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のびやかな家族の暮らしを育む、里山を眺める自然素材の家
土壁と国産材を使った木組みの家は、住む人の健康にも地域の環境にも優しい住まいです。
Miki Anzai
2021年11月7日
愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウン。その広大な敷地の東端、里山を見渡せる丘に建つ、木と土に囲まれた家です。食品もオーガニックにこだわるオーナーご夫妻が建てた、体に優しい住まいです。
設計は、地元で「木の家」を専門に設計している一級建築士事務所丹羽明人アトリエの丹羽明人さんです。「気さくなお人柄なので、安心して土地探しからお任せしました」というご夫妻。本格的に設計が始まる前には、丹羽さんが手がけた家をいくつか見学し、その建物の素晴らしさと住まい手の方々の温厚さに、いつも感銘を受けていたそうです。
家づくりがスタートしてからは、丹羽さんと一緒に家族で木の産地の山に出かけて、柱や梁に使われる木を選んだり、上棟式の儀式の一環として屋根の上から「餅撒き」をしたり、お子さんたちと一緒に床に使う杉板に亜麻仁油を塗ったりと、みんなで家づくりに参加できたことも大切な思い出になりました。
設計は、地元で「木の家」を専門に設計している一級建築士事務所丹羽明人アトリエの丹羽明人さんです。「気さくなお人柄なので、安心して土地探しからお任せしました」というご夫妻。本格的に設計が始まる前には、丹羽さんが手がけた家をいくつか見学し、その建物の素晴らしさと住まい手の方々の温厚さに、いつも感銘を受けていたそうです。
家づくりがスタートしてからは、丹羽さんと一緒に家族で木の産地の山に出かけて、柱や梁に使われる木を選んだり、上棟式の儀式の一環として屋根の上から「餅撒き」をしたり、お子さんたちと一緒に床に使う杉板に亜麻仁油を塗ったりと、みんなで家づくりに参加できたことも大切な思い出になりました。
どんなHouzz?
所在地:愛知県春日井市
住まい手:ご夫婦と3人の娘さん(9歳、6歳、2歳)
敷地面積:338.09㎡
延床面積:115.29㎡
構造:木造2階建て
設計:一級建築士事務所 丹羽明人アトリエ
施工:有限会社カワイ建築
竣工時期:2019年
ご長女の小学校入学を控え、手狭になった市内のアパートではなく、自然あふれる場所で子育てをしたいという想いで建てた家です。入居後には家族が増えて、現在は親子5人、自然素材に囲まれて、快適で健康的な暮らしを送っています。
所在地:愛知県春日井市
住まい手:ご夫婦と3人の娘さん(9歳、6歳、2歳)
敷地面積:338.09㎡
延床面積:115.29㎡
構造:木造2階建て
設計:一級建築士事務所 丹羽明人アトリエ
施工:有限会社カワイ建築
竣工時期:2019年
ご長女の小学校入学を控え、手狭になった市内のアパートではなく、自然あふれる場所で子育てをしたいという想いで建てた家です。入居後には家族が増えて、現在は親子5人、自然素材に囲まれて、快適で健康的な暮らしを送っています。
正面から見ると平屋建てのように見えますが、穏やかに延びる大屋根の高い部分にロフトのような部屋を組み込んだ2階建てです。大きくせり出した軒を支える丸太柱は、ご家族が岐阜県の八百津の山で選んだ桧(ヒノキ)です。伐採する前に、きちんと御神酒と塩でお清めもしました。自然乾燥させた桧は、いまでもよい薫りを放っています。
「外壁は表面を焼いて炭化させた焼杉板です。年数が経つごとに色と表情が変わる経年変化も楽しめますし、何年か毎に塗装をし直す必要もなく、メンテナンスの出費の心配もありません」(丹羽さん)。
「外壁は表面を焼いて炭化させた焼杉板です。年数が経つごとに色と表情が変わる経年変化も楽しめますし、何年か毎に塗装をし直す必要もなく、メンテナンスの出費の心配もありません」(丹羽さん)。
