冬の部屋を彩るインテリアとしての灯り
夜が一年で最も長く、室内で過ごす時間が多くなるこの季節。灯りをインテリアの脇役として効果的に使う術を、もう一度見直してみませんか?
Yoko Ogino
2015年12月19日
インテリアショップオーナー。建築士の資格を持ち住宅及び庭のプラン、デザインまで手掛る。英国での生活体験から奥行のある文化や暮らしに感銘を受け帰国後イギリスのライフスタイルを提案するショップをオープン。英国のインテリアスタイルの中でも特にイングリッシュカントリーに共感し現在は緑豊かな鎌倉山でスローなライフスタイルを提案しています。
インテリアショップオーナー。建築士の資格を持ち住宅及び庭のプラン、デザインまで手掛る。英国での生活体験から奥行のある文化や暮らしに感銘を受け帰国後イギリスのライフスタイルを提案するショップをオープン... もっと見る
私たちが普段、なにげなく見ている灯り。昼の太陽光から夜の照明による灯りに至るまで、モノの姿は光の加減で、まったく異なる形や顔を見せてくれます。たとえば欧米の家では、北側にリビングやワークスペースを配置することも珍しくありませんが、その理由は、南側と違って昼間の光が安定しており、インテリアを落ち着いて見せてくれるからです。「安定した光」として考えれば、夜の灯りもそう。適所に間接照明を配置し、見せたいモノや必要なモノだけに光を当てます。こうすることで、モノに陰影ができ、周囲の風景まで含めて美しく見せてくれるからです。
さまざまな形をもつ照明器具、さまざまな色や明るさをした光は、インテリアのレベルを引き上げる名脇役であり、素敵な空間を演出するデコレーターでもあります。
多様なシーンで効果を発揮する灯り。高価な照明器具から電球1個だけのシンプルなものまで、灯りは適材適所でその威力を発揮します。ぜひご自分の部屋の照明プランと照らし合わせて、ご紹介する事例をご覧ください。
さまざまな形をもつ照明器具、さまざまな色や明るさをした光は、インテリアのレベルを引き上げる名脇役であり、素敵な空間を演出するデコレーターでもあります。
多様なシーンで効果を発揮する灯り。高価な照明器具から電球1個だけのシンプルなものまで、灯りは適材適所でその威力を発揮します。ぜひご自分の部屋の照明プランと照らし合わせて、ご紹介する事例をご覧ください。
あたり前ではない位置に
このダイニングキッチンの基調色は黒。黒いシェードのペンダントライトが、部屋の印象を決定づけています。キッチンカウンターの上の黒のペンダントライトは、同じデザインのもので統一し、一列に並べて手元を明るく照らす目的。いっぽう、ダイニング側の器具は、テーブルの真上に設置するのではなく階段室と共有の灯りになっていて、テーブルから離れた位置に光が落ちています。きっと、テーブルの手元はキャンドルなどのポイント照明を使うのでしょうね。
このトム・ディクソンのライトは、高さをずらすことで、美しいシェードのフォルムをを見せるだけでなく、調光も変化させています。このように同色で形の異なる器具は、異なる光を発するため、インテリアのスパイス的役割を担います。
このダイニングキッチンの基調色は黒。黒いシェードのペンダントライトが、部屋の印象を決定づけています。キッチンカウンターの上の黒のペンダントライトは、同じデザインのもので統一し、一列に並べて手元を明るく照らす目的。いっぽう、ダイニング側の器具は、テーブルの真上に設置するのではなく階段室と共有の灯りになっていて、テーブルから離れた位置に光が落ちています。きっと、テーブルの手元はキャンドルなどのポイント照明を使うのでしょうね。
このトム・ディクソンのライトは、高さをずらすことで、美しいシェードのフォルムをを見せるだけでなく、調光も変化させています。このように同色で形の異なる器具は、異なる光を発するため、インテリアのスパイス的役割を担います。
あえてまちまちな高さに
天井からさまざまに落ちてくる光が楽しい、エクレクティックスタイルのキッチン。電球の高さをずらしているので、つけたときの灯りが上から降るように映ります。
こちらの電球照明は調光器がついているので、キッチンを使うときの用途に応じて明暗を調整できます。裸電球をペンダントライトとして使うアイデアは近頃よく見かけます。このように異なる形のものを、高さに変化をつけて下げると、電球は立派な空間のアクセントにもなります。
天井からさまざまに落ちてくる光が楽しい、エクレクティックスタイルのキッチン。電球の高さをずらしているので、つけたときの灯りが上から降るように映ります。
