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家族のカラーを反映させた、明るく開放的な旗竿地の狭小住宅
幼い2人のお子様を持つ若いご夫妻は、中古で購入した旗竿地の狭小住宅を自分たちらしい住まいにすべく、親しい建築家に相談しながらハーフリノベーションすることにしました。

ご結婚されて以来、東京都目黒区の2LDKの賃貸マンションに住んでいた30代のオーナーご夫妻。奥様が2人目の娘さんを懐妊されたタイミングで、戸建て住宅の購入を決め、以前住んでいたエリアからそう遠くない、世田谷区周辺で物件探しをスタートしました。
ご夫妻が見つけたのは、二子玉川からほど近い旗竿地に建つ、3階建ての狭小住宅。築5年と、中古物件の中ではかなり新しい住宅だったものの、コンパクトであり、内部は暗く、圧迫感があることがネックだったといいます。ご夫妻は思い切って住まいをリノベーションすることに決め、奥様がかねてからお知り合いだったno.555 一級建築士事務所の土田拓也さんに相談することにしました。
ご夫妻が見つけたのは、二子玉川からほど近い旗竿地に建つ、3階建ての狭小住宅。築5年と、中古物件の中ではかなり新しい住宅だったものの、コンパクトであり、内部は暗く、圧迫感があることがネックだったといいます。ご夫妻は思い切って住まいをリノベーションすることに決め、奥様がかねてからお知り合いだったno.555 一級建築士事務所の土田拓也さんに相談することにしました。
どんなHouzz?
所在地:東京都世田谷区
住まい手:30代のオーナーご夫妻と2歳と0歳(取材時)の娘さん
建築面積:25.752㎡
構造:木造3階建
設計:no.555 一級建築士事務所
竣工時期:2021年9月
撮影:柴崎まどか
所在地:東京都世田谷区
住まい手:30代のオーナーご夫妻と2歳と0歳(取材時)の娘さん
建築面積:25.752㎡
構造:木造3階建
設計:no.555 一級建築士事務所
竣工時期:2021年9月
撮影:柴崎まどか
2階のLDK。ダイニングからリビングを望む
「妻の実家が幼稚園を運営しているのですが、土田さんとは、園舎のリノベーションを手がけていただいたご縁があり、中古物件を探している段階で『家を探してるんです』と連絡させてもらっていました」とご主人は話します。
「はじめ、この住まいはLDKが暗くなってしまうし、購入はやめておこうと思っていたんですが、土田さんに相談したところ、階段の壁を取り払うことを提案してくださったんです」
「妻の実家が幼稚園を運営しているのですが、土田さんとは、園舎のリノベーションを手がけていただいたご縁があり、中古物件を探している段階で『家を探してるんです』と連絡させてもらっていました」とご主人は話します。
「はじめ、この住まいはLDKが暗くなってしまうし、購入はやめておこうと思っていたんですが、土田さんに相談したところ、階段の壁を取り払うことを提案してくださったんです」
「奥様は以前からの知人でもあったので、非常におおらかな人柄だということは知っておりました」と土田さん。
「数件の不動産を見させて頂きましたが、この建物は部屋が小割りにされているものの、改造によってオーナーご家族の暮らしにフィットさせられることが、建物形状や壁の位置からすぐにわかったんです」
土田さんが階段の壁を取り払うことを提案したのは、建物を分断する階段は、家族の関係も無意識に分けてしまうと感じたからだといいます。
「数件の不動産を見させて頂きましたが、この建物は部屋が小割りにされているものの、改造によってオーナーご家族の暮らしにフィットさせられることが、建物形状や壁の位置からすぐにわかったんです」
土田さんが階段の壁を取り払うことを提案したのは、建物を分断する階段は、家族の関係も無意識に分けてしまうと感じたからだといいます。
壁を取り払い、ストリップにされた階段に、耐震補強の『コボット』を施し、配管をむき出しにすることで、インダストリアルな印象に。
「電気の配線を隠すために必要な壁幅は50mm程度ですが、それでも室内を圧迫してしまいます。オーナーご夫妻は、50mmであっても部屋が圧迫されることは避けたいでしょうし、そもそも何かを“覆う”という行為は、私の知る限り、オーナーご家族らしくないと感じました」と土田さんは話します。
かつてパネルスイッチだった部分は工業的デザインの『トグルスイッチプレート』に変更され、コボット・配管と併せて、ストリップ階段の木の味わいとのコントラストを生み出しています。
