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おしゃれな外観の住まいから学ぶ、窓のデザインと配置
美しい建物には機能的でデザイン性の高い窓がついています。素敵な窓の例を見ながら、窓の形や大きさ、位置や機能について解説します。
Yoko Ogino
2022年9月25日
インテリアショップオーナー。建築士の資格を持ち住宅及び庭のプラン、デザインまで手掛る。英国での生活体験から奥行のある文化や暮らしに感銘を受け帰国後イギリスのライフスタイルを提案するショップをオープン。英国のインテリアスタイルの中でも特にイングリッシュカントリーに共感し現在は緑豊かな鎌倉山でスローなライフスタイルを提案しています。
インテリアショップオーナー。建築士の資格を持ち住宅及び庭のプラン、デザインまで手掛る。英国での生活体験から奥行のある文化や暮らしに感銘を受け帰国後イギリスのライフスタイルを提案するショップをオープン... もっと見る
家の顔ともいえる窓。家の外観に関わる大切なエレメントなので、外から見られる「顔」を意識して形や大きさを決め、外部から見ても内部から見ても美しい位置につけたいものです。たとえば、大きな掃き出し窓(床から立ち上がっている窓)をつけることで、外観のバランスが崩れてしまうこともあるので気をつけたいものです。
建築もインテリアも、機能とデザインが一体となって初めて、美しいものができます。そこで今回は、窓の形や大きさと気候の関係、外観を意識した演出、窓の種類や配置の基本から、窓まわりのコーディネートなど、窓について知っていただきたいことをまとめてみました。
建築もインテリアも、機能とデザインが一体となって初めて、美しいものができます。そこで今回は、窓の形や大きさと気候の関係、外観を意識した演出、窓の種類や配置の基本から、窓まわりのコーディネートなど、窓について知っていただきたいことをまとめてみました。
窓の形や大きさと気候の関係
日照の少ない北の国では、長い冬の間に陽射しを少しでも部屋の奥まで通せるよう、縦に長い窓が多く見られます。
また写真のようなテラス窓は、内側に開くため、外についているバルコニーは窓飾りとして、道行く人々を楽しませるために作られています。このようなことからも、窓が外からの目を意識してつけられていることがわかります。
日照の少ない北の国では、長い冬の間に陽射しを少しでも部屋の奥まで通せるよう、縦に長い窓が多く見られます。
また写真のようなテラス窓は、内側に開くため、外についているバルコニーは窓飾りとして、道行く人々を楽しませるために作られています。このようなことからも、窓が外からの目を意識してつけられていることがわかります。
ヨーロッパの田舎などのコテージでは、寒さを防ぐために窓が小さく造られています。ドアの位置が中央より少しずれた位置にあるので、向かって左側の窓はさらに少し小さめになっています。これにより左右のボリュームが揃い、バランスのよい「顔」ができ上がっています。
暖かい地域で見られる、陽射しの強い夏の間、外からぴったり閉じられる木製のサンシェードをあしらった窓。室内側にカーテンを掛けるより遮熱効果があります。また建物の外観にとっては、おしゃれなアクセントにもなります。
この1枚の写真からも、窓によってどれほど暮らしの楽しさが表現できるかがわかるでしょう。同じ間隔に並んだ窓が、部屋の中からこぼれる温かい光を親しげに見せ、道行く人をもふと笑顔にさせるような「顔」になっています。
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こちらの窓は、中央のエントランスドアを中心にシンメトリーに配置されています。上下が揃っていることで、建物の「顔」がいっそう美しく見えます。
連窓で太陽光をたっぷりと
たくさんの光を入れたいときは、このように同じ形と高さの窓を連窓にすることで、コンサーバトリー(サンルーム)のような雰囲気が出せます。
こちらの空間は奥行きが1.5mほどでしょうか。細長い通路のような部屋ですが、明るいので狭さを感じません。日本の縁側スペースをちょっと工夫すれば、このような見た目よし、機能よしの空間ができます。
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たくさんの光を入れたいときは、このように同じ形と高さの窓を連窓にすることで、コンサーバトリー(サンルーム)のような雰囲気が出せます。
こちらの空間は奥行きが1.5mほどでしょうか。細長い通路のような部屋ですが、明るいので狭さを感じません。日本の縁側スペースをちょっと工夫すれば、このような見た目よし、機能よしの空間ができます。
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天窓(トップライト)
採光の少ない暗い部屋にはトップライトもおすすめです。同じ大きさでも、壁面についた窓の3倍の明るさを確保できます。写真のように細長い部屋で、外からの光が取りにくい場合も、天井の一部に窓をつけると、明るく快適な部屋になります。開閉できるタイプなら、風通しもよく快適ですね。
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採光の少ない暗い部屋にはトップライトもおすすめです。同じ大きさでも、壁面についた窓の3倍の明るさを確保できます。写真のように細長い部屋で、外からの光が取りにくい場合も、天井の一部に窓をつけると、明るく快適な部屋になります。開閉できるタイプなら、風通しもよく快適ですね。
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大きな窓に面格子
壁面いっぱいの大きさですが、アイアンの面格子でガラス面を細かく分けることで、繊細な美しさを演出しています。
大きな窓に面格子を使う、これも窓を美しく見せる秘訣です。インダストリアルな雰囲気の窓が、この部屋のイメージを決めています。
