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小さな庭のためのアイデア集【英国チェルシーフラワーショー2022報告】
小さくても大きな発想を!英国園芸界の動向が見られる一大イベントでガーデンデザイナーたちが発信したメッセージをお届けします。

Sarah Alcroft
2022年6月14日
再び春の開催となった、英国王立園芸協会が主催する2022年のRHSチェルシーフラワーショー(5月24日から28日)。ウェルビーイングを取り入れる方法から持続可能なガーデニング、そして野生の生き物を引き付けるのに最適な植栽まで、自宅の庭で楽しめるアイデアが溢れていました。その中でもひときわ重要なメッセージは、庭がどんなに小さく、たとえ奥行きわずか2 mのバルコニーであっても、ひっそりとした安息の地を生み出し、野菜を育て、池を作ることさえ可能である、ということでした。
華やかなガーデンデザインの中にも、小さな庭を持つ人に向けたインスピレーション溢れるアイデアがいくつも提案されました。ここでは7つのアイデアをご紹介します。
華やかなガーデンデザインの中にも、小さな庭を持つ人に向けたインスピレーション溢れるアイデアがいくつも提案されました。ここでは7つのアイデアをご紹介します。
旅するように
緑豊かで変化に富んだ植栽の中を通る曲がりくねった小道は、屋外の小さなスペースにも新たな発見の喜びをもたらしてくれます。曲がり角に来てもすべてを見通すことができないため、庭の境界があいまいになり、探検心が呼び覚まされます。
トマス・ホブリンによるThe Boodles Travel Garden(写真)では、花壇の土がわずかに盛られており、視線を遮ることで、より大きな風景があるかのような感覚を作り出しています。曲がりくねった小道に沿って流れるせせらぎがその曲線を強調する一方で、青いアイリスがそれとなく視線を誘導します。
緑豊かで変化に富んだ植栽の中を通る曲がりくねった小道は、屋外の小さなスペースにも新たな発見の喜びをもたらしてくれます。曲がり角に来てもすべてを見通すことができないため、庭の境界があいまいになり、探検心が呼び覚まされます。
トマス・ホブリンによるThe Boodles Travel Garden(写真)では、花壇の土がわずかに盛られており、視線を遮ることで、より大きな風景があるかのような感覚を作り出しています。曲がりくねった小道に沿って流れるせせらぎがその曲線を強調する一方で、青いアイリスがそれとなく視線を誘導します。
植物に囲まれて
自宅の屋外スペースがどんなに小さくても、緑豊かな植物を植えることで、何エーカーもの緑地の中に佇んでいるような錯覚を生み出すことができます。 トム・ウィルクス・リオスのThe Blue Gardenに見られるように、2m x 5mのバルコニーの片隅に設けられたこの読書にぴったりのスペースでも、多肉植物をはじめとする様々な高さの植物に囲まれることで、緑の中に潜んでいるかのような感覚にとらわれるでしょう。
このような肉厚の葉は人の目を遮り、街の騒音を弱めてくれるので、都会の環境に最適です。
自宅の屋外スペースがどんなに小さくても、緑豊かな植物を植えることで、何エーカーもの緑地の中に佇んでいるような錯覚を生み出すことができます。 トム・ウィルクス・リオスのThe Blue Gardenに見られるように、2m x 5mのバルコニーの片隅に設けられたこの読書にぴったりのスペースでも、多肉植物をはじめとする様々な高さの植物に囲まれることで、緑の中に潜んでいるかのような感覚にとらわれるでしょう。
このような肉厚の葉は人の目を遮り、街の騒音を弱めてくれるので、都会の環境に最適です。
大きな発想で
18階にあるアパートのバルコニーをデザインするに際して、ジェイソン・ウィリアムスは、彼が望んでいた庭にあるべき要素を何一つ諦めることなく、家の外にオアシスを作り上げたのです。
今年のチェルシーフラワーショーでは、自分のアイデアを他の人と共有したいとの願いから、自身のデザインをThe Cirrus balcony gardenとして再現、ほんの小さなスペースでも好きなものに囲まれた安息の地ができることを他の人に示したのでした。色とりどりの野花、多年生の植物、食用植物、シーティングエリア、さらには滝や樽でできたメダカが泳ぐ池までも加えて、一つにまとめ上げたのです。また背の高い草(右側)を並べることで、目隠しと同時に動きを演出しています。
ハンギングプランター、積み上げられた鉢、大きなプランター、そしてアーチ型のパーゴラを組み合わせることで、庭として必要なスペースはすべて確保されています。
18階にあるアパートのバルコニーをデザインするに際して、ジェイソン・ウィリアムスは、彼が望んでいた庭にあるべき要素を何一つ諦めることなく、家の外にオアシスを作り上げたのです。
今年のチェルシーフラワーショーでは、自分のアイデアを他の人と共有したいとの願いから、自身のデザインをThe Cirrus balcony gardenとして再現、ほんの小さなスペースでも好きなものに囲まれた安息の地ができることを他の人に示したのでした。色とりどりの野花、多年生の植物、食用植物、シーティングエリア、さらには滝や樽でできたメダカが泳ぐ池までも加えて、一つにまとめ上げたのです。また背の高い草(右側)を並べることで、目隠しと同時に動きを演出しています。
