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風景に溶け込む、環境に優しいコンテナハウス
インダストリアルなデザインを取り入れたユニークな住宅。時間が経つにつれて自然に還っていくよう設計されています。
Núria Moreras
2021年6月24日
この一風変わった住宅のオーナーは、ジュエリー制作を行うデンマーク人カップルで、数ヶ月前にバルセロナへ移り住むことを決めました。2人が求めたのは、地中海の近くで自然に囲まれ、環境に配慮された住宅。その舞台に選ばれたのは、バルセロナ近郊の海岸沿いの町、カニェレスに位置する丘でした。
この住宅の特徴は、近隣のバルセロナ港から持ち込まれた、12メートルのコンテナ3個と、6メートルのコンテナ1個から作られていることです。
「コンテナは簡単に購入することができ、価格も1,500ユーロ程度(約20万円)です。ただ、ほかのコンテナハウスと同様の課題もあります。コンテナであることを最大限に活用した効率的なデザインとしながらも、居住性を確保し、スペインの建築基準法を遵守しなければなりません。大きなメリットは、非常に素早く作業できることですね」と話すのは、同じ事務所のクリスティナ・モラと、共に設計を担当した08023 Architectsの建築家、ダビッド・ヒメネスです。
「今回はオーナーと何度か話し合った後にコンテナを使うことを決めました。なにしろ好んで金属などの素材を扱うジュエリー職人ですから。それに、家があっという間に完成することも魅力でした」
この住宅の特徴は、近隣のバルセロナ港から持ち込まれた、12メートルのコンテナ3個と、6メートルのコンテナ1個から作られていることです。
「コンテナは簡単に購入することができ、価格も1,500ユーロ程度(約20万円)です。ただ、ほかのコンテナハウスと同様の課題もあります。コンテナであることを最大限に活用した効率的なデザインとしながらも、居住性を確保し、スペインの建築基準法を遵守しなければなりません。大きなメリットは、非常に素早く作業できることですね」と話すのは、同じ事務所のクリスティナ・モラと、共に設計を担当した08023 Architectsの建築家、ダビッド・ヒメネスです。
「今回はオーナーと何度か話し合った後にコンテナを使うことを決めました。なにしろ好んで金属などの素材を扱うジュエリー職人ですから。それに、家があっという間に完成することも魅力でした」
写真:08023 Architects
どんなHouzz?
住まい手:デンマーク人のカップル
所在地:スペイン、バルセロナ近郊のガラフ郡カニェレス
予算:15万ユーロ(約2,000万円)
面積:115平方メートル(室内)、75平方メートル(テラス)、20平方メートル(作業場)
設計者:08023 Architects
どんなHouzz?
住まい手:デンマーク人のカップル
所在地:スペイン、バルセロナ近郊のガラフ郡カニェレス
予算:15万ユーロ(約2,000万円)
面積:115平方メートル(室内)、75平方メートル(テラス)、20平方メートル(作業場)
設計者:08023 Architects
それまでコペンハーゲンに住んでいたオーナーは、インターネットを使い、プロジェクトのプロセス全体を通してサポートしてくれる建築スタジオを探しました。最終的には08023 Architectsが、土地の選定から、最初のアイデア、許可の取得、設計、建設まで、プロジェクトに関わるすべてをサポートしてくれたといいます。
敷地の傾斜には頭を悩ませたと、ヒメネスは振り返ります。「コンテナを固定するためには、基礎工事を行う必要がありました。加えて、斜面を平らにするためにメインのコンテナの下に換気可能な設備階を作っています。これにより、主要システムのメンテナンスが容易になりました」
外観は、チューリッヒのバッグブランド『FREITAGストア』などの有名なコンテナプロジェクトを彷彿とさせます。とはいえ、コンテナはただ積み重ねられているわけではありません。下段のコンテナは基礎に固定され、上段のコンテナは下段のコンテナに溶接されています。また、接合部は“エキスパンションジョイント”で保護した上で、シールを打っています。
外観は、チューリッヒのバッグブランド『FREITAGストア』などの有名なコンテナプロジェクトを彷彿とさせます。とはいえ、コンテナはただ積み重ねられているわけではありません。下段のコンテナは基礎に固定され、上段のコンテナは下段のコンテナに溶接されています。また、接合部は“エキスパンションジョイント”で保護した上で、シールを打っています。
コンテナに囲まれたテラスエリアは、オーナーカップルが食事や休憩を取ったり、プールに入ったりするための空間。デンマークの寒い気候に慣れた2人にとって、数ヶ月にも渡る暑い期間に、スイミングを楽しむことは不可欠でした。
