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圧倒的な眺望が室内と一体化する神戸の家
2階LDK南面全体をガラスとし、絶景を真正面から取り込んだ家。バルコニーの佇まいなど、一般家庭とは思えないような空間が楽しめる住まいです。
杉田真理子
2021年7月14日
子供ができたことをきっかけに家づくりを考え始めた、という施主夫妻。どちらも実家が戸建てであるため、夫婦ともに一戸建てを建てることに興味があったといいます。
納得できる家探しのパートナーを求めて、数年間をかけて20ものハウスメーカー、工務店、建築設計事務所を訪ねました。「人生で一度の買い物なので、後悔なく進めたかった」と当時を振り返ります。
納得できる家探しのパートナーを求めて、数年間をかけて20ものハウスメーカー、工務店、建築設計事務所を訪ねました。「人生で一度の買い物なので、後悔なく進めたかった」と当時を振り返ります。
どんなHouzz?
所在地:神戸市東灘区
住まい手:30代の夫婦、4歳の長男、0歳の次男
敷地面積:150.57㎡
建築面積:54.65㎡
延床面積:109.30㎡
構造:在来木造
設計:SQOOL一級建築士事務所
施工:株式会社吉田工務店
竣工時期:2021年4月
撮影:笹の倉舎/笹倉洋平
夫妻が家づくりで一番の重要視していたポイントは、“大空間、柱なしのLDK”でした。その軸をぶらさずに探していくと、予算との関係もあり、実現できるところがなかなか見つかりませんでした。
自由な設計と選択を求めて設計事務所をまわる中で、最終的に依頼することになったのがSQOOL一級建築士事務所の建築家・鈴木俊彦さんでした。「鈴木さんは私たちの要望をしっかりと汲み取ってくださり、要望を形に変えて提案していただけたことが決め手となりました。人柄や、予算内での完全注文住宅なども決め手ですね」(施主夫妻)
また、鈴木さんの過去の住宅作品「空へ山へ」を一緒に訪ね、体感したことも後押しとなりました。「同じく神戸市内に住む同世代で、家の大きさも同じくらい。須磨の山と空の借景が魅力的な家で、ここの施主家族に家づくりの体験を共有してもらいました」と鈴木さん。土地がまだ決まっていない状態だからこそ、プラン提案ではなく、実際に事例をみてもらうことが大切だった、と話します。
所在地:神戸市東灘区
住まい手:30代の夫婦、4歳の長男、0歳の次男
敷地面積:150.57㎡
建築面積:54.65㎡
延床面積:109.30㎡
構造:在来木造
設計:SQOOL一級建築士事務所
施工:株式会社吉田工務店
竣工時期:2021年4月
撮影:笹の倉舎/笹倉洋平
夫妻が家づくりで一番の重要視していたポイントは、“大空間、柱なしのLDK”でした。その軸をぶらさずに探していくと、予算との関係もあり、実現できるところがなかなか見つかりませんでした。
自由な設計と選択を求めて設計事務所をまわる中で、最終的に依頼することになったのがSQOOL一級建築士事務所の建築家・鈴木俊彦さんでした。「鈴木さんは私たちの要望をしっかりと汲み取ってくださり、要望を形に変えて提案していただけたことが決め手となりました。人柄や、予算内での完全注文住宅なども決め手ですね」(施主夫妻)
また、鈴木さんの過去の住宅作品「空へ山へ」を一緒に訪ね、体感したことも後押しとなりました。「同じく神戸市内に住む同世代で、家の大きさも同じくらい。須磨の山と空の借景が魅力的な家で、ここの施主家族に家づくりの体験を共有してもらいました」と鈴木さん。土地がまだ決まっていない状態だからこそ、プラン提案ではなく、実際に事例をみてもらうことが大切だった、と話します。
土地探しには数年かかりましたが、この土地は、眺望がよく、海の見えるロケーション。「開放感のある家を希望していたこともあり、ドカンと抜ける眺望に一目惚れし即決しました」と施主夫妻。また、懸念事項であった南側の擁壁は県が管理してくれることになっていたため、安心して購入できた、と話します。
