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好きなときに好きな場所でお茶会を!ポータブルな茶室兼住宅
茶室×生活空間×可動性。3つの役割を兼ね備えた、低コストでサステナブルな狭小可動式住宅。本格的な茶会も催せます。
Vanessa Brunner
2015年6月24日
オレゴン州にあるこちらの小さな家は、建築家のトッド・ミラー(Todd Miller)さんが日本人女性のクライアントのために設計したもの。予算内で長く愛せる家をつくってほしい、という要望にこたえて、茶室を念頭においた住宅をつくることになったのだ。 茶室には設計上のさまざまなルールがあるうえ、延床面積は12.5平方メートルしかない。となると、知恵を絞る必要があった。
解決策として、生活スペースと茶室を合体させることに。こうすれば、クライアントの要望に応えられるだけでなく、コストもカットできる。例えば、必要な敷地も小さくなるし、光熱費も抑えられるのだ。小さな住宅は万人向きではない。でも、「余分な荷物を持たずにすむし、大きな住宅ローンを抱えたりメンテナンス費がかかったりすることがないというメリットもあります」とミラーさん。
どんなHouzz?
所在地:米オレゴン州マーコラ
設計:トッド・ミラーさん
規模:12.5平方メートル
費用:約34,800ドル(材料費、施工費、設計費を含む)
解決策として、生活スペースと茶室を合体させることに。こうすれば、クライアントの要望に応えられるだけでなく、コストもカットできる。例えば、必要な敷地も小さくなるし、光熱費も抑えられるのだ。小さな住宅は万人向きではない。でも、「余分な荷物を持たずにすむし、大きな住宅ローンを抱えたりメンテナンス費がかかったりすることがないというメリットもあります」とミラーさん。
どんなHouzz?
所在地:米オレゴン州マーコラ
設計:トッド・ミラーさん
規模:12.5平方メートル
費用:約34,800ドル(材料費、施工費、設計費を含む)
できるだけサステナブルで有毒性のものをつかっていない材料を使うことにしたミラーさんは、外装には地元の製材所で入手できるシダー材を使った。また、他の素材も、揮発性有機化合物を含まない(または非常に低量)ものを厳選。接着剤もできるだけ使用しないようにした。
小さな家なので、材料もそれほど必要ではないし、さまざまな支出やゴミの量を抑えることができる。光熱費は平均で月額20ドルだそう。
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小さな家なので、材料もそれほど必要ではないし、さまざまな支出やゴミの量を抑えることができる。光熱費は平均で月額20ドルだそう。
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日本育ちのクライアントは、落ち着いてゆっくりと瞑想したり、茶会を催すことのできる空間を求めていた。そこで、ミラーさんは空間を2つにわけ、1つはバスルームのあるプライベートな空間、もう1つはオープンキッチンと茶室をつくり、茶室からはしごで登る場所にあるロフトをベッドルームにした。キッチンはバスルームと茶室の間にあるため、プライベート用にも茶会のときの水屋としても使えるし、水場をまとめたことで配管工事のコストを抑えることができた。
キッチンは小さいけれど効率性を重視したつくり。幅150センチのレッドオークのカウンター、コンロ2口、温水設備が設置されている。キッチンをコンパクトにまとめたので、反対側の壁にダイニングテーブルを置くスペースをとることができた。
キッチンは小さいけれど効率性を重視したつくり。幅150センチのレッドオークのカウンター、コンロ2口、温水設備が設置されている。キッチンをコンパクトにまとめたので、反対側の壁にダイニングテーブルを置くスペースをとることができた。
キッチンの照明は、上部にあるブラックウォルナット製の棚の下に埋め込んである。
茶室に不可欠な炉は、床下に収納できる電気コンロ式のものを設置。
茶席において重要な役割を果たすのが掛け軸。掛け軸をかける床の間は、床にブラックウォルナットの一枚板をはってアクセントとしている。床の間と、茶道具をしまってある棚の間の床柱は、この家の裏手で見つけたマドロナ(ツツジ科の常緑高木)の枝を使用。
ロフトへは、カスタムメイドのレッドオークのはしごで登る。使わないときには、写真のように、キッチン脇に置いておくのでじゃまにならない。
ロフトはパイン材とブラックウォルナット材で囲い、畳を3畳敷いたスペース。ここがクライアントのベッドスペースだ。
バスルームはロフトの真下、キッチンの奥にある。子供の頃から親しんできた日本式のしっかりと浸かれるお風呂にしてほしいというクライアントの要望に沿ったバスルームだ。上部にシャワーが設置されているので、シャワーだけでも使用できる。
家庭雑排水はフランジを通じて汚水処理システムへつなぐようになっている。バスルームの反対側には、コンパクトなコンポスト式トイレが設置されており、下水を外部に出すことなく処理。
家庭雑排水はフランジを通じて汚水処理システムへつなぐようになっている。バスルームの反対側には、コンパクトなコンポスト式トイレが設置されており、下水を外部に出すことなく処理。
屋根はガルバリウム鋼板をはっている。下部には公道仕様のホイールがついており、家自体が可動式になっている。「可動式なので、行きたい場所へ移動できまる。クライアントは土地を購入しなくても住みますし、住宅ローンの金利からも自由な生活を手に入れました」とミラーさんは話す。現在、この家、許可を得て、田園地帯にある私有地に設置されており、この先数年はここにとどまる予定だそう。
小さな投資で、好きなときに好きなところへ行ける自由を手に入れたクライアント。まさに、彼女の独立の精神にふさわしい家となった。
タイニーハウスの記事を読む
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