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ほぼ無断熱の築20年の木造住宅を、念願の省エネ住宅にリノベーション
高性能・省エネ住宅を専門に手がける松尾設計室が、予算内で実現した新築顔負けの住まいです。代表の松尾和也さんに、中古住宅を高性能化する設計術を伺いました。
Miki Anzai
2022年3月13日
兵庫県の南西部にたつ築20年の木造2階建ての住まいです。冬は寒く、夏は暑くて、結露やカビにも悩まされていたオーナーご夫妻は、高断熱住宅で定評のある、株式会社松尾設計室が設計した家に住みたいと思っていました。
リノベーションの予算は、約2000万円。設計を任された松尾設計室は、予算内でしっかりと高気密・高断熱・高耐震構造を実現し、収納スペースも確保しました。まるで新築のように生まれ変わった家は、快適なだけでなく、毎月の光熱費も1万円以上も下がったと、奥さまは大喜びです。
リノベーションの予算は、約2000万円。設計を任された松尾設計室は、予算内でしっかりと高気密・高断熱・高耐震構造を実現し、収納スペースも確保しました。まるで新築のように生まれ変わった家は、快適なだけでなく、毎月の光熱費も1万円以上も下がったと、奥さまは大喜びです。
どんなHouzz?
住まい手:夫婦+子ども2人
所在地:兵庫県揖保郡太子町
敷地面積:318.29㎡
建築面積:88.11㎡
延床面積:150.07㎡
竣工:2019年10月
設計監理:株式会社松尾設計室(今瀧裕士/松尾和也)
施工:株式会社アトリエ・エイト
写真:渡辺慎一(ビフォー写真の提供は、松尾設計室)
断熱性、気密性を飛躍的に向上させるために、窓・屋根・床・壁を高性能化し、同時に耐震補強もアップ。水まわりなどの設備も更新し、収納不足も解消しました。費用対効果の視点から、2階のリノベーションは最小限に押さえながらも、省エネ住宅の基準値となるUA値(外皮平均熱貫流率)が0.5程度の性能を確保した住まいです。
住まい手:夫婦+子ども2人
所在地:兵庫県揖保郡太子町
敷地面積:318.29㎡
建築面積:88.11㎡
延床面積:150.07㎡
竣工:2019年10月
設計監理:株式会社松尾設計室(今瀧裕士/松尾和也)
施工:株式会社アトリエ・エイト
写真:渡辺慎一(ビフォー写真の提供は、松尾設計室)
断熱性、気密性を飛躍的に向上させるために、窓・屋根・床・壁を高性能化し、同時に耐震補強もアップ。水まわりなどの設備も更新し、収納不足も解消しました。費用対効果の視点から、2階のリノベーションは最小限に押さえながらも、省エネ住宅の基準値となるUA値(外皮平均熱貫流率)が0.5程度の性能を確保した住まいです。
リノベーション前の南面の外観。改修で外壁や玄関前のタイルの色は変えましたが、建物のデザインや窓の位置・サイズは、改修の前と後でほとんど変わっていません。
改修の大きなポイントとなったのが、開口部。単板ガラスのアルミサッシだった1階の窓はすべて、YKK AP株式会社のLow-E複層ガラスの樹脂サッシに変更して、断熱を強化しました。
また、外壁は一度撤去して、構造用合板を張り直し、ポリスチレンフォームという断熱材を建物の外側に張って、その上から左官材で仕上げています。この湿式外断熱工法による施工により、「断熱性能をあげながらも、耐震補強もでき、見た目も綺麗に仕上げることができました」と松尾さんは語ります。
それだけでなく、建物の断熱性、気密性をさらにあげるため、床と天井裏には、発泡することで現場の形状にぴったりと密着する、硬質ウレタンを吹きつけました。
Low-E複層ガラスとは?
また、外壁は一度撤去して、構造用合板を張り直し、ポリスチレンフォームという断熱材を建物の外側に張って、その上から左官材で仕上げています。この湿式外断熱工法による施工により、「断熱性能をあげながらも、耐震補強もでき、見た目も綺麗に仕上げることができました」と松尾さんは語ります。
それだけでなく、建物の断熱性、気密性をさらにあげるため、床と天井裏には、発泡することで現場の形状にぴったりと密着する、硬質ウレタンを吹きつけました。
Low-E複層ガラスとは?