こちらの電球照明は調光器がついているので、キッチンを使うときの用途に応じて明暗を調整できます。裸電球をペンダントライトとして使うアイデアは近頃よく見かけます。このように異なる形のものを、高さに変化をつけて下げると、電球は立派な空間のアクセントにもなります。
カジュアルなトレンド、ボトルの形の照明
ヨーロッパのインテリアの中で最近よく見かける、瓶の形をした照明器具。このシンプルな形が、人気のインダストリアルでラフなテイストのインテリア空間によく似合っています。自宅でも手軽にこういったDIYができるようになりましたが、安全で扱いやすいLED電球の普及のおかげですね。
ヨーロッパのインテリアの中で最近よく見かける、瓶の形をした照明器具。このシンプルな形が、人気のインダストリアルでラフなテイストのインテリア空間によく似合っています。自宅でも手軽にこういったDIYができるようになりましたが、安全で扱いやすいLED電球の普及のおかげですね。
同じ形のものを束ねてシャンデリアのようにした例です。ガラスボトルから光が四方八方に広がり、周囲に美しい影を落とします。クリアタイプのガラスを使っているので、場所を選ばずどんな部屋にもフィットする照明に。この中に、たとえばひとつだけ色ガラスの瓶を使ってみると、異なる光が混ざってまたおもしろいですね。
こちらのガラスボトルはキャンドルホルダーとして活躍。アウトドアリビングの素敵なポイントとなっています。ボトルの高さを少し変えることで、光の調整をしています。
よく照明インテリアについて灯りの度合いを聞かれるとき基準にしている数字が1ルクスです。実際の照度は照らす面や器具の高さによって異なりますが、お客様にいろいろご説明をするなかで、月灯りに例えてお話しすることがあります。
たとえば、雲のない晴天の夜の月の明るさは約1ルクスといわれており、これは本が読める明るさです(月が欠けてくると0.2~0.3ルクスくらいになるそうです)。キャンドル1本の灯りも本が読める明るさであり、約1ルクスといわれます。ちらちらと揺れるそんな光が、空間を優しく照らし、心なごむ空間になること請け合いです。
よく照明インテリアについて灯りの度合いを聞かれるとき基準にしている数字が1ルクスです。実際の照度は照らす面や器具の高さによって異なりますが、お客様にいろいろご説明をするなかで、月灯りに例えてお話しすることがあります。
たとえば、雲のない晴天の夜の月の明るさは約1ルクスといわれており、これは本が読める明るさです(月が欠けてくると0.2~0.3ルクスくらいになるそうです)。キャンドル1本の灯りも本が読める明るさであり、約1ルクスといわれます。ちらちらと揺れるそんな光が、空間を優しく照らし、心なごむ空間になること請け合いです。
スポットライトのみで照らす
この部屋の照明は、アームが調節でき、長く伸びるスポットライトのみ。光の当たる位置を自在に変えられる優れものです。作業中は手元を照らし、その後は見せたい場所、必要な場所へ光を移動させています。キッチンなのに明るさを抑えているところが、こだわりなのでしょうね。照明は最小限にして、モノを美しく見せることを意識されているのでしょう。
この部屋の照明は、アームが調節でき、長く伸びるスポットライトのみ。光の当たる位置を自在に変えられる優れものです。作業中は手元を照らし、その後は見せたい場所、必要な場所へ光を移動させています。キッチンなのに明るさを抑えているところが、こだわりなのでしょうね。照明は最小限にして、モノを美しく見せることを意識されているのでしょう。
ワークデスクのまわりには、余分な照明器具はありません。たったひとつのデスクライトがスポットライトのように机上を照らしています。壁に飾ってある子供のお絵かきやデスク上の紙類は、ともすれば片付かない印象を与えるので、直接に光を当てずにデスクライトから間接的に光を送ることで、きれいに見せる工夫が感じられます。
光の色にバリエーションを
たとえば、クリスマスの演出はこのとおり、灯りだけでもできます。ツリーやオーナメントがなくても、訪れたお客様が十分にクリスマスの雰囲気を味わえるのは、テーブルの上のライトの効果です。
天井から下がるオーソドックスな形のペンダントライトが白く発光しているため、いっそうテーブルの上の黄色い光があたたかそうに引き立って見えています。色温度の異なる照明器具を使うことで、おのおののよさがいっそう際立つ例ですね。
たとえば、クリスマスの演出はこのとおり、灯りだけでもできます。ツリーやオーナメントがなくても、訪れたお客様が十分にクリスマスの雰囲気を味わえるのは、テーブルの上のライトの効果です。
天井から下がるオーソドックスな形のペンダントライトが白く発光しているため、いっそうテーブルの上の黄色い光があたたかそうに引き立って見えています。色温度の異なる照明器具を使うことで、おのおののよさがいっそう際立つ例ですね。
