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【メゾン・エ・オブジェ2021秋】から考察する、これからの住まい
海外の最新トレンドに詳しいインテリアデザイナーの網村眞弓さんが、インテリアの「パリコレ」とも称される欧州最大級の見本市について解説。日本での住まいづくりのヒントを導きだしてくれました。
二度の中止を経て開催となったメゾン・エ・オブジェ9月展が、2021年9月9日〜13日の期間パリで開催されました。渡航制限の続く国があるにもかかわらず、世界のバイヤーやデザイナーが訪れ、賑わいをみせていました。
久しぶりのリアル開催となり、世界の人たちが心躍らせ集ったこの展示会では、「望ましい発展」をテーマに、私たちがいかにサステナブルかつ意味や価値のある創造的インテリアを実現していけばよいか、という重要な課題が掲げられました。
持続可能な将来のあるべき発展の姿を提示した「Share(シェア)」、「New Rustic(新しい素朴さ)」や「Leisure(レジャー)」といった、未来に向けての新生活空間の再定義が示され、ワークスペースとオフィスの革新に焦点をあてた「The Work!」や、家での時間を気分よくしてくれる「To Be Home(家にいる)」、「To Protect(守る)」、「To Connect(つながる)」といったインスタレーション展示がおこなわれました。
久しぶりのリアル開催となり、世界の人たちが心躍らせ集ったこの展示会では、「望ましい発展」をテーマに、私たちがいかにサステナブルかつ意味や価値のある創造的インテリアを実現していけばよいか、という重要な課題が掲げられました。
持続可能な将来のあるべき発展の姿を提示した「Share(シェア)」、「New Rustic(新しい素朴さ)」や「Leisure(レジャー)」といった、未来に向けての新生活空間の再定義が示され、ワークスペースとオフィスの革新に焦点をあてた「The Work!」や、家での時間を気分よくしてくれる「To Be Home(家にいる)」、「To Protect(守る)」、「To Connect(つながる)」といったインスタレーション展示がおこなわれました。
「What’s New」エリアの展示 (写真は特に記載がない限り、Aethionが撮影)
新型コロナの出現により、私たちは環境や持続可能性の問題について深く考えるようになりました。また、家は最後の砦であり、かけがえのない避難場所であることをあらためて分からせてくれました。
日本としての注目のポイント、人気の"ジャパンディ”
自然やその土地のもの、伝統や匠の技を尊重し、物事の本質に焦点を当ててシンプルなものの良さを味わう。家に純粋な環境をつくりだす、和と北欧をミックスした"ジャパンディ・スタイル"は、ステイホームを経て、世界の人気トレンドとなっています。
注目の製品を紹介する「What’s New」エリアでは、洗練された家具や不定形なもの、クラフト感のあるものでつくられた、"ジャパンディ・スタイル"が提示されました。
新型コロナの出現により、私たちは環境や持続可能性の問題について深く考えるようになりました。また、家は最後の砦であり、かけがえのない避難場所であることをあらためて分からせてくれました。
日本としての注目のポイント、人気の"ジャパンディ”
自然やその土地のもの、伝統や匠の技を尊重し、物事の本質に焦点を当ててシンプルなものの良さを味わう。家に純粋な環境をつくりだす、和と北欧をミックスした"ジャパンディ・スタイル"は、ステイホームを経て、世界の人気トレンドとなっています。
注目の製品を紹介する「What’s New」エリアでは、洗練された家具や不定形なもの、クラフト感のあるものでつくられた、"ジャパンディ・スタイル"が提示されました。
「What’s New」エリア、テーマの「レジャー」、「守る」の展示
気分が落ち着く穏やかな色調。木肌が感じられるマットな質感。丁寧に仕上げられた素材の純粋さを伝える素材。質のよい旅館やエステのディベッドに横たわるような、オネスト(誠実)につくられたものたちがもたらす、家での守られるような安心と上質なものによる日常のくつろぎ。
