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北欧からインスピレーションを得たデザインで、家族の住まいをリノベーション
改善された動線、ガラス張りの増築部分、落ち着いた色づかいが、ヴィクトリアン様式の住宅に新しい命を吹き込みました。
Jill Morgan
2022年4月4日
オーナーは、「愛すべき時代に建てられた住まいを改修したい」と、All&Nxthingのスティーブン・ナッシュさんに連絡しました。それは、オーナーが7年前に購入したヴィクトリアン様式のセミディタッチドハウス(2棟が壁を共有する住宅)でした。
「オーナーご夫婦はHouzzで我々の過去のプロジェクトを見つけてくださったのですが、初めて連絡を取ったあとに、実はご友人の家も我々がデザインしていたことがわかり、興奮していました」とスティーブンさんは話します。
家族が生活空間をどう使うのかを見直すことが重要であり、スティーブンさんはたくさんの提案をしました。 多くのロンドンの家と同じく、1階は細長く、奥のキッチンは広々としていましたが、家族が一緒に時間を楽しむ場所というよりは、食事の準備のための空間というようなものでした。2階は部屋を一新させる必要があり、家族のライフスタイルに合わせて出入り口を変更したり、収納を追加したり、造作を特注したりする余地がありそうでした。
「オーナーご夫婦はHouzzで我々の過去のプロジェクトを見つけてくださったのですが、初めて連絡を取ったあとに、実はご友人の家も我々がデザインしていたことがわかり、興奮していました」とスティーブンさんは話します。
家族が生活空間をどう使うのかを見直すことが重要であり、スティーブンさんはたくさんの提案をしました。 多くのロンドンの家と同じく、1階は細長く、奥のキッチンは広々としていましたが、家族が一緒に時間を楽しむ場所というよりは、食事の準備のための空間というようなものでした。2階は部屋を一新させる必要があり、家族のライフスタイルに合わせて出入り口を変更したり、収納を追加したり、造作を特注したりする余地がありそうでした。
どんなHouzz?
住まい手:共働きのご夫婦と5歳と7歳の娘
所在地:ロンドン南部のダルウィッチ(イギリス)
物件:ヴィクトリアン様式のセミディタッチドハウス
間取り:寝室4つ、浴室2つ
デザイナー:All & Nxthingのスティーブン・ナッシュ
写真:ベン・ウォーターハウス
一緒にくつろいだり、食事をしたり、おしゃべりを楽しんだりできる多目的スペースをつくるためには、「裏手に増築し、その横の屋外通路を中庭とするのがいいのではないか」というのがオーナーご夫婦の直感でしたが、スティーブンさんは屋外通路を含めて増築する方が使いやすいのではないかと感じました。
「屋外通路を新しいキッチンエリアに組み込むことで、幅の狭い空間が広がり、正面の広いレセプションルームとのバランスを取り、1階全体の動線の流れをより良くすることができます」
そうすることで、空間にさらなる可能性を与えることもできます。スティーブンさんが送ったアイランドキッチンとダイニングテーブル、ソファのあるテレビエリアを配置した設計図にも、そのことがはっきりと示されており、「メールを送った翌朝に、『まさに私たちが求めていたプランです。 先に進めましょう!』と返信がありました」と彼は話します。
木製のバースツール:ジェームズボウヤーファニチャー、チェア:カール・ハンセン&サン
住まい手:共働きのご夫婦と5歳と7歳の娘
所在地:ロンドン南部のダルウィッチ(イギリス)
物件:ヴィクトリアン様式のセミディタッチドハウス
間取り:寝室4つ、浴室2つ
デザイナー:All & Nxthingのスティーブン・ナッシュ
写真:ベン・ウォーターハウス
一緒にくつろいだり、食事をしたり、おしゃべりを楽しんだりできる多目的スペースをつくるためには、「裏手に増築し、その横の屋外通路を中庭とするのがいいのではないか」というのがオーナーご夫婦の直感でしたが、スティーブンさんは屋外通路を含めて増築する方が使いやすいのではないかと感じました。
「屋外通路を新しいキッチンエリアに組み込むことで、幅の狭い空間が広がり、正面の広いレセプションルームとのバランスを取り、1階全体の動線の流れをより良くすることができます」
そうすることで、空間にさらなる可能性を与えることもできます。スティーブンさんが送ったアイランドキッチンとダイニングテーブル、ソファのあるテレビエリアを配置した設計図にも、そのことがはっきりと示されており、「メールを送った翌朝に、『まさに私たちが求めていたプランです。 先に進めましょう!』と返信がありました」と彼は話します。
木製のバースツール:ジェームズボウヤーファニチャー、チェア:カール・ハンセン&サン
この家づくりにおいて、標準的な屋外通路への増築という選択肢はあり得ませんでした。 「オーナーと私はデンマークのデザインや工業デザインへが大好きなのですが、私の過去プロジェクトを彼らが気に入ったのは、この控えめで実直な感覚によるところもあると思います」