北側の斜線が最も厳しいエリアでしたが、緩勾配の片流れ屋根が南へ開くよう設計し、圧倒的な眺望を真正面から取り込むことに成功しました。眺望に向かって、滑走路から飛行機が飛んでいくようなイメージでデザインです。
北側の斜線が最も厳しいエリアでしたが、緩勾配の片流れ屋根が南へ開くよう設計し、圧倒的な眺望を真正面から取り込むことに成功しました。眺望に向かって、滑走路から飛行機が飛んでいくようなイメージでデザインです。
以前はハウスメーカーに勤めていたという鈴木さんは、出来るだけ既製品やセミオーダーを用いることで、デザイン性は担保しつつもコストを抑え、メンテナンスもしやすいように計画するのが得意だと話します。「設計事務所はよく特注や造作をしますが、標準品を結構使っているのがこの家のポイントです。なので、実はハウスメーカーよりも工事費が抑えられています」
ガルバリウム鋼板でシンプルに仕上げた外観。南に登っていく屋根の勾配が緩やかなため、北側の入り口はコロンとしたフォルムが可愛らしい四角形です。北側はマンションが立っているためプライバシーを考慮。風通しの窓のみ作り、シンプルに閉じました。
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ガルバリウム鋼板でシンプルに仕上げた外観。南に登っていく屋根の勾配が緩やかなため、北側の入り口はコロンとしたフォルムが可愛らしい四角形です。北側はマンションが立っているためプライバシーを考慮。風通しの窓のみ作り、シンプルに閉じました。
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1階には、寝室と水回りをまとめました。
「1階は天井高や採光を極力抑え、2階に上がると一気に大きく明るい空間へと開放するシークエンスをデザインしました。中に入り、2階に上がったときの眺望がよりスペシャルになるように計算しています」と鈴木さん。1階は壁、床の一部にラワン合板を採用して費用を削減し、自慢の2階に資金を集中させました。
「1階は天井高や採光を極力抑え、2階に上がると一気に大きく明るい空間へと開放するシークエンスをデザインしました。中に入り、2階に上がったときの眺望がよりスペシャルになるように計算しています」と鈴木さん。1階は壁、床の一部にラワン合板を採用して費用を削減し、自慢の2階に資金を集中させました。
南向きの寝室からも海が見えます。クローゼットは区切らず、鈴木さんのプレゼントした布地を使いカーテンで緩やかに区切りました。土間スペースでは洗濯物を干したり、庭では家庭菜園を楽しんでいます。
「1階の南側の外構には工務店の方に土の部分を作ってもらい、そこに自分たちで畑を耕して、子どもと一緒に収穫したり、そこで採れた野菜を使って夫婦で料理したりすることが楽しいです」と施主。
「1階の南側の外構には工務店の方に土の部分を作ってもらい、そこに自分たちで畑を耕して、子どもと一緒に収穫したり、そこで採れた野菜を使って夫婦で料理したりすることが楽しいです」と施主。
お手洗いは1つにまとめ、1.5階に設置することで1階、2階どちらからも同じ距離でアクセスができるようにしました。
「1階からも2階からも行きやすく、リビングからも音や匂いが気にならない絶妙な位置で、予想以上に使いやすいです」
「1階からも2階からも行きやすく、リビングからも音や匂いが気にならない絶妙な位置で、予想以上に使いやすいです」
階段を登ると、ここを訪れた人は誰でも驚く、圧倒的な眺望を真正面に見渡せます。LDK南面全体をガラスとし、眺望をアクセントとするため、余分な素材は省き、シンプルな空間としました。
「構造はやはり難しかったです」と鈴木さん。柱を出来るだけ無くしたいという施主の希望に応えるため、構造の専門家と相談をしながら進めました。「屋根合板を2重貼りにすることで、通常は窓2枚の間にいれる火打ちを無くし、外部環境とダイレクトに繋がれる空間にできました」と話します。