私たちが身近に親しむ木や工芸、心地よいリネンによる空間づくりが注目されています。手で触れると冷たくない、温もりを感じる素材は、家でのリラックスに役立ちます。すぐに飽きることのないタイムレスなテイストや、人の手が作りだす工芸品の誠実な美が、家に居る時を満たし、少しだけ特別で、肩の張らない上質なものにしてくれそうです。
気分が落ち着く穏やかな色調。木肌が感じられるマットな質感。丁寧に仕上げられた素材の純粋さを伝える素材。質のよい旅館やエステのディベッドに横たわるような、オネスト(誠実)につくられたものたちがもたらす、家での守られるような安心と上質なものによる日常のくつろぎ。
私たちが身近に親しむ木や工芸、心地よいリネンによる空間づくりが注目されています。手で触れると冷たくない、温もりを感じる素材は、家でのリラックスに役立ちます。すぐに飽きることのないタイムレスなテイストや、人の手が作りだす工芸品の誠実な美が、家に居る時を満たし、少しだけ特別で、肩の張らない上質なものにしてくれそうです。
落ち着いた色調の、リサイクル素材による機能的な家具。天然素材をあしらったシンプルで素朴な空間は、メンテナンス性がよく、家での作業が増えた暮らしを効率よくサポートしながら、環境負荷も軽減します。
ポイントは、照明やオブジェで味わいをプラスすること。木の家具は素敵ですが、ちょっと重量もあり値もはるものもあります。機能的でインダストリアルな椅子やテーブルでも、日本で身近な素朴で温かみのあるテーブルウエアを置けば、気さくで居心地よいダイニングコーナーが楽しめます。好みのオブジェや照明をプラスして、あなただけのトレンド・バリエーションを楽しんでもいいでしょう。
ポイントは、照明やオブジェで味わいをプラスすること。木の家具は素敵ですが、ちょっと重量もあり値もはるものもあります。機能的でインダストリアルな椅子やテーブルでも、日本で身近な素朴で温かみのあるテーブルウエアを置けば、気さくで居心地よいダイニングコーナーが楽しめます。好みのオブジェや照明をプラスして、あなただけのトレンド・バリエーションを楽しんでもいいでしょう。
「What’s New」エリア、テーマの「シェア」、「新しい素朴さ」の展示
New Rustic(新しい素朴さ)
私たちは今ある自然を守り、誰もが地球温暖化を遅らせることに取り組む必要に迫られています。「What’s New」エリアでは、自然と調和して環境に配慮し成長するための、新しい素朴(New Rustic)な製品が展示されました。
New Rustic(新しい素朴さ)
私たちは今ある自然を守り、誰もが地球温暖化を遅らせることに取り組む必要に迫られています。「What’s New」エリアでは、自然と調和して環境に配慮し成長するための、新しい素朴(New Rustic)な製品が展示されました。
地球と人に配慮し公正な労働条件の下、時代を超えたものづくりを行うKintaの製品
会場ではZuiverのペットボトルによるリサイクル椅子が展示されましたが、日本でもクリスチャン・フィッシュバッハのペットボトルによるリサイクル生地Benuや、リサイクル材による壁紙、可能な限り修理を続ける家具など、製法や環境、産地に配慮した製品が数多く、「新しい素朴さ」の選択が可能です。
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コロナ後のニューノーマルに焦点【メゾン・エ・オブジェ2021年秋】
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「What’s New」エリアの「シェアー」に展示されたファブリック
素材そのものの特徴を活かした伝統的技術や製法に着目し、必要に応じて時には代替えのリサイクル材を用いる。オーセンティック(真正)でオネストな製品を選択することは、私たちの将来につながります。使い捨て文化と戦い、数年で陳腐化してしまうような製品を選択しないで、原材料に留意した永続的なベストセラーのような、環境負荷の少ない製品づくりを尊重して選択すること。環境に配慮し、成長するための「新しい素朴さ」の選択が示されました。
