コメント
「なんとなくそのまま」の壁を、「ストーリーを語る」壁に!
家が住み手の個性を語る、とはよく言われることですが、壁面をうまく生かしている家は家族の物語が垣間見え、暮らしを楽しんでいることがより伝わってくるように思います。黙っていた壁が、楽しくおしゃべりな壁に変わるヒントのいくつかを。
田村敦子|Atsuko Tamura
2015年4月2日
Freelance Editor
ぽっかりと、あるいはほんの少しだけ空いてしまったその壁面スペース、あなたならどんなふうに使いますか? 日本の住宅は窓やドアなどの開口部が多く、壁の面積が比較的少ないとも言われますし、そもそも「壁面スペースが空いてしまっている」とは、もしかしたら普段あまり感じないことかもしれません。でもなんとなく空いているから絵やポスターを飾っているとか、なんとなく家具を置いて終わってしまったとか、なんとなく気になっているけどなんとなくそのままにしているとか(笑)、その「なんとなく」は相当もったいないような気がするのです。今その場所でなんとなく黙りこくっている壁は、もしかしたらこれから、住んでいる人の暮らしぶりや人生で大切にしていること、そのキャラクターやストーリーを、にわかに雄弁に語り出すかもしれません。インテリアに個性と表情を加える、家じゅうの壁の生かし方のアイデアをの例をご紹介してみましょう。
テレビを眺めるよりも、もしかしたらこの壁全体を眺めているときの方がリラックスできるかも? リビングルームの壁を一部だけチョコレートブラウンにペイントしてアクセントウォールにし、シンプルなオープンシェルフをリズミカルに配置。空間全体の雰囲気にぴったり合った、おしゃれなディスプレイウォールです。
広いリビングから階段ホールに通じるオープンなスペースの一角に、木のパネリングを施した壁が一面。ここに机と棚を造り付けて、お気に入りの椅子を組み込んだら、開放感のあるホームオフィスが完成。カフェで仕事をする人も多い昨今、ノートパソコンでの作業や、書き物をしたりの仕事は案外、旧来の書斎のようなクローズドスペースでなくてもはかどるものです。
壁の飾り方の定番として挙げられるのは、そこをギャラリースペースにしてしまうという方法。フレームのテイストをある程度揃えれば、たくさん飾ってもごちゃごちゃ見えず、かえってそのボリューム感が迫力となります。絵や写真だけでなく、背景となるストーリーの関連した小物類も一緒にディスプレイすると物語がふくらみ、飾る人も見る人も楽しいスペースになります。
一面だけでなく、たとえば廊下の壁をすべてアートフレームで埋め尽くしてしまおう!というのもグッドアイディア。アートを引き立てる色で壁をペイントして、壁の上から下までたっぷりと好きな写真や絵を飾ってみてください。単調だった狭いスペースが、心躍るあなただけのアートギャラリーに変身します。
ぽっかりあいた壁にシンプルなコンソールテーブルを置いて、季節のディスプレイコーナーを作るのも一案。大きな鏡やランプシェード、フラワーベースなど、ある程度サイズとスケール感のあるお気に入りを少しだけ並べて、大人っぽくシンプルにまとめると、こまごまと飾るよりも上質で迫力のあるディスプレイになります。
リビングやエントランスなど、ゲストの目にも触れる場所にある壁には、シンプルな棚を取り付けて、大切にしているコレクションを並べるのもいいですね。アンティークの器や本、カメラ、アートなど、住む人のパーソナリティが感じられるアイテムのディスプレイは、その家のストーリーを語る素晴らしい演出になるはずです。
キッチンキャビネットの壁面スペースにはついきっちり収納を作ってしまいがちですが、少し余裕があったらこんなアイディアはいかがでしょう? スパイスラックならぬ「フレッシュハーブラック」。庭で摘んできたハーブをブーケにして、小さなボトルにさしたものを並べた手作りです。可愛いですね!
