ありきたりな縦長の空間に個性をプラスしたフランスの住まい
オーダーメイドの家具と巧みな色・空間づかいによって、暮らしにくかった間取りを上手にリノベーションしました。
Agnès Carpentier
2022年10月5日
パリ南部、サント・ジュヌヴィエーヴ・デ・ボワ。この地に家を建てている途中、オーナーが南フランスに戻ることを決意したために工事が止まってしまった建物がありました。そこに、2人の子どもを持つ30代のご夫妻が引っ越してくることになりました。彼らがこの家を選んだポイントは、4.5メートルの天井高を誇る、明るく開放的で奥行きのあるリビングでした。
しかし、それぞれのゾーンに暖かさと統一感が欲しかったオーナーご夫妻は、解決策を模索します。そこで目に留まったのが、Houzzに掲載されていたMarionTArchitectureのMarion Tixier(マリオン・ティキシエ)さんの手がけたとあるプロジェクト。ご夫妻は彼女にリノベーションを一任することにしました。
しかし、それぞれのゾーンに暖かさと統一感が欲しかったオーナーご夫妻は、解決策を模索します。そこで目に留まったのが、Houzzに掲載されていたMarionTArchitectureのMarion Tixier(マリオン・ティキシエ)さんの手がけたとあるプロジェクト。ご夫妻は彼女にリノベーションを一任することにしました。
どんなHouzz?
住まい手: 30代の夫妻+息子2人
所在地: サント・ジュヌヴィエーヴ・デ・ボワ、フランス
竣工年月: 2021年12月
工事期間:6ヶ月
面積: 約100平方メートル
設計: MarionTArchitecture(マリオン・ティキシエ)
施工:Dimension Services
塗装:オーナー夫妻
予算:€70,000 (約1千万円)
写真:Thierry Guillaume
住まい手: 30代の夫妻+息子2人
所在地: サント・ジュヌヴィエーヴ・デ・ボワ、フランス
竣工年月: 2021年12月
工事期間:6ヶ月
面積: 約100平方メートル
設計: MarionTArchitecture(マリオン・ティキシエ)
施工:Dimension Services
塗装:オーナー夫妻
予算:€70,000 (約1千万円)
写真:Thierry Guillaume
リノベーション前の1階
ビフォー
住宅の端にあるL字型の玄関から、キッチンとダイニングへの2箇所の入り口を通って、リビング空間に入れました。ダイニングの脇には2階へ続く鉄階段がありました。
もともと、この細長い空間は段差で区切られていました。キッチンとダイニングは一般的な天井高2.5m、そこから2段下がったリビングは天井高4.5mの広々とした空間になっていました。
スケールの大きなリノベーションやスケルトンリノベーションを得意とする建築家のティキシエさんは、リビング空間の改良に意欲的だったといいます。「既存の空間を生かすだけでなく、この家の個性を引き出すお手伝いができると思ったのです」
ビフォー
住宅の端にあるL字型の玄関から、キッチンとダイニングへの2箇所の入り口を通って、リビング空間に入れました。ダイニングの脇には2階へ続く鉄階段がありました。
もともと、この細長い空間は段差で区切られていました。キッチンとダイニングは一般的な天井高2.5m、そこから2段下がったリビングは天井高4.5mの広々とした空間になっていました。
スケールの大きなリノベーションやスケルトンリノベーションを得意とする建築家のティキシエさんは、リビング空間の改良に意欲的だったといいます。「既存の空間を生かすだけでなく、この家の個性を引き出すお手伝いができると思ったのです」
リノベーション後の1階
オーナーご夫妻の希望で、キッチンを移動させるような1からやり直すリノベーションは避け、代わりに、こだわりの家具と優しい色使いで、約75平方メートルの部屋の随所に、ぬくもりと居心地のよさを添えました。
「オーナーご夫妻は、時代を超越した色彩と、和風の控えめな装飾を好まれていたので、木の質感、色のタッチ、アートワークを強調したオーダーメイドの家具を使ったデザインを提案しました」と いうrティキシエさん。
オーナーご夫妻の希望で、キッチンを移動させるような1からやり直すリノベーションは避け、代わりに、こだわりの家具と優しい色使いで、約75平方メートルの部屋の随所に、ぬくもりと居心地のよさを添えました。
「オーナーご夫妻は、時代を超越した色彩と、和風の控えめな装飾を好まれていたので、木の質感、色のタッチ、アートワークを強調したオーダーメイドの家具を使ったデザインを提案しました」と いうrティキシエさん。
アフター
既存の白い食器棚に代わって取り付けられた、黒い化粧板のクローゼットと、Egger(エッガー)のライトオークで仕上げたアーチ。
