新年に見直したい「和」の心得、10のヒント
あけましておめでとうございます。身も心もあらたまる新年に、日本の伝統の心、古くから伝わる美しい暮らしの習慣を見つめ直してみませんか。
Miki Anzai
2022年1月1日
新しい一年がスタートしました。年ごとに心新たに物思うのも新年であれば、去年今年(こぞことし)、いつの日も変わらぬ息づきを保ちたいと願うのも、また新年です。「温故知新」という言葉どおり、古きをたずね、新しきを知る心で、2022年の幕開けに、「和」の精神に基づいた、「和」の暮らしを見つめ直してみたいと思います。
1. 茶道の精神を学ぶ
新しい年になると、茶道の家元では、お正月を祝い、初釜と呼ばれる一年で最も華やかな行事が開かれます。茶人にとって、めでたく楽しい一刻ですが、年頭のお稽古始めでもあります。この日に特に気を配るのは、お茶室やお点前での作法や流儀というよりも、「茶道の精神」に立ち返ることかもしれません。難しく考えず、お茶の精神を少しでも知ることで、私たちの日常生活のありかたが、ぐっと変わってきます。
新しい年になると、茶道の家元では、お正月を祝い、初釜と呼ばれる一年で最も華やかな行事が開かれます。茶人にとって、めでたく楽しい一刻ですが、年頭のお稽古始めでもあります。この日に特に気を配るのは、お茶室やお点前での作法や流儀というよりも、「茶道の精神」に立ち返ることかもしれません。難しく考えず、お茶の精神を少しでも知ることで、私たちの日常生活のありかたが、ぐっと変わってきます。
茶道の精神とは、「一期一会」に尽きると思います。お茶室でもてなす側が、一度しか会わないかもしれないお客さまに対して、誠心誠意、おもてなしをするということ。これは何も初対面に限らず、何度も顔を合わせている人にも当てはまります。つまり、常に「相手」を敬い、縁を尊び、大切にする心を持つということです。それは、お客さまも同じ。たとえば、訪問先に上がるときに、新しい足袋(ソックス)を用意しておいて履き替え、部屋を汚さないように心配りをする。襖(ドア)を開けるときも、中の気配を気にしながら、ゆっくりと戸を開ける。そうした心配りを意識することで、自然と美しい所作につながるのです。
茶室を手がける建築家を探す
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2. 着物を見直す
着物を着れば、それだけで背筋が伸び、歩幅も狭まり、がさつな態度がとりにくくなります。ただし、着物は高価なうえに、お手入れも面倒。着付けは大変で、髪もまとめなくては……と腰がひけるのも事実。それでも、もしお祖母様やお母様から受け継いだ大切な着物をお持ちなら、きちんと保管して着れば、実は寿命が長い、コストパフォーマンスも高い衣類だと実感されることと思います。一年に一度でもよいので、箪笥を開けて着物のコンディションをチェックしてみてください。そしてなるべく、日本が世界に誇れるこの伝統的な衣装を着る機会をつくってみましょう。
着物を着れば、それだけで背筋が伸び、歩幅も狭まり、がさつな態度がとりにくくなります。ただし、着物は高価なうえに、お手入れも面倒。着付けは大変で、髪もまとめなくては……と腰がひけるのも事実。それでも、もしお祖母様やお母様から受け継いだ大切な着物をお持ちなら、きちんと保管して着れば、実は寿命が長い、コストパフォーマンスも高い衣類だと実感されることと思います。一年に一度でもよいので、箪笥を開けて着物のコンディションをチェックしてみてください。そしてなるべく、日本が世界に誇れるこの伝統的な衣装を着る機会をつくってみましょう。
3. 自分で着付けをする
少しハードルは高いかもしれませんが、着付けを自分でできるようになると、楽しみが増えます。最初は学ぶ楽しさ、季節を意識した着物や帯を揃える楽しさ。そして少し慣れてくると、着物で出かける楽しさ、さらに上級者になると、人に着せるおもしろさが出てきます。同じ着物を違うコーディネートで楽しめるようにもなり、美しい居立ち居振る舞いができるようになるでしょう。
