コメント
純和風の住宅が大変身。北欧テイストの木造戸建てリノベーション
重厚な日本家屋が、白を基調としたフィンランドを感じさせる居場所に。暮らしを楽しむ家族のための住まいです。
田中祥子
2021年8月30日
理想の土地を探していた30代のご夫婦が偶然出会ったのは、築25年の趣味性の高い日本家屋。インテリアのテイストは全く好みとは違うものでしたが、建物の持つポテンシャルを感じて、北欧ブランドの店舗などを手掛けてきた設計事務所imaにリノベーションを依頼しました。
どんなHouzz?
所在地:神奈川県中郡大磯町
住まい手:ご夫妻と子供2人
建築面積:117.62㎡
延床面積:117.62㎡
設計:設計事務所ima
竣工時期:2021年1月
どんなHouzz?
所在地:神奈川県中郡大磯町
住まい手:ご夫妻と子供2人
建築面積:117.62㎡
延床面積:117.62㎡
設計:設計事務所ima
竣工時期:2021年1月
クリエイティブ関係のお仕事をしているご主人と、フィンランド在住経験のある奥さま。北欧のような丁寧で豊かな暮らしをしようと、6年前、海も山も望める自然豊かな大磯町に移住しました。
この町で、いつか「焚火ができて星が見える家に住みたい」という夢を抱いていたご主人。時折、趣味のように不動産情報を見ていましたが、ある時、奥さまから1枚のチラシを手渡されました。
「近所の電柱に貼ってあったチラシで、地元の物件情報が載っていました。囲炉裏のある日本家屋だったのですが、興味本位で見学してみたくて、その日のうちに不動産屋さんに電話をしました」(ご主人)
この町で、いつか「焚火ができて星が見える家に住みたい」という夢を抱いていたご主人。時折、趣味のように不動産情報を見ていましたが、ある時、奥さまから1枚のチラシを手渡されました。
「近所の電柱に貼ってあったチラシで、地元の物件情報が載っていました。囲炉裏のある日本家屋だったのですが、興味本位で見学してみたくて、その日のうちに不動産屋さんに電話をしました」(ご主人)
旅館をイメージして建てられたという立派な佇まいの家には、純和風の重厚な玄関や岩風呂がありました。
最初は冷やかし半分で見学していたご主人でしたが、見ているうちに建物自体の良さを感じるように。そして「このアクの強い物件を、北欧ブランドの内装を手掛けている設計事務所imaさんにリノベーションしてもらえたら、またとない家になるのではないか」と思ったのだそうです。
Houzzで日本の建築家を探す
最初は冷やかし半分で見学していたご主人でしたが、見ているうちに建物自体の良さを感じるように。そして「このアクの強い物件を、北欧ブランドの内装を手掛けている設計事務所imaさんにリノベーションしてもらえたら、またとない家になるのではないか」と思ったのだそうです。
Houzzで日本の建築家を探す
ご主人は早速、家族ぐるみで親交があった設計事務所imaの小林恭さん・マナさん夫妻に連絡を取りました。相談の際には、現状写真やイメージをまとめた企画書も持参しました。
企画書を見た恭さんは「ご主人が仕事で企画書をまとめることが多いのは知っていましたが、自宅の設計を依頼するときにも整理して持ってきていただけたのには感心しました」と話します。
「企画書を見せていただいて、その場でご依頼を承諾しました」とマナさん。「でも正直を言いますと、最初はかなり悩んでいました。元の内装が強烈過ぎて、なかなかイメージを作り出すのが難しかったんですね」
企画書を見た恭さんは「ご主人が仕事で企画書をまとめることが多いのは知っていましたが、自宅の設計を依頼するときにも整理して持ってきていただけたのには感心しました」と話します。
「企画書を見せていただいて、その場でご依頼を承諾しました」とマナさん。「でも正直を言いますと、最初はかなり悩んでいました。元の内装が強烈過ぎて、なかなかイメージを作り出すのが難しかったんですね」
「和の空間に北欧のファブリックを飾ることを考えましたが、柱と梁が濃い色のままでは重い空間になり過ぎてしまいます。そこで、重さを消すために白く塗ることを思いついたところから、設計が進み始めました」と、マナさんは振り返ります。
ファーストプレゼンテーションとして、玄関ホールとリビングのスケッチの2枚を提示。その後、サウナや薪ストーブなどの検討を経て、解体を含めた工事が始まりました。施工は、後々の家のメンテナンスがあることも考えて、地元の工務店に依頼しました。
ファーストプレゼンテーションとして、玄関ホールとリビングのスケッチの2枚を提示。その後、サウナや薪ストーブなどの検討を経て、解体を含めた工事が始まりました。施工は、後々の家のメンテナンスがあることも考えて、地元の工務店に依頼しました。
以前は黒い大理石が貼ってあった玄関ホール。今は青のカーペットを敷いた洋室に変身し、さまざまな用途に使えるスペースとなりました。「ロビーのような外と内とをつなげる縁側のような役目の部屋です。用途のあいまいさは、空間の豊かさにつながります」という恭さん。
ご主人は「家具のレイアウトを変えながら使い方を模索しています。子どもとカルタをすることもあれば、お客さんが来た時にお茶を飲むこともありますね。決まり切っていないところに、面白さがあると思います」と話します。
ご主人は「家具のレイアウトを変えながら使い方を模索しています。子どもとカルタをすることもあれば、お客さんが来た時にお茶を飲むこともありますね。決まり切っていないところに、面白さがあると思います」と話します。
