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三世代が集う、北海の島に建つ、北欧テイストの家
北欧の雰囲気とインダストリアルな魅力を併せもつこの田舎風の住まいは、広々としていて誰もが快適に過ごせる隠れ家です。
Josefine Andrae
2021年12月11日
住まい手の夫婦は、ドイツ北部の北海に浮かぶフェール島に新たに購入した住居を、家族全員が集える場所にしたいと考えていました。子どもや孫たちは別の場所に住んでいるものの、よく遊びに訪れるため、ビーチまで150mという好立地のこの住まいは、今では家族団らんの場となっています。
写真:Nina Struve
どんなHouzz?
住まい手:祖父母、子ども、孫たち
面積:116平方メートル
所在地:フェール島ヴィーク(ドイツ)
設計:Grotheer Architecture
アイデア:みんなのための住まい
ヴィーク村の中心部にあるこの家を購入するにあたり、家族全員が集まれる場所を作りたいと考えたオーナー夫婦。1889年に建てられたこの家は、以前はレストランとして使われており、購入時はあまり良い状態ではなかったと、建築家のスヴェン・グローテアは話します。「表面だけがわずかに改修されている程度で、この家は数十年もの間ほとんど手を加えられていませんでした」
どんなHouzz?
住まい手:祖父母、子ども、孫たち
面積:116平方メートル
所在地:フェール島ヴィーク(ドイツ)
設計:Grotheer Architecture
アイデア:みんなのための住まい
ヴィーク村の中心部にあるこの家を購入するにあたり、家族全員が集まれる場所を作りたいと考えたオーナー夫婦。1889年に建てられたこの家は、以前はレストランとして使われており、購入時はあまり良い状態ではなかったと、建築家のスヴェン・グローテアは話します。「表面だけがわずかに改修されている程度で、この家は数十年もの間ほとんど手を加えられていませんでした」
家の間取りも最適な形に直す必要がありました。2階の部屋は、かつてレストランの従業員が住んでいたため、屋外の階段からしか出入りすることができなかったのです。そのため、家族が快適に過ごせる住まいを手に入れるまでの道のりには、多くの作業が待ち構えていました。
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1階の間取り図。左上から時計回りに:トイレ、ボイラー室、キッチン、ダイニングルーム、リビングルーム。
施工:古い建物に新しい風を吹き込む
1階の壁を取り壊して、広々とした空間に。スチール製の側桁と木製の踏板を用いた階段は、1階と2階をつないでいます。
施工:古い建物に新しい風を吹き込む
1階の壁を取り壊して、広々とした空間に。スチール製の側桁と木製の踏板を用いた階段は、1階と2階をつないでいます。
2階の間取り図。左上から時計回りに:バスルーム、廊下、寝室、バスルーム、寝室、寝室。
屋根裏部屋を仕切っていた古い乾式壁も取り払うことで、3つの寝室と2つのバスルームのスペースが生まれました。この新しい間取りでは7人が宿泊できます。
屋根裏部屋を仕切っていた古い乾式壁も取り払うことで、3つの寝室と2つのバスルームのスペースが生まれました。この新しい間取りでは7人が宿泊できます。
70年代に取り付けられた配線を更新し、屋根には断熱材を施し、外壁を“ケイ酸カルシウム板”で覆うことで、室内温度の快適性を向上させました。また、この家は地域暖房に接続されています。
リノベーション工事前の屋根裏部屋
1階の下には部分的に貯蔵室があるため、1階は乱平面になっています。
木造梁の天井など、もともとの建物の構造や特徴を残して改装したものもあります。「以前はこれらの特徴が隠されていました」とグローテア。「その後、私たちは暖房用のモルタル仕上げ材やエンジニアード・ウッドを用いた新しい天井を作りました」
古い横梁は、ところどころスチール製の支持材で補強されています。「元の建物の梁を残して、その隣に新しいものを取り付けた方がいいと考えました」
木造梁の天井など、もともとの建物の構造や特徴を残して改装したものもあります。「以前はこれらの特徴が隠されていました」とグローテア。「その後、私たちは暖房用のモルタル仕上げ材やエンジニアード・ウッドを用いた新しい天井を作りました」
古い横梁は、ところどころスチール製の支持材で補強されています。「元の建物の梁を残して、その隣に新しいものを取り付けた方がいいと考えました」
