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「ニュー・ヨーロピアン・バウハウス」について知っておきたいこと
持続可能で協同的、多様性を受け入れることのできる建築文化を構築するために、ヨーロッパでバウハウスが再評価されています。
Thomas Helbing
2021年5月21日
欧州連合(EU)内の行政執行機関である欧州委員会は、持続可能かつ誰もが手に入れることのできる建築の未来を促進することを目指す「ニュー・ヨーロピアン・バウハウス(New European Bauhaus)」構想を掲げています。
2021年4月、2日間にわたって行われたバーチャルイベントには、政治、文化、建築、デザインの分野で影響力を持つ専門家たちが集まり、建設業界の未来に向けた取り組みや課題について話し合いました。主催者発表では、参加者は58カ国、6,000人に上りました。この記事では、議論された内容の概要をご紹介します。
2021年4月、2日間にわたって行われたバーチャルイベントには、政治、文化、建築、デザインの分野で影響力を持つ専門家たちが集まり、建設業界の未来に向けた取り組みや課題について話し合いました。主催者発表では、参加者は58カ国、6,000人に上りました。この記事では、議論された内容の概要をご紹介します。
「ニュー・ヨーロピアン・バウハウス」とは一体何なのでしょうか?
「それは希望であり、インスピレーションであり、新たな視点です。そして気候変動に対する具体的な行動です」と、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は開会の挨拶で述べました。どうすれば未来の住空間を、誰にでも手が届く持続可能で利用しやすいものとすることができるのでしょうか?
EUは「EUグリーンディール」において、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を掲げています。また、早ければ2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年の排出量の55%まで削減することを目指しています。
こうした目標の達成に対し、建設業界は大きな影響力を持ちます。ヨーロッパでは温室効果ガスの40%が建物から排出されているのです。このままではいけないことは明らかです。
「それは希望であり、インスピレーションであり、新たな視点です。そして気候変動に対する具体的な行動です」と、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は開会の挨拶で述べました。どうすれば未来の住空間を、誰にでも手が届く持続可能で利用しやすいものとすることができるのでしょうか?
EUは「EUグリーンディール」において、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという目標を掲げています。また、早ければ2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年の排出量の55%まで削減することを目指しています。
こうした目標の達成に対し、建設業界は大きな影響力を持ちます。ヨーロッパでは温室効果ガスの40%が建物から排出されているのです。このままではいけないことは明らかです。
フォン・デア・ライエン委員長は次のように述べています。「ニュー・ヨーロピアン・バウハウスが創出するのは、共に考える場です。より健全で、よりデジタルで、より持続可能なヨーロッパにおける新たなライフスタイルを、どのようにクリエイティブに導入することができるのか。この構想によって、グリーンな世界への移行がより具体的で実現可能なものになるでしょう」
ニュー・ヨーロピアン・バウハウスは、低所得者向け住宅、平等の権利、多様性の受容といった現代の問題に取り組むことも目的としています。
欧州議会のダビド・サッソリ議長はこう説明します。「私たちは、気候変動の危機に関する課題を考慮に入れた新しい空間計画の手法を必要としています。したがって、都市も国もその観点から変革していかなければなりません」。サッソリ議長は、建築業界による取り組みが企業や地域の経済的な原動力になるとも考えています。
ニュー・ヨーロピアン・バウハウスは、低所得者向け住宅、平等の権利、多様性の受容といった現代の問題に取り組むことも目的としています。
欧州議会のダビド・サッソリ議長はこう説明します。「私たちは、気候変動の危機に関する課題を考慮に入れた新しい空間計画の手法を必要としています。したがって、都市も国もその観点から変革していかなければなりません」。サッソリ議長は、建築業界による取り組みが企業や地域の経済的な原動力になるとも考えています。
ニュー・ヨーロピアン・バウハウスは、単にEU本部からトップダウンで与えられる指針となることは避けなければなりません。「私たちが作ろうとしているのは、ヨーロッパの人々がアイデアや創造性を発揮するためのフレームワークです」とフォン・デア・ライエン委員長は語ります。このコンセプトの開発には当初から様々な分野の専門家が参画し、文化、美術、デザインが協力して変革を起こすことが意図されています。
ドイツ、デッサウのバウハウス
歴史的なバウハウスが手本として使われるのはなぜでしょうか?
