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家族で快適に暮らすイタリアのサステナブルな住まい
装飾的な暖房器具の熱を有効に利用するなど、サステナブルなデザインと建築家の工夫で優れた省エネ性を実現した住宅をご紹介します。
Antonia Solari
2022年7月29日
Elisa Burnazzi(エリサ・ブルナッジ)さんとDavide Feltrin(ダヴィデ・フェルトリン)さんが手掛けたのは、イタリア・トレント郊外のボルゴ・ヴァルスガーナにある、新築の省エネ住宅。小さい子どものいるオーナー夫妻は、親戚が近く、子どもがのびのびと遊べる敷地が隣にあるような場所で暮らしたいと考えていました。設計のポイントは、家を取り囲むように設置した広々としたポーチ、居心地のよい居住空間、手入れの行き届いた広い庭など、みんなが共有できる大空間です。
どんなHouzz?
住まい手: 若夫婦+子ども2人
所在地: ボルゴ・ヴァルスガーナ、イタリア
建築家: Burnazzi Feltrin Architetti(エリサ・ブルナッジ、ダヴィデ・フェルトリン)
広さ: 267平方メートル(建物)+149平方メートル(テラス)+ 790平方メートル(庭)
プロジェクト期間: 2015年–2018年
写真:Carlo Baroni
住まい手: 若夫婦+子ども2人
所在地: ボルゴ・ヴァルスガーナ、イタリア
建築家: Burnazzi Feltrin Architetti(エリサ・ブルナッジ、ダヴィデ・フェルトリン)
広さ: 267平方メートル(建物)+149平方メートル(テラス)+ 790平方メートル(庭)
プロジェクト期間: 2015年–2018年
写真:Carlo Baroni
この住宅で重要なのはその立地です。トレンティーノ=アルト・アディジェ州ボルゴ・ヴァルスガーナの南側、野外現代美術館に続く道に建ち、チーマ・ドーディチやオルティガーラの山々、そしてテルヴァーナ城を望む絶好のロケーションにあります。
方角的に、優れたエネルギー効率が期待できる立地であり、「山々と周囲の建物の位置が良いため、特に春と冬の日照は理想的です」と建築家もプレスリリースで述べています。
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方角的に、優れたエネルギー効率が期待できる立地であり、「山々と周囲の建物の位置が良いため、特に春と冬の日照は理想的です」と建築家もプレスリリースで述べています。
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この住宅は、プレハブの木造構造で、外壁は周囲の自然に溶け込むようにカラマツ材の羽板を採用しています。ドアとエコガラスの窓枠にはモミ材を使用し、熱損失を抑えることで環境負荷を軽減しています。
さらなる環境への配慮として、東、南、南西の3面に大きな開口部を設け、冬場の日射を最大限に活用できるよう設計し、夏場のオーバーヒートを防ぐロッジア(開廊)を設けています。
また、ソーラーパネルは屋根の上に見えないように設置されています。
さらなる環境への配慮として、東、南、南西の3面に大きな開口部を設け、冬場の日射を最大限に活用できるよう設計し、夏場のオーバーヒートを防ぐロッジア(開廊)を設けています。
また、ソーラーパネルは屋根の上に見えないように設置されています。
この家では、暖房器具以外にも自動換気装置や床暖房を導入しています。省エネを実現し、あらゆる資源を最大限に活用するため、暖房から出る熱は、点灯時にはお湯を沸かすために使用され、ヒートポンプと天然ガスボイラーを補完しています。
こうした構造上の工夫や暖房器具の賢い選択により、この住宅はエネルギー効率評価としてA+を獲得しています。
こうした構造上の工夫や暖房器具の賢い選択により、この住宅はエネルギー効率評価としてA+を獲得しています。
1階の間取り
設計段階から積極的に参加するクライアントの様子をエリサ・ブルナッジさんはこう話します。「クライアントのニーズに細心の注意を払うよう心がけています。私たちが『ドリームブック』と呼んでいる最初の聞き取りの段階では、クライアントに言葉や画像をノートに書き込んでもらい、理想の家のイメージ、機能的、美的、感情的なニーズについてお聞きします。また、意思決定の主導権はあくまでもクライアントにあるべきと考え、こちらから押し付けるようなことはしません。むしろ、最終的に建てる家が本当に理想通りであるかをしっかり見極めてもらうことをお願いしています」