素材そのものの特徴を活かした伝統的技術や製法に着目し、必要に応じて時には代替えのリサイクル材を用いる。オーセンティック(真正)でオネストな製品を選択することは、私たちの将来につながります。使い捨て文化と戦い、数年で陳腐化してしまうような製品を選択しないで、原材料に留意した永続的なベストセラーのような、環境負荷の少ない製品づくりを尊重して選択すること。環境に配慮し、成長するための「新しい素朴さ」の選択が示されました。
Resistubのモダンにシフトしたナチュラルテイスト
モダンにシフトするナチュラル
限られた空間の中にワークスペースや気晴らしの要素を加えることとなり、ナチュラルなインテリアが変化を遂げています。
木の家具やソファは圧迫感の少ないミニマルな丸形に。自然を感じさせる壁紙はモノトーンのものが出ています。ステイホームで増えた書類は、モジュール家具が効率よく収納場をつくりだします。暮らしが変わり、ナチュラルなスタイルに、モダンで機能的な要素が加わってきています。
モダンにシフトするナチュラル
限られた空間の中にワークスペースや気晴らしの要素を加えることとなり、ナチュラルなインテリアが変化を遂げています。
木の家具やソファは圧迫感の少ないミニマルな丸形に。自然を感じさせる壁紙はモノトーンのものが出ています。ステイホームで増えた書類は、モジュール家具が効率よく収納場をつくりだします。暮らしが変わり、ナチュラルなスタイルに、モダンで機能的な要素が加わってきています。
紙や段ボール製のクラフトデコール。いくつか作って飾れば素敵なコレクションに!
To Be Home(家にいる)
家での時間はかつてないほど大切になりました。家での時間にやすらぎをもたらし、雰囲気をつくり出してくれるもの。家にレジャー感覚をもたらすものが、小さな必需品として示されました。
家を「気分のいい、心がゆるむところ」にしてくれる、作ることも楽しめるクラフトキットや、リビングやベランダでのガーデニングを可能にしてくれるものたち。
そんなアイテムは、おうち時間に楽しみをもたらしてくれます。家での過ごし方を、何かを作ったり、育てたり、集めたりして、変えてみてはいかがでしょう。
To Be Home(家にいる)
家での時間はかつてないほど大切になりました。家での時間にやすらぎをもたらし、雰囲気をつくり出してくれるもの。家にレジャー感覚をもたらすものが、小さな必需品として示されました。
家を「気分のいい、心がゆるむところ」にしてくれる、作ることも楽しめるクラフトキットや、リビングやベランダでのガーデニングを可能にしてくれるものたち。
そんなアイテムは、おうち時間に楽しみをもたらしてくれます。家での過ごし方を、何かを作ったり、育てたり、集めたりして、変えてみてはいかがでしょう。
ちょっとした小物が、家でのガーデニングを楽しくしてくれるでしょう
進化した「Work!」スタイル
急場のホームオフィスづくりもひと段落し、より洗練されたインテリアとして整えるための、デスク周りのアクセサリーやオフィス家具がでてきています。オフィス自体の在り方も変わり、コミュニケーションを促すインタラクティブなスタイルが組み込まれるようになってきました。
これからの働き方について、「To Connect(つながる)」ためのウェッブ用の照明や、リモートワークのスマート・コネクトなどが提示され、オフィスづくりは次の段階に入ってきました。
進化した「Work!」スタイル
急場のホームオフィスづくりもひと段落し、より洗練されたインテリアとして整えるための、デスク周りのアクセサリーやオフィス家具がでてきています。オフィス自体の在り方も変わり、コミュニケーションを促すインタラクティブなスタイルが組み込まれるようになってきました。
これからの働き方について、「To Connect(つながる)」ためのウェッブ用の照明や、リモートワークのスマート・コネクトなどが提示され、オフィスづくりは次の段階に入ってきました。