バウハウスは1919年、第一次世界大戦後に世界が急速に変化していた時代にドイツのワイマールに設立された美術学校です。バウハウスは変革の原動力でした。バウハウスは、新しい「建築の文化」(Baukultur)と美学をもって当時の課題に対する解決策を提案し、ワイマールとデッサウにあるバウハウスの学校は、建築だけでなくデザインや工芸、美術、音楽、演劇などにも大きな影響を与えました。その思想は現在も影響力を持ち、世界中で称賛され続けています。
バウハウスが現代デザインに残した5つの影響とは?
歴史的なバウハウスが手本として使われるのはなぜでしょうか?
バウハウスは1919年、第一次世界大戦後に世界が急速に変化していた時代にドイツのワイマールに設立された美術学校です。バウハウスは変革の原動力でした。バウハウスは、新しい「建築の文化」(Baukultur)と美学をもって当時の課題に対する解決策を提案し、ワイマールとデッサウにあるバウハウスの学校は、建築だけでなくデザインや工芸、美術、音楽、演劇などにも大きな影響を与えました。その思想は現在も影響力を持ち、世界中で称賛され続けています。
バウハウスが現代デザインに残した5つの影響とは?
バウハウスの最初の建築物である、ワイマールの「ハウス・アム・ホルン」
「当時のバウハウスは、科学、産業、工芸、美術を組み合わせた学際的な環境を作って主要な課題に取り組んでいましたが、その意味で革新的で前衛的な運動でした。現代の建築環境が気候変動の課題に応えるには、まさにこのような分野横断的な考え方が必要です」と、デンマークの建築家、ビャルケ・インゲルスは語ります。「私たちは気候変動の科学的事実については理解しています。次はテクノロジーですが、それはどういった形のものになるのか。芸術とデザインはその分野に貢献できるのではないでしょうか」
学際的な協同の重要性は多くの人が指摘しています。フィンランドのデザイナー、パイヴィ・タコカリオ(Päivi Tahkokallio)は次のように述べています。「この構想は、誰一人として見捨てることなく、あらゆる人の声に耳を傾けようとしています。それは、専門分野にも当てはまります」
「当時のバウハウスは、科学、産業、工芸、美術を組み合わせた学際的な環境を作って主要な課題に取り組んでいましたが、その意味で革新的で前衛的な運動でした。現代の建築環境が気候変動の課題に応えるには、まさにこのような分野横断的な考え方が必要です」と、デンマークの建築家、ビャルケ・インゲルスは語ります。「私たちは気候変動の科学的事実については理解しています。次はテクノロジーですが、それはどういった形のものになるのか。芸術とデザインはその分野に貢献できるのではないでしょうか」
学際的な協同の重要性は多くの人が指摘しています。フィンランドのデザイナー、パイヴィ・タコカリオ(Päivi Tahkokallio)は次のように述べています。「この構想は、誰一人として見捨てることなく、あらゆる人の声に耳を傾けようとしています。それは、専門分野にも当てはまります」
ラカトン&ヴァッサルによるフランス、ボルドーの「グランパルク」プロジェクト
“新たなバウハウス"はどういったものになるのでしょうか?
この点については会議の中で大いに議論されました。新たな「建築の文化」、そして無限のインスピレーションとなる実例はすでに存在しています。
フォン・デア・ライエン委員長は、フランス人の建築家ユニット、アンヌ・ラカトンとジャン・フィリップ・ヴァッサルによる現代的なアプローチを紹介しました。2021年にプリツカー賞を受賞したラカトン&ヴァッサルが持続可能性の観点から重視しているのは、既存の建築物の改修です。
“新たなバウハウス"はどういったものになるのでしょうか?