グローテアは「窓の開口部はそのままにしました」と話しますが、プラスチック製の窓枠は木製のものに取り換えました。これにより、かつて塗装されていたグリーンの色合いに戻すことができたのです。「さらに、昔の写真から見つけた元のドアのデザインも再現しました」
窓枠の写真をもっと見る
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グローテアたちは、かつてこの建物に使われていたものと同じような色合いのグリーンを、インテリア全体に取り入れました。
ベッドルームの壁はシッケンズ社の『J3.14.63』で塗り、窓、階段、本棚のグレーグリーン色には『L0.05.55』を使用しました。
ベッドルームの壁はシッケンズ社の『J3.14.63』で塗り、窓、階段、本棚のグレーグリーン色には『L0.05.55』を使用しました。
素材:長持ちで耐摩耗性に優れたマテリアル
住まい手のリクエストは、すべての世代に愛される、シンプルな素材を内装にすることでした。「さらに、素材には耐摩耗性も求められました」とグローテア。「お孫さんたちがパーティーを開いたときにも、表面が傷む心配が無いようにする必要がありました」
住まい手のリクエストは、すべての世代に愛される、シンプルな素材を内装にすることでした。「さらに、素材には耐摩耗性も求められました」とグローテア。「お孫さんたちがパーティーを開いたときにも、表面が傷む心配が無いようにする必要がありました」
また、モルタル仕上げにはインダストリアルな魅力も。グローテアは次のように語ります。「建物の歴史に寄り添った素材の使用を意識した結果、金属を用いたインテリアデザインなどが生まれました」
バスルームの塗装仕上げには、Volimea社というメーカーの『Futado』が使われました。『Futado』はセメント・石灰複合系とロジン系の仕上げ材で、水まわりに適しています。
「タイルと比較した場合、この仕上げは表面に継ぎ目がなく、その下にきれいにシーリングを施すことができます」とグローテア。「軽やかなベルベットのような質感の表面に加え、この仕上げ材にはほかの製品よりも高い耐久性があり、おまけに滑り止め効果もあるんです」
「タイルと比較した場合、この仕上げは表面に継ぎ目がなく、その下にきれいにシーリングを施すことができます」とグローテア。「軽やかなベルベットのような質感の表面に加え、この仕上げ材にはほかの製品よりも高い耐久性があり、おまけに滑り止め効果もあるんです」
開放的なリビングルームに置かれているダイニングテーブルは、大工職人に特注したもので、インテリア全体で用いられているグリーンの色合いに塗装されています。
内装:開放的で快適なインテリア
グローテアは、この家のインテリアデザインについて、建物がもともと持つ素朴さ、そして北欧デザインとインダストリアルな雰囲気を融合させたものだと説明します。「作業場のインダストリアルな雰囲気を取り入れたいと思い、工業用の棚のような本棚を選びました」
備え付け家具は、極限まで簡素で控えめになるようにデザインされています。「備え付け家具が背景に溶け込むようにして、部屋の広さを強調しました」
内装:開放的で快適なインテリア
グローテアは、この家のインテリアデザインについて、建物がもともと持つ素朴さ、そして北欧デザインとインダストリアルな雰囲気を融合させたものだと説明します。「作業場のインダストリアルな雰囲気を取り入れたいと思い、工業用の棚のような本棚を選びました」
備え付け家具は、極限まで簡素で控えめになるようにデザインされています。「備え付け家具が背景に溶け込むようにして、部屋の広さを強調しました」
そのため、グローテアたちは本棚にオープンシェルフを選び、視覚的に空間を阻まない工夫をしました。中身が見えない収納ユニットもあり、「季節の飾りや置物を収納することができます」とグローテアは話します。
マルセル・ブロイヤーのワシリーチェアは家族が所有していたもの。
家に置かれている家具の大半は、住まい手がもともと所有していたものです。「彼らはフランスの古い別荘を取り壊し、その別荘から家具や芸術作品を持ってきました」とグローテア。「私たちが設計した家が、住まい手の所有品でいっぱいになっていくのを見て興奮しました」
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家に置かれている家具の大半は、住まい手がもともと所有していたものです。「彼らはフランスの古い別荘を取り壊し、その別荘から家具や芸術作品を持ってきました」とグローテア。「私たちが設計した家が、住まい手の所有品でいっぱいになっていくのを見て興奮しました」
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