和室にあった囲炉裏は残すことにしましたが、床と同じレベルのままでは食事がしにくいのが難点でした。解決策として、造作で丸いテーブルを作った上で、テーブル面に囲炉裏を再構築しました。
「高さや座った時の感じをチェックするために、工務店の方にべニアで試作していただき、詳細を決めました。囲炉裏がなければ部屋がより広く使えたかもしれませんが、あえて無駄をやるのも大切なことですよね」とご主人。
リビングの梁だけは元の濃い色のまま残して、空間のポイントにしています。
「高さや座った時の感じをチェックするために、工務店の方にべニアで試作していただき、詳細を決めました。囲炉裏がなければ部屋がより広く使えたかもしれませんが、あえて無駄をやるのも大切なことですよね」とご主人。
リビングの梁だけは元の濃い色のまま残して、空間のポイントにしています。
和室の正面の壁は薄いブルーの塗装。キッチン前は色の揺らぎがある深い青色です。収納の上に仕込んだ間接照明が壁を柔らかく照らし、薄暗くなると夕暮れの海のような美しさが楽しめます。
キッチンの床レベルはリビングより下がっているので、掘りごたつ状になったカウンターの前に座ると、キッチンに立った人と目線が合うようになっています。「ここでお酒を飲むのがとても良いんです。日が暮れると時間の進みが早くて、気が付くと夜まで話していた、なんてこともありますよ」とご主人。
造作のキッチンは、設計者である小林夫妻の自邸キッチンを参考にして作られました。施主夫妻は小林邸を訪ね、ふたりが実際にキッチンを使っているところを見せてもらいながら、シンクやコンロの使い勝手、カウンターの高さなどのアドバイスをもらったそうです。
キッチンと背面の棚には、奥さまが大切に使ってきた北欧の食器棚がきれいに収まっています。恭さんは「手元に残すものと、新たに作って機能的に収めるためのものを両立させるように設計しています」と言います。
キッチンカウンターに吊り下げたアルヴァ・アアルトのゴールデンベルは、今回のリノベーションに合わせて取り入れた照明です。
キッチンと背面の棚には、奥さまが大切に使ってきた北欧の食器棚がきれいに収まっています。恭さんは「手元に残すものと、新たに作って機能的に収めるためのものを両立させるように設計しています」と言います。
キッチンカウンターに吊り下げたアルヴァ・アアルトのゴールデンベルは、今回のリノベーションに合わせて取り入れた照明です。
純和風の岩風呂だった浴室は、庭の緑とマッチする爽やかな北欧風の空間になりました。「もともと貼ってあったパイン材を活かして、グリーンのタイルを貼りました。浴槽に寝転ぶと天窓から星が見えるようにバスタブをレイアウトしています」とマナさん。
浴室から見えるウッドデッキはリビングともつながっています。「子どもが風呂で水遊びしているのをリビングから眺められるのも良かったですね」とご主人。デッキの横にはコンクリート床もあり、サウナ好きなご主人がテントサウナを楽しむためのスペースとなっています。
浴室から見えるウッドデッキはリビングともつながっています。「子どもが風呂で水遊びしているのをリビングから眺められるのも良かったですね」とご主人。デッキの横にはコンクリート床もあり、サウナ好きなご主人がテントサウナを楽しむためのスペースとなっています。
「コロナ禍でワークスタイルが変わり始めた頃に入居したので、本当に快適な環境に家族でいられる幸せをかみしめています」とご主人。
「家は自分の価値観を表現する場ではないでしょうか。友人を呼んだ時に緊張させない、人との信頼関係を育むことができる家になったと思います。家ができてから、人間関係がより豊かになったように感じます」
リノベーションのHouzzツアーをもっと読む
「家は自分の価値観を表現する場ではないでしょうか。友人を呼んだ時に緊張させない、人との信頼関係を育むことができる家になったと思います。家ができてから、人間関係がより豊かになったように感じます」
リノベーションのHouzzツアーをもっと読む
おすすめの記事
Houzzがきっかけの家(国内)
ジョージア・オキーフ邸をイメージした、4人家族の暮らしにフィットする家
文/永井理恵子
Houzzで見つけた建築家に依頼して、予算内で夢の住まいを実現!通りかかった人に「素敵ですね!」とよく褒められる、シンプルながらスタイリッシュなお宅です。
続きを読む
日本の家
ゲストへの思いやりの心をしつらえた、離れのある家
文/杉田真理子
東京から訪れるゲストのため、母屋のほかにゲストルームの離れをしつらえた住まい。伝統的な日本家屋の美しさが、自然の中で引き立つ家です。
続きを読む
Houzzがきっかけの家(国内)
家族で自然を満喫。極上の浴室と広々としたデッキを備えた軽井沢の別荘
3人の子供たちの成長期に家族で軽井沢ライフを楽しむため、オーナーは時間のかかる土地探し&新築計画を見直し、中古物件を購入。Houzzで見つけた長野県の建築家に改修を依頼して、飛躍的に自然とのつながりが感じられる住まいに変身させました。
続きを読む
リノベーション
建築家がゲストハウスに再考したガレージ
多目的スペースへと作り替えられた空間とカーポートの追加によって、スタイリッシュにアップデートされた、歴史あるニューイングランド様式の住宅をご紹介します。
続きを読む
世界の家
ビルバオのグランビア通りに佇む、1950年代のクラシカルなフラットハウス
既存のモールディングが美しい85平方メートルのリビング、ダイニング、ホームオフィスをもつ、エレガントなフラットをご紹介します。
続きを読む