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ZEHビルダー・ZEHプランナーとは?建築家が解説する、役割・登録区分・補助金について
ZEH住宅とはどんな家? 誰に依頼すればいいの? 補助金がもらえるってホント? そんな疑問に、ZEHビルダーの建築家がお答えします。

安井俊夫
2022年7月8日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
「ZEH」という言葉を耳にする機会が増えましたが、その内容を正しく理解されている方は、まだまだ少ないと思います。この記事では、これからの家づくりの指針となるかもしれない「ZEH」について、詳しくご紹介したいと思います。
「ZEH」とは?
「ZEH」と書いて、「ゼッチ」と読みます。これは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、「家で使うエネルギーの収支をゼロ以下にする家」という意味を持ちます。要するに、何らかの形で自ら作り出したエネルギーを利用し、家庭で年間を通して使うエネルギー量を、プラス・マイナス・ゼロ以下にすることを目指すというもの。
ちなみに「ZEH」は、家に対するエネルギー基準や考え方を提言したものですが、ビルに関しては「ZEB(ゼブ)=Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」という別の基準も設けられています。
「ZEH」と書いて、「ゼッチ」と読みます。これは「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略で、「家で使うエネルギーの収支をゼロ以下にする家」という意味を持ちます。要するに、何らかの形で自ら作り出したエネルギーを利用し、家庭で年間を通して使うエネルギー量を、プラス・マイナス・ゼロ以下にすることを目指すというもの。
ちなみに「ZEH」は、家に対するエネルギー基準や考え方を提言したものですが、ビルに関しては「ZEB(ゼブ)=Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」という別の基準も設けられています。
「ZEH」の目的
家で使うエネルギー使用量を、プラス・マイナス・ゼロにする家をつくる具体的な方法としては、「家の外皮」と呼ばれる、屋根・外壁・窓・基礎の断熱性能を向上させ、少ないエネルギーで効率的に稼働する設備機器類を使用し、再生可能エネルギーを利用して、年間で使用するエネルギー収支をゼロとすることが推奨されています。
その先には、地球全体の限りあるエネルギー資源を大切にし、環境に対する負荷を減らして、地球を住みやすくしようという目標が掲げられています。
家で使うエネルギー使用量を、プラス・マイナス・ゼロにする家をつくる具体的な方法としては、「家の外皮」と呼ばれる、屋根・外壁・窓・基礎の断熱性能を向上させ、少ないエネルギーで効率的に稼働する設備機器類を使用し、再生可能エネルギーを利用して、年間で使用するエネルギー収支をゼロとすることが推奨されています。
その先には、地球全体の限りあるエネルギー資源を大切にし、環境に対する負荷を減らして、地球を住みやすくしようという目標が掲げられています。
ZEHビルダーとは?
「ZEHビルダー」とは、ZEH住宅(ゼロ・エネルギー住宅)を建てることを認定された建設会社やハウスメーカーのこと。ZEHビルダーは、ZEH住宅の普及や、支援活動に取り組んでいます。2016年からZEHビルダーの事業者の登録がスタートし、6400社を超える事業者が登録された2018年4月から、「ZEHビルダー」と「ZEHプランナー」の2つに分けられ、それぞれの役割も違うものとなりました。
ちなみに、「SII 一般社団法人 環境共創イニシアチブ」によると、2021年3月末時点で、7,665の企業が、ZEHビルダー・ZEHプランナーの登録事業者となっています。
ZEHビルダーになるためには、SIIに登録申請をする必要があります。登録の際には、
「ZEHビルダー」とは、ZEH住宅(ゼロ・エネルギー住宅)を建てることを認定された建設会社やハウスメーカーのこと。ZEHビルダーは、ZEH住宅の普及や、支援活動に取り組んでいます。2016年からZEHビルダーの事業者の登録がスタートし、6400社を超える事業者が登録された2018年4月から、「ZEHビルダー」と「ZEHプランナー」の2つに分けられ、それぞれの役割も違うものとなりました。
ちなみに、「SII 一般社団法人 環境共創イニシアチブ」によると、2021年3月末時点で、7,665の企業が、ZEHビルダー・ZEHプランナーの登録事業者となっています。
ZEHビルダーになるためには、SIIに登録申請をする必要があります。登録の際には、
- ZEHの普及、目標の確立、宣言
- 上記目標の公表
- 目標達成のための具体的普及策の提示・公開
- 実績報告等の公表の合意
- 経産省に対して過去に指名停止等の処分が無いことの誓約
ZEHプランナーとは?