リノベーション前のリビング。冬場は室内でも底冷えしたので、炬燵(こたつ)やストーブを手放せませんでした。それでも寒くて、ご家族全員、家の中でもダウンジャケットを着用していたそうです。
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リノベーション後のリビング・ダイニングは、樹脂窓の効果もあり、結露もなくなりました。特にリビングの掃き出し窓(写真右側)は、FIX窓と片開き窓にすることで、気密性をアップしただけでなく、「視界を遮ぎる桟(さん)を無くせる」(松尾さん)ので、開放感も得られるようになりました。
一方、朝日のあたるリビングの東側の出窓は、外壁との間に隙間ができる上に、突起部分だけに熱が溜まりやすいため、片引き窓に変更(写真中央)。ダイニングの窓と合わせて、外に日射遮蔽ができるオーニング(アウターシェード/洋風すだれ)を設置しています。「新築であれば、東側の窓はもっと小さくするのですが、リノベーションの場合、窓のサイズを変えると費用がかさむので、外側に工夫を施しました」(松尾さん)
一方、朝日のあたるリビングの東側の出窓は、外壁との間に隙間ができる上に、突起部分だけに熱が溜まりやすいため、片引き窓に変更(写真中央)。ダイニングの窓と合わせて、外に日射遮蔽ができるオーニング(アウターシェード/洋風すだれ)を設置しています。「新築であれば、東側の窓はもっと小さくするのですが、リノベーションの場合、窓のサイズを変えると費用がかさむので、外側に工夫を施しました」(松尾さん)
既存の家の室内側の壁を開けてみると、なんと壁と断熱材の間に隙間があり、気密処理が施されていませんでした。
今回のリノベーションで、外壁の下地に構造用面材を隙間なく張って、その上にこの写真のように、厚さ70mmの断熱材を施工し、断熱性能と耐震性能の両方を同時に向上させました。
今回のリノベーションで、外壁の下地に構造用面材を隙間なく張って、その上にこの写真のように、厚さ70mmの断熱材を施工し、断熱性能と耐震性能の両方を同時に向上させました。
リノベーション前のLDKは個室になっていて、扉(写真右)の先が玄関ホールでした。
玄関ホールとの境の壁と扉を撤去し、ホールとその先の和室までがつながる大空間を創出。それでも、建物の断熱・気密性能をアップさせたので、開放的でありながら、快適に暮らせます。
和室には、相変わらず炬燵(こたつ)を置いていますが、ヒーターを入れることはなく、今は単なる座卓として使っているそうです。
和室には、相変わらず炬燵(こたつ)を置いていますが、ヒーターを入れることはなく、今は単なる座卓として使っているそうです。
1階は以前、各部屋にエアコンを設置してましたが、リノベーション後は、造作キッチンに内蔵した、床置きエアコン(14畳用)1台だけで十分足りるようになりました。
リノベーション前のキッチンは壁付きI型のため、調理中はダイニングに背を向けて作業をしなければなりませんでした。また勝手口から、すきま風が入ってくるので、奥さまは塞いで欲しいとリクエストされていました。
キッチンは対面式に変更し、勝手口は壁で塞ぎ、明り採り用のFIX窓を入れました。
キッチンの背面収納は、このようにラワン材の引き戸で隠すこともできます。普段は開けたままですが、来客時には大活躍。
木の質感がお好みの奥さまは、ナラ材のフローリングと板張りの天井も、お気に入りなのだそうです。
キッチンの背面収納は、このようにラワン材の引き戸で隠すこともできます。普段は開けたままですが、来客時には大活躍。
木の質感がお好みの奥さまは、ナラ材のフローリングと板張りの天井も、お気に入りなのだそうです。
リノベーション後の平面図
1階の和室の一部を削って土間床にして、ウォークインクローゼットを新設しました。
1階の和室の一部を削って土間床にして、ウォークインクローゼットを新設しました。
リノベーションで玄関まわりの収納を増やし、土間エリアを設けたので、ゆったりとした空間が生まれ、玄関が散らかることもなくなりました。
野球部で活躍する息子さんが、泥まみれで帰宅しても、玄関から土間空間を通って、暖簾の先にあるクローゼット経由で、洗面脱衣室・浴室に直行できるようになりました。
土間は洗い出し仕上げ。壁は珪藻土クロス仕上げ。
土間は洗い出し仕上げ。壁は珪藻土クロス仕上げ。
2階の窓は、単板ガラスのアルミサッシのまま、内側に窓(インナーサッシ)を設置し、断熱補強をおこないました。「美観などを気にしなければ、内窓による断熱補強が、最も費用対効果が高い」と松尾さんは語ります。
建物の屋根、断熱、基礎の仕様がわかる矩計(かなばかり)図
リノベーションによって、建物全体が、魔法瓶のように包まれ、しっかりとした断熱・気密が確保されたことがわかります。
リノベーション事例の紹介記事をもっと読む
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築古の木造戸建て住宅でも、「高断熱・高気密化」に重点を置いてリノベーションすれば、「健康で、快適な省エネ住宅が、経済的に実現できる」と松尾さんは語ります。
その言葉どおり、改修後、すっかり冬の寒さ、夏の暑さから開放されたご家族は、からだの調子まで良くなったそうです。特に奥さまは、松尾さんが手がけたご友人の家を10年前に見て以来、憧れだった「松尾さん設計の高性能・省エネ住宅」を手に入れて、大満足されていました。
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