「各ゾーンの入口に通路のようなものを設け、居住空間を縁取るようにしたかったのです。四角い模様入りガラスと透明ガラスを交互に並べた、ワンルームのアパートで使うような仕切りで、入口まわりに遊び心を添えました」とティキシエさん。
ディメンション・サービスが手掛けたこのクローゼットは、ダークな色合いで玄関とリビングの境界を際立たせています。
黒いクローゼットに設置された明るい色味の木製ハンドルや、アーチ上部を際立たせるようウッドの仕上げに沿って施された黒い縁取りが、延長された直線というモチーフを表現しています。
既存の白い食器棚に代わって取り付けられた、黒い化粧板のクローゼットと、Egger(エッガー)のライトオークで仕上げたアーチ。
「各ゾーンの入口に通路のようなものを設け、居住空間を縁取るようにしたかったのです。四角い模様入りガラスと透明ガラスを交互に並べた、ワンルームのアパートで使うような仕切りで、入口まわりに遊び心を添えました」とティキシエさん。
ディメンション・サービスが手掛けたこのクローゼットは、ダークな色合いで玄関とリビングの境界を際立たせています。
黒いクローゼットに設置された明るい色味の木製ハンドルや、アーチ上部を際立たせるようウッドの仕上げに沿って施された黒い縁取りが、延長された直線というモチーフを表現しています。
アフター
オーナーは、この階段下のくぼみに大きな扉付きキャビネットを設けることを思いつきました。しかしティキシエさんは、鉄階段の美しさを損なわないようアドバイスをしました。
代わりに提案されたキッズエリアでは、子どもの背の高さに合わせた収納ボックスを新しい棚の下に設けています。ティキシエさんは、ここでも一貫して直線を強調するデザインにこだわりました。「お子さんたちの成長を見越して、デスクに追加で組み込める収納ユニットを、職人につくってもらいました。また、戸棚の仕上げは、塗装と違って指の跡がつかない艶消しのメラミン塗装としています」とティキシエさん。
「流行に左右されない色彩と、日本のシンプルな装飾が好きというオーナーの嗜好を反映して、オーダーメイド家具、木の質感と色彩、アートを取り入れたデザインを提案しました。直線を際立たせることも、実はそのための重要なポイントです」
オーナーは、この階段下のくぼみに大きな扉付きキャビネットを設けることを思いつきました。しかしティキシエさんは、鉄階段の美しさを損なわないようアドバイスをしました。
代わりに提案されたキッズエリアでは、子どもの背の高さに合わせた収納ボックスを新しい棚の下に設けています。ティキシエさんは、ここでも一貫して直線を強調するデザインにこだわりました。「お子さんたちの成長を見越して、デスクに追加で組み込める収納ユニットを、職人につくってもらいました。また、戸棚の仕上げは、塗装と違って指の跡がつかない艶消しのメラミン塗装としています」とティキシエさん。
「流行に左右されない色彩と、日本のシンプルな装飾が好きというオーナーの嗜好を反映して、オーダーメイド家具、木の質感と色彩、アートを取り入れたデザインを提案しました。直線を際立たせることも、実はそのための重要なポイントです」
アフター
リビングの広さと4.5メートルの天井高を活かすために、白と木の柔らかなコントラストで視線を上へと誘導する新しい造作家具を設置。階段まで延びるツートンカラーのサイドボードには、一際目を引くサムスンの『The Frame』。電源を切ると、まるで絵画のように見えるテレビです。
「面積が大きい場合、家具で空間を分断するのではなく、あえて大きいサイズの家具を置いて、広い空間を最大限魅せるべきです」とティキシエさん。
ツートンカラーの棚や互い違いに配置された収納、そしてテレビ画面の後ろの壁に不規則に配置されたルーバーなど、水平と垂直のラインの組み合わせが、部屋をより生き生きとさせています。
リビングの広さと4.5メートルの天井高を活かすために、白と木の柔らかなコントラストで視線を上へと誘導する新しい造作家具を設置。階段まで延びるツートンカラーのサイドボードには、一際目を引くサムスンの『The Frame』。電源を切ると、まるで絵画のように見えるテレビです。
「面積が大きい場合、家具で空間を分断するのではなく、あえて大きいサイズの家具を置いて、広い空間を最大限魅せるべきです」とティキシエさん。
ツートンカラーの棚や互い違いに配置された収納、そしてテレビ画面の後ろの壁に不規則に配置されたルーバーなど、水平と垂直のラインの組み合わせが、部屋をより生き生きとさせています。
アフター
この部屋の唯一の熱源である、プログラム可能な暖炉だけでも、充分に部屋は暖かくなりますが、オーナーはさらに視覚的な暖かさも欲しいと考えました。
そこで、Mercadier(メルカディエ)のベージュ色の仕上げモルタルを部屋全体に施すことにより、もともとモルタル仕上げの床のせいでどんよりとしていた雰囲気を、あたたかく明るい印象に変身させました。大きなラグの凸凹をつけたタフティングが、床に絶妙な質感をもたらし、リビングに居心地のよさを添えています。
