パリの20㎡のアパルトマン。センスのいい省スペースの工夫いっぱいのリノベーション
ずっと空室でボロボロになっていたアパルトマンを全面リノベーションで明るく快適に。空間を隅々まで生かす工夫は、日本の家づくりの参考にもなりそうです!
Aurélie Roman
2016年3月9日
パリにある、広さおよそ20平方メートルのボロボロのアパルトマンの大改造を引き受けた建築家のステファニー・ベルティナ・ミナルさん。高い天井やオリジナルのモールディング、梁、バルコニーといった部分を見たときは、わくわくしたそうだ。というのも、古い壁紙やパーティションの影に隠された、建物本来の魅力を引き出すことこそ、彼女が得意とするところだからだ。
どんなHouzz?
所在地:フランス、パリ
規模:ベッドルーム×1、バスルーム(トイレ含む×1)
建築家:ステファニー・ベルティナ・ミナルさん
どんなHouzz?
所在地:フランス、パリ
規模:ベッドルーム×1、バスルーム(トイレ含む×1)
建築家:ステファニー・ベルティナ・ミナルさん
今では想像できないが、昔、ここは使用人が使う薄暗い場所だった。ちょっと変わった間取りで、わずか20平方メートルという面積の中に3つの部屋が並んでいた。ステファニーさんはこの空間の特徴を生かして部屋づくりを進めていくことにした。今回の改装で発見した木の梁のように、昔のままの部分も空間にしっくり溶け込んで、コンテンポラリーな部屋の中に時代を超えた美しさを感じさせる。
角にあるバスルームは一から作ったもの。自然光が入らないので、室内の光が入るようにガラスのドアを使った。「キッチンとバスルームの間に、縦長の明るい柱状の空間も作りました」とステファニーさん。鏡張りの壁が部屋を広く見せると同時に、ごちゃごちゃとして見えないように、配電盤などの設備をその裏に配置すなどの工夫されている。
空間を最大限に活用するため、調理家電は壁沿い並べておいている。洗濯機は扉の中。狭い空間の中にも個性を出すため、壁の色は鮮やかなブルーを選んだ。
アパルトマンの部屋すべてに統一感を出すため、全体にウッド調の床材を敷いた。見た目に美しいだけではなく実用的でもある。「キッチンには、一部セメントタイルを使いました。カーペットを敷いているようにも見えるんです」とステファニーさん。キッチンキャビネットの下の幅木部分にはLED照明を取り付けて、明るく広がりのある印象に。
こちらのリビング兼ベッドルームは、鏡やモールディングがちょっとトラディショナルな雰囲気だ。ステファニーさんは「この物件の本来の趣きも残しておきたかったんです」と言う。この家には色彩が必要、というみんなの意見で、雰囲気が明るくなるような紫色を取り入れた。
バスルームはかなりコンパクト。狭い空間なので備品も選び抜いた。タオルウォーマーは通常よりもスリムタイプで、鏡の後ろには隠れた収納スペースがある。壁にはベッドルームと合わせた紫色のモザイクタイルで華やかに。シャワースペースにはウッド調タイルを使い、手入れも簡単だ。ガラスのドアのおかげで、バスルームは意外なほど明るくなった。
大きな庭に面したバルコニーへとつながる部屋は、収納スペースと書斎を兼ねている。大きなドアと鏡張りのワードローブのおかげでとても明るい。この部屋は生活に適した空間にするために断熱・防水作業が必要だったという。「狭くても気にしなくて大丈夫。折りたたみ式のテーブルを広げれば書斎に早変わりです」とステファニーさんは話してくれた。
教えてHouzz:
日本の大都市なみに小さな住宅ですね。ご感想をぜひコメント欄で教えてください!
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間取りが知りたいです!
あと何故、素敵なインテリアの御宅ってこんなにも、物がなくすっきりとしているのでしょう。
実際にはかなり狭いんでしょうけど、物が少ないことと空間の使い方が巧みなことで素敵な住まいになっていますよね。色の使い方もおしゃれ。
素敵な空間をキープしよう!ということで身の回りの持ち物を厳選するようになるのでしょうか。。
@Kaori Kotobuki さま、コメントありがとうございます! 設計を担当した建築家 Bertina Minel architecture が間取り図をアップロードしてくれました。上がリノベ前、下がリノベ後になります。テラスにサンルームのようなワークスペースをつくったり、バス・トイレをコンパクトにまとめてスペースを確保し、新たにキッチンを設置するなど、やはり工夫がありますね。エントランスからテラスの外まで、何にも遮られずに視線が抜けるのも、広さを感じさせる工夫の1つだそうです。