「電気の配線を隠すために必要な壁幅は50mm程度ですが、それでも室内を圧迫してしまいます。オーナーご夫妻は、50mmであっても部屋が圧迫されることは避けたいでしょうし、そもそも何かを“覆う”という行為は、私の知る限り、オーナーご家族らしくないと感じました」と土田さんは話します。
かつてパネルスイッチだった部分は工業的デザインの『トグルスイッチプレート』に変更され、コボット・配管と併せて、ストリップ階段の木の味わいとのコントラストを生み出しています。
3階。ご主人がテレワークの際に使用するホームオフィス兼、ご夫妻の趣味であるレコード類や、アウトドアグッズが並ぶホビールーム。潜水艦用のマリンランプ が印象的
リノベーションを決めたときから、ご夫妻は自分たちらしい住まいにしたいと考えるようになったと話します。イメージをつかむために、Houzzの事例写真を参考にすることもあったそう。漆喰の壁を採用している家に憧れを持ち、オーナーご夫妻と、2歳の娘さんで漆喰塗りにも挑戦したといいます。
「『自分たちで漆喰を塗ったらかっこよくなるだろう』と思って、『うまーくヌレール』というDIY漆喰に家族でチャレンジしてみたんですが、これが本当に難しくて。すべての部屋に施そうと思っていたんですが、この部屋だけに留めました」とご主人は振り返ります。
リノベーションを決めたときから、ご夫妻は自分たちらしい住まいにしたいと考えるようになったと話します。イメージをつかむために、Houzzの事例写真を参考にすることもあったそう。漆喰の壁を採用している家に憧れを持ち、オーナーご夫妻と、2歳の娘さんで漆喰塗りにも挑戦したといいます。
「『自分たちで漆喰を塗ったらかっこよくなるだろう』と思って、『うまーくヌレール』というDIY漆喰に家族でチャレンジしてみたんですが、これが本当に難しくて。すべての部屋に施そうと思っていたんですが、この部屋だけに留めました」とご主人は振り返ります。
また、完成した漆喰壁は淡い色味だったため、ヴィヴィッドなカラーを好むご夫妻は、Porter’s Paintsの『Verdant』というカラーを上から塗ることにしました。
DIYが得意なご友人の力も借りながら、塗装も自分たちで行うことに。Porter’s Paintsの店舗が思いの外近くにあったことから、ペンキも自分たちで選び、車で持ち帰ったそう。「膨大な数のペンキを持ち帰りました。帰りはバケツだけで車内がいっぱいになり、私と娘は歩いて帰ったくらいです」と奥様は話します。
DIYが得意なご友人の力も借りながら、塗装も自分たちで行うことに。Porter’s Paintsの店舗が思いの外近くにあったことから、ペンキも自分たちで選び、車で持ち帰ったそう。「膨大な数のペンキを持ち帰りました。帰りはバケツだけで車内がいっぱいになり、私と娘は歩いて帰ったくらいです」と奥様は話します。
LDKに採用されているのは、オレンジとレッドの中間のような『Thunderbird』というカラー。ご主人が直感で決定された色だといいます。
「塗装に協力してくれた友人からは、『家族が集まる場所に赤を選ぶと、喧嘩が多くなる。やめたほうがいい』と言われました。私も最初は抵抗がありましたけど、今となっては気に入っていますね」と奥様。結果として、この大胆なカラーは、空間にエネルギッシュな印象を与えています。
「塗装に協力してくれた友人からは、『家族が集まる場所に赤を選ぶと、喧嘩が多くなる。やめたほうがいい』と言われました。私も最初は抵抗がありましたけど、今となっては気に入っていますね」と奥様。結果として、この大胆なカラーは、空間にエネルギッシュな印象を与えています。
ダイニングに飾られているのは、SHARK ATTACKのペンダントライトとエジソンランプ。インダストリアルなインテリアは、つい渋いカラーと組み合わせたくなってしまいますが、ヴィヴィッドなカラーとの相性も抜群です。
1階の寝室
一方、1階のカラーには、奥様の強い希望が反映されているといいます。
玄関と廊下、そして寝室に選ばれたのは『Nordic blue』というカラー。海のような落ち着いた深い青色は、ご家族に穏やかな眠りをもたらしてくれそう。Junk&Rustic Colorsで購入した無骨なケージランプもよく似合っています。
ブルーの壁の寝室の写真をもっとみる
一方、1階のカラーには、奥様の強い希望が反映されているといいます。
玄関と廊下、そして寝室に選ばれたのは『Nordic blue』というカラー。海のような落ち着いた深い青色は、ご家族に穏やかな眠りをもたらしてくれそう。Junk&Rustic Colorsで購入した無骨なケージランプもよく似合っています。