壁面いっぱいの大きさですが、アイアンの面格子でガラス面を細かく分けることで、繊細な美しさを演出しています。
大きな窓に面格子を使う、これも窓を美しく見せる秘訣です。インダストリアルな雰囲気の窓が、この部屋のイメージを決めています。
出窓とベンチ
腰高のベイウィンドウ (出窓) の下にベンチ。ヨーロッパの家でよく見られる光景です。窓を背景に、お気に入りのカウチや椅子を置くだけでも、このような素敵なインテリアシーンができ上がります。
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腰高のベイウィンドウ (出窓) の下にベンチ。ヨーロッパの家でよく見られる光景です。窓を背景に、お気に入りのカウチや椅子を置くだけでも、このような素敵なインテリアシーンができ上がります。
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ともすれば暗くなりがちな階段室のイメージを一掃する窓の配置です。踊り場部分をホールとして使うために、窓まわりに固定ベンチを配置しました。
階段の上りと下りでは目線も違うので、見える景色も異なります。天井まで届く大きな窓のおかげで、階段室がより広く高く見えます。
日本の家ではなかなか広い階段室をつくれませんが、登り切った踊場を広いホールにして、天井まで届く細身の窓をしつらえれば、もうひとつのリビングのようにもできそうですね。
階段の上りと下りでは目線も違うので、見える景色も異なります。天井まで届く大きな窓のおかげで、階段室がより広く高く見えます。
日本の家ではなかなか広い階段室をつくれませんが、登り切った踊場を広いホールにして、天井まで届く細身の窓をしつらえれば、もうひとつのリビングのようにもできそうですね。
高い位置の横長窓(ハイサイドライト)
これはボートの内部に作られたリビングルームです。船で暮らす…ロマンティックな響きがありますね。この窓の位置も形も当然、機能第一に考えられています。
このような高い位置につけた横長窓からは、常に一定した光が約束されるので、一般住宅でも書斎や読書室のように落ち着いた灯りが必要な部屋では、このような窓が効果的です。
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光がたっぷり入る、明るい狭小住宅をつくるには?
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コンパクトスペースの縦長窓
スリムで縦長な窓はおしゃれなイメージです。狭い空間なので、装飾を控えたシンプルさが、このスペースをより素敵に見せています。
バスルームは高窓、曇りガラスを採用するのが定番になりがちですが、あえて外の景色を取り込む工夫をすると、バスタイムがいっそう楽しくなりそうです。バスタブを中心に、スリットのように切り取られた景色が、一枚の絵のように見えますね。
スリムで縦長な窓はおしゃれなイメージです。狭い空間なので、装飾を控えたシンプルさが、このスペースをより素敵に見せています。
バスルームは高窓、曇りガラスを採用するのが定番になりがちですが、あえて外の景色を取り込む工夫をすると、バスタイムがいっそう楽しくなりそうです。バスタブを中心に、スリットのように切り取られた景色が、一枚の絵のように見えますね。
テラス窓
テラス窓(開き戸)は、断熱性に乏しいという理由で日本では敬遠されがちです。確かに隙間風は入りやすいけれど、窓前に暖房器具を置けばこの問題はほぼ解決されます。美しいインテリアにテラス窓は欠かせないので、ぜひ取り入れてみてください。
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こちらのテラス窓も外の景色を一枚の絵のように見せるフレームの役割を担っています。幅広で高さのあるガラスを分割することで、目線が自然と中央にフォーカスできるようになっています。
日本の窓にも言えることですが、大きな窓をそのまま使わず、いくつかのフレームに分けると、スタイリッシュなイメージになります。面格子をつけたり何枚かの布を使って、カーテンで分割することもおすすめです。
日本の窓にも言えることですが、大きな窓をそのまま使わず、いくつかのフレームに分けると、スタイリッシュなイメージになります。面格子をつけたり何枚かの布を使って、カーテンで分割することもおすすめです。
折れ戸式窓
このフォールディングウィンドウのおかげで、中のキッチンと外のテラスが一体になっています。パタパタと片側に折りたためる折れ戸式の窓は、狭い空間をより広く見せてくれます。アウトドアリビングと室内をつなぐ窓としてぴったりです。
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縁側の窓
日本の原風景ともいえる、縁側についた窓。高温多湿の日本の気候では、家は矩形(四角)に東西に細長く、南北に開口部(窓)を設けるのが理想の形と言われています。
縁側と窓は夏の強い陽射しをさえぎり、風を室内に取り込みます。逆に冬は、縁側が風除け室の役割を担い、室内を暖かく保温してくれます。風土に合った建物にふさわしい機能とデザインの一致した形ですね。
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内と外の中間領域、縁側
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たくさんの窓を見ていただきましたが、いかがでしたでしょうか。窓は家の顔ということがおわかりいただけたと思います。美しい窓に出会うたびに、どのような方たちが暮らしているのかしら、と楽しい想像がふくらみます。
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