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今、話題のミレニアルスタイルとは?プロに聞いた注目される理由
若い世代に人気なのが、ヴィンテージ、壁紙、再生木材など、手頃な価格で気分を高めてくれるサステナブルなインテリアです。
Bea González
2022年1月13日
1980年から1995年の間に生まれたミレニアル世代が、室内装飾の世界で一段と存在感を高めています。インダストリアル・スタイルや、ヴィンテージ・スタイル。多目的な空間で使える柔軟性の高い家具、木製家具、お部屋用のネオン照明、壁紙、植物、そして天然素材の生地にいたるまで、この世代が好むスタイルやデザインは目新しくはないものの、トレンドとして大きな広がりをみせています。2022年のインテリア・デザインのトレンドを読む上でも、ミレニアル世代の動向に注目が集まりそうです。
ミレニアルスタイルがトレンドとなっている理由
ミレニアル世代が「落ち着く」と感じるのは、金銭的に少ない投資で実現できて、気分が楽しくなる、柔軟性の高い空間だといいます。ニューヨーク・タイムズ紙のサプナ・マヘシュワリ(Sapna Maheshwari)さんが執筆した2019年の記事では、「この世代は衣服から電動キックボード、家具にいたるすべてのものを借りる世代であり、お金を節約するだけではなく、消費が少なく、リサイクル意識も高い」とのこと。
「私のクライアントのほとんどがミレニアル世代ですが、それは私が彼らのニーズに十分に応えているからだと思います」と話すのは、スペインのサン・セバスティアンを拠点とするインテリアデザイナー、エリザベト・ブリオン(Elisabet Brión)さんです。
現在、70年代に建てられた住宅を、家具もろとも相続した若い夫婦に依頼された仕事を終えたばかりというブリオンさん。「このご夫妻は、受け継いだ美しい家具を持続可能性といった観点からも捨てたくないと願っていました。ですから、すべての家具を残しました」というブリオンさん。
「このような個性を求めている若い世代のクライアント向けには、新旧のアイテムをうまく取り合わせることが、室内装飾を成功させるコツです」
ミレニアル世代が「落ち着く」と感じるのは、金銭的に少ない投資で実現できて、気分が楽しくなる、柔軟性の高い空間だといいます。ニューヨーク・タイムズ紙のサプナ・マヘシュワリ(Sapna Maheshwari)さんが執筆した2019年の記事では、「この世代は衣服から電動キックボード、家具にいたるすべてのものを借りる世代であり、お金を節約するだけではなく、消費が少なく、リサイクル意識も高い」とのこと。
「私のクライアントのほとんどがミレニアル世代ですが、それは私が彼らのニーズに十分に応えているからだと思います」と話すのは、スペインのサン・セバスティアンを拠点とするインテリアデザイナー、エリザベト・ブリオン(Elisabet Brión)さんです。
現在、70年代に建てられた住宅を、家具もろとも相続した若い夫婦に依頼された仕事を終えたばかりというブリオンさん。「このご夫妻は、受け継いだ美しい家具を持続可能性といった観点からも捨てたくないと願っていました。ですから、すべての家具を残しました」というブリオンさん。
「このような個性を求めている若い世代のクライアント向けには、新旧のアイテムをうまく取り合わせることが、室内装飾を成功させるコツです」
ミレニアル世代は高い教育を受けた世代であり、旅行をする機会も多く、複数の言語を話す人もいます。また気候変動に対する問題意識も高いです。
デロイト トーマツ グループによる「ミレニアル・Z世代年次調査2021」によると、調査対象の世界45カ国全体では、コロナ感染以前から一貫して、気候変動・環境保全が懸念事項の上位にランクされています。また関心事のトップは、医療・疾病予防で28%、次いで失業が27%、気候変動・環境保全が26%となっています。
デロイト トーマツ グループによる「ミレニアル・Z世代年次調査2021」によると、調査対象の世界45カ国全体では、コロナ感染以前から一貫して、気候変動・環境保全が懸念事項の上位にランクされています。また関心事のトップは、医療・疾病予防で28%、次いで失業が27%、気候変動・環境保全が26%となっています。
昨年スペインで開催された見本市カサ・デコールで、Netflixのブース(写真)を担当したデザイナーのシモーナ・ガルフィ(Simona Garufi)さんは、 「1920年代の真鍮や青色など、当時のエネルギーを取り入れつつ、そうしたスタイルを現代的にアップデートしました。環境を尊重するために、有機的な形状の再発見にも試みました」と語ります。
確かに、ミレニアル世代のスタイルにスポットライトを当てつつ、50年代や60年代のレストランやカフェを思わせるネオン照明がインテリア特徴のひとつとなっています。
新世代の「ネオンサイン」で遊ぶインテリアの記事を読む
確かに、ミレニアル世代のスタイルにスポットライトを当てつつ、50年代や60年代のレストランやカフェを思わせるネオン照明がインテリア特徴のひとつとなっています。
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持続可能性に取り組み、住宅の所有に前向きなミレニアル世代
「Dr. Livinghome」というブログを運営するスペイン人インテリアブロガー、マリア・バスケス(María Vázquez)さんがマドリードに借りていた家は、ミレニアルスタイルを称えるといえるものでした。
写真は、メゾンデュモンド社製の中古ソファが置かれたリビングルームです。バスケスさんはこのソファの脚を木製に変えることで、アクセントを加えました。また、切断した銅製のパイプを含むさまざまな配管を用いて、コーヒーテーブルをつくりました。