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寝室から玄関を望む
LDK、そして玄関と廊下には、それぞれ白いままの壁が一面だけ残されています。「日本の住宅の壁が白いのは、窓からの光を反射させて明るい印象にするためだと、塗装業者の知人に指摘されました。もともと住まいが暗いのが気になっていたので、窓からの光が当たる部分だけは白いままにしました」と奥様は話します。
LDK、そして玄関と廊下には、それぞれ白いままの壁が一面だけ残されています。「日本の住宅の壁が白いのは、窓からの光を反射させて明るい印象にするためだと、塗装業者の知人に指摘されました。もともと住まいが暗いのが気になっていたので、窓からの光が当たる部分だけは白いままにしました」と奥様は話します。
3階の子ども部屋
子ども部屋の壁に採用されているのは『Mexican lime』というカラー。ご夫妻はこの色を、ハッピーな名前に惹かれて選びましたが、明るいライムイエローは、カラフルな子どもたちのおもちゃや絵本がいっぱいのこの空間に、不思議なほどよく似合っています。
2歳の娘さんが乗っているのは、娘さんの生まれた2019年にBEAMSから限定発売された、紺色のブルーナボンボン。赤ちゃんの頃から、娘さんの成長を見守る存在です。
子ども部屋のアイデアをもっとみる
子ども部屋の壁に採用されているのは『Mexican lime』というカラー。ご夫妻はこの色を、ハッピーな名前に惹かれて選びましたが、明るいライムイエローは、カラフルな子どもたちのおもちゃや絵本がいっぱいのこの空間に、不思議なほどよく似合っています。
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また、子ども部屋の入り口には、天井まで続くボルダリングウォールが。
コロナ禍の自粛生活により外出できないときや、悪天候の日にも、子どもたちが身体を思い切り動かせるように、土田さんに依頼して取り付けてもらったものです。
こちらもあわせて
自宅にクライミングウォールを作るには?
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「ボルダリングウォールも、はじめは自分たちで取り付けようと思っていたんですが、一般的なやり方で取り付けると、板がかなり出っ張ってしまうんです。子ども部屋は4.5畳ほどしかなく、やはり圧迫感を与えたくなかったので、ここも土田さんにお願いして、少しでも厚みを減らせるようにしました」とご主人は話します。
通常、板に厚みを持たせて、ホールドを取り付けるボルトが壁に穴を開けてしまわないようにしますが、あえて初めから既存の壁に穴を開けてもらうことで、ボルダリングウォールを薄くしたのだそう。細かなこだわりですが、空間に与える印象は大きく変化します。
ちなみに、ボルダリングウォールは、娘さんの大のお気に入り。休日だけでなく、毎日お風呂上がりに登るのが日課になりつつあるのだとか。
ボルタリングウォールのアイデアをもっとみる
通常、板に厚みを持たせて、ホールドを取り付けるボルトが壁に穴を開けてしまわないようにしますが、あえて初めから既存の壁に穴を開けてもらうことで、ボルダリングウォールを薄くしたのだそう。細かなこだわりですが、空間に与える印象は大きく変化します。
ちなみに、ボルダリングウォールは、娘さんの大のお気に入り。休日だけでなく、毎日お風呂上がりに登るのが日課になりつつあるのだとか。
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2階のLDK。リビングからダイニング・キッチンを望む。Kanademonoのテーブル脚とスギ材の天板を組み合わせたダイニングテーブルがシンボルに
コンパクトであり、明るさなどの課題もあったことから、当初は購入を見送ろうとしていたこの住宅は、今やご家族のお人柄やライフスタイルが反映された、唯一無二の賑やかな住まいとなりました。
狭小住宅の家づくりについて、土田さんは、「面積が限られるわけですから、ひとつひとつのポイントの合格点を上げようとしても、結果、それほどの快適性は得られない気がしています」と話します。「『この部分は30点だけど、この部分は120点』など、大きな割り切る選択が、快適な住まいづくりには不可欠なのかもしれません」
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