13㎡の小屋で送る、オフグリッドのシンプルでミニマルな快適生活
もっとシンプルな暮らしがしたい、と思い立った女性建築家がカリフォルニアの山の中に建てた小屋。シンプルでミニマルで、しかも電気もソーラーパネルで自家供給するエコでサステナブルな家です。小さいけれど、人をもてなせて、自分も心からくつろげる空間には、快適な生活の知恵が溢れています。
Mitchell Parker
2015年11月21日
ヴィナ・ルスタドさんのこちらの家は、建設費用わずか4万ドル、しかも13平方メートルという狭さ。しかし、さらに驚くべき点が2つある。1つは、この家は終の棲家として設計・建設されたということ。「仮住まいではありません。ここにずっと住むつもりなんです」とルスタドさんは言う。2つめの点は、この家、実は、大勢のゲストを招いてパーティーを開くのに最高だということ。「この家を建ててからは、以前よりずっと頻繁にパーティーを開くようになりましたね」とルスタドさん。
どんなHouzz?
居住者:建築家のヴィナ・ルスタドさん
所在地:カリフォルニア州オーハイ
規模:13平方メートル、ベッドルームx1、バスルーム(トイレ含む)x1
20年以上にわたり設計の仕事をしてきたルスタドさん。住宅や商業ビルを数多く手がけてきたが、大部分は贅沢な仕様の建物だった。でも、自分の暮らしとなると、いつも40〜50平方メートルの部屋で暮らすシンプルな生活スタイルが気に入っていた。
やがて、ルスタドさんは、20平方メートル以下の住宅やトレーラーハウスをつくる〈タイニーハウスムーブメント〉に携わる人たちと知り合いになった。狭小住宅のをてがける企業と仕事をしていたときに、ポートランドで小さな家に暮らす新しいスタイルを模索する団体、〈ポートランド・オルタナティブ・ドウェリング〉を設立したディー・ウィリアムズのワークショップに参加。そこで、無駄を排したシンプルな生活を送るという考え方、住宅づくりに必要な材料や費用を減らし、自分の希望にぴったりな住宅をつくってみたい、と思うようになった。
1年をかけ、4万ドルをついやして、自宅の設計と建設に取り組み、2014年の始めに完成した家に入居した。場所は、カリフォルニア州オーハイにある1エーカーの敷地。同じ敷地に小屋を所有するボーイフレンドと2人で、月400ドルの借地料を折半で払っている。
居住者:建築家のヴィナ・ルスタドさん
所在地:カリフォルニア州オーハイ
規模:13平方メートル、ベッドルームx1、バスルーム(トイレ含む)x1
20年以上にわたり設計の仕事をしてきたルスタドさん。住宅や商業ビルを数多く手がけてきたが、大部分は贅沢な仕様の建物だった。でも、自分の暮らしとなると、いつも40〜50平方メートルの部屋で暮らすシンプルな生活スタイルが気に入っていた。
やがて、ルスタドさんは、20平方メートル以下の住宅やトレーラーハウスをつくる〈タイニーハウスムーブメント〉に携わる人たちと知り合いになった。狭小住宅のをてがける企業と仕事をしていたときに、ポートランドで小さな家に暮らす新しいスタイルを模索する団体、〈ポートランド・オルタナティブ・ドウェリング〉を設立したディー・ウィリアムズのワークショップに参加。そこで、無駄を排したシンプルな生活を送るという考え方、住宅づくりに必要な材料や費用を減らし、自分の希望にぴったりな住宅をつくってみたい、と思うようになった。
1年をかけ、4万ドルをついやして、自宅の設計と建設に取り組み、2014年の始めに完成した家に入居した。場所は、カリフォルニア州オーハイにある1エーカーの敷地。同じ敷地に小屋を所有するボーイフレンドと2人で、月400ドルの借地料を折半で払っている。
この家は、コンクリートの基礎の上に固定されているのではなく、トレーラーの上に置かれている。カリフォルニア州を含め、米国の多くの州の法律では、建築物は55平方メートル(場所によっては65平方メートル)以上の建築面積が必要であるとされている。だが、車輪がついていれば、「一時的住居」とみなされるので、建築基準法の規制をかなり逃れることができるのだ、(とはいえ、ルスタドさんは、安全のため、ほとんどの建築基準法の規制をクリアする設計を行った。)
また、オフグリッドの暮らし(既存の電力網にエネルギー供給を頼らない暮らし)をしたいという思いも強かった。3枚のソーラーパネルから供給される電力を4個の蓄電池に備蓄。暖炉やガスレンジ、給湯器の燃料は、プロパンガスを使う。公共料金として支払っているのは水道料のみ。庭に引かれた水道を使っているためだ。
