儚くもいとおしい人生と自然の美をキーワードに作った小さな茶庭
外界から閉ざされた小さな中庭を茶庭にすることにした若夫婦。ご主人が大切にしている価値観を反映させ、美しくも機能的な庭づくりができる専門家に作庭を依頼しました。
滋賀県近江八幡市の中古住宅を購入した若いご夫妻は、新居の中庭をどうするかで悩んでいました。
三方をリビング・和室・廊下に囲まれ、道路側には目隠しフェンスが設けられたこの中庭には、プライバシーを確保できるというメリットがありました。その一方で、コロナ禍ということもあり、自粛生活で外とのつながりもなくなりつつある中、外界から遮断された空間に「人工的で、温度を感じない」という感想をもったと、ご主人は振り返ります。
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三方をリビング・和室・廊下に囲まれ、道路側には目隠しフェンスが設けられたこの中庭には、プライバシーを確保できるというメリットがありました。その一方で、コロナ禍ということもあり、自粛生活で外とのつながりもなくなりつつある中、外界から遮断された空間に「人工的で、温度を感じない」という感想をもったと、ご主人は振り返ります。
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一秒ごとに老いていく中で、子孫などに後を託す人間の儚(はかな)い人生と、咲いては枯れていく過程で種を残していく自然の循環に通ずるものを感じていたご主人。ご自身の死生観と自然の美をキーワードに、庭づくりを依頼することにしました。
いくつかの造園業者やガーデンデザイナーとHouzzを通じて連絡をとる中で、もっともヒアリングが丁寧だった江夏庭苑に依頼することを決めました。
「造園家の方にもスタイルがあると思うんですが、それが強く押し出されていると、自分の価値観とズレが出てしまうと思いました。江夏さんとは、世間話のようなヒアリングからスタートしたんですが、自分たちの価値観を踏まえた提案をしてくださるので、信頼して任せることができたんです」とご主人。
いくつかの造園業者やガーデンデザイナーとHouzzを通じて連絡をとる中で、もっともヒアリングが丁寧だった江夏庭苑に依頼することを決めました。
「造園家の方にもスタイルがあると思うんですが、それが強く押し出されていると、自分の価値観とズレが出てしまうと思いました。江夏さんとは、世間話のようなヒアリングからスタートしたんですが、自分たちの価値観を踏まえた提案をしてくださるので、信頼して任せることができたんです」とご主人。
視覚的な美しさをもちながら、茶道をたしなむご友人とお茶会を愉しむこともでき、考え事をしたり落ち着いてくつろぐこともできるような、デザイン性と機能性を絶妙に兼ね備えた庭というのが、ご主人のご要望だったそう。そこで江夏庭苑の江夏泰治郎さんが提案したのは、三方どこから眺めても美しく、かつ使い勝手のいい“茶庭”でした。
「この庭には、お施主様ご夫婦やご友人などの人物が登場します。そうなると、眺めて美しいだけでなく、機能的でなくてはなりません。8.5畳程度のコンパクトな空間ではありますが、どこからもアクセスしやすいようにするなど、さまざまな工夫を凝らしました」と江夏さん。
「この庭には、お施主様ご夫婦やご友人などの人物が登場します。そうなると、眺めて美しいだけでなく、機能的でなくてはなりません。8.5畳程度のコンパクトな空間ではありますが、どこからもアクセスしやすいようにするなど、さまざまな工夫を凝らしました」と江夏さん。
たとえば、和室側に設置された、小さなウッドデッキのようなぬれ縁。和室には2つの掃き出し窓があり、靴脱ぎ石だけを置くとなると、どちらからも出入りしやすくするためには2つ置かなくてはならなくなりますが、ぬれ縁を設けたことでどこからもアクセスしやすくなりました。
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内と外の中間領域、縁側
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リビング側からは砂利で通り道がつくられており、水やりや草取りなど、普段の手入れがしやすいように配慮されています。
三方に設けられた“犬走り(細い通路部分)”を伝って歩くことも可能です。犬走りは、泥などの汚れから基礎を守る保護の役割も担っています。
三方に設けられた“犬走り(細い通路部分)”を伝って歩くことも可能です。犬走りは、泥などの汚れから基礎を守る保護の役割も担っています。
もちろん、機能面だけではなく、視覚的な美しさにもこだわられています。
庭に植えられている植物は15種類。ご主人の大切にされている価値観を表現するため、“栄枯盛衰”をテーマに、四季によって表情を変える植物を中心に選んだと江夏さんは話します。
「植栽についてはほとんどお任せしていただきましたが、紅葉する植物を植えたいというのがご主人の強いご要望でしたので、紅葉するカエデと黄葉するダンコウバイを併せて植えて、秋には赤と黄色のコントラストが楽しめるようにしました」
庭に植えられている植物は15種類。ご主人の大切にされている価値観を表現するため、“栄枯盛衰”をテーマに、四季によって表情を変える植物を中心に選んだと江夏さんは話します。
「植栽についてはほとんどお任せしていただきましたが、紅葉する植物を植えたいというのがご主人の強いご要望でしたので、紅葉するカエデと黄葉するダンコウバイを併せて植えて、秋には赤と黄色のコントラストが楽しめるようにしました」
リビング側に植えられているのは、シラタマツバキです。常緑樹として楽しめるだけでなく、10月から3月にかけての開花の時期には、茶花として茶席に飾ることもできます。また、花弁が散るのではなく、花首から落ちて一生を終えるツバキの花の姿は、切なくも美しく、ご主人の死生観にも似通うものがあります。
今回のお庭の施工にかかった日数は4日ほど。コンパクトな空間のため、素材選びにはとことんこだわったと、江夏さんは振り返ります。「つくばいの石組みや庭石のひとつひとつにも吟味を重ねました。石が大きすぎてもダメですし、かといって小さすぎても貧相になってしまいますから。とはいえ、小さなお庭を作るのはほんとうにやりがいがありましたね。仕事ではありますが、とても楽しく取り組めました」
庭石の写真をもっとみる
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オーナーご夫妻も出来栄えにはとても満足しているそう。「機械的につくられたものにはない美しさが、この庭にはあると思います。季節ごとに変わる表情も楽しんでいきたいと思います」とご主人。
また、当初は庭の植栽にあまり関心がなかったという奥様も、「打ち合わせの際に設計図などは見せていただいていたのですが、想像をはるかに上回る仕上がりで、完成した庭を見たときには、本当に感動しました」と話します。味気なかった小さなお庭は、今やお二人の住まいのシンボルとなっています。
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