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重厚なダークカラーと穏やかなホワイトが美しいコントラストを描く家
初のリモートプロジェクトにより、鮮やかなコントラストとスタイリッシュで快適な空間が実現した、南カルフォルニアの一軒家をご紹介します。
Becky Harris
2023年2月7日
南カリフォルニアに暮らすオーナー夫婦が長年憧れていたのは、テキサス州を拠点とするUrbanology Designs。遠すぎるとは知りつつ主任デザイナーのGinger Curtis(ジンジャー・カーティス)さんに連絡をとったのは、実はこの上なく良いタイミングでした。「2021年には州外のプロジェクトも受注するという目標を立てていました」とカーティスさん。「しかも、すでにロサンゼルス州からテキサス州に移住してきた多くのクライアントと仕事をしていたので、事務所初のリモートプロジェクトをおこなうにはぴったりのエリアでした」
デザインチームは、最初の訪問でオーナーとの初顔合わせ、現地調査やヒアリングを済ませた後は、リモートに切り替えて、オーナーが依頼した下請け業者の協力のもと、1階と寝室、書斎のフルリノベーションをコーディネート・施工し、最後に現地に戻ってすべてを設置しました。完成した空間は、まさにドラマチックさと静寂さ、洗練された心地よさが融合したものとなりました。
デザインチームは、最初の訪問でオーナーとの初顔合わせ、現地調査やヒアリングを済ませた後は、リモートに切り替えて、オーナーが依頼した下請け業者の協力のもと、1階と寝室、書斎のフルリノベーションをコーディネート・施工し、最後に現地に戻ってすべてを設置しました。完成した空間は、まさにドラマチックさと静寂さ、洗練された心地よさが融合したものとなりました。
どんなHouzz?
住まい手:夫妻+小学生の娘さん2人
面積: 279 平方メートル
デザイン: Urbanology Designs
施工: Focil Construction
写真:Lauren Pressey Photography
リビングルームとファミリールームは、二人の小学生がいることを鑑みて、フォーマルなリビングルームとカジュアルなファミリールームではなく、その両方を兼ね備えた部屋を、玄関を入ってすぐに設けました。「天井が低いことはデザイン上の大きな試練でしたが、試練は最大のチャンスでもあるのでむしろ大歓迎です」とカーティスさん。
そこで彼女が提案したのは、すべての壁と天井を暗緑色に塗り替えること。「色の切れ目があると、天井の低さが際立ってしまいます」。ダークカラーは、天井高を感じさせないよう視線を誘導する効果があるほか、ご主人の必需品である大型テレビをカモフラージュする効果もあります。
「リビングにダークカラーを持ってくることにリスクはありましたが、自然光がふんだんに差し込むこの部屋では正しい選択だったと確信しています」とカーティスさんは言います。
住まい手:夫妻+小学生の娘さん2人
面積: 279 平方メートル
デザイン: Urbanology Designs
施工: Focil Construction
写真:Lauren Pressey Photography
リビングルームとファミリールームは、二人の小学生がいることを鑑みて、フォーマルなリビングルームとカジュアルなファミリールームではなく、その両方を兼ね備えた部屋を、玄関を入ってすぐに設けました。「天井が低いことはデザイン上の大きな試練でしたが、試練は最大のチャンスでもあるのでむしろ大歓迎です」とカーティスさん。
そこで彼女が提案したのは、すべての壁と天井を暗緑色に塗り替えること。「色の切れ目があると、天井の低さが際立ってしまいます」。ダークカラーは、天井高を感じさせないよう視線を誘導する効果があるほか、ご主人の必需品である大型テレビをカモフラージュする効果もあります。
「リビングにダークカラーを持ってくることにリスクはありましたが、自然光がふんだんに差し込むこの部屋では正しい選択だったと確信しています」とカーティスさんは言います。
Urbanology Designsのデザインで特徴的なのが、強いコントラストです。「シャンデリアが、重厚感のある部屋をさらにドラマチックにしています」とカーティスさん。天井に近い位置に設置したことで、この天井高に違和感なく馴染んでいます。
もう一つの特徴は、クライアントに合わせてオンリーワンのアイテムをデザインすることです。テレビ、メディア機器、ゲーム機などを収納するホワイトオークのキャビネットは、カーティスさんがデザインしたもの。「私はアシンメトリーが特に好きで、デザインに取り入れるようにしています」。右手の天板は少し高さを上げることで、2脚のスツールを下に収納できるようにデザインされています。「座る場所はなるべく多く作るようにしています。ベルベットを張ったスツールは、空間の美しいアクセントであると同時に、トレイを置く場所やオットマンになります」。ここは、子どもたちが宿題をする場所としても活躍します。