この点については会議の中で大いに議論されました。新たな「建築の文化」、そして無限のインスピレーションとなる実例はすでに存在しています。
フォン・デア・ライエン委員長は、フランス人の建築家ユニット、アンヌ・ラカトンとジャン・フィリップ・ヴァッサルによる現代的なアプローチを紹介しました。2021年にプリツカー賞を受賞したラカトン&ヴァッサルが持続可能性の観点から重視しているのは、既存の建築物の改修です。
ニューヨーク市の「ハイライン」
インゲルスは、「建物と建物の間の空間は、ソーシャルな暮らしはもちろん、植物や動物のために開放することもできるため、よりエキサイティングな使い方が可能です」とも語っています。例えば、ニューヨークの「ハイライン」では、既存の建築物と古い鉄道のインフラが結びつけられ、新しいものが作り出されています。
インド人の活動家であり、地域リソースセンター推進協会、そしてスラム住民国際ネットワークの創設者であるシーラ・パテルは、気候危機の代償を最も多く払わなければならないのは、グローバルサウス(南半球の発展途上国)の特に貧しい地域であると指摘します。「デザインというものは、発展、制度、社会正義のプロセス、コミュニケーションの設計において大きな力を発揮します。こうしたものはすべてデザインの対象となります」
インゲルスは、「建物と建物の間の空間は、ソーシャルな暮らしはもちろん、植物や動物のために開放することもできるため、よりエキサイティングな使い方が可能です」とも語っています。例えば、ニューヨークの「ハイライン」では、既存の建築物と古い鉄道のインフラが結びつけられ、新しいものが作り出されています。
インド人の活動家であり、地域リソースセンター推進協会、そしてスラム住民国際ネットワークの創設者であるシーラ・パテルは、気候危機の代償を最も多く払わなければならないのは、グローバルサウス(南半球の発展途上国)の特に貧しい地域であると指摘します。「デザインというものは、発展、制度、社会正義のプロセス、コミュニケーションの設計において大きな力を発揮します。こうしたものはすべてデザインの対象となります」
だからこそ、環境活動家のジーナ・ギルヴァー(Gina Gylver)は「美」という言葉を再定義することを提唱しています。「美しさは、それが呼び覚ます感情と結びついています。多くの人々が気候変動に対する不安に苛まれている現代において、持続可能な建築は、そこに住む人々の心を落ち着け、癒してくれます。持続可能であること。それこそが新たな美しさなのです」
「美の基準は、それを見る人によって変わります。非公式居住区はみすぼらしく見えるかもしれませんが、その文化の力を見ると、そこには美しさがあることがわかります」とパテルは言います。「美、文化、持続可能性について考える時、私たちはその地域に根ざした形で捉えなければなりません。美しさについてのグローバル化された動きは、地域ごとに進化を遂げた美に対する賛美を壊すものであり、ニュー・ヨーロピアン・バウハウスはこれに陥ってはなりません」
「美の基準は、それを見る人によって変わります。非公式居住区はみすぼらしく見えるかもしれませんが、その文化の力を見ると、そこには美しさがあることがわかります」とパテルは言います。「美、文化、持続可能性について考える時、私たちはその地域に根ざした形で捉えなければなりません。美しさについてのグローバル化された動きは、地域ごとに進化を遂げた美に対する賛美を壊すものであり、ニュー・ヨーロピアン・バウハウスはこれに陥ってはなりません」
テキサス州オースティンの3Dプリントによる住宅
プリツカー賞受賞者である日本人建築家の坂茂は、設計を行う際、まず素材について考えます。
「再生可能な素材への抜本的な転換が不可欠です。鉄やコンクリートの使用を減らさなければなりません。誰もが購入できる建物を作るためには、その地域で手に入る材料を使う必要があります」
坂は歴史の中に可能性を見出しています。「戦時中、日本では鉄鋼が不足していたため、代わりに竹をコンクリートの補強に使っていました。建築システムや素材の歴史をさかのぼることで、経済的でありながら環境に配慮した、持続可能な素材を見つけることができるのではないでしょうか」
プリツカー賞受賞者である日本人建築家の坂茂は、設計を行う際、まず素材について考えます。
