隅々まで無駄なくリノベーションされた、細長いテラスハウス
狭く使い勝手の悪い間口5.2メートルのテラスハウスが、Houzzで見つけた建築家により、スペースを活かした落ち着きのある空間に変身しました。
オーストリアのビクトリア州カールトンノースにある、ビクトリア時代に建てられた、2つの寝室を備えた細長いテラスハウスは、暗く狭苦しいうえ、オーナーが心に描いていたスペースやライフスタイルを提供できるものではありませんでした。
2018年、ここに8年間住んだオーナーは、Houzzで見つけたUrban Creative Studio(アーバン・クリエイティブ・スタジオ)のディレクターであり、建築家のGreg Pitts(グレッグ・ピッツ)さんの助けを借りて、リノベーションすることを決めました。テラスハウスは、ピッツさんのデザインによって、家族が集い、かつ1人の静かな時間も満喫できる十分な空間を備えた、明るく居心地のいい住まいに変わったのです。
2018年、ここに8年間住んだオーナーは、Houzzで見つけたUrban Creative Studio(アーバン・クリエイティブ・スタジオ)のディレクターであり、建築家のGreg Pitts(グレッグ・ピッツ)さんの助けを借りて、リノベーションすることを決めました。テラスハウスは、ピッツさんのデザインによって、家族が集い、かつ1人の静かな時間も満喫できる十分な空間を備えた、明るく居心地のいい住まいに変わったのです。
改装後の1階の平面図
オーナーのご希望は、1階にオープンプランのLDKとバスルーム、洗濯室をレイアウトした、機能的で現代的な明るい住まいでした。
さらに、寝室と浴室を1つずつ、そして在宅で仕事ができる静かなスペースを追加することも望んでいました。
オーナーのご希望は、1階にオープンプランのLDKとバスルーム、洗濯室をレイアウトした、機能的で現代的な明るい住まいでした。
さらに、寝室と浴室を1つずつ、そして在宅で仕事ができる静かなスペースを追加することも望んでいました。
改装後の1階の平面図
このテラスハウスには、歴史的景観や建造物に対する規制があったため、家のファサード側の2部屋(現在は子どものベッドルームとして使用)を残す必要がありましたが、そのほかはすべて取り壊すことができました。
その後、2階分の増築をピッツさんがデザインし、1階にオープンプランのLDKと家族用の寝室・洗濯室、2階に主寝室と専用の浴室、バルコニー、書斎をレイアウトしました。
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このテラスハウスには、歴史的景観や建造物に対する規制があったため、家のファサード側の2部屋(現在は子どものベッドルームとして使用)を残す必要がありましたが、そのほかはすべて取り壊すことができました。
その後、2階分の増築をピッツさんがデザインし、1階にオープンプランのLDKと家族用の寝室・洗濯室、2階に主寝室と専用の浴室、バルコニー、書斎をレイアウトしました。
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1階の上に浮かんでいるような2階増築部分には、前後に開口を設け、南側の書斎と屋上テラスから街の景色が、主寝室からは階下の裏庭を眺めることができます。
金属製の白いサイディング材で覆われた東西それぞれの側面は、増築部分の両端の先まで延びており、景色を枠取りすると同時に、遮光や近隣からのプライバシーの確保に役立っています。
主寝室の窓の下に置かれたプランターボックスには、在来種の野草が植えられ、下を向いた時に隣人と視線を合わせることなく、窓を全開にして新鮮な空気を取り入れることができます。
金属製の白いサイディング材で覆われた東西それぞれの側面は、増築部分の両端の先まで延びており、景色を枠取りすると同時に、遮光や近隣からのプライバシーの確保に役立っています。
主寝室の窓の下に置かれたプランターボックスには、在来種の野草が植えられ、下を向いた時に隣人と視線を合わせることなく、窓を全開にして新鮮な空気を取り入れることができます。
改装後のキッチン。建具の塗装:Dulux(デュラックス)の『Surf’n’Dive』
オーナーは、リビングにいる家族の気配を感じながら料理ができるような、小さいながらも機能的なキッチンを望んでいました。
「家族全員が料理好き。キッチンは幅1.9メートルの狭さですが、『2人同時に料理をするのに十分なスペースができた』と驚いていました」とピッツさん。