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コンテナの外壁は、樹木のある風景に溶け込むよう緑色に塗装されています。コンテナの周りには、灌漑を必要としない様々な乾性植物が植えられているため、時間が経つにつれてファサードの周りに群生し、いずれコンテナハウスは自然と完全に一体化するでしょう、と建築家は語ります。
これらの植物には、直射日光が金属製コンテナに与える影響を軽減する役割もあります。「室内の過熱を防ぐために、内部に何層もの断熱材を付け加えています」とヒメネスは言います。
これらの植物には、直射日光が金属製コンテナに与える影響を軽減する役割もあります。「室内の過熱を防ぐために、内部に何層もの断熱材を付け加えています」とヒメネスは言います。
こちらは玄関の写真。
この住宅では、発電にソーラーパネルが利用されており、雨水をプールや植物の水やりに再利用するための貯水タンクも設置されています。そのため、十分な太陽光を確保できる暑い時期、つまり1年の大半を部分的に自給自足で過ごすことができるのです。
ヒメネスは次のように語っています。「外的要因にできるだけ依存せず、住宅自体が資源をつくり出すことで、環境負荷を低減できることを目指しました」
この住宅では、発電にソーラーパネルが利用されており、雨水をプールや植物の水やりに再利用するための貯水タンクも設置されています。そのため、十分な太陽光を確保できる暑い時期、つまり1年の大半を部分的に自給自足で過ごすことができるのです。
ヒメネスは次のように語っています。「外的要因にできるだけ依存せず、住宅自体が資源をつくり出すことで、環境負荷を低減できることを目指しました」
建物の1階部分は、両側に配置された12メートルのコンテナ2個と、その間に置かれた6メートルのコンテナ1個で構成されたコの字型になっており、作業場、広々としたキッチン・リビング、ゲスト用のベッドルーム、バスルームなどが配されています。
上階を構成する3つ目の12メートルコンテナには、中央に6メートルコンテナがテトリスのように埋め込まれています。内部には主寝室があり、そこから下階の屋根に設けられた手すり付きのテラスへアクセスできるようになっています。さらにこの階には、もう1つのベッドルームと、バスルームもあります。
上階を構成する3つ目の12メートルコンテナには、中央に6メートルコンテナがテトリスのように埋め込まれています。内部には主寝室があり、そこから下階の屋根に設けられた手すり付きのテラスへアクセスできるようになっています。さらにこの階には、もう1つのベッドルームと、バスルームもあります。
「オーナーから求められたのは、広々として光が溢れる、シンプルで機能的な住宅でした。金属製のファサード、コンクリートの床、大きな窓などのインダストリアルなデザインは冷たい印象を与えると思われるかもしれませんが、実際には暖かな日差しと、テキスタイルや木材が際立つインテリアによって和らげられています」とヒメネス。
リビング内部とパティオは、大きな窓でつながっています。この住宅は東西方向に配置されているため、温熱快適性にも優れています。
リビング内部とパティオは、大きな窓でつながっています。この住宅は東西方向に配置されているため、温熱快適性にも優れています。
地元のマーケットで購入した数点を除いて、ほとんどの家具はオーナーがコペンハーゲンから持ってきたものです。
「こんなにたくさんの金属に囲まれて、うんざりしてしまわないのか?」と思われるかもしれませんが、オーナーの答えはNOです。オーナーは仕事で金属を扱うことが多いため、規模は違えど、ジュエリーをデザインするようにこの家をデザインしたといいます。
「こんなにたくさんの金属に囲まれて、うんざりしてしまわないのか?」と思われるかもしれませんが、オーナーの答えはNOです。オーナーは仕事で金属を扱うことが多いため、規模は違えど、ジュエリーをデザインするようにこの家をデザインしたといいます。
こちらは、リビングから玄関へとつながるドアの写真。シートメタルがユニークなアクセントになっています。
緑色が主役のオープンキッチンには、黒いキャビネットと木製のカウンタートップが組み合わせられています。
「海からの空気と自然に囲まれたこの家では、健康と幸せを吸い込んでいるように感じる」とオーナーは言います。リサイクルされた部品をふんだんに取り入れた、自給自足も可能なサステナブル住宅であること、メンテナンスがほとんど必要ないことも魅力です。「住宅の奴隷になるのではなく、家を楽しむべきです」と建築家は語ります。
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