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中庭を中心に再構築された歴史ある住宅
荒廃したヴィクトリア様式の建物に、モダンな要素を大胆に取り入れることで、個性あふれる素晴らしい空間が生まれました。

Emma Hedges
2022年9月26日
Pencil and Brick社の建築家ショーン・マックアリスターさんとスティーブン・マッキーさんは、自身の仕事を「ワクワクする空間と建物」をつくり出すことだと言います。そのことを聞きつけて彼らにアプローチした、荒廃したヴィクトリア様式の建物の新しいオーナー。
住宅は荒れた状態にあり、明らかに多くの修復を必要としていましたが、オーナーご夫妻は単に床面積を増やすことだけを望んでいたわけではありませんでした。「個性的な住宅を望んでいたご夫妻は、私たちにユニークなアイデアの提案を求めてきました」と語るショーンさん。その期待にこたえ、ショーさんがいったいどんな奇抜なアイデアを出したのか、早速見てみましょう!
住宅は荒れた状態にあり、明らかに多くの修復を必要としていましたが、オーナーご夫妻は単に床面積を増やすことだけを望んでいたわけではありませんでした。「個性的な住宅を望んでいたご夫妻は、私たちにユニークなアイデアの提案を求めてきました」と語るショーンさん。その期待にこたえ、ショーさんがいったいどんな奇抜なアイデアを出したのか、早速見てみましょう!
どんなHouzz?
住まい手: 夫婦+子供2人
所在地: ロンドン、イギリス
間取り:4ベッドルーム+1バスルーム+キッチン+ダイニング+中庭
設計: Pencil and Brick社(Seán McAlister、Stephen Mackie)
「建物の側面と裏側に、L字型に増築することにしました」とショーンさん。そのためには、裏手にあった2階建ての張り出し部分の解体と建て替えが必要でした。
計画の主役は中庭でした。この住宅は登録建造物も近くにある保全地区に属していたため、計画の変更を余儀なくされる恐れがありましたが、最終的には役所がプロジェクトの建築的価値を評価し、工事が開始されることになりました。
住まい手: 夫婦+子供2人
所在地: ロンドン、イギリス
間取り:4ベッドルーム+1バスルーム+キッチン+ダイニング+中庭
設計: Pencil and Brick社(Seán McAlister、Stephen Mackie)
「建物の側面と裏側に、L字型に増築することにしました」とショーンさん。そのためには、裏手にあった2階建ての張り出し部分の解体と建て替えが必要でした。
計画の主役は中庭でした。この住宅は登録建造物も近くにある保全地区に属していたため、計画の変更を余儀なくされる恐れがありましたが、最終的には役所がプロジェクトの建築的価値を評価し、工事が開始されることになりました。
デザインチームは、建物がもともと持っていたヴィクトリア様式の要素を大切にしながらも、大胆でモダンなタッチを取り入れるよう努めました。
「2つの様式を持った住宅であり、私たちは既存の窓やコーニスなどの維持できる要素を残しながら、現代的なテイストを加える方法を見出そうとしました」とショーンさんは話します。
住宅の裏手には、ヴィクトリア様式のアーチ付きのポーチをつくりました。これは、後世に多大な影響を与えたジョージ王朝時代後期の建築家ジョン・ソーン卿が設計した、近隣にある教会にインスピレーションを得たものだといいます。ポーチの横の片流れ屋根の部分は洗練されたゴールドの外装材で覆い、窓の下にはバーカウンターを設置しました。
オーナーご夫妻のために、2つのアーチのレンガの角をオーナーの肩の高さまで(右側のアーチはご主人の肩の高さまで、左側のアーチは奥様の肩の高さまで)面取りしています。
「2つの様式を持った住宅であり、私たちは既存の窓やコーニスなどの維持できる要素を残しながら、現代的なテイストを加える方法を見出そうとしました」とショーンさんは話します。
住宅の裏手には、ヴィクトリア様式のアーチ付きのポーチをつくりました。これは、後世に多大な影響を与えたジョージ王朝時代後期の建築家ジョン・ソーン卿が設計した、近隣にある教会にインスピレーションを得たものだといいます。ポーチの横の片流れ屋根の部分は洗練されたゴールドの外装材で覆い、窓の下にはバーカウンターを設置しました。
オーナーご夫妻のために、2つのアーチのレンガの角をオーナーの肩の高さまで(右側のアーチはご主人の肩の高さまで、左側のアーチは奥様の肩の高さまで)面取りしています。
「2人の大人のためにそれぞれのアーチをつくりましたが、工事開始後に赤ちゃんが産まれたので、小さな赤ちゃん用のアーチも作りました。すべてのレンガはサイズに合わせて手作業でカットされており、隠れた構造物はありません。“真”のアーチ構造であり、自重を支えているんです」とショーンさん。
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オーナーご夫妻は熱心な芸術愛好家で、2点のアート作品をキッチンの中心とすることを望んでいました。デザインチームは、アートを飾るための壁面を十分に確保し、上部には垂木を現しとした天窓を設置することで、日中は陽の光、夜には壁面照明によって作品が照らされるようにしました。