オーナーは、リビングにいる家族の気配を感じながら料理ができるような、小さいながらも機能的なキッチンを望んでいました。
「家族全員が料理好き。キッチンは幅1.9メートルの狭さですが、『2人同時に料理をするのに十分なスペースができた』と驚いていました」とピッツさん。
改装前のキッチン
狭いキッチンを大きく感じさせるため、日当たりの良い庭に面した窓を、ワークトップの上にデザイン。
さらに、反対側の壁全体に、天井高までの収納をレイアウト。ディナープレートが入る程度の狭い奥行きとすることで、十分な収納スペースを提供すると同時に、調理スペースを可能な限り広く取ることができています。
狭いキッチンを大きく感じさせるため、日当たりの良い庭に面した窓を、ワークトップの上にデザイン。
さらに、反対側の壁全体に、天井高までの収納をレイアウト。ディナープレートが入る程度の狭い奥行きとすることで、十分な収納スペースを提供すると同時に、調理スペースを可能な限り広く取ることができています。
改装前のキッチン
スペースを有効に使うため、収納壁には壁の段差を隠す鉄骨の構造柱が組み込まれており、収納壁の一部の奥行きを増す結果となっています。
キッチンユニットには、奥行きの浅い冷蔵庫や、中華鍋バーナーと一体型のIHコンロなどのキッチン製品がビルトインされ、視覚的にもクリーンなキッチンを実現しています。
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フローリング:Woodcutの『VOSS』、壁の塗装:デュラックスの『Natural White』
最小限の置き家具だけをそろえたリビング・ダイニングスペースは、庭に向かって開かれ、外部と一体となって、空間の広さを感じさせます。
より多くの収納スペースを必要としていたため、ピッツさんは用途を兼用できる家具をデザイン。 「ダイニングエリアにあるビルトインのベンチシートは、座席と収納を兼用しており、その上部にある収納ユニットは、エアコンと一体化されていると同時に、プロジェクター用のスペースにもなっています。テレビやテレビボードなどの家具を備える必要はありません」とピッツさんは言います。
最小限の置き家具だけをそろえたリビング・ダイニングスペースは、庭に向かって開かれ、外部と一体となって、空間の広さを感じさせます。
より多くの収納スペースを必要としていたため、ピッツさんは用途を兼用できる家具をデザイン。 「ダイニングエリアにあるビルトインのベンチシートは、座席と収納を兼用しており、その上部にある収納ユニットは、エアコンと一体化されていると同時に、プロジェクター用のスペースにもなっています。テレビやテレビボードなどの家具を備える必要はありません」とピッツさんは言います。
オーナーご家族が日常的によく利用しているのが、庭を見渡すダイニングテーブルとベンチシート。
「ご家族は、街の景色を望むバルコニー、裏庭、そして光庭(採光用の坪庭)といった、3ヶ所の屋外スペースから射し込む光を楽しむ一方、どのスペースにも出ていけることも気に入っているようです」とピッツさん。
「ご家族は、街の景色を望むバルコニー、裏庭、そして光庭(採光用の坪庭)といった、3ヶ所の屋外スペースから射し込む光を楽しむ一方、どのスペースにも出ていけることも気に入っているようです」とピッツさん。
改装前の裏庭
ピッツさんは量より質にこだわって緑の空間を考えました。「まず複数の屋外スペースをデザインしました。裏庭、光庭、バルコニーがあり、人が集まったり、各々がひとりの時間を過ごしたりすることができます」
ピッツさんは量より質にこだわって緑の空間を考えました。「まず複数の屋外スペースをデザインしました。裏庭、光庭、バルコニーがあり、人が集まったり、各々がひとりの時間を過ごしたりすることができます」
改装前の裏庭
改装後の家の裏側
「屋外スペースそれぞれにユニークな特徴があります。裏庭は家族のリビングルームスペースの延長であり、光庭は静かな緑のポケットとなっており、バルコニーは広々とした街の景色を満喫できる場所となっています。また、天候に応じて、それぞれに日なたや日陰をつくりだしています」
「重要なのは、それぞれが隣接するインテリア空間の延長として、空間の広がり感を生み出すデザインとなっていることです」とピッツさん。
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裏庭やバルコニーにコンパクトで美しい緑の空間をつくる15のヒント