ハンギングプランター、積み上げられた鉢、大きなプランター、そしてアーチ型のパーゴラを組み合わせることで、庭として必要なスペースはすべて確保されています。
ドラマチックな素材を使って雄大さを演出
ジェーン・ポーターがThe Still Gardenで表現したこのコンパクトなスペースは、スコットランド西岸に連なるアウター・ヘブリディーズ地方の島々にそびえ立つ海壁を思わせるスレートでできた背景を取り込むことで、さらに素晴らしい空間となっています。実際にはわずかなスペースを使っているに過ぎないものの、庭がはるかに大きな景観の一部であるかのように感じさせてくれるのです。
この野趣に溢れた僻遠の地にいるような感覚をさらに強めているのが在来植物の植え込み。そしてコンテナガーデンの良さは、土壌選びはあなた次第ということ。お好みで庭の景観を創造することができるのです。
ジェーン・ポーターがThe Still Gardenで表現したこのコンパクトなスペースは、スコットランド西岸に連なるアウター・ヘブリディーズ地方の島々にそびえ立つ海壁を思わせるスレートでできた背景を取り込むことで、さらに素晴らしい空間となっています。実際にはわずかなスペースを使っているに過ぎないものの、庭がはるかに大きな景観の一部であるかのように感じさせてくれるのです。
この野趣に溢れた僻遠の地にいるような感覚をさらに強めているのが在来植物の植え込み。そしてコンテナガーデンの良さは、土壌選びはあなた次第ということ。お好みで庭の景観を創造することができるのです。
ツールを掛ける
物置のスペースがないとしたら? 壁や塀に道具を掛けて道具置き場としたらどうでしょうか。ウィリアム・マーレイがデザインしたThe Potting Balcony Garden Sponsored by Vikingでは、通常隠されている物置が中心的な役割を担っています。黒い壁を背景にした大胆なイエローのワイヤーグリッド自体がデザインの一部となっているのです。
ワイヤーグリッドだけでもツールを掛けるためには十分なスペースがありますが、頭の高さより上の位置に取り付けられたバスケットにも、邪魔にならずに物を置いたり、鉢植えを飾ったりすることができるようになっています。
物置のスペースがないとしたら? 壁や塀に道具を掛けて道具置き場としたらどうでしょうか。ウィリアム・マーレイがデザインしたThe Potting Balcony Garden Sponsored by Vikingでは、通常隠されている物置が中心的な役割を担っています。黒い壁を背景にした大胆なイエローのワイヤーグリッド自体がデザインの一部となっているのです。
ワイヤーグリッドだけでもツールを掛けるためには十分なスペースがありますが、頭の高さより上の位置に取り付けられたバスケットにも、邪魔にならずに物を置いたり、鉢植えを飾ったりすることができるようになっています。
生垣のスクリーン
The Potting Balcony Gardenでみられるもう1つの素晴らしいアイデア。それは、あまり場所を取らずに高さを確保するために、枝を組み合わせて生垣を作ること。
バルコニーの左端(写真はありませんが、右端も)には、細長いスクリーンに沿ってリンゴの木が横方向にきれいに枝を張っており、やがては、バルコニーの小さなスペースを奪うことなく、緑豊かで素敵な生垣となることでしょう。
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チェルシーフラワーショー2020で見つけた7つのガーデントレンド
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野菜の垂直栽培
小さな庭で食用植物の栽培をしたいと思ったことはありませんか? たとえば、垂直面を使うのはいかがでしょう。 グレート・パビリオンで開催されたOmVed Gardensの展示では、古くから伝わる在来の湾曲したかぼちゃが見られました。夏かぼちゃとしても、またそのまま育てて冬かぼちゃとしてもよく、柳の枝でできた素朴なオベリスクに蔓を巻いて伸びていきます。
小さな庭で食用植物の栽培をしたいと思ったことはありませんか? たとえば、垂直面を使うのはいかがでしょう。 グレート・パビリオンで開催されたOmVed Gardensの展示では、古くから伝わる在来の湾曲したかぼちゃが見られました。夏かぼちゃとしても、またそのまま育てて冬かぼちゃとしてもよく、柳の枝でできた素朴なオベリスクに蔓を巻いて伸びていきます。
既製のオベリスクを購入することもできますが、柳や、ハシバミ、竹を使っても簡単に作る事ができますよ。
あるいは、物置の横壁や塀を使って、イチゴやチェリートマトを育ててみてはいかがでしょうか? これは、ほとんどスペースをとらないうえ、収穫も多く、摘みやすい高さで手軽です。
Houzzで庭づくりの専門家を探してみませんか?
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