ショーンさんは、人を招いて料理することが好きなオーナーご夫妻のために「ちょっとした座れる場所」をキッチンに計画しました。「そういうわけで、アイランドカウンターを非常に大きくしました。快適で魅惑的な場所になっており、ダイニングエリアに移動する前に座って一杯のワインを楽しむことができます」とショーンさんは話します。
真鍮製の取手が付いた鮮やかなティール色の特注キャビネットが、空間に色を添え、残りのスペースはアートを引き立たせます。
アイランドカウンターの写真をもっと見る
真鍮製の取手が付いた鮮やかなティール色の特注キャビネットが、空間に色を添え、残りのスペースはアートを引き立たせます。
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一方に長方形の開口部があり、もう一方にアーチの開口部がある造作壁が、キッチンとダイニングエリアを仕切っています。「私たちはそれを“境界”と名づけました」とショーンさん。「この境界の素晴らしい点は、(そこを通過するときに見える)2つの隠れた天窓から涼しげな光が降り注ぐことです。また、ガラス越しに見える中庭の景色を美しく切り取る効果もあります」
日中“境界”を照らす自然光を再現するために、天窓近くの高い位置(写真の少し上)に球状の白いランプを設置し、日が沈んでからも神秘的な光で照らされるようにしました。「このようにして神秘的な雰囲気を保っています」とショーンさんは言います。
この家の中で最も大胆な部分は、ガラス壁で囲まれた中庭です。この中庭は光を取り込み、オーナーご夫妻がダイニングエリアに座って楽しむためのフォーカルポイントとなっています。「それは舞台セット、つまり劇場の一部のようなものです」とショーンさん。「夜には、レンガを斜めから照らす壁面照明が、中庭をロマンチックに演出します」
デザインチームが出窓を追加したピアノ室は、中庭を介してダイニングスペースの反対側に位置しています。「外側からは突き出したガラスの箱のように見えますが、内側は座れるようになっています。この窓は非常に現代的であり、繊細な構造となっていますが、出窓が張り出している壁自体は1800年代につくられたものです」とショーンさんは説明します。
デザインチームが出窓を追加したピアノ室は、中庭を介してダイニングスペースの反対側に位置しています。「外側からは突き出したガラスの箱のように見えますが、内側は座れるようになっています。この窓は非常に現代的であり、繊細な構造となっていますが、出窓が張り出している壁自体は1800年代につくられたものです」とショーンさんは説明します。
この家のもう1つのユニークな特徴は、家の正面から裏庭まで遮るものがなく、見通せることです。「ガラスを7枚ほど通して見える景色ですが、それでもひと続きの眺めです」とショーンさんは言います。
赤ちゃんのバギーが入りやすいよう、リビングのスペースを削って廊下を拡張したため、リビングはこぢんまりとした空間になりました。「リビングはコンパクトですが居心地が良く、オーナーご夫妻がリラックスして座れる場所になりました」とショーンさん。
家の裏側は南向きなので、常に日光が降り注ぎます。
1階の部屋は広々とした間取りで、建設当初のディテールが特徴的ですが、2階に上がると、天井は低く、部屋はよりシンプルな造りになっています。
そこで、2階では空間をよりモダンなスタイルにすることが可能になり、オーナーご夫妻はこのメインベッドルームのマスタード色の壁面から見てわかるように、大胆な壁や家具をインテリアに取り入れました。
シンプルながらゆったりとしたバスルームには、バスタブのための十分なスペースとラグジュアリーなウォークインシャワーが設置されています。シャワーブースと窓枠はいずれもブラックで、1階のブラックの要素と呼応しながら、デザイン全体に統一感をもたらしています。
ロンドンの浴室の写真をもっと見る
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このプロジェクト全体が完了するまでには約9か月かかりました。その間、ショーンさんと彼のチームは、設計だけでなく工事監理も行いました。「こうすることで、建物の品質を管理することが可能になります」と彼は言います。オーナーご夫妻はその結果に大変満足しているそうです。
「ある意味大胆なプロジェクトになったと思います。テラスハウスではこのような前例がなかったので、ちょっとした先駆的な試みになりました。アートや建築に興味のあるクライアントである場合にどんなことが実現可能かを、このプロジェクトは示してくれました」とショーンさん。
独創的で刺激的な要素が詰まったこの増築のデザインの中で、お気に入りの部分はどれかと尋ねられたショーンさんはこう答えます。「隠れた天窓から降り注ぐ自然光と、ポーチのレンガが大好きです。しかし、一番好きなのは、一連の切り取られた眺めですね」
Houzzで住まいの専門家を探す
独創的で刺激的な要素が詰まったこの増築のデザインの中で、お気に入りの部分はどれかと尋ねられたショーンさんはこう答えます。「隠れた天窓から降り注ぐ自然光と、ポーチのレンガが大好きです。しかし、一番好きなのは、一連の切り取られた眺めですね」
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