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4つの庭を楽しめるオーストラリアの家
ウナギの寝床のような住まいを快適に変身させた、独創的なアイデアを紹介します。

Vanessa Walker
2022年12月23日
オーストラリア・メルボルンにある、2軒のヴィクトリアン様式のテラスハウスに挟まれた、こちらの老朽住宅。住宅へのアクセスは限られており、室内にはほとんど日が入りませんでした。
しかし、最初にこの物件を購入した年配のアーティストの依頼を受けたScale Constructionsは、太陽と自然を楽しむことのできる革新的なデザインを思いついたのです。熱心な園芸家である新しいオーナーは、4つの庭のそれぞれを、大いに活用しているといいます。
しかし、最初にこの物件を購入した年配のアーティストの依頼を受けたScale Constructionsは、太陽と自然を楽しむことのできる革新的なデザインを思いついたのです。熱心な園芸家である新しいオーナーは、4つの庭のそれぞれを、大いに活用しているといいます。
どんなHouzz?
住まい手:夫妻+子ども
所在地:オーストラリア、ヴィクトリア州ブランズウィック・イースト
竣工年: 2020年
ベッドルーム数: 3ベッドルーム+2バスルーム
予算: 約 $1,500,000 (5年間で大幅な見直しを行う前の金額)
延床面積: 約242㎡
設計:Jeremy Coggin, Jeremy & You
インテリアデザイン: Gillian Warden
施工: Scale Constructions
建具: Cantilever Interiors
ランドスケープ: Karl Teschendorff, McNuttndorff Landscapes
写真:Spacecraft Media
Houzzが役立った点:プロジェクトの開始前、さらに設計・施工期間中を通して、オーナーは、Houzzを活用してアイデアや商品の情報を収集し、デザイナーとの協働によるデザイン計画に役立つ情報を提供してくれました。
住まい手:夫妻+子ども
所在地:オーストラリア、ヴィクトリア州ブランズウィック・イースト
竣工年: 2020年
ベッドルーム数: 3ベッドルーム+2バスルーム
予算: 約 $1,500,000 (5年間で大幅な見直しを行う前の金額)
延床面積: 約242㎡
設計:Jeremy Coggin, Jeremy & You
インテリアデザイン: Gillian Warden
施工: Scale Constructions
建具: Cantilever Interiors
ランドスケープ: Karl Teschendorff, McNuttndorff Landscapes
写真:Spacecraft Media
Houzzが役立った点:プロジェクトの開始前、さらに設計・施工期間中を通して、オーナーは、Houzzを活用してアイデアや商品の情報を収集し、デザイナーとの協働によるデザイン計画に役立つ情報を提供してくれました。
1870年頃に建てられたこの質素な住宅は、3軒続きのヴィクトリアン様式のテラスハウスの真ん中にあたるもので、もともとは1階建てでした。
はじめて改装を勧められた2015年ごろ、住宅はかなり荒れた状態で、残す価値があるものといえば、正面のファサードぐらいでした。しかも、住宅が建つ区画は間口が狭く、奥行きが狭いもの(間口5メートル、奥行き40メートルの215平米)でした。
5分でわかるデザイン様式:リバイバルデザインと近代化、家庭志向のヴィクトリアンスタイル
はじめて改装を勧められた2015年ごろ、住宅はかなり荒れた状態で、残す価値があるものといえば、正面のファサードぐらいでした。しかも、住宅が建つ区画は間口が狭く、奥行きが狭いもの(間口5メートル、奥行き40メートルの215平米)でした。
5分でわかるデザイン様式:リバイバルデザインと近代化、家庭志向のヴィクトリアンスタイル
平面図
もともとは、定期的にメルボルンに滞在する年配のアーティストが、数軒先に住む娘さんとともに、心地よく過ごせる現代的なセカンドハウスとすることを意図していました。
しかし、5年のうちに、1階は高齢の親世代、2階は子どもと孫世代というように、異なる世代に適した住宅をデザインする方向に、計画が変化していきました。
計画の主要なポイントは以下のとおり。
もともとは、定期的にメルボルンに滞在する年配のアーティストが、数軒先に住む娘さんとともに、心地よく過ごせる現代的なセカンドハウスとすることを意図していました。
