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Houzzツアー:現代の暮らしに寄り添うモダンな和空間
洋から和の空間へ、自然と気持ちが切り替わる工夫も。しっとりとした和のテイストを基調に、美しいハーモニーを奏でる住まい。
Nayo Suzuki
2015年8月26日
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける。趣味はインテリアとアート鑑賞。
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける... もっと見る
モダンでありながら、和の趣きを感じる、しっとりと落ち着いた佇まい。東京の老舗日本料理店オーナーのKさんが故郷に建てた、お母様と娘さんたちの3世代が暮らす家である。普段は東京の店の近くに暮らすKさんにとっては、休日に帰宅し、仕事を忘れてホッとくつろぐ場でもある。
当初ハウスメーカーに設計を依頼したものの、提示されたプランがいまひとつ気に入らず、どうしたものかと思っていたKさん。たまたまKさんの店でその話を聞いた横堀建築設計事務所の横堀さんが、プランを出したところ気に入って…というのが家づくりのきっかけだとか。
Kさんからのリクエストは、日本料理店のオーナーならではの”和”を感じる家にして欲しいということ。加えて、Kさんのお母様が暮らしやすいよう、1階にキッチンやダイニング、お母様の部屋と生活動線をまとめて配置して欲しいということだった。
どんなHouzz?
居住者:4人家族
所在地:千葉県
設計:横堀建築設計事務所 Yokobori Architect & Associates
延床面積:163.605平方メートル
竣工:2007年
当初ハウスメーカーに設計を依頼したものの、提示されたプランがいまひとつ気に入らず、どうしたものかと思っていたKさん。たまたまKさんの店でその話を聞いた横堀建築設計事務所の横堀さんが、プランを出したところ気に入って…というのが家づくりのきっかけだとか。
Kさんからのリクエストは、日本料理店のオーナーならではの”和”を感じる家にして欲しいということ。加えて、Kさんのお母様が暮らしやすいよう、1階にキッチンやダイニング、お母様の部屋と生活動線をまとめて配置して欲しいということだった。
どんなHouzz?
居住者:4人家族
所在地:千葉県
設計:横堀建築設計事務所 Yokobori Architect & Associates
延床面積:163.605平方メートル
竣工:2007年
外壁は左官仕上げ、玄関扉、そしてアプローチ部分の天井はレッドシダー材を用いた。玄関までの階段は、高齢者でも歩きやすいよう蹴上の高さを抑え、ゆったりつくられている。
1階の玄関ホールから中庭を見たところ。1階の中庭をコの字型に囲み、玄関ホール、リビング、お母様の部屋が配置され、それぞれの部屋から景観を楽しむことができる。玄関ホールはタイル貼り。中庭には石を敷き、つくばいや石灯籠を置いた。つくばいの涼しげな水の音が情緒あふれる和の空間の粋な演出となっている。シェードの代わりに用いた簾が美しい陰影をつくり出し、いっそうの和の趣きを醸し出している。
リビングの間仕切り戸やウィンドウトリートメントには、簾を建具に仕立てた「簾戸」を用いた。簾はすべて、井上スダレ(株)のもの。横堀建築設計事務所では、Kさん宅のような和モダンな住宅に「簾戸」や「簾」を用いることが多いそう。「日本の職人さんの優れた技術を守るためにも、現代の洋の空間に溶け込むような工夫をしながら、伝統的なものを取り入れるよう心がけています」と、インテリアを手掛けた横堀建築設計事務所のコマタさん。
約20畳の広々としたリビングダイニング。床はホワイトオーク材のフローリング。壁紙を貼った大きな扉を開けるとキッチンがあり、開け放てばキッチンとリビングダイニングがひと続きにもなる間取り。ダークブラン色の家具とスチールの階段が、やわらかく、優しいトーンでまとめた空間を引き締め、ポイントとなっている。
チェア/カッシーナ・イクスシー
チェア/カッシーナ・イクスシー
ダイニングテーブル、チェア、チェストはタイムアンドスタイルのもの。壁のアートや小物がセンスよく配されている。
リビングダイニングとキッチンとの間の扉は引き戸にし、イギリスのCole & Sonの竹柄の壁紙を貼った。チェアに置いたクッションはアルマーニ カーザの生地で作ったもの。「和の空間に和紙を用いると、さらに和が助長されてしまうので、あえて洋のもの、海外メーカーの和を意識した柄の壁紙などを選ぶことが多いですね」とコマタさん。
さらに、屏風や襖を額装してアート代わりに壁に掛けることなどもあるとか。また、現代の住宅に和室を設けるときは、必ず廊下などを介してアプローチするようプランニングし、洋から和の空間へ、自然と気持ちが切り替わるよう配慮しているのだそう。Kさん宅のお母様の部屋もそのような工夫のうえにデザインされている。
このように、細部にわたってさまざまな工夫を凝らし、手を加えることで、現代の暮らしに寄り添う和モダンな空間をつくり上げた。洋と和のエッセンスが気持ちよくミックスされ、それぞれの魅力を放つ住まいである。
さらに、屏風や襖を額装してアート代わりに壁に掛けることなどもあるとか。また、現代の住宅に和室を設けるときは、必ず廊下などを介してアプローチするようプランニングし、洋から和の空間へ、自然と気持ちが切り替わるよう配慮しているのだそう。Kさん宅のお母様の部屋もそのような工夫のうえにデザインされている。
このように、細部にわたってさまざまな工夫を凝らし、手を加えることで、現代の暮らしに寄り添う和モダンな空間をつくり上げた。洋と和のエッセンスが気持ちよくミックスされ、それぞれの魅力を放つ住まいである。
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