「再生可能な素材への抜本的な転換が不可欠です。鉄やコンクリートの使用を減らさなければなりません。誰もが購入できる建物を作るためには、その地域で手に入る材料を使う必要があります」
坂は歴史の中に可能性を見出しています。「戦時中、日本では鉄鋼が不足していたため、代わりに竹をコンクリートの補強に使っていました。建築システムや素材の歴史をさかのぼることで、経済的でありながら環境に配慮した、持続可能な素材を見つけることができるのではないでしょうか」
オレゴン州ポートランドのパッシブハウス
昔ながらの知識が失われつつあることについては、ビャルケ・インゲルスも同意しています。さらにインゲルスは「排出量の貸し付け」という概念も提案しました。住宅ローンでは、購入した住宅が利益を生み出す前にローンを完済しなければなりませんが、「排出量の貸し付け」はそれに似た仕組みです。
「建物は、完成したその日にすでに一定量の二酸化炭素を内包しています。しかし、設計の仕方次第でエネルギー収支をプラスにし、非常に効率的な建物とすることができます。すると以降の30年間、稼働中の建物の二酸化炭素の収支が毎年マイナスとなり、30年後には建物の二酸化炭素排出量を完全に回収することができるのです」
持続可能性の専門家であり、オーストラリアにある持続可能な建設のためのラファージュホルシム財団の理事長を務めるマリア・アトキンソン(Maria Atkinson)は次のように述べています。「二酸化炭素のコストを考慮したり、持続可能ではない慣行を推奨しないようにしたり、資金の流れは以前よりも洗練されたものになってきています」
昔ながらの知識が失われつつあることについては、ビャルケ・インゲルスも同意しています。さらにインゲルスは「排出量の貸し付け」という概念も提案しました。住宅ローンでは、購入した住宅が利益を生み出す前にローンを完済しなければなりませんが、「排出量の貸し付け」はそれに似た仕組みです。
「建物は、完成したその日にすでに一定量の二酸化炭素を内包しています。しかし、設計の仕方次第でエネルギー収支をプラスにし、非常に効率的な建物とすることができます。すると以降の30年間、稼働中の建物の二酸化炭素の収支が毎年マイナスとなり、30年後には建物の二酸化炭素排出量を完全に回収することができるのです」
持続可能性の専門家であり、オーストラリアにある持続可能な建設のためのラファージュホルシム財団の理事長を務めるマリア・アトキンソン(Maria Atkinson)は次のように述べています。「二酸化炭素のコストを考慮したり、持続可能ではない慣行を推奨しないようにしたり、資金の流れは以前よりも洗練されたものになってきています」
「この構想においては、教育も重要です」と坂は言います。「最初のバウハウスでは、学生が集まって学んでいました」
欧州議会のサッソリ議長もこれに賛同しています。「教育は重要な役割を担うことになるでしょう。学びの中心には創造性がなければなりません。美術系の教育機関と工学系の教育機関は互いに連携することが必要です。これもまた、新たな空間、特に思考のための空間を作り出すことにつながります」
「重要なのは建物だけではありません。家具などの小さなものから、住宅、建物、そして近隣地域、都市、大都市圏、それから農村地域まで、あらゆる規模のものが対象です」と、欧州議会のマルコス・ロス・センペレ(Marcos Ros Sempere)議員(スペイン選出)は述べています。「特に今回のコロナ禍では誰もが公共空間の不足に悩まされました。そうした経験を経た私たちは、すべての人のために貢献できるような公共空間の使い方を模索しなければなりません」
欧州議会のサッソリ議長もこれに賛同しています。「教育は重要な役割を担うことになるでしょう。学びの中心には創造性がなければなりません。美術系の教育機関と工学系の教育機関は互いに連携することが必要です。これもまた、新たな空間、特に思考のための空間を作り出すことにつながります」
「重要なのは建物だけではありません。家具などの小さなものから、住宅、建物、そして近隣地域、都市、大都市圏、それから農村地域まで、あらゆる規模のものが対象です」と、欧州議会のマルコス・ロス・センペレ(Marcos Ros Sempere)議員(スペイン選出)は述べています。「特に今回のコロナ禍では誰もが公共空間の不足に悩まされました。そうした経験を経た私たちは、すべての人のために貢献できるような公共空間の使い方を模索しなければなりません」
どうすれば参加できますか?