しかし、5年のうちに、1階は高齢の親世代、2階は子どもと孫世代というように、異なる世代に適した住宅をデザインする方向に、計画が変化していきました。
計画の主要なポイントは以下のとおり。
- 高齢者にとって使いやすいこと(全館空調、機能的なキッチン設備、1階のベッドルームと幅広の引き戸で仕切られたバスルーム)
- 室内へ入りやすいこと
- ゲストを暖かく迎え入れるような、現代的かつミニマリスト的なデザインに、歴史的なファサードと当初のレンガ積みを、新しい住宅との対比を活かしながら取り入れること
ファサード裏の1つ目の中庭。両側の壁を支えるために、コンクリート基礎とスチール柱の構造が使用されています。青石の敷石は平滑で見た目もすっきりしているだけでなく、耐久性に優れ、手入れも簡単といったメリットも
「当初のコンセプトでは、正面の2部屋の境にあった暖炉を残して、新しい中庭の特徴に使用したいと考えていました」と話すのは、Jeremy&Youのデザイナー、Jeremy Coggin(ジェレミー・コギン)さんです。
「残念ながら、解体の際に明らかになった構造の状態から、撤去する必要があると判断しました。しかし、かえってこのことが、正面の窓フレームの利点に気付くきっかけになりました。1階の新しいリビングから外を眺めることができるのです」
- すべての部屋は北側採光とする
- 実用的で安全面に配慮したデザイン(セキュリティーとプライバシー、メンテンナンスをあまり必要としない住宅と庭)。
「当初のコンセプトでは、正面の2部屋の境にあった暖炉を残して、新しい中庭の特徴に使用したいと考えていました」と話すのは、Jeremy&Youのデザイナー、Jeremy Coggin(ジェレミー・コギン)さんです。
「残念ながら、解体の際に明らかになった構造の状態から、撤去する必要があると判断しました。しかし、かえってこのことが、正面の窓フレームの利点に気付くきっかけになりました。1階の新しいリビングから外を眺めることができるのです」
正面の中庭越しにリビングエリアとキッチンを望む
新築部分では、間取りが移動されました。「つまり、正面の2部屋のベッドルームを別のところ(新しい部分の2階)に置き、その場所を庭としたのです」とオーナーは話します。
McNuttndorff LandscapesのKarl Teschendorff(カール・テシェンドルフ)さんは、「庭はベッドルームよりも重要です」と言い切ります。
新築部分では、間取りが移動されました。「つまり、正面の2部屋のベッドルームを別のところ(新しい部分の2階)に置き、その場所を庭としたのです」とオーナーは話します。
McNuttndorff LandscapesのKarl Teschendorff(カール・テシェンドルフ)さんは、「庭はベッドルームよりも重要です」と言い切ります。
ニュートラルな色合いのリビングエリア
そのほかに、計画に盛り込まれたデザイン上の配慮として、以下が挙げられます。
そのほかに、計画に盛り込まれたデザイン上の配慮として、以下が挙げられます。
- 間口5メートルの狭い区画のなかで、空間を最大限広く見せること。
- 素材やテクスチャーによって、新旧を対比し融合させる。ミニマルな美的感覚にあうよう、内装全体をニュートラルな配色で統一。
内装の壁と天井の塗装はDuluxの『Natural White』
キッチンの造作には、Duluxの『Windspray』で仕上げたブラックバット材の突板と、Stone Italianaのカウンタートップ『Bianco Artico(20mm厚)』を組み合わせています。
中央のリビングスペースには、床から天井までのガラス窓(サッシの塗装はDulux『Monument』)をデザインすることで、両側の中庭をうまく一体化し、1階をまるで壁のない空間のように見せています。
床は“ポリッシュコンクリート仕上げ”とし、家中の手入れが少なくて済むようにしています。
敷地の奥にある1階のベッドルームからキッチンとリビングルームを望む
ベッドルームは、建物の境界に沿って設けられたガラス張りの廊下で、リビングエリアとキッチンにつながっています。
ブラックバット材の外壁材は、その経年変化の美しさにより選んだものです。Colorbondのスチールの屋根材は、まぶしさや熱を和らげるために採用しました。
ベッドルームは、建物の境界に沿って設けられたガラス張りの廊下で、リビングエリアとキッチンにつながっています。
ブラックバット材の外壁材は、その経年変化の美しさにより選んだものです。Colorbondのスチールの屋根材は、まぶしさや熱を和らげるために採用しました。
