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収納スペースはどのくらい必要?「収納率」の内訳と費用から考える
収納スペースを広く確保することは、家を建てる時の大切なポイントの一つ。家族構成や趣味なども考慮しながら、収納を広さや金額からの視点も併せてご説明いたしましょう。

安井俊夫
2021年7月12日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
多くの方が「広い収納スペースが欲しい」と、ご希望されます。物があふれかえる家は嫌ですから、出来るだけスッキリと収納したいですよね。そこで家の広さから確保したい収納空間の広さの目安を、費用的な面も併せてご説明いたしましょう。
家の広さから考える収納スペースの目安
最近、「収納率」という言葉を耳にしますが、収納率とは家の床面積に対する収納スペースの割合のことで、「収納面積÷総床面積×100」で、表します。収納率は10%~15%が適当といわれていますが、私の経験上からいっても、おおよそそのくらいの広さだと思います。
たとえば40坪(132㎡)の家の場合、収納スペースは4坪から6坪程度(13.2㎡から19.8㎡)が、一つの目安となります。1坪は畳二畳分なので畳でいえば、8畳から12畳の広さとなります。もちろん、この広さは一つの目安なので、衣類や趣味の品がたくさんある方や、反対に物が少ない方や家族構成によっても変わります。それでも参考値を知っておけば、我が家の計画時には役に立ちます。
最近、「収納率」という言葉を耳にしますが、収納率とは家の床面積に対する収納スペースの割合のことで、「収納面積÷総床面積×100」で、表します。収納率は10%~15%が適当といわれていますが、私の経験上からいっても、おおよそそのくらいの広さだと思います。
たとえば40坪(132㎡)の家の場合、収納スペースは4坪から6坪程度(13.2㎡から19.8㎡)が、一つの目安となります。1坪は畳二畳分なので畳でいえば、8畳から12畳の広さとなります。もちろん、この広さは一つの目安なので、衣類や趣味の品がたくさんある方や、反対に物が少ない方や家族構成によっても変わります。それでも参考値を知っておけば、我が家の計画時には役に立ちます。
収納スペースを具体的に考えてみる
上記で計算した40坪の家における収納面積約6坪を、参考に割り振ってみましょう。
場合に拠っては、そこに簡単な手洗い器まで設置したいと考えられる方も居るのは、コロナ禍の感染拡大が影響しているのかもしれませんね。そんなシューズ・クローゼットに、3帖の広さを確保します。
上記で計算した40坪の家における収納面積約6坪を、参考に割り振ってみましょう。
- シューズクローゼット
場合に拠っては、そこに簡単な手洗い器まで設置したいと考えられる方も居るのは、コロナ禍の感染拡大が影響しているのかもしれませんね。そんなシューズ・クローゼットに、3帖の広さを確保します。
- パントリー
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- 掃除用具等の収納
- 部屋のクローゼット収納
- 納戸 扇風機等の季節物や子供たちが学校で作った作品の保管。あるいは鯉のぼりや雛人形を仕舞うための場所として、3帖の納戸を設けましょう。
ここまでで合計14帖の収納スペースを確保した計算になりますが、特別おかしな収納は確保しませんでしたし、面積もおおむね適切だと思います。ですがそれでも14帖=7坪の面積が必要となりました。収納率で表せば、17.18%となり、かなり高い数値といえます。これが実際の設計時ならば、どこかの収納スペースを減らさなければなりませんね。今度は6坪の収納スペースを、建設費用の面から考えてみます。
- 建設費から収納面積を考える
40坪の家で6坪の収納スペースを確保する時、その収納スペースを造る工事費はいくらでしょう。例えばローコストのハウスメーカーで、坪単価60万円で家建てる会社なら、6坪(12帖)の収納スペースの建設費用は、建物全体金額2400万円のうち360万円掛かります。これが坪単価坪90万円のハウスメーカーだとしたら、収納スペースだけで540万円の費用が掛かることになります。あらためて金額で考えてみると、意外と大きな費用になることが分かります。
ロフトという収納スペース
シューズクローゼットやパントリーといった最近人気のスペースは、どちらも収納スペースですが、もう一つ人気の高い収納スペースにロフトがあります。
ロフトを部屋のように利用される方も居るようですが、建築基準法でもロフトは部屋ではなく収納スペースと定義付けられています。ロフトには面積や高さの他にもいくつかの基準を守る必要がありますが、それらを順守すれば重宝する収納場所が確保でき、建設費用も安価で済みます。
梯子での上り下りは大変ですが、収納する物を正しく見極め、過度な重量物や調度品を収納することを避け、しっかりと構造計算による安全性を確認したならば、将来的に見ても役に立つ収納スペースといえそうです。
シューズクローゼットやパントリーといった最近人気のスペースは、どちらも収納スペースですが、もう一つ人気の高い収納スペースにロフトがあります。
ロフトを部屋のように利用される方も居るようですが、建築基準法でもロフトは部屋ではなく収納スペースと定義付けられています。ロフトには面積や高さの他にもいくつかの基準を守る必要がありますが、それらを順守すれば重宝する収納場所が確保でき、建設費用も安価で済みます。