現時点では、ニュー・ヨーロピアン・バウハウスのWebサイトで、誰でもアイデアや企画、研究を提出できます。持続可能な建物だけでなく、循環型のデザインや実用的な製品のアイデアも求められています。
「お互いから何を学ぶべきことは何なのか。どうすればこの探求の旅に共に参画することができるのか。ヨーロッパだけでなく世界中の人々に尋ねたいのです」と、エリサ・フェレイラ欧州委員(結束政策・改革担当)は言います。
現時点では、ニュー・ヨーロピアン・バウハウスのWebサイトで、誰でもアイデアや企画、研究を提出できます。持続可能な建物だけでなく、循環型のデザインや実用的な製品のアイデアも求められています。
「お互いから何を学ぶべきことは何なのか。どうすればこの探求の旅に共に参画することができるのか。ヨーロッパだけでなく世界中の人々に尋ねたいのです」と、エリサ・フェレイラ欧州委員(結束政策・改革担当)は言います。
欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長によると、遅くとも2022年までには最初のニュー・ヨーロピアン・バウハウスの建築に資金が提供され、建設が完了します。そのためのアイデアを多く募ることを目指し、欧州委員会は「ニュー・ヨーロピアン・バウハウス賞」の開催を発表しました。
10のカテゴリーに授与されるこの賞は、経験豊富な専門家と新進気鋭の才能の両方を対象としています。「ニュー・ヨーロピアン・バウハウス賞」の受賞者は3万ユーロ、「ライジング・スターズ」部門の受賞者は1.5万ユーロの賞金を授与されます。応募締切は2021年5月31日です。
10のカテゴリーに授与されるこの賞は、経験豊富な専門家と新進気鋭の才能の両方を対象としています。「ニュー・ヨーロピアン・バウハウス賞」の受賞者は3万ユーロ、「ライジング・スターズ」部門の受賞者は1.5万ユーロの賞金を授与されます。応募締切は2021年5月31日です。
2005年のハリケーン「カトリーナ」の影響で家を失った家庭のためにフランク・ゲーリーが設計した住宅。
批判されている点はありますか?
主に2つの点について批判があります。第一に、ニュー・ヨーロピアン・バウハウスが選ばれた層だけのための運動になるのではないか、という懸念があります。第二に、現代の成長志向の資本主義システムと並行した状態で、持続可能性をどのように実現できるのか、という疑問があります。
ワールド・ヒューマン・フォーラムの共同設立者であり、代表を務めるアレキサンドラ・ミツォタキ(Alexandra Mitsotaki)は、次のように語っています。「バウハウスという概念は、定義上、非常にエリート主義的です。私たちはそこから一歩進んで、現在私たちが直面している課題は、私たち全員が共に取り組まなくてはならないことを理解する必要があります。ニューヨークに住んでいようが、インドのスラムに住んでいようが、気候の大変動が起これば誰もが被害者になります。被害の度合いは人によって違いますが、貧しい人は明らかに大きな被害を受けやすいのです」
批判されている点はありますか?
主に2つの点について批判があります。第一に、ニュー・ヨーロピアン・バウハウスが選ばれた層だけのための運動になるのではないか、という懸念があります。第二に、現代の成長志向の資本主義システムと並行した状態で、持続可能性をどのように実現できるのか、という疑問があります。
ワールド・ヒューマン・フォーラムの共同設立者であり、代表を務めるアレキサンドラ・ミツォタキ(Alexandra Mitsotaki)は、次のように語っています。「バウハウスという概念は、定義上、非常にエリート主義的です。私たちはそこから一歩進んで、現在私たちが直面している課題は、私たち全員が共に取り組まなくてはならないことを理解する必要があります。ニューヨークに住んでいようが、インドのスラムに住んでいようが、気候の大変動が起これば誰もが被害者になります。被害の度合いは人によって違いますが、貧しい人は明らかに大きな被害を受けやすいのです」
フェレイラ欧州委員は楽観的な見方をしています。「多くの人が公共の福祉から排除されています。世界には非常に多くの差別や相違がありますが、それらの溝を埋めなくてはなりません。ニュー・ヨーロピアン・バウハウスは、少数の人のためのエリート的なプロジェクトとなってはいけないのです」