スティーブンさんはこう続けます。「現代的で実用的であると同時に、あたたかで居心地がよく、リビングルームにあるような美しい天然木を取り入れた空間をつくることが重要でした」
1階の裏手部分は鉄骨の構造材だけを残して解体し、工業スタイルのフランス窓と、部分的にガラス張りになった屋根を追加しました。 これにより空間はたちまち開放的になり、暗いキッチンエリアは自然光で満たされました。
長さ8mの屋外通路を1枚のガラスで覆うのは非常に費用がかかるため、スティーブンさんはオーク材のブレースで分割された一連のガラス板による屋根をデザインしました。 このブレースは追加の支持材となるだけでなく、接合部をカバーして仕上がりをシームレスに見せてくれます。白塗りのレンガ壁が、見事な質感のコントラストを添えています。
スティーブンさんはこう続けます。「現代的で実用的であると同時に、あたたかで居心地がよく、リビングルームにあるような美しい天然木を取り入れた空間をつくることが重要でした」
1階の裏手部分は鉄骨の構造材だけを残して解体し、工業スタイルのフランス窓と、部分的にガラス張りになった屋根を追加しました。 これにより空間はたちまち開放的になり、暗いキッチンエリアは自然光で満たされました。
長さ8mの屋外通路を1枚のガラスで覆うのは非常に費用がかかるため、スティーブンさんはオーク材のブレースで分割された一連のガラス板による屋根をデザインしました。 このブレースは追加の支持材となるだけでなく、接合部をカバーして仕上がりをシームレスに見せてくれます。白塗りのレンガ壁が、見事な質感のコントラストを添えています。
オープンプランのキッチンの既存部分では、特注された濃いブルーのキッチンユニットが存在感を放っています。部屋の工業スタイルに奥行きを加えるため、テクスチャの重なりには細心の注意を払いました。たとえば、テラゾーの天板は、溝入りの前板や質感のあるセラミック製の壁タイル、伝統的な溝入りのベルファストシンク(光沢のある白い磁器でつくられた、深く細長い流し台)などとともに部屋を特徴づけます。
キッチンの壁のペンキ:ファロー&ボールの『ハーグブルー』、テラゾーの天板: コテ・ロンドン、ペンダントライト:HAY、シンク:ショーズ・オブ・ダーウェン
キッチンの壁のペンキ:ファロー&ボールの『ハーグブルー』、テラゾーの天板: コテ・ロンドン、ペンダントライト:HAY、シンク:ショーズ・オブ・ダーウェン
キッチンの奥のソファエリアを居心地のいいものにするため、スティーブンさんは低い天井に木製の梁を加えました。
ピンクのソファ:ロジャー・ルイス、ラグ:ムートの『プライラグ』、テーブル:ヴィンテージのアーコール
Houzzで住まいの専門家を探してみませんか?
ピンクのソファ:ロジャー・ルイス、ラグ:ムートの『プライラグ』、テーブル:ヴィンテージのアーコール
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メインのリビングルームは家の正面にあり、スティーブンさんとオーナーご夫婦は、当初の魅力を部分的にでも残したいと考えました。「年代物の不動産を所有することに対して、一種の責任を感じました」とスティーブンさん。「そして、室内の壁や当初のディテールを取り除いたり、空間のプロポーションを変更したりすることを決める際には、慎重に検討する必要がありました」
十分な検討を重ねた結果、H型鋼の新設によって、一部が影響を受ける既存の“廻り縁”を撤去することにしましたが、天井に装飾材を追加することで、過去の魅力を維持しました。 新しい壁パネルも設置され、既存の暖炉を引き立てる、親密でどこかフォーマルな雰囲気をつくりだしました。
青緑のソファ・コーヒーテーブル:ロジャー・ルイス、ペンダントライト:レ・クリント、彫刻のようなサイドテーブル:ニカリ、ラグ・アーチ型のミラー:ヒールズ
十分な検討を重ねた結果、H型鋼の新設によって、一部が影響を受ける既存の“廻り縁”を撤去することにしましたが、天井に装飾材を追加することで、過去の魅力を維持しました。 新しい壁パネルも設置され、既存の暖炉を引き立てる、親密でどこかフォーマルな雰囲気をつくりだしました。
青緑のソファ・コーヒーテーブル:ロジャー・ルイス、ペンダントライト:レ・クリント、彫刻のようなサイドテーブル:ニカリ、ラグ・アーチ型のミラー:ヒールズ
カップルは、リビングルーム全体を厚さ30mmの無垢オーク材の寄木張りの床とすることにしました。「寄木張りの床の下に温水床暖房システムを組み込むことで、穏やかで継続的な暖房を提供しています」とスティーブンさんは言います。
住まいには、床置き型の鋳鉄製ラジエーターも取り付けられています。ラジエーターは目を引くアイテムでもあり、必要に応じて室温を上げるのにも便利です。
ラウンジチェア:ストラボの『アルカ』、オーク材の床:ディネーセン