壁は明るい白に塗り替え、階段の後ろと暖炉の脇の壁はベージュにすることで、より軽やかで感じの良いコントラストをつくり、空間をさり気なく分けています。黒い柱も白く塗り替えました。
この部屋の唯一の熱源である、プログラム可能な暖炉だけでも、充分に部屋は暖かくなりますが、オーナーはさらに視覚的な暖かさも欲しいと考えました。
そこで、Mercadier(メルカディエ)のベージュ色の仕上げモルタルを部屋全体に施すことにより、もともとモルタル仕上げの床のせいでどんよりとしていた雰囲気を、あたたかく明るい印象に変身させました。大きなラグの凸凹をつけたタフティングが、床に絶妙な質感をもたらし、リビングに居心地のよさを添えています。
壁は明るい白に塗り替え、階段の後ろと暖炉の脇の壁はベージュにすることで、より軽やかで感じの良いコントラストをつくり、空間をさり気なく分けています。黒い柱も白く塗り替えました。
アフター
ティキシエさんは、部分的な間仕切りというアイデアはそのままに、“暮らしのアーチ”といった感じの、オーナーが座ったり、飲み物を置いたり、腰かけてゲームをしたりできる間仕切りを新たに考案しました。「玄関と平行なこのアーチは、より自然に空間が移り変わっていくよう、木製にしました」
また家具についてもアドバイスしています。ソファは窓をふさがないよう、低めのものをチョイス。「Muuto(ムート)のモジュール式ソファは、その軽やかなデザインが決め手でした。黒い脚がコントラストを生み、丸いクッションの形が柔らかさを演出してくれます」
ティキシエさんは、部分的な間仕切りというアイデアはそのままに、“暮らしのアーチ”といった感じの、オーナーが座ったり、飲み物を置いたり、腰かけてゲームをしたりできる間仕切りを新たに考案しました。「玄関と平行なこのアーチは、より自然に空間が移り変わっていくよう、木製にしました」
また家具についてもアドバイスしています。ソファは窓をふさがないよう、低めのものをチョイス。「Muuto(ムート)のモジュール式ソファは、その軽やかなデザインが決め手でした。黒い脚がコントラストを生み、丸いクッションの形が柔らかさを演出してくれます」
ビフォー
以前のオーナーは、この場所に、ステレオとスピーカーを2台設置した金属製のシェルフユニットを置いていましたが、残響や干渉音など、音響面で不満が残る状態でした。
リフォームやリノベーションのヒントについての記事をもっと読む
以前のオーナーは、この場所に、ステレオとスピーカーを2台設置した金属製のシェルフユニットを置いていましたが、残響や干渉音など、音響面で不満が残る状態でした。
リフォームやリノベーションのヒントについての記事をもっと読む
アフター
アーチは、以前の金属製ユニットシェルフのような単なる仕切りではなく、リビングの景色を楽しめるバーカウンターとなっています。
開放的な眺めが、リビングなどの空間を縁取りながら、つながりを生み出しています。木材は、防音効果があるだけでなく、空間や見た目にあたたかみを生みだします。
アーチは、以前の金属製ユニットシェルフのような単なる仕切りではなく、リビングの景色を楽しめるバーカウンターとなっています。
開放的な眺めが、リビングなどの空間を縁取りながら、つながりを生み出しています。木材は、防音効果があるだけでなく、空間や見た目にあたたかみを生みだします。
アフター
下の食器棚は既存のまま残し、仕上げをやり直して特注のオーク材の取っ手を取り付けました。「こういった要素を取り入れることで、全体の直線との統一感が生まれます」とティキシエさん。
アンスラサイト色の柱は白く塗り直されました。また、視界を遮る換気扇の代わりに、目立ちにくい換気ユニットを天井に組み込みました。
下の食器棚は既存のまま残し、仕上げをやり直して特注のオーク材の取っ手を取り付けました。「こういった要素を取り入れることで、全体の直線との統一感が生まれます」とティキシエさん。
アンスラサイト色の柱は白く塗り直されました。また、視界を遮る換気扇の代わりに、目立ちにくい換気ユニットを天井に組み込みました。
天井まで届くようにデザインし直した上部のキャビネットは、オーク材であたたかみのある雰囲気に仕上げています。
色を使うことに消極的であったオーナーも、キッチンのムードを高めてくれるローズがかったコッパーは気に入ったようです。まるで頬にチークをのせたかのようですね。
色を使うことに消極的であったオーナーも、キッチンのムードを高めてくれるローズがかったコッパーは気に入ったようです。まるで頬にチークをのせたかのようですね。
アフター
ティキシエさんは、艶消しのメラミン化粧板製クローゼットを職人に特注することを提案。クローゼットの表面にデザインされたダイナミックで丸みを帯びた溝は、ベッド上部の壁に淡いピンクで描かれたアーチへつながっています。