設計段階から積極的に参加するクライアントの様子をエリサ・ブルナッジさんはこう話します。「クライアントのニーズに細心の注意を払うよう心がけています。私たちが『ドリームブック』と呼んでいる最初の聞き取りの段階では、クライアントに言葉や画像をノートに書き込んでもらい、理想の家のイメージ、機能的、美的、感情的なニーズについてお聞きします。また、意思決定の主導権はあくまでもクライアントにあるべきと考え、こちらから押し付けるようなことはしません。むしろ、最終的に建てる家が本当に理想通りであるかをしっかり見極めてもらうことをお願いしています」
2階の間取り
そんな思いを形にしたのが、この2階建ての家です。1階はリビングとキッチンがほとんどを占め、その他にバスルーム、ガレージがあります。2階は3つのベッドルームと書斎に分かれています。地下には地下室とボイラー室を完備しています。
そんな思いを形にしたのが、この2階建ての家です。1階はリビングとキッチンがほとんどを占め、その他にバスルーム、ガレージがあります。2階は3つのベッドルームと書斎に分かれています。地下には地下室とボイラー室を完備しています。
「プロジェクト全体のコンセプトは、家族の交流を深めるための空間をつくることでした。この家は、かつて3つの家族が屋外でくつろいだり遊んだりしていた場所に建てられたので、その精神を受け継ぐべきと考えました」とブルナッジさん。
特にリビングルームは、家族や友人を迎える場所として設計したと語ります。「家族だけでも十分楽しめるのですが、さらに多くの人を迎え入れることができます。ゲストをお迎えする玄関ポーチも、居心地の良さを重視しました。」(ブルナッジさん)
特にリビングルームは、家族や友人を迎える場所として設計したと語ります。「家族だけでも十分楽しめるのですが、さらに多くの人を迎え入れることができます。ゲストをお迎えする玄関ポーチも、居心地の良さを重視しました。」(ブルナッジさん)
リビングルームと2階部分には、建築家自ら考案した工夫がいくつも盛り込まれています。
そのひとつが、建築家の設計をもとにTeam Casaが手がけたキッチンです。
リビングをポーチに面した設計にすることで、室内から屋外への動線を確保するとともに、自然換気を利用した省エネにも配慮しています。
機能性を重視した工夫は2階にも。写真の踊り場には、仕事や勉強に使えるデスクが配置されています。
ベッドを中心に構成された主寝室。収納を組み込んだヘッドボードを天井まで伸ばし、クローゼットエリアとの間仕切りとしました。
2つの子ども部屋は、窓際の棚を勉強スペースとし、奥の壁沿いのくぼみに照明と本棚を設けるなど、シンプルで機能的なつくりになっています。ベッドの前にはクローゼットが設置されています。
Brunazzi Feltrinのエリサ・ブルナッジさんにとって、エコな住宅とはなんですか?
「イタリアでは数年前から、新築の建物に高い省エネ性が求められるようになりました。私たちは2004年から、イタリアでいち早くCasaClima(カーサクリマ)の専門デザイナーとして養成されましたが、この数年で、環境に配慮した住宅は省エネ性だけでなく、サステナブルであることも重要だと痛感しています。つまり、再生可能な材料を使い、部品を再利用できるように乾式工法(プレハブ工法)を採用するということです。さらに言えば、私たちが使う材料が採掘・加工される土地に住む人々を尊重することも、エコ建築の真の進歩につながると信じています。地球がすべての生き物の家であると考えられてこそ、真のエコロジー(ギリシャ語で家を意味するオイコス、学問を意味するロゴスから)が実現するのではないでしょうか」
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「イタリアでは数年前から、新築の建物に高い省エネ性が求められるようになりました。私たちは2004年から、イタリアでいち早くCasaClima(カーサクリマ)の専門デザイナーとして養成されましたが、この数年で、環境に配慮した住宅は省エネ性だけでなく、サステナブルであることも重要だと痛感しています。つまり、再生可能な材料を使い、部品を再利用できるように乾式工法(プレハブ工法)を採用するということです。さらに言えば、私たちが使う材料が採掘・加工される土地に住む人々を尊重することも、エコ建築の真の進歩につながると信じています。地球がすべての生き物の家であると考えられてこそ、真のエコロジー(ギリシャ語で家を意味するオイコス、学問を意味するロゴスから)が実現するのではないでしょうか」
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