デッキは、リビングとほぼ同じ広さがあり、ディナーパーティーのときにはここで大勢のゲストをもてなす。「私にとって、『大勢』というのは10人。この人数だと適度に親密で快適な時間を過ごせるんです。人と人との距離が近いから、会話が分断されることもないし、すし詰めにもならない、心地よい人数なんです」
支柱は、敷地内でボーイフレンドが見つけた倒木を利用。デッキの材料は、古い民家のものを製材し直し着色をして再利用した。「デッキを造るのに、新品を購入したのはネジだけですね」とルスタドさん。外壁のサイディングはシダー材。
フレンチドアはインターネットの中古品売買サイトで見つけた200ドルのもの。3カ月かけてきれいに塗装しなおし、ドアのサイズに合わせて外開きで設置してあり、雨水も入ってこない。
また、オフグリッドの暮らし(既存の電力網にエネルギー供給を頼らない暮らし)をしたいという思いも強かった。3枚のソーラーパネルから供給される電力を4個の蓄電池に備蓄。暖炉やガスレンジ、給湯器の燃料は、プロパンガスを使う。公共料金として支払っているのは水道料のみ。庭に引かれた水道を使っているためだ。
デッキは、リビングとほぼ同じ広さがあり、ディナーパーティーのときにはここで大勢のゲストをもてなす。「私にとって、『大勢』というのは10人。この人数だと適度に親密で快適な時間を過ごせるんです。人と人との距離が近いから、会話が分断されることもないし、すし詰めにもならない、心地よい人数なんです」
支柱は、敷地内でボーイフレンドが見つけた倒木を利用。デッキの材料は、古い民家のものを製材し直し着色をして再利用した。「デッキを造るのに、新品を購入したのはネジだけですね」とルスタドさん。外壁のサイディングはシダー材。
フレンチドアはインターネットの中古品売買サイトで見つけた200ドルのもの。3カ月かけてきれいに塗装しなおし、ドアのサイズに合わせて外開きで設置してあり、雨水も入ってこない。
裏庭を出ると、木立を縫う小道の先に小屋が立っている。こちらに、浄化槽つきのトイレが設置されている。家の中にもコンポストトイレを設置してあるが、バスルームのベンチの一部としてつくってある上、この郡ではコンポストトイレの使用は許可されていないので、夜間の緊急時のみ使っている。
家の中には、造り付けのデスクやロフト、ソファがある。友だちの大工がキャビネットやサイディング、床、木工作業をすべて引き受けてくれた。造り付け家具に使われた木材はすべてFSC(森林管理協議会)の認証を取得している。
木々の剪定や世話はボーイフレンドが担当してくれている。建設作業もする人なので、この家を建てるときにも活躍してくれた。「彼がこういうことができる人でなければ、この家をつくろうとは思わなかったと思います」とルスタドさん。
また、ルスタドさんは、地元のコミュニティーに根ざした家づくりをしたいと考えた。そこで、特注のすりガラスやカーテン、クッションなどのデザインは、地元の作り手を探して依頼した。
床は、無料で手に入れたオーク材の板を使用し、カンナがけや塗装、設置といった作業は人を雇って行った。
木々の剪定や世話はボーイフレンドが担当してくれている。建設作業もする人なので、この家を建てるときにも活躍してくれた。「彼がこういうことができる人でなければ、この家をつくろうとは思わなかったと思います」とルスタドさん。
また、ルスタドさんは、地元のコミュニティーに根ざした家づくりをしたいと考えた。そこで、特注のすりガラスやカーテン、クッションなどのデザインは、地元の作り手を探して依頼した。
床は、無料で手に入れたオーク材の板を使用し、カンナがけや塗装、設置といった作業は人を雇って行った。
ヘンプ張りのソファの座面の下は収納になっている。クッションの上のソファは、デスクの上方にあるロフトにゲストが泊まるときに使用する。床の上にある収納家具は、ソファの側に寄せればダイニングテーブルに。ソファでスライドして動かせるテーブルは、シダー材の端材でつくった。
暖炉はルスタドさんにとって欠かせないもの。できるだけ小さなものを探してきた。値段は3000ドル、煙道は二重構造で、リモコン操作が可能。ベッドからスイッチを入れたり切ったりできる。「私にしては、思いっきり贅沢をした部分ですね」とルスタドさん。
ソーラーパネルの一部は木陰に入ってしまうため、節電は常に意識している。例えば、ヘアドライヤーやトースターなど、コイル式電熱装置が使われている電気器具は、ブレーカーが落ちる原因になるので使わない。もちろん、木陰をつくる木を切るという手もあるが、ルスタドさんはそれはしたくないと考えている。将来的には、パネルを高い位置に取り付けるか、数を増やすといった方策をとりたいと考えている。
