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北向きの庭でもガーデニングは楽しめる!プロが教えるメリットと注意点
ガーデニングには適さないイメージのある北向きの庭も、工夫次第で素敵な庭に大変身。庭づくりのプロが、魅力を引き出すアイデアをご紹介します。
舩村佳織
2022年6月26日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
庭をつくる時、日照を確保するため、方角を南向きにすることが多いですが、土地の条件や建物との関係から、北向きの庭になってしまうお宅もあるかと思います。また、中庭のように建物に囲われたスペースに庭を設けた場合も、日当たりはあまり良くないかもしれません。
では、日当たりの悪い庭ではガーデンライフは楽しめないのかといえば、そんなことはありません。北向きの庭だからこその魅力を生かし、デメリットを改善するポイントを押さえれば、楽しいガーデンライフが送れます。北向きの庭を楽しむポイントをご紹介します。
では、日当たりの悪い庭ではガーデンライフは楽しめないのかといえば、そんなことはありません。北向きの庭だからこその魅力を生かし、デメリットを改善するポイントを押さえれば、楽しいガーデンライフが送れます。北向きの庭を楽しむポイントをご紹介します。
北向きの庭には、本当に日が当たらないの?
太陽は東から上り、南側を通って西に沈みます。そのため、建物の南側にはよく日が当たり、建物の陰になる北側は、日照が遮られてしまいます。
太陽の動きは季節によって(正確にいえば毎日)変化しています。夏至のころに最も南中高度(一日で最も高い角度となる、太陽が真南に来た時の高さ)が高くなり、冬至のころに最も低くなります。日の出と日の入りの位置も、夏至と冬至では大きく異なります。そのため、夏の太陽が高い時間帯には北向きの庭にも日が当たるはずですが、冬になるとほとんど日が当たらないこともあるのです。
太陽は東から上り、南側を通って西に沈みます。そのため、建物の南側にはよく日が当たり、建物の陰になる北側は、日照が遮られてしまいます。
太陽の動きは季節によって(正確にいえば毎日)変化しています。夏至のころに最も南中高度(一日で最も高い角度となる、太陽が真南に来た時の高さ)が高くなり、冬至のころに最も低くなります。日の出と日の入りの位置も、夏至と冬至では大きく異なります。そのため、夏の太陽が高い時間帯には北向きの庭にも日が当たるはずですが、冬になるとほとんど日が当たらないこともあるのです。
この日の当たり方の変化をよく見ることが、北向きの庭を楽しむポイントです。
建物の陰となる部分には、一年を通してほとんど日が当たることはないでしょう。こういった場所を「ディープシェード」と呼びます。一方、夏の太陽が高い時間に日が当たる、建物から離れた敷地境界近くのことは、「ハーフシェード」と呼びます。“北向きの庭=日が当たらない”ということではなく、時間や季節によっては、ハーフシェードも存在するはずなのです。
このハーフシェードを生かして、育てられる植物を見極めていきましょう。
建物の陰となる部分には、一年を通してほとんど日が当たることはないでしょう。こういった場所を「ディープシェード」と呼びます。一方、夏の太陽が高い時間に日が当たる、建物から離れた敷地境界近くのことは、「ハーフシェード」と呼びます。“北向きの庭=日が当たらない”ということではなく、時間や季節によっては、ハーフシェードも存在するはずなのです。
このハーフシェードを生かして、育てられる植物を見極めていきましょう。
北向きの庭のメリット
日当たりのいい南向きの庭では、雑草も旺盛に育ってしまいますが、北向きの庭ではぐんぐん伸びるような雑草はほとんど生えてきません。雑草が生えても、背が低いものがゆっくりと成長するため、草取りの労力は少なくて済みます。また、水の乾きも遅いため、水やりの頻度もそう高くありません。
このように、北向きの庭には、管理面でのメリットは大いにあります。それでは、デメリットにはどんなものがあるでしょうか?
日当たりのいい南向きの庭では、雑草も旺盛に育ってしまいますが、北向きの庭ではぐんぐん伸びるような雑草はほとんど生えてきません。雑草が生えても、背が低いものがゆっくりと成長するため、草取りの労力は少なくて済みます。また、水の乾きも遅いため、水やりの頻度もそう高くありません。
このように、北向きの庭には、管理面でのメリットは大いにあります。それでは、デメリットにはどんなものがあるでしょうか?
デメリット①苔が生える
造園資材として好んで使われる苔。しかし、予期せずに生えてしまった苔は見栄えが悪く、滑りやすいので転倒の原因にもなります。
苔は日照が少なく、適度に湿気のある風通しの悪い場所を好みます。北向きの庭はまさに苔が好む環境なのです。
造園資材として好んで使われる苔。しかし、予期せずに生えてしまった苔は見栄えが悪く、滑りやすいので転倒の原因にもなります。
苔は日照が少なく、適度に湿気のある風通しの悪い場所を好みます。北向きの庭はまさに苔が好む環境なのです。
・苔の発生を防ぐためには?