ZEHプランナーは、ZEH住宅を設計する設計事務所のことを指します。ZEHプランナーになるための手続きや条件は、プランナーと同じです。ZEHビルダー・プランナー共に、住宅の省エネルギー化、省CO2化に取り組むことを目標にしています。住宅を建てる建築主がZEH事業による補助金を受け取るには、ZEHビルダーやプランナー登録事業者との家づくりが必要となります。
また、ZEHビルダー・ZEHプランナー共に、登録申請の際には
上記のどの工事を担うのかも登録する必要があります。 施主の方は、ご自身の建物計画に合ったZEHビルダーやプランナーに相談することが大切です。
ZEHプランナーは、ZEH住宅を設計する設計事務所のことを指します。ZEHプランナーになるための手続きや条件は、プランナーと同じです。ZEHビルダー・プランナー共に、住宅の省エネルギー化、省CO2化に取り組むことを目標にしています。住宅を建てる建築主がZEH事業による補助金を受け取るには、ZEHビルダーやプランナー登録事業者との家づくりが必要となります。
また、ZEHビルダー・ZEHプランナー共に、登録申請の際には
- 注文住宅
- 建売住宅
- 既存改修
上記のどの工事を担うのかも登録する必要があります。 施主の方は、ご自身の建物計画に合ったZEHビルダーやプランナーに相談することが大切です。
受けられる補助金はさまざま
ZEH住宅を建てたり建売住宅を購入したりすると、一定の補助金を受けることができますが、ZEH住宅の仕様や基準により、受けられる金額は変わります。仕様には以下の4つがあります。
ZEH住宅を建てたり建売住宅を購入したりすると、一定の補助金を受けることができますが、ZEH住宅の仕様や基準により、受けられる金額は変わります。仕様には以下の4つがあります。
- ZEH住宅(高断熱、太陽光発電、省エネ設備等を導入したエネルギー・ゼロ住宅)
- ZEH+住宅(ZEHをもう一段階省エネ化し、電気自動車充電設備などの再生可能エネルギーの自家消費拡大設備等を導入した住宅)
- 次世代ZEH+住宅(ZEH+住宅に蓄電システムや燃料電池などの再生可能エネルギーの自家消費するために拡大設備を導入した住宅)
- 次世代HEMS住宅(次世代ZEH+住宅からさらに太陽光発電エネルギーの消費を拡大するため、AI等の高性能技術を導入し最適な制御環境を整えたもの)
上記の各ZEH住宅に補助される金額は下記のとおりです。
ただしこれはあくまでも基準額であり、さまざまな追加補助制度も設けられていますので、詳しくはZEHビルダー・ZEHプランナーにお問い合わせください。また、ZEH住宅には一戸建て住宅だけでなく、分譲マンションなどに該当する場合もありますので、併せてご確認ください。
参考:「令和4年度 3省連携事業ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス 推進に向けた取り組み」
- ZEH住宅:定額55万円/戸
- ZEH+住宅:定額100万円/戸
- 次世代ZEH+住宅:定額100万円/戸
- 次世代HEMS住宅:定額112万円/戸
ただしこれはあくまでも基準額であり、さまざまな追加補助制度も設けられていますので、詳しくはZEHビルダー・ZEHプランナーにお問い合わせください。また、ZEH住宅には一戸建て住宅だけでなく、分譲マンションなどに該当する場合もありますので、併せてご確認ください。
参考:「令和4年度 3省連携事業ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス 推進に向けた取り組み」
ZEH住宅の利点と問題点
ZEH住宅の利点は、「光熱費の節約」「環境に配慮した家」「資産価値(付加価値)を高める」などでしょう。一昔前ならば、太陽光パネルを利用し発電した余剰電気を売電することによって収入を得られる場合もありましたが、今はそれを利点として挙げるのは難しくなっています。売電価格の低下や建物形状によって、発電効率がそれぞれ大きく異なるからです。
ZEH住宅の利点は、「光熱費の節約」「環境に配慮した家」「資産価値(付加価値)を高める」などでしょう。一昔前ならば、太陽光パネルを利用し発電した余剰電気を売電することによって収入を得られる場合もありましたが、今はそれを利点として挙げるのは難しくなっています。売電価格の低下や建物形状によって、発電効率がそれぞれ大きく異なるからです。
問題点を挙げるとすれば、「イニシャル・コスト(初期費用)が高額」「ZEHビルダー・プランナーが限定される」「建物の設計プランに一定の制約が課せられる」などでしょうか。
とくに建設時の費用負担は300〜500万円程度必要になる場合もあるため、限られた予算の中であれこれと無理をすると、計画自体が破綻してしまう危険性もあります。
さらに、ZEH住宅をつくることができるのは限られたビルダーとプランナーだけですから、コストダウンさせるために建物形状や使用材料、その他を含めて無理の利かないケースもあるでしょう。イニシャル・コストが掛かるZEH住宅だからこそ、補助金制度を上手に活用し、無理の無い予算計画を立てることが大切になります。
とくに建設時の費用負担は300〜500万円程度必要になる場合もあるため、限られた予算の中であれこれと無理をすると、計画自体が破綻してしまう危険性もあります。
さらに、ZEH住宅をつくることができるのは限られたビルダーとプランナーだけですから、コストダウンさせるために建物形状や使用材料、その他を含めて無理の利かないケースもあるでしょう。イニシャル・コストが掛かるZEH住宅だからこそ、補助金制度を上手に活用し、無理の無い予算計画を立てることが大切になります。
2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画の中で、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」および「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」と、政府は目標を掲げています。簡単にいうと、「日本は環境負荷の低減を目指して、家のつくり方や住まい方を見直す」ということです。
ZEH住宅は今後の日本における、家づくりの一つの指針となっていくのかもしれません。
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ZEH住宅は今後の日本における、家づくりの一つの指針となっていくのかもしれません。
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