約25畳のLDKは、アイランドキッチンと大きなソファが置かれた広々とした空間です。
キッチンは、キッチンハウスというメーカーのものを使用。ダイニングテーブルと食器棚に使われているメラミンという硬い樹脂の素材が、木材のような暖かな雰囲気を演出しています。「夫婦で料理をすることが好きなので、キッチンはかっこよくていいものを入れたかった」と施主は話します。
床材はウォールナットを使用しました。竣工時は無塗装でしたが、施主夫妻が自分たちでオイルを塗って仕上げました。
キッチンは、キッチンハウスというメーカーのものを使用。ダイニングテーブルと食器棚に使われているメラミンという硬い樹脂の素材が、木材のような暖かな雰囲気を演出しています。「夫婦で料理をすることが好きなので、キッチンはかっこよくていいものを入れたかった」と施主は話します。
床材はウォールナットを使用しました。竣工時は無塗装でしたが、施主夫妻が自分たちでオイルを塗って仕上げました。
「朝起きると眺望のいい広いリビングがとても気持ちがいいです。休日の夜は夜景を見ながらお酒を飲むのが最高です」と施主。バルコニーでは、ご飯を食べたり小さなプールを置いて子供が遊んだりできます。
外構フェンスにもよく使用されるレッドシダーの床をLDKと同じレベルに設置し、外部空間がLDKに取り込まれたような印象を生み出しています。
「ウッドデッキで家族みんなでごはんを食べたり、夜に寝転がって空を見上げることが、何よりの幸せです」
外構フェンスにもよく使用されるレッドシダーの床をLDKと同じレベルに設置し、外部空間がLDKに取り込まれたような印象を生み出しています。
「ウッドデッキで家族みんなでごはんを食べたり、夜に寝転がって空を見上げることが、何よりの幸せです」
普段は、趣味の釣りに行ったり、子どもの好きな海や山へ出かけたり、どちらかといえばアウトドア派の施主家族。「最近はコロナ禍の影響により自宅で休日を過ごすことが多いですが、家が快適なので、コロナ禍でも退屈なく生活出来ています」
「南向きでここまで窓が大きいと暑いのでは?と思われることもあるのですが、夏は太陽高度が高いのでこの角度で直射日光が当たることは少ないですし、太陽高度が低い冬場は逆に光が入りやすく暖かくなります」と鈴木さん。
「南向きでここまで窓が大きいと暑いのでは?と思われることもあるのですが、夏は太陽高度が高いのでこの角度で直射日光が当たることは少ないですし、太陽高度が低い冬場は逆に光が入りやすく暖かくなります」と鈴木さん。
「先日お会いした時に、『家づくりに後悔が何もない』と言ってくださって。建築家として、これ以上嬉しい言葉はないですね」と鈴木さん。
理想の家探しを考え出してから鈴木さんとの契約まで4年、引渡しまで5年。「それだけ考えたからこそ、後悔は何一つありません」と施主。「妻も私も性格上、後悔するのがとても嫌だったので、夢を実現してくれる人を諦めずに探しました」
眼下を見晴るかす絶景に向かって緩やかに開き、飛び立っていくFLIGHT HOUSE。広々としたLDKという揺るぎのない核をつくることで、優先順位が担保され、設計を進めることができました。
新築のHouzzツアーをもっと読む
理想の家探しを考え出してから鈴木さんとの契約まで4年、引渡しまで5年。「それだけ考えたからこそ、後悔は何一つありません」と施主。「妻も私も性格上、後悔するのがとても嫌だったので、夢を実現してくれる人を諦めずに探しました」
眼下を見晴るかす絶景に向かって緩やかに開き、飛び立っていくFLIGHT HOUSE。広々としたLDKという揺るぎのない核をつくることで、優先順位が担保され、設計を進めることができました。
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