水はけを良くするために、土壌改良しましょう。一番簡単なのは、パーライトを土に混ぜ込む方法です。手間はかかりますが、暗渠(あんきょ)や盛土も有効な方法です。また、苔は弱酸性の土を好む性質があるので、土に石灰を撒き、土壌を中和させる方法もあります。
舗装部分には、できるだけ透水性のある素材を選びましょう。「固まる土」と言われるような真砂土舗装や、インターロッキングブロックなどによる舗装がおすすめです。
水はけを良くするために、土壌改良しましょう。一番簡単なのは、パーライトを土に混ぜ込む方法です。手間はかかりますが、暗渠(あんきょ)や盛土も有効な方法です。また、苔は弱酸性の土を好む性質があるので、土に石灰を撒き、土壌を中和させる方法もあります。
舗装部分には、できるだけ透水性のある素材を選びましょう。「固まる土」と言われるような真砂土舗装や、インターロッキングブロックなどによる舗装がおすすめです。
デメリット②暗い印象を与える
北向きの庭は光が少ないため、暗い印象になりがちです。明るい庭にするため、庭に使う資材や植物には、光を反射する明るい色を選ぶようにしましょう。例えば、目隠しにフェンスをつくるなら、白を使うと、わずかな光を反射して周囲を明るくしてくれます。舗装や砂利にも明るい色を選ぶと良いでしょう。
日陰を好む植物は、濃い緑色をしていることが多いですが、なるべく明るい葉色のものや、斑入りのものと組み合わせるのがおすすめ。また、葉の質感が柔らかなものを選ぶと、軽やかな印象になります。
北向きの庭は光が少ないため、暗い印象になりがちです。明るい庭にするため、庭に使う資材や植物には、光を反射する明るい色を選ぶようにしましょう。例えば、目隠しにフェンスをつくるなら、白を使うと、わずかな光を反射して周囲を明るくしてくれます。舗装や砂利にも明るい色を選ぶと良いでしょう。
日陰を好む植物は、濃い緑色をしていることが多いですが、なるべく明るい葉色のものや、斑入りのものと組み合わせるのがおすすめ。また、葉の質感が柔らかなものを選ぶと、軽やかな印象になります。
デメリット③芝生が育たない
残念ですが、北向きの庭で芝生を育てることは困難です。青々とした芝生は美しい庭の象徴というイメージがあり憧れますが、芝生は日照を必要とする植物です。また、北向きの庭の土は、湿っぽい状態が長く続きます。芝生は過湿を嫌うため、このような環境ではうまく育ちません。
芝生は諦めて、なるべく舗装や砂利を使用するのが良いでしょう。日陰でも育つ、ヒメツルソバやフッキソウなどのグランドカバープランツを植えるのも、代替案としておすすめです。
残念ですが、北向きの庭で芝生を育てることは困難です。青々とした芝生は美しい庭の象徴というイメージがあり憧れますが、芝生は日照を必要とする植物です。また、北向きの庭の土は、湿っぽい状態が長く続きます。芝生は過湿を嫌うため、このような環境ではうまく育ちません。
芝生は諦めて、なるべく舗装や砂利を使用するのが良いでしょう。日陰でも育つ、ヒメツルソバやフッキソウなどのグランドカバープランツを植えるのも、代替案としておすすめです。
デメリット④育てられる植物が限られる
日照が少ない場所では、植えられる植物も限られますが、適した植物であれば、生き生きと育ってくれます。植物は色々な環境に適応できるよう、種類ごとに独自の戦略を持っているもので、日陰に適応している植物もたくさんあるのです。
冒頭でお話したとおり、同じ北向きの庭にも、場所によって日照に差があります。ここからは、日照のレベルごとにおすすめの植物をご紹介しましょう。
日照が少ない場所では、植えられる植物も限られますが、適した植物であれば、生き生きと育ってくれます。植物は色々な環境に適応できるよう、種類ごとに独自の戦略を持っているもので、日陰に適応している植物もたくさんあるのです。
冒頭でお話したとおり、同じ北向きの庭にも、場所によって日照に差があります。ここからは、日照のレベルごとにおすすめの植物をご紹介しましょう。
ディープシェードに適した植物
- 高木:カクレミノ
- 低木:アオキ、サルココッカ下草類:ツワブキ、フッキソウ
ハーフシェードに適した植物
直射日光が数時間程度当たる半日陰のハーフシェードでは、生育できる植物がぐっと増えます。今回挙げた植物はごく一部で、ほかにも魅力的な植物がたくさんありますよ。
- 高木:アオダモ、ヒメシャラ
- 低木:ヤマツツジ、アジサイ
- 下草類:ギボウシ、クリスマスローズ、ヤブラン
直射日光が数時間程度当たる半日陰のハーフシェードでは、生育できる植物がぐっと増えます。今回挙げた植物はごく一部で、ほかにも魅力的な植物がたくさんありますよ。
北向きの庭でも、ガーデンライフを楽しもう
北向きの庭は花いっぱいの庭を目指すのは難しいものです。ですが、植物の魅力は花だけではありません。花に頼らない庭は、花よりも長い期間美しく観賞でき、手入れの負担も少なくて済みます。
ぜひ北向きの庭ならではのガーデンライフを楽しんでください。
庭づくり・植物の記事を読む
Houzzで庭づくりの専門家を探してみる
北向きの庭は花いっぱいの庭を目指すのは難しいものです。ですが、植物の魅力は花だけではありません。花に頼らない庭は、花よりも長い期間美しく観賞でき、手入れの負担も少なくて済みます。
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