こちらはコーヒーメーカーとトースター、お茶の道具を揃えた小さなカフェ・ウォール。ほんの40cmほどのコンパクトスペースですが、カウンターとこの壁面だけで朝のコーヒータイムは準備OKです。
玄関の壁に、こんなベンチチェストとフック付きの吊り戸棚があったら、お出かけの準備は万全。家族みんなのコートやマフラー、バッグなどが掛けられ、帽子やブーツ、鍵やアクセサリー類などもまとめておけて、とても便利です。写真では2面の壁にL字型の家具をゆったりと配置していますが、もちろん1面だけでも十分な収納スペースになります。
廊下にあるこの細長いスペースは、ワンちゃんの専用コーナー。ビルトインした水とごはんの食器と、お散歩グッズと、健康診断などの予定も書き込める黒板が上に。ワンちゃんや家族の写真をディスプレイしたりしても素敵。ほんの少しの隙間スペースの壁を有効に活用した好例です。
フォトフレームが飾ってあるかと思ったら、その後ろに隠し戸棚が! こまごまとしたボトル類が並ぶパウダールームのメディスンキャビネット、こんな仕掛けにしてみるとすっきりしていいかもしれませんね。
1、2、3、4、5とナンバリングされている小さなフックは、昔、小学校で使われていたというヴィンテージの金具。キッチンの手前の壁に並べて、ショッピングバッグやエプロンを掛けるのに使っています。こんなに小さなパーツでも、壁の表情を変えるのに十分役立ちます。
フューシャピンクにペイントされた壁に取り付けられているのは、なんと色とりどりのトランク! あえて側面を見せて、棚板のように見せているのもユニーク。この部屋のご主人は相当の旅好きなのか、それとも猫を飼っていて、その子の遊び場のためにこのアイデアを考えついたのか…まさに住む人の個性とストーリーを雄弁に語る壁ではありませんか?
教えてHouzz: 住み手の暮らしや好きなことを語る、壁の活用アイデアのいろいろ、いかがでしたか? あなたが実践している機能的な壁の使い方の楽しいストーリー、ぜひHouzzチームにお聞かせください!
おすすめの記事
専門家とのやりとり
プロと一緒に部屋づくりをして、素敵なインテリアを手に入れよう
部屋づくりをインテリアの専門家に依頼すると、自分では思いつかない提案がもらえることも。プロに依頼するメリットや探し方などをご紹介します。
続きを読む
コーディネート・スタイリング
おしゃれな室内インテリアにする、クッションの上手な選び方
文/片岸千代子
クッションはインテリアとしても優秀。春夏のクッションから、秋冬仕様に“衣替え”してみませんか?
続きを読む
暮らしのヒント
テレビのあり方を考えよう。テレビを主役にしないインテリアのススメ
「かっこいいリビングには大きなテレビが必要」と思い込んでいませんか? ライフスタイルが変化している今、テレビのあり方やリビングでの過ごし方について考えてみましょう。
続きを読む
名作デザイン
現代に生きる、ウィリアム・モリスのテキスタイルデザイン
アーツ&クラフツ運動に影響を与えた近代デザインの父、ウィリアム・モリス。多彩なデザイン活動の中で最もよく知られるのはそのテキスタイル。美しい植物文様が現代のインテリアにも盛んに取り入れられています。
続きを読む
名作デザイン
ウィリアム・モリスのものづくり精神とテキスタイルデザイン
イギリスの文化芸術、特に室内装飾の分野で大きな功績を残したモリスのものづくりについて、テキスタイルデザインを中心にご紹介します。
続きを読む
コーディネート・スタイリング
ブランケット、クッション、ファブリックパネルで秋冬のインテリアにチェンジ!
インテリアに季節感を取り入れるのに、最も気軽に使えるのはファブリック。なかでもすぐに試せるブランケット、クッション、ファブリックパネルで小さな模様替えをしてみませんか?
続きを読む
コーディネート・スタイリング
ソファはなきゃダメ?ソファのない暮らしを選ぶ理由
リビングにはソファを置くのが当たり前、と思っていませんか?ライフスタイルによっては、ソファを置かないという選択肢もあります。
続きを読む
寝室の記事
狭い寝室のためのベッドとベッドまわりのアイデア
寝室をリラックスできる空間にし、ぐっすり眠るのは重要です。狭い寝室を快適にするための、インテリアのアイデアをチェックしてみましょう。
続きを読む