これは低コストながら、部屋に個性的な雰囲気をもたらすアイデアです。「立体な模様でなくても、空間にボリューム感が生まれました」(ティキシエさん)
ティキシエさんは、艶消しのメラミン化粧板製クローゼットを職人に特注することを提案。クローゼットの表面にデザインされたダイナミックで丸みを帯びた溝は、ベッド上部の壁に淡いピンクで描かれたアーチへつながっています。
これは低コストながら、部屋に個性的な雰囲気をもたらすアイデアです。「立体な模様でなくても、空間にボリューム感が生まれました」(ティキシエさん)
アフター
ティキシエさんのHouzzプロフィールに寄せられたオーナーからのコメントは、彼女の仕事に対する満足度を物語っています。
「期待以上の出来栄えです! インテリアデザイナーを探すまでにはかなり迷いがありましたが、ティキシエさんでなければこのようなクリエイティブで美しい空間づくりはできなかったと思うので、後悔はしていません」
ティキシエさんも次のように話しています。「既存のものを活かしながら空間を見直し、奥行きや高さを工夫することで、普通ではない空間を生まれ変わらせるのは楽しかったです。インテリアのリノベーションに対する考え方を変えてくれる、貴重な経験でした」
Houzzで住まいの専門家を探す
ティキシエさんのHouzzプロフィールに寄せられたオーナーからのコメントは、彼女の仕事に対する満足度を物語っています。
「期待以上の出来栄えです! インテリアデザイナーを探すまでにはかなり迷いがありましたが、ティキシエさんでなければこのようなクリエイティブで美しい空間づくりはできなかったと思うので、後悔はしていません」
ティキシエさんも次のように話しています。「既存のものを活かしながら空間を見直し、奥行きや高さを工夫することで、普通ではない空間を生まれ変わらせるのは楽しかったです。インテリアのリノベーションに対する考え方を変えてくれる、貴重な経験でした」
Houzzで住まいの専門家を探す
おすすめの記事
Houzzツアー (お宅紹介)
明るい色使いがポイント。ホームオフィスがあるスペインのリノベーション
ハッピーな雰囲気が魅力的な光あふれる住まい。デザイナーが考えた、予算を抑えるための秘策もご紹介します。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
光に満ちた回廊を再利用して、都市型アパートを開放的に
美しい天井と大きな窓がある、太陽の差し込む明るいロッジアをリビング空間の一部とすることで、住まいを一変させました
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
歴史的な住宅をリモートでリノベーション!
この建築家は、イギリスに住むクライアントから、イタリアのコモにある11世紀に建てられた司教の邸宅を改装する仕事を引き受けました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
レイアウトの見直しにより、光を取り込み、空間につながりを生み出す
1階の空間の流れをイチから見直すことで、キッチンがモダンな家族の住まいの中心になりました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
南アフリカを感じさせる、穏やかな地に建つ住まい
Houzzで思いどおりのデザイナーを見つけたカップルが、二人の歴史を反映する素晴らしい住まいを実現させました。
続きを読む
世界の家
オーストラリアを感じさせる、くつろぎのファミリーラウンジ
まさにオーストラリアといった雰囲気の、居心地の良いラウンジが欲しいと考えていたご家族が、Houzzでうってつけのデザイナーを見つけました!
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
広々と暮らせるカリフォルニアの家
1組の夫婦と1人の建築家がHouzzを通じてつながり、「大きいことが常に良いわけではない」ことを証明するような、無駄のない、緑にあふれた家を建てました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
大胆な色使いとアートが活気を与える、若い家族のための住まい
楽しいことが大好きな若いオーナー家族は、Houzzで見つけたデザイナーに、ワシントンD.C.の住まいのコーディネートを依頼しました。
続きを読む
Houzzツアー (お宅紹介)
新しいレイアウトと造作収納によって、狭かったアパートが広々とした空間に!
ロックダウン中、将来リタイアした後もこのアパートに住み続けようと考えるに至った住まい手は、アパートをリフォームすることにました。
続きを読む
thanks alot مركز صيانة ال جي