「バランスをうまくとることが、アシンメトリーを使いこなすコツです」とカーティスさんは話します。「スケール感を利用することもよくあります」。ここでは、右側の長い壁掛け照明が左側のウォールシェルフと見事にバランスを取っています。
もう一つの特徴は、クライアントに合わせてオンリーワンのアイテムをデザインすることです。テレビ、メディア機器、ゲーム機などを収納するホワイトオークのキャビネットは、カーティスさんがデザインしたもの。「私はアシンメトリーが特に好きで、デザインに取り入れるようにしています」。右手の天板は少し高さを上げることで、2脚のスツールを下に収納できるようにデザインされています。「座る場所はなるべく多く作るようにしています。ベルベットを張ったスツールは、空間の美しいアクセントであると同時に、トレイを置く場所やオットマンになります」。ここは、子どもたちが宿題をする場所としても活躍します。
「バランスをうまくとることが、アシンメトリーを使いこなすコツです」とカーティスさんは話します。「スケール感を利用することもよくあります」。ここでは、右側の長い壁掛け照明が左側のウォールシェルフと見事にバランスを取っています。
この部屋にダークカラーが有効なもう一つの理由は、窓やドアからたっぷり差し込む南カリフォルニアの明るい陽射しです。
この家のソファはすべてオーダーメイドです。「背中に問題を抱えているオーナーから、この部屋には椅子を置かないという特別な要望がありました。この家のソファは、一般的なソファほど奥行きがなく、かっちりとした作りでありながら、とても座り心地がいいんです」とカーティスさん。「ソファをオーダーメイドにすることのもうひとつの魅力は、部屋のサイズにぴったり合わせられることです」
この家のソファはすべてオーダーメイドです。「背中に問題を抱えているオーナーから、この部屋には椅子を置かないという特別な要望がありました。この家のソファは、一般的なソファほど奥行きがなく、かっちりとした作りでありながら、とても座り心地がいいんです」とカーティスさん。「ソファをオーダーメイドにすることのもうひとつの魅力は、部屋のサイズにぴったり合わせられることです」
もともとあったキッチンへ続く開口には、クォーツストーンの門型のカウンターとオーク材のカウンタースツールを設置。
キッチンは決して広いとは言えませんが、アイランドがない分、開放的な印象です。床にはヴィンテージのラグを敷いて、あたたかみをプラス。左側には大きなキャビネットはパントリーになっています。
バックスプラッシュには、ハンドメイドのテラコッタタイルを使用。「視界が開けたキッチンなので、ダークグリーンと相性のいいテラコッタタイルが必要だと考えました」とカーティスさん。タイルはキッチンに有機的なあたたかみを添えています。窓にかけたストライプのローマンシェードに加えてキャビネット、換気フード、そしてオープンシェルフのホワイトオークが、水平方向の要素として、縦方向のタイルと見事にバランスを取っています。
バックスプラッシュには、ハンドメイドのテラコッタタイルを使用。「視界が開けたキッチンなので、ダークグリーンと相性のいいテラコッタタイルが必要だと考えました」とカーティスさん。タイルはキッチンに有機的なあたたかみを添えています。窓にかけたストライプのローマンシェードに加えてキャビネット、換気フード、そしてオープンシェルフのホワイトオークが、水平方向の要素として、縦方向のタイルと見事にバランスを取っています。
ウォールシェルフは、飾り棚として最適です。水栓、金具と照明器具は、キッチンに真鍮特有の輝きを添えます。
すっきりとした印象を保つため、シンクにはアンダーマウント型のものを採用。美しい水栓は、キッチンのフォーカルポイントになっています。カウンタートップは、大理石のようなスジ模様が美しいクオーツ製です。
写真は、キッチン脇の食事スペース。楕円形のダイニングテーブルもカーティスさんがデザインしたもの。テーブルの脚は大胆なリブ加工が施され、スケール感を演出しています。テーブル、ベンチシート、彫刻的なシャンデリアが織り成す曲線が、互いを引き立て合っています。
ベンチ側の壁に施したパネリングは、部屋に力強い色彩のアクセントを加えます。深緑色がリビングルームとの一体感を演出します。パネリング上のシェルフは、アートを飾るのに最適です。
「今回のプロジェクトでは、重厚感のある空間と、明るく穏やかな空間という対照的な雰囲気をバランスよく共存させることができました」とカーティスさん。後者である2つ目のリビング兼ファミリールームには、アートやアクセントとなるアイテムでニュアンスを添えています。