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「重要なのは、それぞれが隣接するインテリア空間の延長として、空間の広がり感を生み出すデザインとなっていることです」とピッツさん。
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次にピッツさんは、2階部分の最適なスペースと収納のバランスを検討しました。2階には置き式ではなく、スペースを有効に使える造り付けのデスクを選択。デスクの後ろには、階段の手すりも兼ねている低い戸棚をレイアウトし、階段下の洗濯室へのランドリーシュートも隠されています。洗濯室には家族のための収納スペースや給湯器も設置されています。
一方、リビングの隣にある光庭の上げ床デッキの下には、水洗トイレに使う雨水タンクとポンプが隠されています。
ピッツさんによれば、パッシブデザインとサステナビリティはこのプロジェクトのキーワードであり、スイッチを押すことなく1年を通してエネルギー使用量を削減すると同時に、室内で快適に過ごすことができるとのこと。
階段の吹き抜けは熱換気の役割を担い、上層階の両端にある開口部から熱を逃がす一方、家の外壁は、二重ガラスを使用し、太陽光を反射する白いサイディング材で覆われており、断熱性に優れています。
また、2階の増築部分1階の上に張り出した“カンチレバーデザイン”とすることで、階下のリビングエリアに、冬場の採光と夏場の日陰を実現しました。
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ワークスペース
新しくできた2階の書斎は、静かな在宅ワークスペースに最適です。暑い日やちょっとしたインスピレーションが必要なときは、バルコニーへの扉を開けて、素晴らしい街の景色を楽しむことができます。
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主寝室
新しい主寝室の高い勾配天井は、最大限の採光と換気を可能にしながら、空間をドラマチックに演出します。
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主寝室専用の浴室。床と壁のタイル:Signorino Tile Gallery(シニョリーノ・タイル・ギャラリー)の『The main ensuite』
ピッツさんは、新しい主寝室専用の浴室に、採光用の大きな天窓をデザインしました。
「窓をつくっても、西向きで景色もなく、しかもプライバシーの心配があるような浴室には、天窓を設けることで、光溢れる雰囲気をつくり出せます」とピッツさん。
ピッツさんは、新しい主寝室専用の浴室に、採光用の大きな天窓をデザインしました。
「窓をつくっても、西向きで景色もなく、しかもプライバシーの心配があるような浴室には、天窓を設けることで、光溢れる雰囲気をつくり出せます」とピッツさん。
改装前の外観(この家は赤い車の後ろにあります)
改装後の外観
歴史的景観や建造物に対する規制により、テラスハウスのファサード側2部屋を残し、目の高さで見たときに、家の前の通りから2階増築部分が見えないようにする必要がありました。
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改装後の家の3Dレンダリング
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住まい手:オーナーご夫妻と2人のお子さん
所在地:ビクトリア州カールトンノース(オーストラリア)
竣工:2021年
部屋の数:3つの寝室と2つの浴室、1つの在宅ワークスペース
予算:500,000〜600,000オーストラリアドル(約458〜549万円)
面積:約135平方メートル
設計・インテリアデザイン:Urban Creative Studio(グレッグ・ピッツ)
施工:LNX Constructions(LNXコンストラクション)
建具:Williams Cabinets(ウィリアムズ・キャビネッツ)
写真:Anthony Richardson(アンソニー・リチャードソン)
オーナーはHouzzに掲載されていたUrban Creative Studioを見て気に入った後、同社のホームページに開示されていた実績をチェックして、同社代表のピッツさんにリノベーションについて相談しました。