「Dr. Livinghome」というブログを運営するスペイン人インテリアブロガー、マリア・バスケス(María Vázquez)さんがマドリードに借りていた家は、ミレニアルスタイルを称えるといえるものでした。
写真は、メゾンデュモンド社製の中古ソファが置かれたリビングルームです。バスケスさんはこのソファの脚を木製に変えることで、アクセントを加えました。また、切断した銅製のパイプを含むさまざまな配管を用いて、コーヒーテーブルをつくりました。
住まいをミレニアルスタイルにするには、手頃な値段で多機能な家具が必要になります。しかし、もっと重要なのは、それらが持続可能なものであることです。イケア社(スウェーデン)によると、現在、埋め立てされる固形廃棄物の4%を家具が占めているそうです。そうした現状への対応として、イケアは「Save the Furniture(家具を救おう)」キャンペーンを通じて、自社製品の製品寿命を延ばすための取り組みをおこなっています。
このキャンペーンの方針のひとつは、ミレニアル世代に寄り添っていこうとするものです。すなわち、「今はほとんどのものを借りていても、将来的には自分で所有したい」という思いに応えるものです。
不動産大手Century 21社のCEOであるリカルド・ソウザ(Ricardo Sousa)さんがスペインの新聞「エル・エコノミスタ紙」とのインタビューで言及している通り、若いミレニアル世代とZ世代(1996年から2012年の間に生まれた世代)の84%が、いつか家を買うことを計画しているといいます。
このキャンペーンの方針のひとつは、ミレニアル世代に寄り添っていこうとするものです。すなわち、「今はほとんどのものを借りていても、将来的には自分で所有したい」という思いに応えるものです。
不動産大手Century 21社のCEOであるリカルド・ソウザ(Ricardo Sousa)さんがスペインの新聞「エル・エコノミスタ紙」とのインタビューで言及している通り、若いミレニアル世代とZ世代(1996年から2012年の間に生まれた世代)の84%が、いつか家を買うことを計画しているといいます。
今日におけるミレニアルスタイルとは?
インダストリアルでヴィンテージ風の室内装飾、パステルカラー、週末マーケットで見つけた一点もの、そして手頃な価格の家具が置かれたミレニアル世代の住まい。だとすれば、そのスタイルは折衷的と呼ぶべきものでしょうか?あるいはレトロ、またはインダストリアルで都市的なスタイル?
ミレニアル世代のスタイルをひとことでどのように定義するかは、まだ明らかになっていません。なぜならそのスタイルは、これらすべてが混ざり合ったものであるからです。いくつかのアプローチを組み合わせることができるのに、たったひとつのアプローチに絞る必要はないですよね?
インダストリアルでヴィンテージ風の室内装飾、パステルカラー、週末マーケットで見つけた一点もの、そして手頃な価格の家具が置かれたミレニアル世代の住まい。だとすれば、そのスタイルは折衷的と呼ぶべきものでしょうか?あるいはレトロ、またはインダストリアルで都市的なスタイル?
ミレニアル世代のスタイルをひとことでどのように定義するかは、まだ明らかになっていません。なぜならそのスタイルは、これらすべてが混ざり合ったものであるからです。いくつかのアプローチを組み合わせることができるのに、たったひとつのアプローチに絞る必要はないですよね?
それが見てとれるのが、マドリードの街路を行き交うミレニアル世代にインスピレーションを得てデザインしたという、2021年のカサ・デコールでガルフィさんが展示したダイニングルームです。「ヴィンテージの要素をちりばめています。再利用することが、買うことよりもファッショナブルになりつつあるのです」と彼女は言います。
ガルフィさんは、柔軟性が高く、多機能なスペースも提案しました。オーストラリアの都市部だけでなく世界中で、狭い集合住宅に住む若い人たちは、仕事のため、団らんのため、そしてリラックスするためのスペースのいずれにも機能するような部屋を必要としています。
ガルフィさんは、柔軟性が高く、多機能なスペースも提案しました。オーストラリアの都市部だけでなく世界中で、狭い集合住宅に住む若い人たちは、仕事のため、団らんのため、そしてリラックスするためのスペースのいずれにも機能するような部屋を必要としています。
この写真は、ミレニアル世代のインテリアデザイナー、フロール・デ・リスB.ルイーズ(Flor de Lis B. Ruíz)さんが住むマドリードのアパートです。彼女は自身の住まいを「明らかに折衷的」であると定義します。
パステルの色合いやソフトな形状、天然素材などからインスピレーションを得ているという彼女の楽しみは、週末に蚤の市を巡ることだそう。特に、50年代の家具が好みだといいます。
ヴィンテージアイテムをインテリアに生かす
パステルの色合いやソフトな形状、天然素材などからインスピレーションを得ているという彼女の楽しみは、週末に蚤の市を巡ることだそう。特に、50年代の家具が好みだといいます。
ヴィンテージアイテムをインテリアに生かす
「私のクライアントはみなさん、私が中古品を捨てることなく、生まれ変わらせて、残すことができるのを知っています」とブリオンさんは話します。「スペインでは古いものを捨て、すべて新しいものを買う、という文化が長らく続いてきました。しかし、それが大きく変わり始めています。2022年には、持ち続けるということが主要なトレンドとなっていくでしょう」
クライアントの大半を占めるミレニアル世代からの依頼が多く、とても忙しいというブリオンさん。彼女のプロジェクト(写真)で注目すべきは、木製のしっかりとしたアイテムを主役に持ってきて、明るく軽やかな壁紙とバランスを取る点でしょう。またグリーンや、くすんだブルー、ピンクといった有彩色の使い方も、この世代から支持される理由といえるでしょう。
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