少しハードルは高いかもしれませんが、着付けを自分でできるようになると、楽しみが増えます。最初は学ぶ楽しさ、季節を意識した着物や帯を揃える楽しさ。そして少し慣れてくると、着物で出かける楽しさ、さらに上級者になると、人に着せるおもしろさが出てきます。同じ着物を違うコーディネートで楽しめるようにもなり、美しい居立ち居振る舞いができるようになるでしょう。
4. 季節の花や枝ものを活ける
季節を感じさせ、くつろぎや安らぎ、活力与えてくれる生花や枝ものを、お部屋に取り入れていませんか?自らアレンジした花や枝ものを飾ることで、空間が華やかになることでしょう。
「いけばな」の起源ともいえる、花瓶に花をさす「立て花」が床の間などに飾られるようになったのは、室町時代に書院造の邸宅ができた頃からのことだそうです。
今年は切り花に加えて、生き生きとした枝ぶりが大胆なインテリアにもなる枝ものにもチャレンジしてみてはいかがでしょう。
季節を感じさせ、くつろぎや安らぎ、活力与えてくれる生花や枝ものを、お部屋に取り入れていませんか?自らアレンジした花や枝ものを飾ることで、空間が華やかになることでしょう。
「いけばな」の起源ともいえる、花瓶に花をさす「立て花」が床の間などに飾られるようになったのは、室町時代に書院造の邸宅ができた頃からのことだそうです。
今年は切り花に加えて、生き生きとした枝ぶりが大胆なインテリアにもなる枝ものにもチャレンジしてみてはいかがでしょう。
5. 書を嗜む
年賀状が届き、印刷したはがきにちょっとでも手書きのコメントが入っているとうれしいものです。昔のように墨をすり、筆を使って一枚一枚書く習慣は廃れてきています。でも、時々、硯(すずり)を出して墨をすり、短冊や扇面に、好きな句や歌を綴ってみるのもよいものです。
年賀状が届き、印刷したはがきにちょっとでも手書きのコメントが入っているとうれしいものです。昔のように墨をすり、筆を使って一枚一枚書く習慣は廃れてきています。でも、時々、硯(すずり)を出して墨をすり、短冊や扇面に、好きな句や歌を綴ってみるのもよいものです。
6. 水墨画にチャレンジ
そして年賀状や、久しぶりに出す友へのはがきに、気持ちを込めて、さらっと墨で挿絵なども描ければ最高ですよね。墨一色の濃淡によって描く水墨画は、中国で山水画を中心に育まれ、鎌倉中期に禅宗ととも日本に伝わりました。水墨画は写生画ではなく、詩情をのびのびと描くもの。日々、心にゆとりをもって自然と語りあってこそ、詩心が養えそうです。
そして年賀状や、久しぶりに出す友へのはがきに、気持ちを込めて、さらっと墨で挿絵なども描ければ最高ですよね。墨一色の濃淡によって描く水墨画は、中国で山水画を中心に育まれ、鎌倉中期に禅宗ととも日本に伝わりました。水墨画は写生画ではなく、詩情をのびのびと描くもの。日々、心にゆとりをもって自然と語りあってこそ、詩心が養えそうです。
7. お香をたく
日本の香の文化の始まりは、飛鳥時代のようで、『日本書紀』に、推古3年(595年)、淡路島に漂着した流木を、島人たちがかまどで焼いたら、驚くほどの芳香が放たれたという逸話が残されています。そして室町時代には、香りをたき比べて鑑賞する「香道」が確立されました。アロマセラピーが人気の昨今ですが、日本伝統の香の文化を見直すのはおすすめです。
日本の香の文化の始まりは、飛鳥時代のようで、『日本書紀』に、推古3年(595年)、淡路島に漂着した流木を、島人たちがかまどで焼いたら、驚くほどの芳香が放たれたという逸話が残されています。そして室町時代には、香りをたき比べて鑑賞する「香道」が確立されました。アロマセラピーが人気の昨今ですが、日本伝統の香の文化を見直すのはおすすめです。
8. 盆栽や苔玉を作ってみる
盆栽は、小さな鉢の中に壮大な自然を再現する芸術作品です。単に水をやって育てる観葉植物と違って、その醍醐味は、鑑賞のために美しく整えていく作業にあるといえるでしょう。四季を通して、自然が織りなす美しい変化や生命の鼓動を感じてみてください。最近、人気の「苔玉」からスタートしてもよいかもしれません。
苔玉をつくるなら:
DIY:吊るすタイプのかわいい苔玉(こけだま)をつくろう!
