでも窮屈に感じないようにしました。白とアカシア材で構成された、気持ちのいい空間です。
「昔からの夢だった空間づくり、家づくり。ファーストプレゼンから大満足だった間取りをもとに、内装や建具、家具をあてはめていく作業はとても楽しかったです」。間取りもインテリアもすべて、大のお気に入りの空間。Mさんのお宅は、今日も笑顔であふれています。
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「昔からの夢だった空間づくり、家づくり。ファーストプレゼンから大満足だった間取りをもとに、内装や建具、家具をあてはめていく作業はとても楽しかったです」。間取りもインテリアもすべて、大のお気に入りの空間。Mさんのお宅は、今日も笑顔であふれています。
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何気に記事を読み始めたら、1枚目の写真が飛び込んできて、そのカラフルさに引き込まれて「これは絶対に良いインテリアだらけだ」と確信して読みました。
正確に言うと、「読んだ」というよりも写真を一気に「見ました」。
新築も良いですが、リノベーションは元の形という制約がある中で、いかに変えていくかという部分が興味を惹かれます。
マンション住まいの人間なので、大変参考になります。