玄関先の土間部分は、「砂利洗いだし」という左官工法で仕上げました。砂利は、いろいろな色がある自然石の中から、ご主人が好みのものを選びました。
「洗い出し仕上げは、自然な風合いが魅力ですが、丈夫ですし、お掃除も楽。滑りにくいというメリットもあります」(丹羽さん)。
「洗い出し仕上げは、自然な風合いが魅力ですが、丈夫ですし、お掃除も楽。滑りにくいというメリットもあります」(丹羽さん)。
開放的な吹抜けリビング。その奥に続くダイニングとスタディスペースは、あえて天井を低めにして、”おこもり感”のある空間に。ゆったりとしたリビングとこじんまりとしたダイニングのメリハリをつけています。
念願だった薪ストーブは、冬に大活躍しています。実はご主人、丹羽アトリエ主催の薪割りイベントに参加してコツを習っていたそうです。しかし、親切なご近所さんが、「どうぞ使ってください」と薪を分けてくださるので、いまだに薪割りの腕前を発揮する機会が無いとのこと。
「階段下は、あえて開放的なスペースを残してもらいました。玩具を置くのにとても便利です」(ご主人)。
念願だった薪ストーブは、冬に大活躍しています。実はご主人、丹羽アトリエ主催の薪割りイベントに参加してコツを習っていたそうです。しかし、親切なご近所さんが、「どうぞ使ってください」と薪を分けてくださるので、いまだに薪割りの腕前を発揮する機会が無いとのこと。
「階段下は、あえて開放的なスペースを残してもらいました。玩具を置くのにとても便利です」(ご主人)。
太陽が昇る東側の窓からは、眼前に広がる里山の四季折々の景色を愉しめます。
ダイニングの机と椅子は、家具工房を併設する丹羽さんのアトリエ製です。造作家具の全ては、内装に合わせてデザイン、制作しています。窓際の木製時計もオリジナル作品です。
丹羽さんは子どもの頃、家具職人だったお父様の木工場が遊び場でした。それが、木の家を設計する建築士に繋がったこともあり、「お子さんたちには楽しい体験になって欲しいと、自分の家づくりに参加してもらった」そうです。
丹羽さんは子どもの頃、家具職人だったお父様の木工場が遊び場でした。それが、木の家を設計する建築士に繋がったこともあり、「お子さんたちには楽しい体験になって欲しいと、自分の家づくりに参加してもらった」そうです。
木の真珠とも言われるメープルで造った流し台と吊り棚。すっきりとした統一感があります。カウンターの高さは、身長の高いご主人に合わせ、通常より2cm高い87cmで造っています。育休を終えて、職場復帰した奥様を支えるため、現在は主にご主人がお料理をされているとのこと。
お気に入りの鉄のフライパンを吊す位置や食器棚の高さなど、丹羽さんが描いてくれたスケッチを見ながら使い勝手をじっくり考えて、レイアウトを決めました。
シンク下にはゴミ箱を置けるスペースが。キッチンを広く使え、調理中にすぐにゴミを捨てられてとても使い勝手が良いそうです。
お気に入りの鉄のフライパンを吊す位置や食器棚の高さなど、丹羽さんが描いてくれたスケッチを見ながら使い勝手をじっくり考えて、レイアウトを決めました。
シンク下にはゴミ箱を置けるスペースが。キッチンを広く使え、調理中にすぐにゴミを捨てられてとても使い勝手が良いそうです。
引き出しの取手は、経年変化を味わえる真鍮製です。シンク下のタオル掛けも同材で統一しました。
玄関からパントリー経由でキッチンに抜ける副導線は、「あえて廊下をつくらず、家の中を回遊できる設計を心がけている」丹羽さんのアイディアです。パントリーを抜けて洗面室・脱衣所・浴室へのショートカットにもなっています。
三人のお嬢さんたちは、元気よくリビングとの間をグルグルと走り回って、よく遊んでいるのだとか。
三人のお嬢さんたちは、元気よくリビングとの間をグルグルと走り回って、よく遊んでいるのだとか。
洗面と脱衣所はあえて仕切って別々に使用できるようにしました。いずれお年頃になった娘さんが着替え中でも、パパは遠慮せずに歯磨きや洗面ができます。
