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Houzzツアー:2つの賞を受賞した、サステナブルなパッシブリノベーションの家《KIP》
日本が昔から大切にしてきた自然エネルギーをとり入れるパッシブデザインと、現代の技術、専門家の知識と工夫、職人の知恵、施主の熱意。築40年の木造住宅が、家づくり関連のダブル受賞を果たすほど注目される省エネ住宅に生まれ変わりました。
Yuka Takahashi
2015年5月29日
埼玉県・飯能市にある《KIP》は、施主の名前を冠した「Kato Innovation Project」という家づくりプロジェクト名からつけられた。施主は、〈加藤木材工業〉という建具メーカーを営んでおり、リノベーションした住まいには自社ブランドの新しい試作品ともいえる「パッシブ建具」を採用。父から受け継いだ築約40年の木造住宅のリノベーションで、「第6回サステナブル住宅賞」改修部門の国土交通大臣賞と、「住まいの環境デザインアワード」のビルダー・工務店部門の優秀家づくり賞を受賞している。
リノベーションの基本設計と総監督を依頼したのは、加藤さんが地元産の「西川材」という杉や檜を使った自社ブランドの木製内窓の開発中に技術指導を仰いだ、住宅技術評論家の南雄三さん。実施設計と施工は、古民家を原点とした木造伝統工法を継承する〈杉坂建築事務所〉に依頼した。
《KIP》はもともと、加藤さんの亡くなったお父さまが設計して地元工務店に建ててもらったという住まい。建て替えも検討したそうだが、同居のお母さまの心情も量り、全面改修することにした。その中で、「自社ブランドの木製内窓に続く、新たなパッシブ建具の開発を行ってはどうか」と南さんに提案されたそうだ。
リノベーションの基本設計と総監督を依頼したのは、加藤さんが地元産の「西川材」という杉や檜を使った自社ブランドの木製内窓の開発中に技術指導を仰いだ、住宅技術評論家の南雄三さん。実施設計と施工は、古民家を原点とした木造伝統工法を継承する〈杉坂建築事務所〉に依頼した。
《KIP》はもともと、加藤さんの亡くなったお父さまが設計して地元工務店に建ててもらったという住まい。建て替えも検討したそうだが、同居のお母さまの心情も量り、全面改修することにした。その中で、「自社ブランドの木製内窓に続く、新たなパッシブ建具の開発を行ってはどうか」と南さんに提案されたそうだ。
リノベーションプランは、エアコンなどの機械にたよらず、できるだけ日射や風などの自然のエネルギーを活用して快適に過ごせるよう考えられたパッシブデザイン。昔の日本の住まいのように、建具でフレキシブルに空間を仕切ったり、オープンにしたりできる可変性を持たせ、住まいの中を空気が自然に流れて、木の住まいを長持ちさせる工夫が随所にみられる。床は西川檜材、壁は漆喰塗り。
板の間の多目的室の一部にはすのこ天井を設けて、夏はここを通って2階の天窓から熱気が排出され、冬は1階のペレットストーブのぬくもりが2階まで伝わる。
どんなHouzz?
居住者:母+息子2人
所在地:埼玉県飯能市
基本設計・総監督:南 雄三
実施設計・施工:杉坂建築事務所
規模:地上2階
構造:木造(在来構法)
敷地面積:302.05平方メートル(91.39坪)
建築面積:116.85平方メートル(35.35坪)
延床面積:158.50平方メートル(47.96坪)
竣工:2012年
どんなHouzz?
居住者:母+息子2人
所在地:埼玉県飯能市
基本設計・総監督:南 雄三
実施設計・施工:杉坂建築事務所
規模:地上2階
構造:木造(在来構法)
敷地面積:302.05平方メートル(91.39坪)
建築面積:116.85平方メートル(35.35坪)
延床面積:158.50平方メートル(47.96坪)
竣工:2012年
南面の大きな開口部に面して、土間を設けた。全面改修とはいえ、外壁やサッシは既存のものをいかすことに。昔のシングルガラスのサッシは性能がよくない分、サッシの内側や外側にプラスする、加藤さんが開発するパッシブ建具が重要になった。パッシブ建具は、冬は日差しのぬくもりをとり入れながらプライバシーも確保しつつ、日差しがなくなれば断熱する。夏は日差しを遮蔽し、窓を開けたときには防犯やプライバシーも確保する。これらの相反する要求を叶えるパッシブ建具を、ポリカーボネートなどを使って加藤さんが考えて制作、住まいに採用した。
1階の8畳の和室は、土間に面して障子戸を設けた。右手に6畳の茶の間のある間取りは、以前暮らしていた住まいと同じ。全体の断熱改修をしたうえで、暮らし慣れた間取りを再現した。
2階の「トルコ茶の間」と名づけた部屋には、小上がりの畳スペースを設けた。美しい小屋組みを見せて、空気の流れをよくしている。小屋組みは以前の家のものをほぼ再利用している。天井は西川杉縁甲板張り。
1階の客間。楓を漉き込んだ和紙を使った左手の障子は、太鼓張りにして断熱性を高めている。
屋根一体型の太陽光発電を設置した外観。外壁に断熱材を充てんし、開口部は既存のサッシの内側に木製内窓、外側に断熱雨戸を取り付けて三重にすることで、建物の断熱性を高めた。その結果、オープンな間取りでも小さなエネルギーで家全体が温まる省エネ住宅に。
玄関ドアは、南さんが企画し、〈加藤木材工業〉がプロデュースした西川材を使ったオリジナル断熱玄関ドア。木製玄関ドアとしては、日本最高レベルの断熱性を実現した。
築40年の一般的な日本の木造住宅が、日本が昔から大切にしてきた自然エネルギーをとり入れるパッシブデザインと、現代の技術、専門家の知識と工夫、職人の知恵、施主の熱意で、ダブル受賞を果たすほど注目される省エネ住宅に生まれ変わった。スクラップ&ビルドを繰り返すのではなく、今ある住宅をこれからの暮らしに合うように再生させるお手本となる住まいだ。
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