住まいには、床置き型の鋳鉄製ラジエーターも取り付けられています。ラジエーターは目を引くアイテムでもあり、必要に応じて室温を上げるのにも便利です。
ラウンジチェア:ストラボの『アルカ』、オーク材の床:ディネーセン
生活空間をオープンにすることを望む一方で、カップルはまた家の個性を維持したいとも考えていました。 1階に流れるような空間をつくりだすことは重要でしたが、壁すべてを取り除くのではなく、キッチンへの出入り口の幅を2倍にする方法を選ぶことにしました。 これは実用的であると同時に、新旧を区別するのにも役立ちます。
円型のラグ:フィヨルド、円型のコーヒーテーブル:ローズ&グレー
円型のラグ:フィヨルド、円型のコーヒーテーブル:ローズ&グレー
リビングエリアの真ん中には新しく薪ストーブが設置され、居心地のいい読書スポットとなっています。 アルコーブに埋め込まれた戸棚や棚板は、必要な収納とエレガントなディスプレイエリアを提供しています。
革張りのアームチェア:ハウス・オブ・フィンユール
革張りのアームチェア:ハウス・オブ・フィンユール
2階の主寝室では、空間を最大限に活用するための、全く新しいアイデアが必要でした。 造り付けのクローゼットは部屋の両端まで広がり、実用的な収納を十分に提供するとともに、日常の雑然としたものを隠すのにも役立ちます。
既存のタイル張りの暖炉は特徴的な要素であり、誰もが残して目立たせたいと思っていました。 スティーブンさんは、優雅なアーチをクローゼットのデザインに巧みに取り入れ、半円形のアンティークの鏡を暖炉の上に設置して、穏やかな雰囲気を高めました。
造り付けのクローゼットのペンキ:ファロー&ボールの『スリッパーサテン』、鏡:ヒールズ、壁の照明:ランバート&フィルス
既存のタイル張りの暖炉は特徴的な要素であり、誰もが残して目立たせたいと思っていました。 スティーブンさんは、優雅なアーチをクローゼットのデザインに巧みに取り入れ、半円形のアンティークの鏡を暖炉の上に設置して、穏やかな雰囲気を高めました。
造り付けのクローゼットのペンキ:ファロー&ボールの『スリッパーサテン』、鏡:ヒールズ、壁の照明:ランバート&フィルス
造り付け収納のドアに設置された目立たないパネルは、空間を騒がしくせず、全体的なインパクトを和らげています。 削った木製の床材と、スッキリしたローマンシェードは、シンプルで落ち着いたムードを高めます。
ラジエーター:キャストアイアンラジエーター、オーダーメイドのシェード:キャシーファンアッベ
ラジエーター:キャストアイアンラジエーター、オーダーメイドのシェード:キャシーファンアッベ
「オーク無垢材で造られたダブルボウルの洗面台ユニットは、家の中で私が最も気に入っている部分です」とスティーブンさん。 All & Nxthingがデザインし、地元の家具職人であるジェームズ・ボイヤーが制作したこの洗面台ユニットは、バスルームに堂々と置かれています。
「もとからあったもので、この部屋に残っているのは窓だけです」とスティーブンさんは続けます。オーナー一家は、家にあった唯一のバスタブを、たっぷりとしたウォークインシャワーに置き換えるという決断を、驚くほど簡単にしました。 断固たるシャワー愛好家であったため、それが小さな部屋の床面積を解放するのに役立つことを知っていたのです。そして、出入り口の位置を動かすことによって、バスルームはさらに使いやすくなりました」
洗面ボウル:ルッソ・ストーン、壁のタイル:クレイブルック
「もとからあったもので、この部屋に残っているのは窓だけです」とスティーブンさんは続けます。オーナー一家は、家にあった唯一のバスタブを、たっぷりとしたウォークインシャワーに置き換えるという決断を、驚くほど簡単にしました。 断固たるシャワー愛好家であったため、それが小さな部屋の床面積を解放するのに役立つことを知っていたのです。そして、出入り口の位置を動かすことによって、バスルームはさらに使いやすくなりました」
洗面ボウル:ルッソ・ストーン、壁のタイル:クレイブルック
バスルームの雰囲気を言葉で表すなら、“シンプルでエレガンス”。 住まいのほかの部分と合わせて、装飾は淡い色調と美しく仕上げられたシンプルな素材で構成されています。
モールガラスのシャワーパネルは真鍮で縁取ることで、部屋のほかの部分で使用されている、高品質の金物とコーディネートされています。
タイル:テラゾータイルズ、シャワー:スタジオ・オレ
モールガラスのシャワーパネルは真鍮で縁取ることで、部屋のほかの部分で使用されている、高品質の金物とコーディネートされています。
タイル:テラゾータイルズ、シャワー:スタジオ・オレ
1階のバスルームは、1階の再設計と新しいキッチンの増築の一環としてつくられたものです。
コンクリートの仕上げや溝入りのコンクリートの洗面器、無垢の真鍮製金物は、家の中のほかの場所で使用されている要素と、さりげなく共鳴しています。
半円型の洗面ボウル:カスト、蛇口:スタジオ・オレ
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