アーティストのオラファー・エリアソンは、「私たちは真の公共の価値を人々に伝えたり、活用したりする方法を忘れてしまっています」と語りました。「素晴らしい公共空間とは、考えを異にする人々が何かを共有することによる摩擦をも提供する場であると思います。違いがありながらも協働する。これからの時代、必ずしも同じでないままで、どうやって共に暮らしていくべきでしょうか?」
エリアソンは、富と資源の公平な分配を確保するためには市場経済が必要だと考えます。
アーティストのオラファー・エリアソンは、「私たちは真の公共の価値を人々に伝えたり、活用したりする方法を忘れてしまっています」と語りました。「素晴らしい公共空間とは、考えを異にする人々が何かを共有することによる摩擦をも提供する場であると思います。違いがありながらも協働する。これからの時代、必ずしも同じでないままで、どうやって共に暮らしていくべきでしょうか?」
エリアソンは、富と資源の公平な分配を確保するためには市場経済が必要だと考えます。
ミツォタキはテクノロジーが重要な役割を担うと語ります。「テクノロジーなくしては実現不可能です。私たちが必要としているのは、公共の利益や集団の幸福のために存在する、より人道的なテクノロジーです」
「人を招き入れ、人の話に耳を傾け、人を惹きつけるモデルが重要です」とアトキンソンは語ります。「ニュー・ヨーロピアン・バウハウスは、建築環境において大規模な取り組みを展開するためになすべきことを世界的に拡張する手段であり、これを早急に実行する必要があります。この取り組みがグローバルなものであるという事実を過小評価してはいけません。世界中が注目し、参画を望んでいるのです」
「世界の発展において、ヨーロッパは非常に重要な役割を果たしています」とパテルは言います。「ヨーロッパの人々の選択が世界の他の地域に与える影響を見てください。好むと好まざるとにかかわらず、ヨーロッパの建築、設計上の欠陥、資本、貿易は、グローバルサウスにとって好ましくない形で影響を与えています」
「人を招き入れ、人の話に耳を傾け、人を惹きつけるモデルが重要です」とアトキンソンは語ります。「ニュー・ヨーロピアン・バウハウスは、建築環境において大規模な取り組みを展開するためになすべきことを世界的に拡張する手段であり、これを早急に実行する必要があります。この取り組みがグローバルなものであるという事実を過小評価してはいけません。世界中が注目し、参画を望んでいるのです」
「世界の発展において、ヨーロッパは非常に重要な役割を果たしています」とパテルは言います。「ヨーロッパの人々の選択が世界の他の地域に与える影響を見てください。好むと好まざるとにかかわらず、ヨーロッパの建築、設計上の欠陥、資本、貿易は、グローバルサウスにとって好ましくない形で影響を与えています」
ブラジル人建築家のフィリペ・ボニ(Filipe Boni)は次のように語ります。「公共投資の話をしていると、気になることがいくつかあります。調査を行ったところ、建築家やエンジニアの中で、プロジェクトを始める前に気候を読み解く方法を知っているのは6%でした。50%は多少理解していますが、残りは何も知りませんでした。気候について理解する前に図面を描くことを教える大学システムは、変革されるべきだと思います」
「グローバルサウスに住む若者たちも発言権を持つことができるよう、私たちは尽力しなければなりません」とパテルは語ります。「グローバルサウスの多くの人々は、世界的な気候変動の動きについての知識を持っていません。そうした人々の声が届くようなプロセスをデザインすることができれば、デザインによって大きな変化を生むことができるでしょう」
「グローバルサウスに住む若者たちも発言権を持つことができるよう、私たちは尽力しなければなりません」とパテルは語ります。「グローバルサウスの多くの人々は、世界的な気候変動の動きについての知識を持っていません。そうした人々の声が届くようなプロセスをデザインすることができれば、デザインによって大きな変化を生むことができるでしょう」
ニュー・ヨーロピアン・バウハウスを単なる政治運動だという批判があるとしても、この取り組みは変化を起こす出発点となり、人や分野の壁を超えた架け橋を築くことができます。フェレイラ欧州委員が言うように、「より持続可能で、よりバランスのとれた、より包括的な未来」のためのアイデアを生み出す場となるでしょう。デザインは、市場ではなく、人々のためのものなのです。
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