盆栽は、小さな鉢の中に壮大な自然を再現する芸術作品です。単に水をやって育てる観葉植物と違って、その醍醐味は、鑑賞のために美しく整えていく作業にあるといえるでしょう。四季を通して、自然が織りなす美しい変化や生命の鼓動を感じてみてください。最近、人気の「苔玉」からスタートしてもよいかもしれません。
苔玉をつくるなら:
DIY:吊るすタイプのかわいい苔玉(こけだま)をつくろう!
9. 漆器を使ってみる
塗りの器を普段使いしてみるのはいかがでしょう。精巧な蒔絵が施された漆器などは、見ているだけで溜息が出ます。食洗機や電子レンジに入れられなかったり、傷がつきやすかったりと、扱いに注意が必要な器ですが、丁寧に扱えば大丈夫。思い切って使ってみると、漆器の凜としたたたずまいがテーブルコーディネートに美しいアクセントをもたらしてくれます。そして何よりも、その手触りや口当たりのよさで、料理がいっそう美味しく感じられます。
塗りの器を普段使いしてみるのはいかがでしょう。精巧な蒔絵が施された漆器などは、見ているだけで溜息が出ます。食洗機や電子レンジに入れられなかったり、傷がつきやすかったりと、扱いに注意が必要な器ですが、丁寧に扱えば大丈夫。思い切って使ってみると、漆器の凜としたたたずまいがテーブルコーディネートに美しいアクセントをもたらしてくれます。そして何よりも、その手触りや口当たりのよさで、料理がいっそう美味しく感じられます。
10. 俳句や短歌を読んでみる
あえて、俳句や短歌を「詠む(よむ)」とせず「読む」としたのは、いきなりつくるのは難しいからです。まず、先人たちの作品を多読することから始めてみませんか?それも、お風呂の中で声を出して読むのが効果的といわれています。熱いお湯につかりながら、エコーの効いた、ちょっといつもより耳に心地よい自分の声を聴いてみてください。俳句や短歌の持つ、言葉の響きの美しさも含め、理性よりも、もっと深いところで鑑賞できることでしょう。
あえて、俳句や短歌を「詠む(よむ)」とせず「読む」としたのは、いきなりつくるのは難しいからです。まず、先人たちの作品を多読することから始めてみませんか?それも、お風呂の中で声を出して読むのが効果的といわれています。熱いお湯につかりながら、エコーの効いた、ちょっといつもより耳に心地よい自分の声を聴いてみてください。俳句や短歌の持つ、言葉の響きの美しさも含め、理性よりも、もっと深いところで鑑賞できることでしょう。
心穏やかに新年の門出を祝いましょう
清新な気に満ちた元旦は、身も心もあらたまる思いがします。お正月に、先人たちが築き、磨き上げてきた和の暮らしの本質を見つめ直し、奥ゆかしい心づかいができるように、日頃から心がけたいものです。
本年も、皆さまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。
・和モダンの住まいの写真を探す
・和モダンの家についての記事を読む
本記事(初出:2016年元旦)は、好評につき、再編集のうえ再掲しています。
清新な気に満ちた元旦は、身も心もあらたまる思いがします。お正月に、先人たちが築き、磨き上げてきた和の暮らしの本質を見つめ直し、奥ゆかしい心づかいができるように、日頃から心がけたいものです。
本年も、皆さまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。
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鞍城建設様がおっしゃる通り、生活様式が変わっても、新春の室礼として注連飾り、鏡餅などがごく自然に飾られるお正月は、年に一度、最も「和」の住まいのハレの装いを感じる時だと思います。「床の間」や「茶室」が欲しい!と痛感する時期でもあります。今年も鞍城建設様が手がけられる古き良き日本建築の作品をHouzzで拝見するのを楽しみにしております。
Houzzのメールには珍しく和の室礼の写真を拝見いたしました。
現代の日本の生活習慣では少なくなっている和のインテリアを特殊なものと考えず
普段の生活に取り入れていく方法はいくらでも有りますから、これからも取り上げていただければ有り難く存じます。
私共の会社の写真も投稿させて頂きたいと考えております。
(株)東北住研 松谷
(株)東北住研の松谷様、このたびは嬉しいコメント、有難うございます。個人的にも長年、茶道(表千家)を習っておりますので、茶室に興味がございます。是非、御社で手がけられた作品の画像をHouzzにご投稿下さいませ。楽しみにお待ち申し上げております。