家の「顔」ともいえる、玄関アプローチの設計ポイント
室内設備よりも後回しにしてしまいがちなアプローチ。どんな点に注意して検討すればよいか、具体例を用いてご紹介します。

家づくりが始まると、まず家の間取りで頭がいっぱいになるものです。建物の計画が固まった頃に、ふと「外構はどうしよう?」と考えて、余白部分がアプローチや庭となる……。そんな流れで外構が決まることは少なくありません。しかし、外出時・帰宅時に毎日通るアプローチは、生活に欠かせない場所です。建物同様、使い勝手やどんなイメージにしたいかを考えておくと、より良いものができあがります。
この記事では、これから家づくりを始める方必見のアプローチ設計のポイントとアイデアをご紹介します。
この記事では、これから家づくりを始める方必見のアプローチ設計のポイントとアイデアをご紹介します。
動線を長く
室内の間取りは、なるべく家事動線が短く単純になるように考慮しながら決めていきますが、外構には必ずしもこの考えは当てはまりません。
広くない敷地に家を建てる場合、アプローチに十分なスペースが取れないこともあるでしょう。そこで、“いかにアプローチを長く感じさせるか”が重要になってきます。例えば、クランクや曲線を取り入れて距離を持たせたり、植栽や門柱などで視線の先を隠して奥行き感を出したりします。
こちらの事例ではゆるやかなカーブによって、空間に広がりが生まれています。
室内の間取りは、なるべく家事動線が短く単純になるように考慮しながら決めていきますが、外構には必ずしもこの考えは当てはまりません。
広くない敷地に家を建てる場合、アプローチに十分なスペースが取れないこともあるでしょう。そこで、“いかにアプローチを長く感じさせるか”が重要になってきます。例えば、クランクや曲線を取り入れて距離を持たせたり、植栽や門柱などで視線の先を隠して奥行き感を出したりします。
こちらの事例ではゆるやかなカーブによって、空間に広がりが生まれています。
こちらは、アプローチをクランクさせて、植栽を配置した事例です。
アプローチ自体は直線で仕上げ、すっきりとまとめていますが、クランク+植栽の効果で、奥行きとボリュームが感じられる設計になっています。
エクステリア・外構の専門家を探す
アプローチ自体は直線で仕上げ、すっきりとまとめていますが、クランク+植栽の効果で、奥行きとボリュームが感じられる設計になっています。
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アプローチ目線で建物を考える
広い土地でなければ、土地の形状や接道などの条件によって、半ば必然的に駐車場と建物の形が決まってしまいますが、アプローチ主体で建物の位置や形を一度考え直してみましょう。少しの工夫で、アプローチをより良く変えていけるはずです。
どんなアプローチになるか考えながら玄関の向きを検討したり、少し玄関を引っ込めたり。毎日利用する場所なので、一度足を止めて、アプローチを中心に据えて考えてみると、おのずと改善案が見えてくるはずです。
広い土地でなければ、土地の形状や接道などの条件によって、半ば必然的に駐車場と建物の形が決まってしまいますが、アプローチ主体で建物の位置や形を一度考え直してみましょう。少しの工夫で、アプローチをより良く変えていけるはずです。
どんなアプローチになるか考えながら玄関の向きを検討したり、少し玄関を引っ込めたり。毎日利用する場所なので、一度足を止めて、アプローチを中心に据えて考えてみると、おのずと改善案が見えてくるはずです。
道路からの目線で考える
使い勝手だけでなく、道路からどんな風に玄関が見えるかもイメージしてみましょう。
ドアを開けると家の中まで丸見えになってしまいませんか?そんな場合は向きを変えるか、植栽やフェンスなどで目隠しができるスペースをとると、落ち着ける玄関になります。
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反対に、印象的な玄関をつくって、それを見せる演出としたアプローチも素敵です。
そんな場合は玄関ドアが開いたとき、その奥に何が見えるかまで想定した方が良いでしょう。リビングが丸見えだと、落ち着かない気持ちになるかもしれません。
そんな場合は玄関ドアが開いたとき、その奥に何が見えるかまで想定した方が良いでしょう。リビングが丸見えだと、落ち着かない気持ちになるかもしれません。
クローズド外構orオープン外構
「クローズド外構」か「オープン外構」かによって、アプローチの構成要素が変わってきます。
クローズド外構の場合は、アプローチには門や門扉が必要となります。この場合は、ポストやインターフォンは門扉横に設置します。門扉があると、明確にプライベート空間を分けられるので、奥に続く期待感が増します。
オープン外構の場合、門柱を立て、そこにインターフォンやポストを設置するか、建物の壁に直接取り付ける形となります。構造物が少ないと単調になりやすいので、アプローチの距離がある程度長い場合は、門柱を設置すると奥行きが感じられるはずです。
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オープン外構とクローズド外構。それぞれの特徴とは?
