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家族の暮らしにフィットする、ゆるやかなつながりが心地よい住まい
白いキャンバスのような空間に“家具”を置くと、家族の生活が書き込まれていく。クリエイティブな夫妻にふさわしい洗練されたデザインの住宅です。
杉田真理子
2021年9月21日
以前はマンションをリノベーションして暮らしていた、クリエイティブディレクターのご主人とグラフィックデザイナーの奥さま。快適であったものの、間取りに限界を感じていた、といいます。
「住みやすくはありましたが、それ以上にはならないなと。どんなに模様替えをしても、箱としての空間に依存してしまうな、と思いました」と話すのは、ご主人の中村圭介さん。他の中古マンションや、マンションのスケルトンリノベも検討しましたが、新築での家づくりに踏み切りました。
「住みやすくはありましたが、それ以上にはならないなと。どんなに模様替えをしても、箱としての空間に依存してしまうな、と思いました」と話すのは、ご主人の中村圭介さん。他の中古マンションや、マンションのスケルトンリノベも検討しましたが、新築での家づくりに踏み切りました。
どんなHouzz?
所在地:神奈川県横浜市青葉区
住まい手:ご夫婦とお子さま1人
敷地面積:118.41㎡
建築面積:45.74㎡
延床面積:87.76㎡
構造:木造2階
設計:佐々木達郎建築設計事務所
施工:株式会社秀
竣工時期:2019年3月
佐々木達郎建築設計事務所の建築家・佐々木さんとの出会いは、故郷が一緒だったことがきっかけだったそうです。建築家に仕事を頼むのはハードルが高いイメージがあったという中村さんですが、同郷ということで安心したそうです。「HPを見たり、事務所に遊びに行かせてもらったりする中で、この人となら満足できる家づくりができるな、と思いました」
土地探しから佐々木さんに一緒に入ってもらい、複数のロケーションを吟味しました。「自分たちが良いと思った土地でも、工事のしやすさや光の入り方など、プロの視点で意見をもらえたので参考になりました」と中村さんは当時を振り返ります。結果、希望よりも小さかったものの、駅からも近く、職場へも乗り換えなしでいける、公園前の土地を見つけました。
「田舎出身なので、どうしても景色に抜けが欲しくて。都内にはどうしてもない条件ですよね。狭いけれど、公園の前で駅の近くということで、ここにしました」
所在地:神奈川県横浜市青葉区
住まい手:ご夫婦とお子さま1人
敷地面積:118.41㎡
建築面積:45.74㎡
延床面積:87.76㎡
構造:木造2階
設計:佐々木達郎建築設計事務所
施工:株式会社秀
竣工時期:2019年3月
佐々木達郎建築設計事務所の建築家・佐々木さんとの出会いは、故郷が一緒だったことがきっかけだったそうです。建築家に仕事を頼むのはハードルが高いイメージがあったという中村さんですが、同郷ということで安心したそうです。「HPを見たり、事務所に遊びに行かせてもらったりする中で、この人となら満足できる家づくりができるな、と思いました」
土地探しから佐々木さんに一緒に入ってもらい、複数のロケーションを吟味しました。「自分たちが良いと思った土地でも、工事のしやすさや光の入り方など、プロの視点で意見をもらえたので参考になりました」と中村さんは当時を振り返ります。結果、希望よりも小さかったものの、駅からも近く、職場へも乗り換えなしでいける、公園前の土地を見つけました。
「田舎出身なので、どうしても景色に抜けが欲しくて。都内にはどうしてもない条件ですよね。狭いけれど、公園の前で駅の近くということで、ここにしました」
奥さまの奈保子さんは、お子さんが小さいうちは在宅で仕事をすることが決まっていました。そのため、家でも仕事がしやすいことは外せない条件でした。また、食事、洗濯、仕事場など、それぞれの行為を機能的に行いたいという希望もありました。
「中村さんご夫婦のライフスタイルは、いわゆる普通の核家族と違いますし、生活に必要なものの優勢順位も違います。なのに、それにあう箱がないのが課題でした。だからこそ、機能的で、彼らの『生活にフィットする家』を作りたいなと思ったんです」と佐々木さん。白い箱としての建築がキャンバスのようなイメージで、そこに家族の生活と出来事を絵として書き入れていくイメージで作りました。
プランが確定するまでは、何度も模型を見比べながら納得がいくまで話し合いを重ねたと言います。「佐々木さんは、こっちが『もう大丈夫ですよ!』と心配になるほど熱心に、何度も模型を作ってくれて。コンセプトや考え方に合わせて毎回ガラリと作り替えてくるから、色んなパターンを検証することができましたし、納得しました」
Houzzで日本の建築家を探す
「中村さんご夫婦のライフスタイルは、いわゆる普通の核家族と違いますし、生活に必要なものの優勢順位も違います。なのに、それにあう箱がないのが課題でした。だからこそ、機能的で、彼らの『生活にフィットする家』を作りたいなと思ったんです」と佐々木さん。白い箱としての建築がキャンバスのようなイメージで、そこに家族の生活と出来事を絵として書き入れていくイメージで作りました。
プランが確定するまでは、何度も模型を見比べながら納得がいくまで話し合いを重ねたと言います。「佐々木さんは、こっちが『もう大丈夫ですよ!』と心配になるほど熱心に、何度も模型を作ってくれて。コンセプトや考え方に合わせて毎回ガラリと作り替えてくるから、色んなパターンを検証することができましたし、納得しました」