「What’s New」エリア、テーマは「レジャー」、「家にいる)」の展示
こちらのディスプレイのように、木の机に、目にもやさしいオリーブグリーンを加えることで、ちょっとした自然気分も味わえる。照明や家具を整えれば、お洒落に進化したホームオフィスも夢ではありません。
こちらのディスプレイのように、木の机に、目にもやさしいオリーブグリーンを加えることで、ちょっとした自然気分も味わえる。照明や家具を整えれば、お洒落に進化したホームオフィスも夢ではありません。
Pols Potten社のRomanメタルベース
心を明るくしてくれる色、郷愁をよぶ色使いや心がほぐれる小物たち
家で長く過ごすには、明るい刺激が大切になります。気持ちを明るくしてくれる色は、心に元気をもたらしてくれます。グラフィカルで陽気な、どこか温かみや懐かしさを感じさせるノスタルジックな色や、レトロな70年代の楽天的な色づかいも継続し出ています。
親しみやすい澄んだ明るい色やくすっとさせてくれる小物は、私たちを元気づけ、心と体の健康をサポートしてくれるサプリメントです。光を感じる色や暖かみを感じる色、心がほぐれるような小物を取り入れて、ウェルビーイングな暮らしを心がけましょう。
心を明るくしてくれる色、郷愁をよぶ色使いや心がほぐれる小物たち
家で長く過ごすには、明るい刺激が大切になります。気持ちを明るくしてくれる色は、心に元気をもたらしてくれます。グラフィカルで陽気な、どこか温かみや懐かしさを感じさせるノスタルジックな色や、レトロな70年代の楽天的な色づかいも継続し出ています。
親しみやすい澄んだ明るい色やくすっとさせてくれる小物は、私たちを元気づけ、心と体の健康をサポートしてくれるサプリメントです。光を感じる色や暖かみを感じる色、心がほぐれるような小物を取り入れて、ウェルビーイングな暮らしを心がけましょう。
「子どもと家族」がテーマのホール2に展示されていたMailegの心がゆるむ愛らしい小物たち
家は安らぎの場であり、インテリアに溶け込むホームオフィスが備わっていたり、ガーデニングで何かを育てたり、手づくりに没頭する場であってもいいでしょう。
信頼のおける製品によるよく眠れる寝室や、ふかふかのタオル、メンテナンスしやすい個性を加えたナチュラル・ダイニングは、日々の暮らしにちょっとした幸せを運んでくれます。
家は安らぎの場であり、インテリアに溶け込むホームオフィスが備わっていたり、ガーデニングで何かを育てたり、手づくりに没頭する場であってもいいでしょう。
信頼のおける製品によるよく眠れる寝室や、ふかふかのタオル、メンテナンスしやすい個性を加えたナチュラル・ダイニングは、日々の暮らしにちょっとした幸せを運んでくれます。
穏やかなカラーに懐かしさや元気をくれる色やものでアクセントをつけ、日々の生活がより快適で、あなたらしい個性で彩られた楽しい空間づくりーーーメゾン・エ・オブジェでは、そんなこれからの暮らしが提示されました。
今回の展示からピックアップしたカラースキーム (画像:Color Design Firm提供)
最後に、展示エリアで使われていた色から導いた、お薦めのカラースキームをご紹介します。それは、グレーやベージュの穏やかな色をベースに、深い赤やイエロー、バーントオレンジ、モスグリーン、ピンクを割り当てるものです。この組み合わせで、インテリアに暖かみのある演出をしてみてはいかがでしょう。
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最後に、展示エリアで使われていた色から導いた、お薦めのカラースキームをご紹介します。それは、グレーやベージュの穏やかな色をベースに、深い赤やイエロー、バーントオレンジ、モスグリーン、ピンクを割り当てるものです。この組み合わせで、インテリアに暖かみのある演出をしてみてはいかがでしょう。
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