2台のオーダーメイドのソファは、オーナーのために座り心地を追求しました。部屋の中央には特大のコーヒーテーブル。さらに、床にラグを重ねることで、柔らかさと質感、色彩をプラスしています。「一番上のラグは、意表をついたピーチピンクを選びました」とカーティスさん。一番下のラグは、十字模様のジュートです。
天井が高いこちらの部屋は、木の梁を加えることで温かみのあるコントラストを作り、左側の一段下がった天井とつながりを持たせています。また、梁は空間に建築的な要素も加えています。
2台のオーダーメイドのソファは、オーナーのために座り心地を追求しました。部屋の中央には特大のコーヒーテーブル。さらに、床にラグを重ねることで、柔らかさと質感、色彩をプラスしています。「一番上のラグは、意表をついたピーチピンクを選びました」とカーティスさん。一番下のラグは、十字模様のジュートです。
天井が高いこちらの部屋は、木の梁を加えることで温かみのあるコントラストを作り、左側の一段下がった天井とつながりを持たせています。また、梁は空間に建築的な要素も加えています。
有機的な要素と彫刻的な形状を持つ石材製のサイドテーブルも、部屋にアクセントを添えています。
暖炉の上には、アートとして掛けられたThe Frame TV(スマートテレビ)が、空間にダークな色合いを添えます。カーティスさんがデザインし直した暖炉の周りには椅子を置きました。「もとはただの小さな箱型暖炉が置かれていて、寂しい印象でした」。火袋が大きくなり、周囲を漆喰で仕上げることで、さり気ない質感がプラスされています。
手前のベンチシートは、空間に開放感を与えてくれます。また、隅に置かれたダークカラーのキャビネットは、メディア機器などの収納に加え、明るい色調にコントラストを添えています。
手前のベンチシートは、空間に開放感を与えてくれます。また、隅に置かれたダークカラーのキャビネットは、メディア機器などの収納に加え、明るい色調にコントラストを添えています。
どっしりとしたコンソールテーブルも、部屋の中で目を引くアクセントです。「部屋に入って最初に目に入るのがこのテーブルです。遊び心のあるスケール感と建築的な要素が気に入っています」とカーティスさん。
2階の主寝室も落ち着いた雰囲気が漂っています。「ふたりの部屋はシンプルでこじんまりとしていたので、入った瞬間に幸せな気分になれる場所にしたかったんです。ベッドはアースカラーを基調とし、フォレストグリーンの枕とベンチクッションで少し遊び心を加えました」
シンプルな織りのシェード、リネンのカーテンやヘッドボードが落ち着いた雰囲気を演出しています。ベッド上の額縁にはヴィンテージのテキスタイルを飾っています。自然素材を編んだ天井の照明器具は、真鍮との組み合わせが印象的です。「この照明で部屋に別の形状を加えました」とカーティスさんは言います。
シンプルな織りのシェード、リネンのカーテンやヘッドボードが落ち着いた雰囲気を演出しています。ベッド上の額縁にはヴィンテージのテキスタイルを飾っています。自然素材を編んだ天井の照明器具は、真鍮との組み合わせが印象的です。「この照明で部屋に別の形状を加えました」とカーティスさんは言います。
ヴィンテージのラグはソフトで落ち着いた色合い、ナイトテーブルは木目模様を部屋に添えます。壁掛け照明には遊び心のあるゴールドの円盤をあしらいました。「光がゴールドに反射するさまは、本当にきれいです」とカーティスさん。
また、観葉植物用プランターを家の随所に置き、美しいフォルムと有機的な質感、緑を加えました。
初のリモートワークを成功させた秘訣は、優れた協力業者とオーナーとのコミュニケーションにありました。「このプロジェクトは、私たちにとって画期的なものになりました。なんと言ってもオーナーご夫婦のお人柄の素晴らしさに尽きます」とカーティスさん。「クライアントにとって意義のある仕事をさせていただいていることを改めて実感しました。リモートプロジェクトを実現できたことを誇りに感じつつ、ぜひまた挑戦したいと思います」
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初のリモートワークを成功させた秘訣は、優れた協力業者とオーナーとのコミュニケーションにありました。「このプロジェクトは、私たちにとって画期的なものになりました。なんと言ってもオーナーご夫婦のお人柄の素晴らしさに尽きます」とカーティスさん。「クライアントにとって意義のある仕事をさせていただいていることを改めて実感しました。リモートプロジェクトを実現できたことを誇りに感じつつ、ぜひまた挑戦したいと思います」
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