ソーラーパネルの一部は木陰に入ってしまうため、節電は常に意識している。例えば、ヘアドライヤーやトースターなど、コイル式電熱装置が使われている電気器具は、ブレーカーが落ちる原因になるので使わない。もちろん、木陰をつくる木を切るという手もあるが、ルスタドさんはそれはしたくないと考えている。将来的には、パネルを高い位置に取り付けるか、数を増やすといった方策をとりたいと考えている。
〈イケア〉で買ったブッチャーブロックのカウンタートップは。料理するには充分のスペースに。パントリーはシンクの右側にある。洗濯物を入れるカゴもここに置いている。カウンター下には、冷凍庫なしのミニ冷蔵庫を設置。「本当に必要なものを吟味していったら、冷凍庫の占める空間はもったいないという結論に至りました」とルスタドさん。
洋服はステンシルの模様のついた2段のクローゼットに収納。上の段にはハンガーラック、下の段にはカスタムメイドの引き出しと棚。壁画家の友だちがスズカケノキの写真を手本にしてステンシルを制作してくれた。「葉っぱや枝を繊細に描いてくれたんです」とルスタドさん。
バスルームのガラスのドアにも同じ図柄を描いてもらった。
洋服はステンシルの模様のついた2段のクローゼットに収納。上の段にはハンガーラック、下の段にはカスタムメイドの引き出しと棚。壁画家の友だちがスズカケノキの写真を手本にしてステンシルを制作してくれた。「葉っぱや枝を繊細に描いてくれたんです」とルスタドさん。
バスルームのガラスのドアにも同じ図柄を描いてもらった。
キッチンのガスレンジの上方にある横長の窓から、自然光が入る。切り取られた眺めが美しい。
2口のプロパンガスコンロは、RV車用に設計されたもの。キャビネットにもう1つコンロを収納している。このカウンターの下には、パンカゴくらいの大きさのミニボイラーがある。
2口のプロパンガスコンロは、RV車用に設計されたもの。キャビネットにもう1つコンロを収納している。このカウンターの下には、パンカゴくらいの大きさのミニボイラーがある。
ベッドルームとして使っているロフトにはハシゴで登る
天窓は絶対譲れなかった。「星空を見上げながら眠れるベッドがほしいとずっと思っていたんです。費用がいくらかかっても構わないと思ってましたね」とルスタドさん。実際には、1000ドルかかったそう。大きく開くし、火事の際の避難口にもなる。
シャワーのお湯は、好きなだけ熱くできるし、長時間浴びても問題ない。「シャワーの温水がなくなるかも、という心配はないんです」とルスタドさん。
彼女は、ヴェンチューラの近くに、1.5x2.1メートルの収納ユニットを持っていて、美術用品などを収納している。また、ボーイフレンドの小屋の近くにはエアストリームのトレーラーがあり、キャンプや自転車、登山用のアウトドア装備を保管してある。でも、常に持ち物に目を配って数を減らし、何か買おうと思ったら、必ず2回は考えてから買うようにしている。
ここに越してきて7ヵ月、ますますこの家でくつろげるようになった。
「仮住まいではないんです。ここは私の家。引っ越すときは、家も一緒」とルスタドさんは話してくれた。
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「小さな生活」をしてみたいと思いますか?
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人間が生き抜く究極の終の住みかとは
ミニマムで満足な生活を送る事で充分だと思う。
建築家は時として自然界の中で「奢り」に満ちた行動を取ってしまう。
彼女も同様建築家として同様に奢りの中で日々仕事をする中で多分、
素直な生き方を模索する中で究極の形を取り入れたミニマムな建築物。
私もクリエイターとしてとても彼女の生き方に共鳴する所があります。
所詮「人間起きて半畳、寝て一畳」と言う日本古来の名言がある様に
実は茶道の「茶室」は僅か四畳半と言う中にこそ人間本来の「わびさび」といわれる無限の宇宙観がある事をご存じだろうか?
人間が今のままの「物欲的」な生き方をして行く末には、
必ず世界中で争い事が絶えない破滅の道を進んで行くと思がうね!?
ぜひ間取り図も拝見したいです~。設計図が拝見できれば最高!!素晴らしいデザイン、機能性。同じものを作って住みたい・・・・
to jest super pomysl