湯船につかりながら、窓から里山の上に浮かぶ月を眺められる、とても贅沢な浴室です。
壁と天井は、杉の板張り仕上げです。「杉板は水に強い赤身のものを使っています。また対角線上に二つの窓を設けてありますから、入浴が終わって窓を開けておけば、すんなり換気ができて湿気がこもりません。なので板壁にカビが生える心配も無いんです」(丹羽さん)
壁と天井は、杉の板張り仕上げです。「杉板は水に強い赤身のものを使っています。また対角線上に二つの窓を設けてありますから、入浴が終わって窓を開けておけば、すんなり換気ができて湿気がこもりません。なので板壁にカビが生える心配も無いんです」(丹羽さん)
1階の和室は、寝室としても利用されています。ワラ床の畳、調湿性に優れた土壁、綺麗な木目の天井、和紙の障子が織りなす空間が、上質な睡眠へと誘ってくれます。お布団の上げ下げで土壁を傷つけないように、腰壁には板が貼られています。隣のリビングとの境の襖を開ければ、大リビングにもなります。
「一階に主寝室を設けた理由は、ご夫妻が老後も一階だけで快適に暮らせるようにとの考えからです」(丹羽さん)。
「一階に主寝室を設けた理由は、ご夫妻が老後も一階だけで快適に暮らせるようにとの考えからです」(丹羽さん)。
濡れ縁の上には、物干し竿を吊せるステンレスのフックをつけました。
丹羽さんが手がける家では、こうした金具類を、それぞれの家庭ごとに、一番使いやすい形状で制作しています。オリジナル製品ですが、金物職人さんに直接発注して造ってもらっているので、既製品より安くて良いものができるので、住まい手さんにとっては大きな魅力です。
丹羽さんが手がける家では、こうした金具類を、それぞれの家庭ごとに、一番使いやすい形状で制作しています。オリジナル製品ですが、金物職人さんに直接発注して造ってもらっているので、既製品より安くて良いものができるので、住まい手さんにとっては大きな魅力です。
ダイニングの脇には、お子さんたちが勉強できるスタディースペースを設けました。里山の景色が目に飛び込んでくる、心地のよい空間です。コロナ禍の現在、ご主人がテレワークの場所として使うこともあるそうです。
丹羽さんは、子どもの頃の自分の部屋が、リビングから離れていたので、寂しい感じがしてあまり好きでは無かったと言います。そうした経験から、「なるべくご家族が同じ場所を共有して暮らせるスタイルが、温かくて楽しげで良いのでは?!」(丹羽さん)と、このような空間を提案したそうです。
丹羽さんは、子どもの頃の自分の部屋が、リビングから離れていたので、寂しい感じがしてあまり好きでは無かったと言います。そうした経験から、「なるべくご家族が同じ場所を共有して暮らせるスタイルが、温かくて楽しげで良いのでは?!」(丹羽さん)と、このような空間を提案したそうです。
国産の無垢の木や土、有機畳など、健康に害を与えない天然素材でつくった家は、住む人の健康や地域の環境にも優しい住まいです。
食生活にも人一倍気をつけながら子育てをされているご夫妻にとって、まさに理想の家ができあがりました。
食生活にも人一倍気をつけながら子育てをされているご夫妻にとって、まさに理想の家ができあがりました。
リゾート気分ではしゃぐお子さんたち。
なにを隠そう、娘さんたちの、丹羽さんに対する信頼は絶大です。「地震が来ても『丹羽さんが建ててくれたおうちだから大丈夫だよ』と言うと、みんな安心するんです」(ご主人)。
木や土のぬくもりに包まれたこの家で、ご家族が仲良く、のびのびと暮らしておられます。
なにを隠そう、娘さんたちの、丹羽さんに対する信頼は絶大です。「地震が来ても『丹羽さんが建ててくれたおうちだから大丈夫だよ』と言うと、みんな安心するんです」(ご主人)。
木や土のぬくもりに包まれたこの家で、ご家族が仲良く、のびのびと暮らしておられます。
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