陰影で引き立たせる部屋の形
ロフトの天井の形を見事に利用したバスルーム。変形の白い天井と壁が一体となって、光の陰影をつくっています。夜間もダウンライトのみの抑えられた光で、同じような光の美しいハーモニーが見られます。不規則な形の部屋では灯りは少なめにすると、光の陰影がより優れ、何も置かなくてもエレガントに見えますね。
ロフトの天井の形を見事に利用したバスルーム。変形の白い天井と壁が一体となって、光の陰影をつくっています。夜間もダウンライトのみの抑えられた光で、同じような光の美しいハーモニーが見られます。不規則な形の部屋では灯りは少なめにすると、光の陰影がより優れ、何も置かなくてもエレガントに見えますね。
インテリアの色と灯り
赤いシェードを通して照らし出される光は、ベッドルームをあたたかく優しく見せるでしょう。暗めの照明が好まれる寝室では、濃い色のシェードで灯りの調整をすると効果的です。もしシェードが寒色のブルーや白だったら、寝室の体感温度がもっと下がりますが、暖色を使用するとインテリアに深みが増し、あたたかい雰囲気になります。
赤いシェードを通して照らし出される光は、ベッドルームをあたたかく優しく見せるでしょう。暗めの照明が好まれる寝室では、濃い色のシェードで灯りの調整をすると効果的です。もしシェードが寒色のブルーや白だったら、寝室の体感温度がもっと下がりますが、暖色を使用するとインテリアに深みが増し、あたたかい雰囲気になります。
灯りがこれほどあたたかそうに見えるのは、窓辺に下げた黄色いシェードのおかげだと思います。このように光が当たったときのことも意識して壁やカーテンの色を選ぶと、部屋の色のもつイメージを強めたり弱めたりのコントロールができます。
同じ部屋を朝の光で見たところです。光の種類により、部屋の印象がこれほど変わって見えます。夜の白熱球の灯りによる濃い陰影が薄れて、部屋全体の色も淡いトーンになっているのがお分かりになると思います。灯りは風景に陰影を与え、厚みをもたせるだけでなく、周囲の色に溶け込み、その色の表情を豊かに見せてくれます。
自然の炎、自然の太陽光
キャンドルの灯りは、揺れることで周囲にチャーミングな影をつくります。高さの異なるチャーチキャンドルをまとめて置くだけで、あたたかいウェルカミングな空間ができ上がります。おもてなしのシーズンに、玄関やエントランスホールでぜひ試してみたいものですね。天然素材を原料としたキャンドルは、燃焼するときに周囲の塵埃も燃やしてくれ、空気清浄の効果もあるといわれています。優しい灯りに心癒されるだけではないのですね。
キャンドルの灯りは、揺れることで周囲にチャーミングな影をつくります。高さの異なるチャーチキャンドルをまとめて置くだけで、あたたかいウェルカミングな空間ができ上がります。おもてなしのシーズンに、玄関やエントランスホールでぜひ試してみたいものですね。天然素材を原料としたキャンドルは、燃焼するときに周囲の塵埃も燃やしてくれ、空気清浄の効果もあるといわれています。優しい灯りに心癒されるだけではないのですね。
薪ストーブの灯りも、キャンドルと同じ効果があります。灯りが揺れるので、発する灯りに周囲のモノの陰影がやわらかく映ります。
冬の太陽光は美しいものです。昼光色は電球では白いのに、自然光は透明な輝きがあり、これほどまわりをきれいに見せてくれる灯りはありません。どれほど凡庸な風景も、この透明な強い光のおかげで、いきいきと輝いて見えます。
ご紹介してきましたように、照明のちょっとした工夫で、部屋の印象はがらりと変わります。仕事をするオフィスや作業をする場所では、モノに影ができないフラットな蛍光灯の光が好まれますが、人が集まり会話を楽しむ空間では、逆に陰影によりインテリア空間を美しく演出してくれる黄色い光(電球色)がおすすめです。
照明も適材適所で考えて使い分けをすることで、心地よい暮らしと地球に優しい暮らし、両方の実現にもつながっていくとよいですね。
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ご紹介してきましたように、照明のちょっとした工夫で、部屋の印象はがらりと変わります。仕事をするオフィスや作業をする場所では、モノに影ができないフラットな蛍光灯の光が好まれますが、人が集まり会話を楽しむ空間では、逆に陰影によりインテリア空間を美しく演出してくれる黄色い光(電球色)がおすすめです。
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