落葉の植栽は、夏には中庭に日陰をつくり出します。1階の設備はソーラーパネルに対応し、雨水タンクに接続されています。また、ルーバー窓により、建物内全体のクロスベンチレーション(自然換気の手法のひとつ)をおこなっています
「非常に厳しい計画上の規制やセットバックの必要があり、デザインを守るためには役所と綿密に連携する必要がありました」とコギンさんは言います。
「当初、ファサードと(残す部分の)側壁の状態はわかりませんでした。エンジニアは『段階的アプローチ』を取ることを提案し、段階ごとに解決すべき問題を明らかにしていきました」
また、サイドからアクセスできない状態でのライフラインの引き込みも困難だったといいます。
「非常に厳しい計画上の規制やセットバックの必要があり、デザインを守るためには役所と綿密に連携する必要がありました」とコギンさんは言います。
「当初、ファサードと(残す部分の)側壁の状態はわかりませんでした。エンジニアは『段階的アプローチ』を取ることを提案し、段階ごとに解決すべき問題を明らかにしていきました」
また、サイドからアクセスできない状態でのライフラインの引き込みも困難だったといいます。
ベッドルームに敷かれているのは、ウール100%のミッドグレー色フロックカーペット
「全体として、もともと使われていた伝統的な素材とレンガのテクスチャーを利用することで、3つの中庭空間の中に、ガラスとウッドとの間のコントラストを生みだすデザインとしました」とコギンさん。
バスルーム全体は質感のある単色のタイルで仕上げられています
- 家全体のバスルームの床タイル:Tientoの『Beren Wall』、『Light Grey』
- バスルームの壁タイル:Tientoの『Beren Wall Dot』、『Light Grey』
- フィーチャーウォール用タイル:Tientoの『Beren Wall Saw』、『Light Grey』
建物の裏の舗装された路地
住宅のリビング・キッチン部分にある階段は、ベッドルームとバスルームへと続いています
「オーナーは、アーティストとして現代的かつミニマリスト的なデザインに強いこだわりを持っており、全体の素材を選定するにあたって、デザイン上で考慮すべき重要な事柄として、ガラス窓と素材を使用することを希望されていました」とコギンさんは言います。
「そこで、中庭と一部は屋内にまで露出させた既存のレンガ壁、ポリッシュコンクリート、庭に面した黒いサッシの大きなガラス窓、ベッドルームのあたたかで質感のあるカーペット、造作や階段に部分的に使ったウッド、といった要素を取り入れることにしたのです」
「オーナーは、アーティストとして現代的かつミニマリスト的なデザインに強いこだわりを持っており、全体の素材を選定するにあたって、デザイン上で考慮すべき重要な事柄として、ガラス窓と素材を使用することを希望されていました」とコギンさんは言います。
「そこで、中庭と一部は屋内にまで露出させた既存のレンガ壁、ポリッシュコンクリート、庭に面した黒いサッシの大きなガラス窓、ベッドルームのあたたかで質感のあるカーペット、造作や階段に部分的に使ったウッド、といった要素を取り入れることにしたのです」
2階のベッドルーム
すべてのベッドルームとリビングルームには北側に窓を設け、狭い区画にとっての悲願といえる光と熱を、冬でも取り込めるようにしました。
すべてのベッドルームとリビングルームには北側に窓を設け、狭い区画にとっての悲願といえる光と熱を、冬でも取り込めるようにしました。
黒枠の小さな窓など、思慮深く配置された要素が、このエリアのデザインが1階と結びついていることを意識させます。
2階の寝室
近所の大きな木々と空の眺めを、プライバシーを犠牲にすることなく確保することは、このエリアをデザインする上でとても重要でした。
近所の大きな木々と空の眺めを、プライバシーを犠牲にすることなく確保することは、このエリアをデザインする上でとても重要でした。
計画に時間をかけたことが、パンデミックと相まって、オーナーのニーズを変化させました。また、プロジェクトの終盤には、オーナーが引っ越すのは思っていたほど簡単ではないということがわかったのです。
そこで、年配のオーナーは住宅を売却することにしたのです。その相手は、中庭を非常に気に入っていた熱心な庭師でした。
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そこで、年配のオーナーは住宅を売却することにしたのです。その相手は、中庭を非常に気に入っていた熱心な庭師でした。
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