Houzzで日本の建築家を探す
玄関を入ると、まず廊下があります。右手に、2階に上がる階段、左手にトイレ、正面に寝室と洗面室が位置しています。
廊下の床はモルタルです。玄関には段差をつけず、洗面所に繋がるまでシームレスにすることで、無駄なものが削ぎ落とされた広々とした印象が生まれました。
廊下の床はモルタルです。玄関には段差をつけず、洗面所に繋がるまでシームレスにすることで、無駄なものが削ぎ落とされた広々とした印象が生まれました。
奥さまがタイルやアイテム選びを担当したという洗面所。すっきりとした白のタイルとモルタルの床、合板の洗面台の組み合わせが、海外のホテルのような雰囲気です。
洗面所は、ランドリースペースとひと続きになっています。
寝室は、クローゼットと洗面所・ランドリースペースと隣り合っており、服を脱ぐ、洗濯物をする、干すという作業が近い場所で完結するようになっています。
2階に上がると、白いリビング空間と、ダイニングキッチンがあります。
「白いキャンバスを土台に、その中で人が行動するきっかけをどう作るかを考えました」と佐々木さん。「『行為を生み出す家具』というコンセプトで、なんらかの行為が行われる場所は全て、木材で作っています。例えば、家に帰ってきて靴を脱ぐ、2階に上がって腰掛ける、ロフトに登るなど、家で行われる行為のきっかけを、オブジェクトである家具が作ってくれるイメージです」
「白いキャンバスを土台に、その中で人が行動するきっかけをどう作るかを考えました」と佐々木さん。「『行為を生み出す家具』というコンセプトで、なんらかの行為が行われる場所は全て、木材で作っています。例えば、家に帰ってきて靴を脱ぐ、2階に上がって腰掛ける、ロフトに登るなど、家で行われる行為のきっかけを、オブジェクトである家具が作ってくれるイメージです」
オークのフローリングが白い壁とマッチし、バランスの取れた温かみをプラスしています。
ベランダに面した窓際のベンチチートの下は収納スペース。ここに子供のおもちゃなどをすっきりしまうことができます。
ベランダに面した窓際のベンチチートの下は収納スペース。ここに子供のおもちゃなどをすっきりしまうことができます。
傾斜が続く丘の上に立地しているため、目の前の公園を2階のリビングから見下ろせます。
「抜けを大切にしたいということだったので、リビングは2階に設け、公園や青葉台の景色がすっと抜けていくように設計しました」と佐々木さん。天井は高く扇型にとり、広々とした雰囲気を演出しました。
「抜けを大切にしたいということだったので、リビングは2階に設け、公園や青葉台の景色がすっと抜けていくように設計しました」と佐々木さん。天井は高く扇型にとり、広々とした雰囲気を演出しました。
リビングに並行する配置で設けられたワークスペース。2か所から出入りできるようになっており、ぐるりと回れる導線が魅力です。扉で締め切らないようになっているため、仕事をしていてもリビングで遊ぶ子供の様子が分かるワンルームになっています。
「デスクは横幅を広くし、子供が成長したらここで宿題もできるようにしています。私も最近はコロナの影響でリモートワークが多いので、このスペースは大活躍です」と中村さん。
「デスクは横幅を広くし、子供が成長したらここで宿題もできるようにしています。私も最近はコロナの影響でリモートワークが多いので、このスペースは大活躍です」と中村さん。
ロフトは子供がおもちゃをおいて遊んだり、テレビを置いたりなど、自由な使い方をしています。「特にここで何をしたい、という目的や用途があったわけではないのですが、こういう余白、ちょっとした遊びが欲しいなと思いました」と中村さんは話します。
リビングにソファを置かず、限られた空間のなかでいかに気持ちよく過ごせるかを大切にしました。「家の中心にテレビを置いてソファでくつろぐ、という時間の過ごし方はしない家族なので、それは最初から佐々木さんに伝えていましたね」
キッチンからは、料理をしながらでも窓の景色を楽しめます。
「ステンレスのキッチンアイランドは、建築の一部のようなイメージで作っています」と佐々木さん。壁面にある合板の造作収納は奥まで伸びていて、大容量の収納が可能です。冷蔵庫やパントリーは奥に配置されており、リビングからは見えません。
「ステンレスのキッチンアイランドは、建築の一部のようなイメージで作っています」と佐々木さん。壁面にある合板の造作収納は奥まで伸びていて、大容量の収納が可能です。冷蔵庫やパントリーは奥に配置されており、リビングからは見えません。
外観は、四角い抽象的な箱のようなシルエットが印象的です。
「人が暮らす場所を大切にしたい」という想いで住宅設計をしているという佐々木さん。
「場所との対話、その土地が持っている文脈、住まい手のストーリー。それら全てが対話をし、関係性を構築しあえるような住まいづくりをしたいと思います」
Houzzツアー (お宅紹介) の記事をもっと読む
「人が暮らす場所を大切にしたい」という想いで住宅設計をしているという佐々木さん。
「場所との対話、その土地が持っている文脈、住まい手のストーリー。それら全てが対話をし、関係性を構築しあえるような住まいづくりをしたいと思います」
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