梯子での上り下りは大変ですが、収納する物を正しく見極め、過度な重量物や調度品を収納することを避け、しっかりと構造計算による安全性を確認したならば、将来的に見ても役に立つ収納スペースといえそうです。
見せる収納・隠す収納
少し視点を変えてみましょう。収納する物が明確になっている場合、その収納スペースを扉で閉じてしまうのか、あるいは扉を設けずに見せる収納とするのかで、スペースにも建設コストにも差が出てきます。例えば洋服を収納する場所としてウォークイン・クローゼットを設けた場合には、歩くスペースを室内に設ける必要があり、室内の面積は増えてしまいます。
ですがウォークインとせずに、箪笥のようなクローゼットを設けるので良いのならば、面積を1/3ほど減らすことが可能です。またそれぞれの部屋ごとにクローゼットを設けることを止め、全ての洋服を一か所に収納することが出来れば、面積の節約になると同時に、家事の効率が格段に上がる可能性もあります。
少し視点を変えてみましょう。収納する物が明確になっている場合、その収納スペースを扉で閉じてしまうのか、あるいは扉を設けずに見せる収納とするのかで、スペースにも建設コストにも差が出てきます。例えば洋服を収納する場所としてウォークイン・クローゼットを設けた場合には、歩くスペースを室内に設ける必要があり、室内の面積は増えてしまいます。
ですがウォークインとせずに、箪笥のようなクローゼットを設けるので良いのならば、面積を1/3ほど減らすことが可能です。またそれぞれの部屋ごとにクローゼットを設けることを止め、全ての洋服を一か所に収納することが出来れば、面積の節約になると同時に、家事の効率が格段に上がる可能性もあります。
趣味やコレクション類の収納も、展示するように見せて収納するのか、あるいは美術品を仕舞いこむように貯蔵して保管するのかによって、収納スペースの在り方は全く変わってきます。このように収納する物を正しく見極めることで、面積や費用も変わってきます。
造り付け家具と置き家具
設計の相談時に、「造り付け家具と置き家具は、どちらが家にとって良いですか?」と、尋ねられることがあります。収納場所が固定されている造り付け家具の場合、生活スタイルが固定される可能性が高いと思います。いっぽう置き家具は移動や買い替えも容易なため、部屋の模様替えも簡単に行うことが出来ます。
ですが地震時には造り付け家具の方が家に固定されているため、転倒の心配がなく安全だと考えます。また収納する物に併せて設えるため、最適な形で収納することが可能です。そのぶん費用が高くなることが大きなマイナス点で、費用面では買い替えが容易な置き家具の方が有利ともいえます。その際はしっかりと固定し、地震時の安全確保に配慮が必要ですけどね。
設計の相談時に、「造り付け家具と置き家具は、どちらが家にとって良いですか?」と、尋ねられることがあります。収納場所が固定されている造り付け家具の場合、生活スタイルが固定される可能性が高いと思います。いっぽう置き家具は移動や買い替えも容易なため、部屋の模様替えも簡単に行うことが出来ます。
ですが地震時には造り付け家具の方が家に固定されているため、転倒の心配がなく安全だと考えます。また収納する物に併せて設えるため、最適な形で収納することが可能です。そのぶん費用が高くなることが大きなマイナス点で、費用面では買い替えが容易な置き家具の方が有利ともいえます。その際はしっかりと固定し、地震時の安全確保に配慮が必要ですけどね。
家を建てることは人生において大きな転機の一つですが、その機会に物を一度整理することも必要かもしれません。
シューズクローゼット、パントリー、ロフト、そのどれもが昔の家にはありませんでした。ですが当時の家の中に、物が溢れていた記憶はありません。ひょっとすると今は、いろいろな物を持ちすぎているのかもしれませんね。
物の量は家族構成や年齢、趣味や地域によっても大きく変わります。物をたくさん所有していることで得られる満足感もあれば、持たざる開放感もあります。そのどちらかを選ぶのではなく、ご自分にとっての最適を知ることが大切です。
シューズクローゼット、パントリー、ロフト、そのどれもが昔の家にはありませんでした。ですが当時の家の中に、物が溢れていた記憶はありません。ひょっとすると今は、いろいろな物を持ちすぎているのかもしれませんね。
物の量は家族構成や年齢、趣味や地域によっても大きく変わります。物をたくさん所有していることで得られる満足感もあれば、持たざる開放感もあります。そのどちらかを選ぶのではなく、ご自分にとっての最適を知ることが大切です。
今回は「収納率」という数値を軸にしてご説明いたしましたが、収納スペースは面積だけではなく、使い易い場所に、適切な形で設置されていることが何よりも大切だと思います。高い場所に設ける収納や、床下に重い物を収納することも、住む人の状況によっては使いにくいこともあります。
収納する物を正しく理解し、無駄のない使い易い収納となるよう、ご自身の生活スタイルを理解し、建築家とよくご相談下さい。そこには数字だけでは表せない快適さを、しまうことができると思いますので。
収納する物を正しく理解し、無駄のない使い易い収納となるよう、ご自身の生活スタイルを理解し、建築家とよくご相談下さい。そこには数字だけでは表せない快適さを、しまうことができると思いますので。
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