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駐車場とアプローチを区別する
駐車場と隣接したアプローチは、用途が異なる場所であるとわかるようにすることがポイントです。アプローチと駐車場を区別しないと、のっぺりと間延びした印象になってしまいます。
こちらの事例では、アプローチと駐車場の高さを変えて、空間が分けられています。そのほかにも、舗装の素材を変えたり、植栽で区切ったりする方法もあります。ある程度スペースがある場合、アプローチに車が載っても大丈夫な仕上げにしておくと、来客時などにほかの車も停められるので便利でしょう。
駐車場と隣接したアプローチは、用途が異なる場所であるとわかるようにすることがポイントです。アプローチと駐車場を区別しないと、のっぺりと間延びした印象になってしまいます。
こちらの事例では、アプローチと駐車場の高さを変えて、空間が分けられています。そのほかにも、舗装の素材を変えたり、植栽で区切ったりする方法もあります。ある程度スペースがある場合、アプローチに車が載っても大丈夫な仕上げにしておくと、来客時などにほかの車も停められるので便利でしょう。
接道によって変わるパターン
土地の接道が一面である場合、駐車スペース及びアプローチが道路側にあり、その奥が建物という形が一般的です。南面接道の場合、メインの庭も隣接する配置が多いでしょう。その場合は、パブリックな部分とプライベートな部分をどのように分けるかで住み心地が変わってきます。とくにオープン外構の場合、庭に面した大きな窓が通りから丸見えになってしまいますから、南面接道の場合は、オープン外構よりもセミクローズド・クローズド外構をおすすめします。植栽を利用して目隠しとしても良いですね。
植栽のアイデアをもっとみる
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角地では二面接道、場合によっては三面接道となります。一面接道よりも駐車場やアプローチの自由度が上がるので、どのような配置にするかよく検討しましょう。
駐車場やアプローチは、メインの庭とは離すようにした方が、それぞれを独立した空間として作り込みやすいです。敷地面積などの条件によって同じ面になってしまう場合は、やわらかくそれぞれを区切るような工夫を考えましょう。
駐車場やアプローチは、メインの庭とは離すようにした方が、それぞれを独立した空間として作り込みやすいです。敷地面積などの条件によって同じ面になってしまう場合は、やわらかくそれぞれを区切るような工夫を考えましょう。
アプローチの素材
アプローチに使用できる素材はさまざまです。毎日通る場所ですので、歩きやすい素材を選ぶのが良いでしょう。雨の日や、ハイヒールなどの歩きにくい靴を履いた場合など、条件が悪いときのことも考慮しましょう。
ナチュラルな雰囲気であれば、自然石やレンガ、洗い出しなど、モダンな雰囲気であればコンクリートやモルタル、落ち着いた色のタイルや自然石も良いですね。
石張りなどで目地を深くすると、石の存在感が増して見栄えが良いのですが、やや歩きにくくなる場合があります。デザインと実用性のバランスを考えましょう。
アプローチに使用できる素材はさまざまです。毎日通る場所ですので、歩きやすい素材を選ぶのが良いでしょう。雨の日や、ハイヒールなどの歩きにくい靴を履いた場合など、条件が悪いときのことも考慮しましょう。
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石張りなどで目地を深くすると、石の存在感が増して見栄えが良いのですが、やや歩きにくくなる場合があります。デザインと実用性のバランスを考えましょう。
素材でリズムをつくる
道路から玄関ドアまでの距離が短い場合、動線で工夫することが難しくなります。その場合は、舗装の素材を検討してみましょう。
こちらの事例では、ステップ一段目に天然石を使用し、その奥をコンクリートのステップにしています。色味が同じなので大きく目立つ違いはないですが、素材感が変わることで空間にメリハリが生まれています。公道のアスファルトとは違って、天然石と植栽が織りなす自然な雰囲気が、プライベートな空間であることを、優しく教えてくれています。
道路から玄関ドアまでの距離が短い場合、動線で工夫することが難しくなります。その場合は、舗装の素材を検討してみましょう。
こちらの事例では、ステップ一段目に天然石を使用し、その奥をコンクリートのステップにしています。色味が同じなので大きく目立つ違いはないですが、素材感が変わることで空間にメリハリが生まれています。公道のアスファルトとは違って、天然石と植栽が織りなす自然な雰囲気が、プライベートな空間であることを、優しく教えてくれています。
階段があるアプローチ
基礎があるため、建物の床レベルは通常、地面よりも40cm~50cmほど上がっているので、玄関ポーチには2~3段の階段が必要です。土地に高低差がある場合、アプローチにその分の階段を設ける必要があります。この階段をどのように仕上げるかで、アプローチの雰囲気が大きく変わります。
階段の一番の設計ポイントは、踏面の素材です。舗装の断面が見えるので、踏面の素材の見せ方でアクセントをつけることができます。
例えば、厚みのある石を踏面に使用して、数cm程度はねださせることによって、石の素材感を味わえる印象的な階段になります。
基礎があるため、建物の床レベルは通常、地面よりも40cm~50cmほど上がっているので、玄関ポーチには2~3段の階段が必要です。土地に高低差がある場合、アプローチにその分の階段を設ける必要があります。この階段をどのように仕上げるかで、アプローチの雰囲気が大きく変わります。
階段の一番の設計ポイントは、踏面の素材です。舗装の断面が見えるので、踏面の素材の見せ方でアクセントをつけることができます。
例えば、厚みのある石を踏面に使用して、数cm程度はねださせることによって、石の素材感を味わえる印象的な階段になります。
こちらの事例では、厚みのありすぎない方形の石材を使って、すっきりとした形にまとめています。こうすることで、洗練された清潔感のある階段になっています。
庭はなくても、アプローチがない住宅はありません。アプローチは室内の間取りと同じように、毎日の生活動線に関わってくる場所です。
そして、室内とは違い、外からも見えるアプローチは家の「顔」とも言うべき部分です。間取りを考えるように、アプローチについてもよく検討して、素敵な家の「顔」をつくりましょう!
玄関アプローチの写真をもっと見る
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アース建築工房さま
コメントいただきありがとうございます。
街中だと敷地の都合で長いアプローチは難しいことも多いですよね。幅10cm程度の少しの隙間でも、思った以上に植物を植えることもできます。少しでも土の部分を残せれば、できることは増えるのかなと思います!
私も小さな隙間や基礎の足元ににヤブランやタマリュウを植えます。それだけで潤いが感じられますね。